ネットシーンをざわめかせている新鋭ユニット・ツユに初インタビュー! ぷすが考える明確なビジョンに迫る

ツユ | 2020.03.02

 昨今ネットシーンをざわめかせている新鋭ユニット、ツユをご存知だろうか? 2月19日にリリースした1stアルバム『やっぱり雨は降るんだね』が、タワレコとアニメイト限定販売ながら2月18日&19日付オリコンデイリーアルバムランキングへ8位にランクインした驚異の新しい才能だ。



 ツユとは、レーベルやマネジメント未契約。完全セルフプロデュースで、詞曲はもちろんのことアレンジやミックス、イラストや動画まで一気通貫に完結するクリエイティブ・チーム。完全に自分たち主導で活動しながら、インディーズ・チャートではなく本チャートを賑わす謎めいた4人組ニューカマー。その実態は、作詞作曲ギター担当のぷす、ボーカル担当の礼衣、イラスト担当のおむたつ、動画担当のAzyuNからなる4人組ユニット。約半年前、2019年6月12日結成ながら、すでにYouTubeチャンネル登録者数33万人を突破している。

 注目は、代表曲「くらべられっ子」が620万再生されたこと。インタビューしてわかったのだが、ツユは、リーダーのぷすが綿密な計画を練って成功へと導いたプロジェクトである。なお、オリジナル楽曲すべてのミュージックビデオがミリオン再生を突破している。うち、4曲がダブルミリオンだ。2020年要注目の新しい才能、ツユのぷすへ初インタビューを試みた。


EMTG:初取材なので、いろいろお話を伺いたいなと思っています。ちなみに、2012年からボカロP、歌い手、歌い手ユニットとして活動されてきたぷすさんなので、様々な角度から入り口がありますよね? ツユに特化した方がいいですか?
ぷす:きっかけとして、ツユを作るまでの経緯も大事だったりするかもしれません。
EMTG:ですよね。ボカロ文化圏の流れで、2010年以降、ハチさんが米津玄師としてブレイクしたり、wowakaさんがヒトリエというバンドを結成したり、じんさんが『カゲロウプロジェクト』でヒットを飛ばすなど、この10年、面白い動きがあったと思います。
ぷす:そうですね。僕は2012年からだったので、じんさんだったり、kemuさん(PENGUIN RESEARCH/堀江晶太)からの影響が強いです。
EMTG:2012年だと、それこそ現在ヨルシカとして活躍しているn-bunaさんと同期デビューですね。
ぷす:昔から知り合いです。今もちょこちょこ喋ったりしますね。あと、かいりきベアも同期です。でも、いま現在も活動している人は少なくなりましたね。
EMTG:ニコニコ動画は新しいクリエイターを生み出すインキュベーション機能というか、ユーザーによる再生回数という視点やコメントによって表現者を成長させてくれる場だったと思います。今、ニコニコ動画からYouTubeへと活動の場は変わってきましたが、サブスクも盛り上がってきたり。都度、歌い手の時代があったり、ボカロPがバンドを組んだり、自身で歌唱する流れがあったり、ユニット化していったりと、時代によって状況が変わってきていますよね。
ぷす:そうですね。
EMTG:ぷすさんは、いろんなこと考えられてツユの結成へと取り組まれたと思っています。
ぷす:明確にビジョンやコンセプトを考えていました。まず、自分は2019年春頃までは歌い手として活動していました。誰かが作った曲をカバーしていたんです。自分で曲を作れるのですが、ボカロPから歌い手の時代になった流れもあって、ここ数年は歌い手として活動していました。元々、ボカロPは裏方としてのイメージが強いと思っていて。かつてボカロPをやっていた時に悔しさを感じた気持ちがあって。
EMTG:なるほどね。
ぷす:なんならYouTuberっぽい顔出し動画だったり、いろんなことをやってきました。けっこう目立ちたがりなんで(笑)。でも、世の流れは変わっていくもので、今度は作る側に注目が集まる時代がやってきて。僕の場合は、幸い作品を作るところから入ったこともあって、これは本来の自分を出せる時代がきたんじゃんって。
EMTG:ボカロ文化圏の中でも、時代時代で流行の流れに変化がありました。
ぷす:もともとは曲で売れたかったんですよ。曲をちゃんと聴いて欲しかった。でも、2019年ごろからいい作品を書けば日の目を見れる環境になってきて。流れが間違いなく変わって。だったら自分のやりたいことで勝負すべきだなと。今まで、いろんな寄り道をしたけど曲を作るという部分で勝負したいなと思って結成したのがツユでした。
EMTG:客観的に自分を分析されるんですね。
ぷす:そうですね。この8年ぐらい、それで生きてきたようなもんなんで。曲の能力っていうか、僕は常にシーンの分析で生き延びてきたんですよ。高校を中退して、音楽で生きていくって決めたので。

EMTG:音楽表現って、理論とフォーマットがある種決まっているので、見せ方、アウトプットの仕方ってとても大事ですよね。
ぷす:それもあって、ボーカリストを立てようと。自分が歌うのはなんか違うなと思って。自分は曲を作ることに専念して、あくまでもボーカルは謎めいた感じで。SNSなど、ツユを押し出す係は僕がやる。曲も作るし広めていくしと。であれば、裏に引っ込まずに今のイメージを維持できるかなって。それが一番ベストだと思いました。
EMTG:ツユは、4人組ユニットになるのですか?
ぷす:そうですね。今のところメインメンバーは4人ですね。僕とボーカルの礼衣、イラストのおむたつ。動画をつくったりCDのデザインをやるAzyuN。これは今のところ、結成からいる4人です。
EMTG:4人で、作品を完結できるようにというのがこだわったポイント?
ぷす:今のところはそうです。これからはライブだったり、人も増えていくかもしれません。3月1日の初ライブはワンマンで700人キャパをソールドアウトしていて。今後はメンバーが増えていくのかな。たとえばピアノを弾く人とか。僕がいいなと思う人に声かけて、よりツユ全体が広がっていけばと。
EMTG:表現したいものによって柔軟に可変していく?
ぷす:はい、そう考えてます。
EMTG:なるほどね。で、すごいのが2019年6月12日に初投稿した「やっぱり雨は降るんだね」が230万回再生を突破しました。

ぷす:1発目の曲がボーンといったんで。今もじわじわ増えていて。
EMTG:これはもう狙い通り?
ぷす:そうですね。100%ミリオンいくと確信していたので。そのまんま結果にあらわれて、間違ってなかったなと。
EMTG:しかも、ツユのオリジナル曲でアップしている動画が全作ミリオン再生を超えていて。あと、印象的だったのがTwitterのプロフに敢えて“無所属”って書いていたり、あとタワレコとアニメイト限定販売(アマゾン、ダウンロード&サブスク配信も無し)ながらオリコンチャートへCDのセールス枚数が反映されるようにこだわられていたり。個人として独立したインディペンデントなスタイルへのこだわりが、今の音楽シーンへの反抗へと感じられました。
ぷす:反抗ですね。ぶっちゃけ、出来レースみたいなアーティストも多いじゃないですか? 1発目から企業が囲い込んでめっちゃお金使ってみたいな。それもすごいしカッコいいと思うけど、そうじゃなくてゼロから自分たちだけであがいて、なんか泥臭い感じでやったるぞみたいな感じでツユは挑戦してみたかったんです。今のところ全部理想通りに進んでいます。
EMTG:ここまでの道筋、まだ1年経ってない……?
ぷす:経ってないですね。半年ちょっとです。半年でアルバム出す、ライブをやるっていうのは最初から決めていました。毎月新曲をアップしていけば、半年で今の状況は作れるなって。しっかりその通りになってくれたという。
EMTG:ぷすさんが、音楽やギターに目覚めたきっかけは?
ぷす:僕の場合、ギターから音楽に入りました。15歳のとき音楽の授業でアコギを弾かされて。そのおかげなんですよ。音楽の先生がアコギが上手い人だったんで授業で取り入れて。その後、親戚から埃のかぶったアコギをもらって。それでパソコン観ながらチューニングとか勉強したり、独学でギターおもしれえじゃん!ってなってエレキにも手を出して。ニコニコ動画で“弾いてみた”とか観て覚えていったんですよ。で、だんだんと自分でメロディーを考えてみようとか。気がついたら曲を作っていました。
EMTG:じゃあボカロ曲やニコ動文化が先ではなく、アコギを手にとったのが先だったんですね。
ぷす:ですね。その後、タイミングがアニメ『けいおん!』全盛期で。影響を受けました。
EMTG:ああ、あれで楽器をはじめた人多いですよね。特に今の20代は。
ぷす:僕はそれではじめたわけではないですけど、アニメ好きだったんでハマっちゃったんですよ。ぴったりのタイミングでした。“弾いてみた”のジャンルもすごい盛り上がっていて。
EMTG:好きなギタリストとかいるんですか。
ぷす:あ、昔はメタル系のギタリストが好きで。今は趣味が変わってきて。当時は速弾き系のアングラってバンドのキコ・ルーレイロがめっちゃ好きで。
EMTG:へぇ、なんかルーツを感じさせないですね。
ぷす:そうかもしれないです。そこから入って、ボカロを聴くようになって。ボカロって、いろいろな音楽ジャンルがあるんですよ。だからいろんな音楽ジャンルを知ることができました。それこそ、最初は速弾きしかしていなかったんです。でも、おしゃれなコードを弾いたり、だんだんと幅が広がって今はいろいろな表現が出来るようになりました。

EMTG:ボカロシーンで最初に衝撃を受けた曲なんてありますか。
ぷす:最初、ニコニコ動画で知ったんですけど、やっぱりkemuさん。その前は、samfreeさんっていう、今はもうお亡くなりになった方でユーロビート曲をアップされていてハマりました。だけど、ボカロがどうっていう意識は無かったんですよ。ただよくわかんないけどオタクなジャンルの曲なのかなみたいな。カッコいいしノれるみたいな。その後、ニコニコ動画が流行っているという噂を知って、意識的に調べたときに出会えたのがkemuさんのボカロ曲。一番のルーツですね。
EMTG:アルバムを聴いていると、インスト曲「夏浅し」、「羨望」でのぷすさんのロックなギターがめちゃめちゃよくて。
ぷす:ありがとうございます。
EMTG:アルバムにインスト曲を入れたというのは?
ぷす:元々インスト曲を作るのが好きだったんです。アルバムを出すんだったら全曲歌ものでガチガチにするよりも世界観をなんかフワっとさせたかったんです。橋渡しがあった方が、アルバムの聴き応えが変わってくるんじゃないかなって。あえて前後の曲につながるような曲構成にしてみたり、曲と曲の意味合いや幅が広がっていくようにしてみました。
EMTG:なるほどね。ツユの1stアルバム『やっぱり雨は降るんだね』は、ツユというユニット名であったり“雨”というキーワードが印象的です。今回、ある種ベスト盤ちっくな内容でもあると思いますが、トータルでコンセプト的なイメージはありましたか。
ぷす:ツユ自体のコンセプトはあります。ツユは6月、梅雨の季節に結成しました。名前の響きがよかったんですよ。で、雨ですよね。女の子が主人公の曲がほとんどなんですけど、雨から連想するのは涙。雨、涙、悲しい、みたいな。イコール、結果的に報われない悲しい気持ちを吐き出す曲たち。だからあまり明るい曲はなくて、悩みだったり、劣等感みたいな。もやっとした感情を曲で表現しています。それが、ツユの明確なコンセプトになっています。
EMTG:ツユの代表曲「くらべられっ子」は、再生回数も伸びまくりでツユの代表曲へと育ってきていますね。
ぷす:思い入れが強い曲です。今までにないメロディの流れがしっくりきて。今まで8年間曲を作ってるなかで一番この曲は自分の中でキテてるなって感触でした。歌詞を書く前から、これはなんかヤバいぞって。僕自身、ずっと劣等感を抱きながら音楽活動をやってきたんです。まわりがどんどん売れていったり。Twitterでフォロワーさんと相互のサブアカウントでツイートを見てるんですけど「親が比べてくる!」とかそんな愚痴みたいなツイートが多くて。みんなそういうこと思うんだって。みんなこんな気持ちを抱えながら生きているんだなって。じゃあ、これをテーマにしようって。ほとんど修正もなく一発で歌詞ができて。
EMTG:曲の展開もジェットコースターのようにキャッチーで人懐っこくて素晴らしいポップセンス。
ぷす:自信がありました。他にない構成ですよね。こういうジャンルの曲って似通ってる部分ってあると思うんです。並べられてひとくくりにされるんですけど、僕は曲の流れに関してはかなりのオリジナリティがあると思っていて。僕だけの独自の構成。だけど全体で聴いたときに違和感なくポップにハマる要素というか、それが中毒性に繋がってると思います。そこにハマってくれていると思うんですよね。わざとAメロ1回でサビだらけみたいな、そういうことを意図的にやっています。
EMTG:Twitterで自分たちのことを“無限にミリオンヒット叩きだす新世代の神アイドル”って勢いで書かれていて。でも、わかりやすいポジショニングの分析だなって。
ぷす:半分ネタなんですけどね(笑)。とにかく裏には回りたくなくて、たまにこういう発言をしたりはします(笑)。

EMTG:現在、メジャーレーベルや事務所に頼らずとも、メインストリームで闘えるのがツユですよね。
ぷす:そうですね。そのへん強気です。もちろん、今後どうなるかはぶっちゃけわからないですけど、いけるところまではいきたいですね。Twitterも十分拡散のパワーがあるし、YouTubeもあるので今は結構何でもセルフでやれちゃうんですよ。
EMTG:SNSなど、アーティスト自身がやった方がファンと濃い繋がりを構築できるんですよね。
ぷす:僕はそう思ってます。
EMTG:ボーカル礼衣さんはTwitterアカウントもなく、でもTwitterでたまにあらわれる感じが謎めいていて。どんな人なんですか。
ぷす:そうですね。礼衣は自由奔放な人間ですね。メンバー全員とも何となくだけど近い感性を持っているかな。自分の意見を持ってるというか、まわりに縛られたくないっていう人間で。本人も歌が歌いたいだけなんですよ。他のことはよくわかんない、歌が大好きだと。じゃあ、他のことは任せとけって。
EMTG:1stアルバム『やっぱり雨は降るんだね』のリリースも好調ですが、2020年ツユの活動はよりどうなりそうですか。
ぷす:基本的には毎月オリジナル曲を投稿しようかなと思っています。とにかくハイペースでいい作品を作って、個人でいけるとこまではやって最強になってやろうと。
EMTG:なぎ倒していきますね。
ぷす:はい、そこは強気ですね。ライブもガンガンやって、CDを頻繁に出していけたらいいなって。とにかく今の活動の充実度や楽しさも半端じゃないので。ハイペースに活動していきます。

【取材・文:ふくりゅう(音楽コンシェルジュ)】

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リリース情報

やっぱり雨は降るんだね

やっぱり雨は降るんだね

2020年02月19日

TUYU

01.やっぱり雨は降るんだね
02.夏浅し
03.風薫る空の下
04.アサガオの散る頃に
05.ひとりぼっちと未来
06.あの世行きのバスに乗ってさらば。
07.太陽になれるかな
08.羨望
09.くらべられっ子
10.ロックな君とはお別れだ
11.ナミカレ

お知らせ

■ライブ情報

ツユ2ndワンマンLIVE『名称未定』
08/03(月) [東京]TSUTAYA O-EAST
08/11(火) [大阪]梅田 CLUB QUATTRO

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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