sumika 新章の幕開けを告げるニューシングル「ファンファーレ / 春夏秋冬」

sumika | 2018.08.28

 先日、初の全国ホールワンマンツアーを大成功の末、完遂させたsumika。このツアーは彼らの身近さと幅広い層へのアプローチ、音や演出など、ホールならではの良点と彼らとの相性の良さを改めて気付かせてくれた。
 そのツアーの感動冷めやらぬなかリリースされる今回のニューシングル「ファンファーレ / 春夏秋冬」は、彼らの新章を高らかに告げてくれるかのような楽曲集。劇場アニメ『君の膵臓をたべたい』のオープニングテーマと主題歌のこれらは、作品と寄り添いながらも、しっかりとsumikaというバンドの今とこれからを標榜している。まさに王道ポップスとも称せる各曲が、今回もあなたに寄り沿ってくれることだろう。あなたはこの曲たちを聴き、心にどのようなファンファーレを鳴り響かせるのか? とても楽しみな1枚だ。

EMTG:先日の初の全国ホールツアーも拝見させてもらいましたが、改めてsumikaはホールが似合うバンドだと実感しました。
片岡健太(Vo&Gt):「sumikaはホールが似合うバンドだろう」とはよく言ってもらえていたんです。自分でもそうは感じるものの、実際にそこに確信が持てなくて。それを今回のツアーでは確かめたいところもありました。
EMTG:結果、その確信は?
片岡:ツアー中盤辺りからですが掴みましたね。前半は“やっていて楽しい!!”の気持ちが勝っていて、あまり周りが目に入らなかったんです。それが中盤辺りから冷静に客席が見えるようになってくると、家族連れやご年配の方など、ライブハウスではあまり見受けられなかった方々の楽しんでいる姿が、すごくよく目に入るようになって。“この光景ってホールならではだな……”と。あと、音や照明、舞台の演出などが、ホールだとゼロから作れるんです。それによりやれることの幅も広がって。自分の理想の演出や音出しが、ほぼ実現できましたからね。それもあって、以前から演っている曲でも、今の自分たちとして表現できたり。新曲はもちろん、昔からの曲でも新たな魅せ方もできるようになったんです。そういった意味では客席にもステージにも色々と発見があって、やって良かったと実感しまくりのツアーでした。
黒田隼之介(Gt&Cho): 2日間、同じ場所で演るのも初体験でしたが、意外と出来ることも発見できたし。
EMTG:ステージからの景色もいつもとは違ってたのでは?
黒田:いつもより視点が上で、かなり周りが見えることも知って。それは逆を言えば、きっとお客さん側からも僕らが丸見えなんだろうなって。で、みなさん楽しそうな表情でこちらを観て下さっていたんで、終始こちらもテンションが上がりましたね。
片岡:その辺りも演るまで分からなかったんですが、ホールの距離感って想像以上に近いんですよね、お互い。
EMTG:荒井さんは?
荒井智之(Dr&Cho):僕の個人的なテーマには「脱力とリラックス」がありましたね。ホールだと自分の席があり、立っていようが座っていようが、基本そこで楽しむのが前提じゃないですか。常に自分のペースで落ち着いて観てもらえる分、お客さんからも自分たちがバッチリ見られるわけで。それもあって、今まで以上に見られている意識はしっかり持ちました。細部まで詳しく伝わる分、ライブハウスの時よりも落ち着いて丁寧に、観ている人がどこを見ても安心できる。そんな姿勢や意識を持って挑んだんです。“神は細部に宿る”じゃないけど、細部がどれぐらい突き詰められているかが大事だということを改めて学習したツアーでもありました。
EMTG:小川さんも一部でしたが久々にボーカルをとる箇所がありましたね?
小川 貴之(Key&Cho): 僕が歌える部分を組み込んでもらえたのも、今回のツアーが5周年記念でもあったからかなと。1年以上ぶりがいきなり今回のホールツアーでしたけど(笑)。個人的にはめちゃめちゃ緊張しましたね。しっかりと役目を果たさなきゃっていう意識と、その部分だけは自分が主役にならなくちゃという気概で歌いました。でも、久々にボーカルを取れたことで、逆に“ボーカルは何ぞや?”的な意識も変わりましたね。
EMTG:鍵盤面はいかがでした?
小川:ピアノって特にホールに合う楽器じゃないですか。より綺麗に流麗に弾ければと挑んでいました。
EMTG:ツアー中には、過去単独では最大級の会場、日本武道館2Daysもありましたが?
片岡:あえて他のホールと意識は変えませんでした。セットリストや舞台のセットも大きく変えなかったし。大きいな……とは感じたけど、気持ち的には他の会場と変えて臨みはしなかったです。逆にそこを意識すると失敗する懸念もあったんで。前回よりも今回、今回よりも次回と毎回ライブの度に自己ベストを更新していく。それが例え武道館でも可能なのか? が問われてましたから。それが武道館でも実践出来たのはひとつの大きな自信になりましたね。
黒田:ツアーの中の一本だから、そんな大きく変わらないぞと言い聞かせて臨んだものの、やはり景色は特別なものがありましたね。そんな中でも自分なりにいつも通りのギターが弾けたかなって。
小川:やっぱり武道館では、他とは違った独特の景色が広がってましたから。周りを囲まれているような。あとは想像よりお客さんとの距離感の近さには驚きました。あとはやっぱり、感慨深さですね。
EMTG:それは「武道館で演れた!!」的な?
小川:いや、それとは多少違っていて。これは武道館に限らないことですが、あれだけの大舞台を迎えるにあたって、これまでズルをせず、キチンと自分たちの足で着実に一歩一歩進んで到達できた喜びとでも言うか。あの日もそれは噛みしめながら演奏しました。
荒井:自分たちもですが、周りのスタッフや関係者、今まで一緒にここまで来て下さった方々が、自分たちと同じように嬉しい表情をして観てくれていたのが非常に印象深くて。まるで自分たちのことのように嬉しそうな顔をしているんですよね、みなさん。その時は、武道館で演った意義を感じました。
EMTG:これを踏まえて秋からはまたライブハウスツアーが始まります。
片岡:今回のツアーを経てホールの良さが分かったし、逆にライブハウスの良さにも気づけたんです。ホールでしか出来ないこと、ライブハウスでしか出来ないこと、それぞれあるなって。それを知ってまたライブハウスで挑むのとじゃ違うだろうし。なので、また今までとも違った感じになるでしょう。ライブハウスでもまだやり切っていないことも沢山あるし。その辺りも楽しみにして欲しいです。
EMTG:そんな新たな一歩を踏み出そうとしている中、今作はまさしく新章の始まりを告げるかのようなシングルですね?
片岡:おっしゃる通り、リスタートの曲でもあります。スタートした時の気持ちを想い返して、そのマインドで作った曲ですから。
EMTG:今回は劇場アニメ『君の膵臓をたべたい』のオープニングテーマと主題歌でもあるんですね。
片岡:書き下ろしました。それもあって、まずはその作品に対してどう掛け算をしていくか? を『君の膵臓をたべたい』の制作チームの方々と楽曲制作の前に打ち合わせをしたんです。
EMTG:その辺りをもう少し詳しく。
片岡:この作品はベストセラーで、実写映画も大ヒットしたじゃないですか。そんな状況の中、作品のことは当然知っていたし。色々なところでこの作品を称する際に“涙”という文字も見ましたからね。で、実際に観て僕も泣いてしまったんですが。その涙の質。それがどのようなものを目指しているか? をまずは確認したかったんです。
EMTG:そこから何か結論的なものは?
片岡:大事なものが無くなったり、亡くなったりして、悲しくて涙が出るわけではなくて、それでも先に進んで行こう、一歩踏み出して行こうと、一人の少年の成長を喜ぶ為の涙、次に進む為のポジティブな涙なんだと。なるほど、と思いましたね。僕があの作品を観て涙を流した理由もそこだったので。
EMTG:その質の違いって?
片岡:自分もしっかりしなくちゃとか、人の大事さだったり、今を大事にする気持ち、その辺りの大切さを気づかせてくれたんです。で、その時の話を基に、まずはこの作品の主人公の年齢に戻り、自分たちが“青”かった時のこと、その時の青さをもう一度思い出してみたんです。今でも全然青いんですが(笑)。
EMTG:具体的には?
片岡:自分の場合、高校生の頃って既にバンドを組んでいたんですが、その時にどんな気持ちで、どう向き合っていたか? 関わっていたか? をもう一度、思い起こしたんです。で、曲作りもあえて当時のようにしてみたり。
EMTG:当時はどのような?
片岡:今はまずひとりで歌とギター、他の楽器類なども入れて、簡単にアレンジしたデモを僕が作り、それを基にメンバーで肉付けをしていく流れですが、高校の頃なんてそんなスマートなことしてませんでしたから(笑)。メンバーに伝えるにも擬音や抽象的な言葉を交えて、口頭で伝えるレベルで。今回はあえてそれを実践してみたんです。それが不思議と今回のリスタート感に繋がっていて。
EMTG:むちゃくちゃ王道なポップスで来た感があります。
小川:メロディと歌詞については、一切妥協せず挑みました。結果、すごく王道になったとは自分たちでも感じていて。「ファンファーレ」に関しては、もう素直に、かっこいいなと思った直感通りに弾いてみました。自分はギターは弾けませんが、それでも弾いてみたいと思わせるほどの初期衝動に溢れていて。最初に聴いた際からメンバーがカッコ良く演奏しているシーンが思い浮びましたから。対して「春夏秋冬」は、映画を観た僕たちを知らない人たちにもしっかりと伝わるものにしたくて。あえて看板を背負わずに勝負してみました。
EMTG:この「春夏秋冬」は初のメンバー全員での作曲なんですね。
片岡:そうなんです。この曲のデモを出した時に2パターン作ったんですが、どちらも自分も含めてなんですが、周りもしっくりきてなくて。それで、あえて客観性を持たす為に時間を置いてみたんです。それでもしっくりこなくて。悪くはないけど、ベター止まりでベストまではいかない。そこでもうひとあがきしようと、あえてバンドで仕上げてみたんです。これまでやったことが無かったんですが、弾けないベースも持って(笑)、メンバー4人だけでスタジオに入ったんです。で、主にサビの部分を、これはどうかな? これはどうだ? と、手さぐりで試行錯誤しながら作っていったんです。
EMTG:この曲は歌詞も秀逸です。
片岡:この作品の中で登場人物が伝え切れなかったことを全部書き出してみました。「一番最後にこれを言いたかったんだろうな」と思いつく言葉を書き出して。
小川:あの瞬間は鳥肌が立ちましたよ。それだ!!って。
EMTG:この曲は、あえて神妙に歌っていない部分もポイントかなと。これだけサウンドもメロディも力強く王道なのに、それらに釣れたり、負けないようにとドラマティックに歌っていないところが好きです。
片岡:メンバーとも話したんです。今回のシングルの際に、「これはsumikaの楽曲とするものか?」「『君膵』の楽曲とするものか?って。それによって曲の意味合いが全然違いますから。そんな中で出た答えが『君膵』側だったんです。例えばシンガー片岡健太が歌うのであれば、情熱的に歌った方が“らしかった”んでしょうが、主人公の感情を歌うのであれば、これぐらいの感情かなと。
EMTG:そんな中でも、かなり感情移入しながら歌ってますよね?
片岡:作っている時は、それこそ主人公が自分に憑依してましたから(笑)。間に新作を作ったり、ツアーやライブなども行ってきましたが、この話があってから一年は、ずっと頭の片隅から離れてくれなくて。もはや一心同体で、感情移入しまくるのもやむなしかと。
EMTG:でも、今作の制作を経て新発見もあったようですね?
片岡:ですね。sumikaというものに頼ることが甘えではないことに気づきました。任せるところは任せてもいいんだって。もちろん一人だけでやり切ったり、乗り越えなくちゃならない場面もあります。だけど、大事なタイミングでは合議もありだなって。でも、それってメンバーがフラットだからこそ出来ることでもあって。おかげさまで「これsumikaで決めました!!」という言葉が、より責任感のあるワードになったシングルになりましたね。

【取材・文:池田スカオ和宏】




■劇場アニメ『君の膵臓をたべたい』Original Soundtrack

君の膵臓をたべたい
2018.08.29発売
SVWC-70364 ¥3,000(税抜)
音楽・世武裕子による劇伴に加え、sumikaが手掛けた挿入歌「秘密(movie ver.)」も収録!

tag一覧 シングル sumika 男性ボーカル

リリース情報

ファンファーレ / 春夏秋冬

ファンファーレ / 春夏秋冬

2018年08月29日

SMR

01.ファンファーレ
02.春夏秋冬
03.ファンファーレ (Instrumental)
04.春夏秋冬 (Instrumental)

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■マイ検索ワード

片岡健太
そうは問屋が卸さない

先日ずっと大阪にいたんです。そんな中、台風が来た日の深夜、2時か3時頃に、ホテルからコンビニに行った日があって。
その時にビニール傘をさしている女性がいて。突風で傘がすっ飛んだんです。
それが美女だったんですが、鼻をプっと鳴らして、「そうは問屋が卸さないってか!!」と言って走り去っていったんです。大阪なのに、まるで江戸っ子のように。
それで、「この場合の、この言葉の使い方って合ってるのかな?」と。
調べた結果は「勝手な要求を出しても相手はその通りに動いてくれないもの」でした。
それにしてもあの美女は誰に、あの言葉を投げたんでしょう (笑)? 傘が壊れないと信じていたけれど壊れたんで、思わず口をついちゃったんでしょうかね (笑)?



■ライブ情報

sumika 『ファンファーレ / 春夏秋冬』 Release Tour
11/04(日)ZEPP SAPPORO
11/07(水)ZEPP NAGOYA
11/08(木)ZEPP NAGOYA
11/14(水)ZEPP TOKYO
11/15(木)ZEPP TOKYO
11/25(日)ZEPP OSAKA BAYSIDE
11/26(月)ZEPP OSAKA BAYSIDE
11/30(金)BLUELIVE HIROSHIMA
12/04(火)DRUM LOGOS
12/05(水)DRUM LOGOS


音楽と髭達2018-ONE STORY-
08/25(土)HARD OFF ECO スタジアム新潟

SPACE SHOWER SWEET LOVE SHOWER 2018
09/01(土)山梨 山中湖交流プラザ きらら【8/31〜9/2開催 】

TREASURE05X 2018 "HEARTS OF THE TREASURE"
09/09(日)愛知 蒲郡ラグーナビーチ【9/8、9/9 開催 】

テレビ朝日ドリームフェスティバル2018
09/16(日)千葉 幕張メッセ 国際展示場9・10・11ホール【9/15、9/16、9/17開催】

FM FUKUI BEAT PHOENIX 2018
09/22(土)福井フェニックスプラザ

東北工業大学 第43回 工大祭「Bloom ?平成最後に咲き誇れ?」
10/14(日)東北工業大学八木山キャンパス

川崎学園祭
10/20(土)川崎医療福祉大学体育館

Housei Autamn Music ’18
10/21(日)法政大学多摩キャンパス

"sumika 『ファンファーレ / 春夏秋冬』 Release Tour"
10/28(日)SENDAI GIGS

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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