ORANGE RANGE、予想ができない変幻自在さを詰め込んだ2年3ヶ月ぶりのオリジナル作品『UNITY』
ORANGE RANGE | 2017.11.06
昨年、結成15周年を迎えて以降、精力的にライブを重ねていたORANGE RANGEが、約2年3ヶ月ぶりのオリジナル作品となるEP『UNITY』をリリースした。アグレッシブなロックチューン、クラブミュージック的なアプローチ、遊び心とユーモアに満ちた作風、郷愁を誘う三線の調べ……などなど、幅広い面が発揮されている1枚だ。先日行われた主催イベント『テレビズナイト』の感想、今作の制作エピソードを語ってもらいつつ、ORANGE RANGEのユニークな魅力の背景に迫ってみた。
- EMTG:10月14日に開催した『テレビズナイト』は、いかがでした?
- YAMATO(Vox):長年『ピースフルラブ・ロックフェスティバル』が行われてきた闘牛場での最後の音楽イベントをすることができたというのが、とても感慨深かったです。
- EMTG:闘牛場の辺りって、みなさんの地元なんですよね?
- RYO(Vox):はい。あの辺です。
- YAMATO:僕の家は、闘牛場から歩いて5、6分です。車だったら7、8分。
- NAOTO(Gt):なんで車の方が時間がかかるの?
- YAMATO:いいツッコミだね(笑)。出演した全てのみなさんが、それぞれのカラーを出してくださったので、とてもハッピーな空間でした。
- RYO:『テレビズナイト』は、ずっと屋内でやっていたんですけど、今回は野外だったんです。野外だと、よりいろいろ体感できるものになっていた印象でした。
- YOH(Ba):毎回いろいろなことを自分たちで考えながら積み重ねてきて良かったなと感じた1日でしたね。
- RYO:このイベントのことは自分たちが一番把握しているから、自分たちで考えた方がちゃんと回る部分もあるんです。
- YOH:地元ですから、会場のこともよくわかっていますしね。
- EMTG:NAOTOさんは楽屋周りのケアが主な担当でしたっけ?(「テレビズナイト」インタビュー参照:http://music.emtg.jp/special/20170710221a59afb)
- NAOTO:はい。一貫して楽屋の護衛をしていました。
- EMTG:楽屋のお菓子を食べる係だともお聞きしていますが。
- NAOTO:なんで知ってるんですか!? まあ、「どういうお菓子が出ているのかな?」と把握する必要がありますから。
- EMTG:沖縄の銘菓のちんすこうは、出ていました?
- NAOTO:ちんすこうは……どうでしたかね?
- YAMATO:全然把握してない(笑)。
- RYO:何が美味しかった?
- NAOTO:朝イチのビールが美味しかったです。
- YAMATO:お酒じゃないか!
- EMTG:(笑)では、新作のお話に移りましょう。どういう1枚にしたいとイメージしていました?
- RYO:バラエティに富んでいるものにしたいって話してたよね?
- NAOTO:うん。いろんな面を出したいと思って。
- EMTG:1曲目の「アオイトリ」は、メランコリックなメロディと、エネルギッシュなバンドサウンドの融合の仕方がスリリングです。
- NAOTO:これは『ありえなさ過ぎる女 ~被告人よしえ~』という映画の主題歌のお話を頂いて書き下ろしたんです。すごくいい映画なんですよ。観た瞬間にメロディとかリズムが浮かびました。
- HIROKI:歌詞も映画の内容を踏まえて書いています。この映画は1人の女性によって周囲の男性が狂わされていく様を描いているんです。何かにどっぷり浸かっていて、ふと現実に戻った時に取り返しのつかないことになっているのって、「鳥かごの中から解放されたのに、その羽根はもう使えなくなっている」みたいなことなのかなと。そういうことを描いています……って、解説するとダサくなる感じがするので、これくらいにしておきますが。
- NAOTO:まるでギャグを説明するような(笑)。
- EMTG:(笑)『テレビズナイト』で初披露だったんですよね?
- HIROKI:そうでしたね。
- YOH:初披露の時はいつもそうなんですけど、手元にひたすら集中してやりました。ORANGE RANGEの曲は意外に難しいんです。
- YAMATO:ORANGE RANGEの曲は歌っていても、意外と難しいんですよ。
- HIROKI:前に誰かが言っていました。「カラオケで選曲したら、イントロで盛り上がるけど、本編はサビ以外みんなで歌えないバンド第1位」だと(笑)。
- YAMATO:俺も一昨日くらいに、そういう話をされた!
- EMTG:キャッチーに仕上げつつ、実はいろんな技を利かせている音楽性ですからね。「チラチラリズム」も不思議な魅力がある曲です。熱いメッセージがこめられているのに、ユルユルした雰囲気を漂わせているじゃないですか。
- NAOTO:普段からみんなダラダラしているから、ユルユルした感じになるんですかね?
- YAMATO:シャキっとはしていないバンドです。
- EMTG:「チラチラリズム」は《Yeah Yeah Yeah Wow》っていうかけ声が入っていますけど、これも熱く拳を振り上げる感じじゃないですし。
- NAOTO:こういうかけ声は、他のみなさんのライブとかに行くとすごく気合入っていますけど、ORANGE RANGEは、こうなるんです。
- EMTG:RYOさんによる《乾杯》の声は、何回聴いても味わい深いですね。この曲の重要ポイントです。
- RYO:策略にハマりました。俺じゃなくてもいいのに。
- NAOTO:RYOは、こういうの好きかなと。
- RYO:いやまあ、言われたら断らないよ。他にも案があったんですよ。《夢ってさあ ドリームみたいだよな?》っていうセリフとか。「言ってくれ」って言われて、リーダー(NAOTO)の部屋で2人っきりで録ったんですけど、笑いもせずに「うーん……次!」って冷たい感じで返されました。毎回、そうやって傷つきながらやってるんです。
- NAOTO:いい感じだったよ!
- RYO:……ありがとう(笑)。
- HIROKI:一言ワードは武器になりつつあるもんね。《へいらっしゃい》(「SUSHI食べたい feat.ソイソース」の一節)とか《私はゴミ箱に投げ捨てられました》(「セプテンバー」の一節)とか、こういうのはRYOが多いから。
- NAOTO:「チラチラリズム」は、タイトルを「乾杯」にするという話も出ていたんです。
- RYO:嘘つけ!
- EMTG:NAOTOさんは、インタビューでもしばしばホラを吹きますからね(笑)前回のインタビューで「パンダが好きなのは本当です」とおっしゃったので、それは信じましたが。
- NAOTO:そんなこと言いました?
- YAMATO:多分それも嘘です。
- EMTG:ええっ!
- YAMATO:NAOTOが好きなのは菅野美穂です。
- NAOTO:それは本当です!
- EMTG:……このふざけちゃう感じは、間違いなくみなさんの音楽に繋がっていますね。
- NAOTO:はい(笑)。
- YAMATO:その場のノリを大事にしていますから。
- EMTG:YOHさんは、真面目で落ち着いていますけど。
- YOH:周りにこういうキャラクターのメンバーがいますからね。そうじゃなかったら、俺はもうちょっと明るいところを出しているかもしれないですよ。
- YAMATO:そうなの?(笑)
- YOH:そうだよ。メンバーといる時とそうでない時はやっぱ少し違う感じだから。だって冷静に考えて、俺までこんな感じになったら、想像するだけでヤバくないですか?
- EMTG:ヤバいですね…。
- RYO:学級崩壊のようなバンド(笑)。
- YAMATO:YOHがいなかったら、16年もやれてなかったかも(笑)。
- HIROKI:俺らは甘いもの(HIROKI、YAMATO、RYO、NAOTO)としょっぱいもの(YOH)みたいなバランスか?
- RYO:俺ら、ハッピーターンみたいな感じ?(笑)。
- EMTG:(笑)ORANGE RANGEは、言語センスも独特ですよね。《チラチラリズム》なんて、みなさんの年代からはあまり出ない昔の表現ですよ。
- YAMATO:《チラリズム》って言葉は、前から時々歌詞で使っているんですよね。
- EMTG:昔、インタビュー中のふとした瞬間に、YAMATOさんが《お尻》って言葉が面白いって言ったのが妙に印象に残っているんですけど。
- YAMATO:言いましたっけ?(笑)
- EMTG:あと、NAOTOさんが「《ソフトテニス》って、僕の中でエッチなイメージがある言葉なんです」とおっしゃったのも忘れられません。
- NAOTO:そうでしたっけ?(笑)
- RYO:覚えてます。熱弁してましたよね。
- YOH:たしか、「《テニス》はそうでもないけど、《ソフトテニス》はエロい」と。
- RYO:「ボールが柔らかいじゃないですか」みたいな感じで言ってた。
- EMTG:そういう言語センスも、ORANGE RANGEを語る上で、重要な部分ではないでしょうか?
- NAOTO:そうなんでしょうか?(笑)。
- EMTG:そうなんだと思います。でも、こういう作風を発揮する一方で、クラブミュージック的な「脳内ポップコーン」とか、ラップ色の強い「Second Hand」みたいな曲も生み出すわけじゃないですか。予想ができない変幻自在さも魅力です。
- NAOTO:こういうキャラクター、ノリの曲は、アルバムとかに入ってこそ映えるんですよ。こういう曲が入っているからこそ「アオイトリ」とかが、よりエッジが立って聴こえたり、「チラチラリズム」がさらに"らしく"聴こえたりしますから。
- EMTG:「脳内ポップコーン」って、いいタイトルですね。
- NAOTO:これはHIROKIが付けました。普段からポップコーン、めっちゃ食べるよね?
- HIROKI:食べるけど……ポップコーンの話、広げた方がいいの?(笑)
- YAMATO:ツアーだとライブ終わり、ホテルに帰る前にコンビニに寄るんですけど、必ずポップコーンを買うよね?
- HIROKI:うん、買う。
- YAMATO:彼はミスター・ポップコーンです。
- HIROKI:「脳内ポップコーン」は、塩味じゃなくてキャラメル味のポップコーンを食べながら聴くのがいいかもしれません(笑)。
- EMTG:はい(笑)。そして、沖縄民謡の要素が入っている「Carnation」は、とても温かい曲ですね。47都道府県ツアーをきっかけに、今まで支えてくれたリスナーへの気持ちをこめて作ったとお聞きしています。
- YOH:はい。いろんな町に音を届けさせてもらって、そこで涌いてきた想いから作り始めた曲なんですけど、自分が見てきた風景だったり、自分自身のこともひとつひとつ照らし合わせて重ねていきながら肉付けをしていきました。ある程度形になってから、中盤のラップ調の部分でRYOから詞をもらったり、AメロはYAMATOからメロディをもらったり。ツアーの合間に地元でもある沖縄市で時間を作って、やり取りを重ねながら完成させました。「自分が見てきた風景」って、震災の後に自分が見てきたものも含んでいます。ツアーも、もちろんそうなんですけどね。距離は離れているかもしれないけど、自分の中でしっかりと繋がっている場所、町に向けて、人に向けて。そこが共通している部分というか。そこにめがけて自分なりに言葉と音を綴っていった感じなんです。出来上がるまでに時間のかかった曲ですが、ライブでいろんな町に届けられるのを楽しみにしています。
- RYO:「Carnation」はまだライブでやっていなくて、音を合わせるのはこれからなんです。もうすぐ始まるツアーでもぜひやりたいです。
- EMTG:多彩な面が出たEPになりましたね。ジャケットのインパクトもものすごいですし。これ、オレンジじゃなくてミカンですよね?
- NAOTO:よく気づきましたね。
- EMTG:皮が薄いですから「ミカンだな」と。
- RYO:ラジオとかでリーダーがいない時に説明することもあるかもしれないから、このジャケットのことを今聞きたいな。
- NAOTO:これは手描きです。
- YAMATO:また嘘をつく!
- EMTG:(笑)どういうイメージなんですか? 脳みそらしきものが見えますが。
- NAOTO:『UNITY』が『結束』じゃないですか。僕の勝手なイメージで、脳っていうのは、虫みたいなのが結束しているのかなと思ったんです。
- EMTG:脳みそって、シワシワな見た目ですけど、あれは何匹ものイモムシみたいなのが絡み合っているのかなとイメージしたんですね?
- NAOTO:はい。でも、このジャケットを作った後に調べたら、そうじゃなかったんです。
- EMTG:脳みそのあの見た目は、表面に刻まれている皺ですからね。
- NAOTO:そうみたいですね。でも、「かわいいから、まあいいか」と。
- RYO:このジャケット、今後も上手く説明ができないかも……。
- HIROKI:深読みはしやすいんじゃない?
- NAOTO:そうかも。本人たちは浅いんですけど(笑)。
- EMTG:(笑)では、そろそろインタビューを終了しようと思うんですけど、最後に何か言いたいことは?
- HIROKI:お尻(そっと囁く)。
- YAMATO:お尻じゃねえよ!(笑)。
【取材・文:田中 大】
リリース情報
UNITY
2017年11月01日
SUPER((ECHO))LABEL
1.アオイトリ
2.チラチラリズム -UNITY ver.-
3.脳内ポップコーン
4.Second Hand
5.Carnation
2.チラチラリズム -UNITY ver.-
3.脳内ポップコーン
4.Second Hand
5.Carnation
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ORANGE RANGE LIVE TOUR 017-018
〜UNITY〜
11/22(水) 東京かつしかシンフォニーヒルズ モーツァルトホール
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12/01(金) 岩手・二戸市民文化会館
12/03(日) 秋田・由利本荘市文化交流館 カダーレ
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01/13(土) 愛知・アイプラザ豊橋
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01/20(土) 静岡・裾野市民文化センター
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01/27(土) 山口・スターピアくだまつ 大ホール
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02/12(月・休) 愛媛・松前総合文化センター
ビクターロック祭り2018
2018/03/17(土) 幕張メッセ国際展示場
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