東京カランコロンの魅力を存分に体感できる、約1年9か月ぶりのALBUM『東京カランコロン01』完成!

東京カランコロン | 2017.09.28

 約1年9か月ぶりのアルバムが完成! 前作『noon/moon』をリリースして以来、コンスタントにライブはしつつも、様々な課題に直面していたのだという東京カランコロン。迷い続けた日々と辿り着いた結論が、『東京カランコロン01』には刻み込まれている。絶妙なコンビネーションを発揮するツインボーカル、カラフルなメロディ&ハーモニー、粋なサウンドアレンジなど、このバンドの魅力を存分に体感できる1枚となった。今作の制作の過程で彼らは何を思ったのか? いちろー(Vo・G)、せんせい(Vo・Key)が語る。

EMTG:去年は、メンバー内で話し合う機会が多かったようですね。
いちろー:はい。日比谷野音のワンマンライブが終わった後から、話し合うことがすごく増えていました。
EMTG:どういうことを話し合っていました?
いちろー:「自分たちのやりたいコアなところと、お客さんが好きなところのギリギリピッタリくる線」ということについてでしたね。
せんせい:『東京カランコロン01』は1年9ヵ月ぶりのアルバムですけど、制作の過程でここまでいろいろ話し合ったりする時間があるというのは初めてでした。ぶつかり合うこともあって精神的にも体力的にも大変やったけど、それがあったから今の5人があって、今回のアルバムがあるんやろなと感じています。
EMTG:話し合って見つけた東京カランコロンとお客さんが重なり合う部分って、言葉にするならばどういうものでした?
いちろー:まずは“ツインボーカルである”ということです。新しいレーベルに来てからシングルで出した「トーキョーダイブ」と「ビビディバビディ」も、そこにこだわりました。今までは作品毎に俺とせんせいそれぞれの魅力を掘り下げるようなこともやってきたんですけど、“2人で歌っていて、東京カランコロンである”ということを見つめ直しました。そして5人全員がツインボーカルを聴かせるということを最優先して、邪魔にならないなら好きにやろうという考えになりました。そこは一番大きな意識の変化ですね。
EMTG:キャッチーなメロディを活かしつつ、ユニークなアプローチもかなりするのがこれまで示されてきた東京カランコロンならではの作風ですけど、そのバランスが変化したという印象です。変化球の味付けに関しては、今までの取材で“胴体着陸”と喩えてきましたけど、そこが変わったと思いました。
いちろー:ちゃんと普通に着陸もできるけど、たまに腹を打ちながら着陸もするよ。というのが、今回のアルバムかもしれないですね(笑)。
EMTG:(笑)『東京カランコロン01』の「01」は、パソコンとかの起動ボタンのマークの意味もこめているそうですね(※起動ボタンは「円=0」と「タテの直線=1」を組み合わせた模様)。
いちろー:はい。「01」ってついていると1stアルバムっぽくも見えるでしょうし、そういうのも狙っています。「いろいろ考えた時期を経て、もう1回スタートする」っていう気持ちが入っているタイトルです。
EMTG:今作にぴったりのタイトルだと思います。いろいろ迷った時期を経て放つ、ここからやっていくんだ! という意思が伝わってくる1枚ですから。
いちろー:そんな僕らの姿から何かを感じて、“自分も頑張ろう”とか思ってもらえたら嬉しいです。
EMTG:“自分はどうありたいのか?”というのはミュージシャンに限らず、人間の永遠の課題ですからね。
せんせい:そうですよね。東京カランコロンは、思春期っていうことですかね?(笑)。“自分の人生をどう生きるべきなのか?”っていうのに、やっと真正面から向き合って悩めるようになったのかもしれないです。
EMTG:みなさんが向き合ったことは、例えば「どういたしまして」とか、いろいろな曲で描かれていると感じました。
いちろー:「トーキョーダイブ」と「ビビディバビディ」は、悩みながら突き抜けるイメージであるのに対して、「どういたしまして」は、そこから一歩進んだ段階ですね。笑われようが歓迎されようが「どういたしまして!」と言って、やっていく感じです。
せんせい:開き直りに近いです。“狙いは定まってる”というイメージですから。
いちろー:“何言われてもやってま~す”というイメージです(笑)。『東京再起動』というプロジェクトを立ち上げて2枚のシングルを出して、今回のアルバムに至ったわけですけど、そのプロジェクトに1つの完結を迎えさせるために、ちゃんと進んでます、という意思表示をしたかったんですよね。
EMTG:「どういたしまして」は、すごく踊れるサウンドでもありますね。
せんせい:いちろーさんは、リハの時からずっと踊っています(笑)
EMTG:いちろーさんは、ライブでの「true!true!true!」もそうですけど、度々ダンススイッチが入るじゃないですか。
いちろー:ジャンルはあまり関係なく、基本的に踊れる音楽が好きなんです。
EMTG:クラブでフィーバーしたりするんですか?
いちろー:基本的にお酒を飲まないし、夜は苦手なので、クラブは怖くて行かないです(笑)。
せんせい:クラブには行かないのに踊るのは好きだから、「家では踊る」って言ってたよね?
いちろー:うん。俺は爆音で音楽を聴くんですけど、家や街中でも1人で踊るのが好きなんです。好きっていうか踊っちゃう。電車の中でも踊っちゃいます。
EMTG:えええっ!
いちろー:ドアの横の手すりのところでこっそり踊ってます(笑)。
せんせい:表立って踊れるクラブには行かないのに、そういうところでは踊るんだ?
いちろー:うん(笑)。
EMTG:(笑)ダンススイッチを度々入れつつ、「ハッピーエンディング」や「AWESOME FRIDAYS」のような美メロも存分に発揮していますね。
いちろー:「AWESOME FRIDAYS」は、ツインボーカルのかけ合いがきれいな曲です。
せんせい:そうだね。
いちろー:自分たちで言うのもなんですけど(笑)。「ハッピーエンディング」もメロディが気に入っています。俺とせんせいがそれぞれどこを歌うのかを、じっくり練りました。
EMTG:「ハッピーエンディング」は、頭のエレキギターの「ジャカジャ~ン!」がロックンロールですね。
いちろー:リバティーンズみたいなイメージがあったんです(笑)。でも、いろいろアレンジした結果、最終的にはポップな仕上がりになりました。
せんせい:絶妙なバランスでカランコロン要素が入って、そうなっているんだと思います。
いちろー:今回、バンドっぽいなって思います。打ち込みが入っている曲が1つもないのも初めてですし。すごくロックになったということでもないんですけど、「細マッチョなアルバムだよね」とみんなで話していました。贅肉とか着飾った要素がないので。
EMTG:「321で」はまさに“細マッチョ”という感じです。この前のアルバム全曲お披露目ライブでも、すごく盛り上がったじゃないですか。
せんせい:これはライブをイメージして、頭から全部作った曲です。
EMTG:「つよがリズム」もかっこいいサウンドですね。これはちょっと胴体着陸をしていると感じたんですけど。
せんせい:たしかに、ちょっと胴体着陸が残っています(笑)。みんなでいろいろ話し合う前に作ったんですよ。昨年の野音のライブの時、会場限定で出したシングルに入っている曲なので。
いちろー:「つよがリズム」は、今回、僕らの中でキーになった曲と言ってもいいと思います。まだ胴体着陸感はありますけど、みんながフレーズを絞りに絞ってソリッドにしていった曲ですから。僕らが直面した分かれ道の内どれを選ぶかを、これが決めた気がしています。「つよがリズム」を軸にして、もうちょっとひねると「ビビディバビディ」。歌の方へ寄ると「トーキョーダイブ」……そんなイメージです。
EMTG:たしかにそういう印象ですね。あと、「かさぶた」と「アンサンブル」のような2人それぞれの歌を前面に出した曲も気持ちよかったです。
いちろー:ずっと2人で歌っているアルバムだから、1曲ずつほぼ1人でしか歌っていないものも作りました。
EMTG:「かさぶた」は、いちろーさんが1人でシャワーを浴びている時にイメージが浮かんだんですっけ?
いちろー:はい。シャンプーのギザギザのこととか歌っています。これ、みんな知っているんですかね?
EMTG:コンディショナーと区別できるように、容器にギザギザがついているんですよね?
いちろー:そうなんですよ。そこから思いついたことを歌っています。
EMTG:「アンサンブル」は、せんせいが自転車で走っている時に浮かんだんですよね?
せんせい:はい。実際に見た景色や感じたことがそのまま入っています。今までそういう曲を書くことがなかったんですよね。今回は、この曲以外にも私が書いたものは、その時の自分の感覚を思い出すものが多いです。“新しい自分に変わってるんや”って、この1年くらいの間で起こった変化を感じています。
EMTG:変化の理由って何だと思います?
せんせい:自分の感情とか、言葉にできないことを大事にしたいと思うようになったからやと思います。私はあまり理路整然といろいろ説明できないタイプなんですよね。「なんか分らへんけど、この音聴いただけで泣ける」とかいうのがあるんですけど、そういう感覚を大事にして、信じて表現したいっていうモードになっているんだと思います。
EMTG:「アンサンブル」は夏の終わりの風景が浮かびますから、ちょうど去年のその頃の体験や感覚が入っているっていうことですね。
せんせい:はい。でも、このアルバムが出るのは10月なんですよね(笑)。
EMTG:(笑)いろんな曲が鳴り響いた末に、「走り出せロンリー」で締めくくられるのが感動的です。未来を見つめているのが伝わってくる曲ですよ。
いちろー:ここからもう1回、走りだす感じで終わりたいっていうのは、メンバー全員が制作の最初の段階から思っていました。「走り出せロンリー」は、1曲目と最後のどちらにするか悩んでいたんですけど、せんせいが書いた歌詞を読んで、これは最後かな、と。1曲目の「トーキョーダイブ」で、『東京再起動』っていうこの1年の僕らのプロジェクトがスタートして、その後、いろんなドラマがありつつ進んで行った末に「ここから行くぞ!」っていうことに辿り着いたアルバムになったと思っています。
EMTG:気負っていない「ここから行きますよ~」っていう感じが、東京カランコロンらしいと思いました。
せんせい:器用にできないんですよね。どうしても胴体着陸したり、どこかひねったところが出るバンドですから。でも、それでいいやんって思っています。自分たちがいいと思ってることを表現すればいいじゃないっていう気持ちがこの曲には入っていますし、そういうメッセージは「どういたしまして」や他の曲にも散りばめられていますね。
いちろー:このアルバム、無理をしていないんです。今の自分たちに一番似合うものであり、これだったらお客さんに届くんじゃないか?っていうものを純粋に作ったのが『東京カランコロン01』です。

【取材・文:田中 大】

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リリース情報

東京カランコロン01

東京カランコロン01

2017年10月04日

TALTO

1.トーキョーダイブ
2.どういたしまして
3.ラブソング
4.ハッピーエンディング
5.AWESOME FRIDAYS
6.321で
7.ビビディバビディ
8.シークレットランド
9.かさぶた
10.アンサンブル
11.つよがリズム
12.走り出せロンリー
ボーナストラック.中華そば

お知らせ

■マイ検索ワード

いちろー
MacBook オーブン
「MacBook Proの中の基盤を取り出してオーブンで焼くと調子が悪いのが直る」っていう話を聞いていたんですけど、たまたま実際にその方法で直したエンジニアさんに会ったんです。基盤の鉄の部分がはがれそうになっているのが、生じる不具合の原因らしいんですけど、オーブンで焼くと鉄が溶けて直るっていうことみたいです。海外で既にやっている人がいたらしく、「焼いたら直ったよ」とそのエンジニアさんは言っていました。

せんせい
ゴボウ
最近食べることしか考えていないから(笑)。知り合いからちょいちょいお野菜を頂くことがあって、それをいかに美味しく調理するかについて検索しています。一番最近検索したのはゴボウの調理法なんですけど……今スマホの検索履歴を見たら、なぜか酢豚が出てきました(笑)。


■ライブ情報

東京カランコロン01リリースツアー
「久々の全国ツアーですけど、再起ん動?」

11/03(金・祝)宮城県 enn 2nd
11/05(日)北海道 DUCE
11/11(土)福岡県 INSA
11/12(日)広島県 CAVE-BE
11/18(土)香川県 DIME
11/19(日)大阪府 梅田CLUB QUATTRO
11/23(木・祝)愛知県 APOLLO BASE
11/28(火)石川県 vanvanV4
11/29(水)栃木県 HEAVEN’S ROCK Utsunomiya VJ-2
12/06(水)新潟県 GOLDEN PIGS RED STAGE
12/09(土)東京都 WWW X

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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