力強く繊細なハーモニー――ふたりの出会いから「12cm」の誕生までを語る。

all at once | 2020.04.24

 温かみのある地声の魅力も然ることながら、ファルセットから低音まで幅広く力強いボーカリゼーションで包み込むITSUKIと、伸びやかなハイトーンを武器にピュアな歌声を響かせて聴き手の心を揺さぶるNARITO。片や北海道札幌市出身、片や宮崎県小林市出身と生まれも育ちも性格も好対照なふたりの青年が運命的に出会ったことで、このボーカルユニットは生まれた。それがall at onceだ。カバー曲を歌った彼らの動画があっという間に100万回再生を突破したり、倉木麻衣のデビュー20周年記念ツアーのオープニングアクトを務めるなど大きな話題を呼んでいる彼らがまもなくデビューする。そのデビューに先駆け、4月29日にはシングル表題曲「12cm」とカップリング曲「Take mo’ Chance」を先行配信。編曲に亀田誠治を迎え、男女の間の絶妙な距離感を瑞々しいバラードとして歌い上げた「12cm」(大友花恋をキャストに迎えた恋愛映画のごときMVも必見!)、ファンキーでダンサブルな「Take mo’ Chance」についての話はもちろん、ふたりのルーツや出会い、結成のいきさつもがっつりと聞かせてもらった。“聴かせる歌”に飢えているあなた、要注目です!

all at once - Debut Single「12cm」TEASER映像


――最初に音楽に触れたのはいつ頃でした?
ITSUKI:音楽が好きだなって自覚したのは幼稚園の頃ですかね。毎回、親に車で送ってもらっていたんですけど、その車の中でかけてくれていた音楽を聴いて一緒に歌ったりしているときに「音楽って楽しいな」って。J-POPはもちろん、洋楽もいろいろ……スティーヴィー・ワンダーさんやマイケル・ジャクソンさんとか、あとU2さんとかがよくかかっていたんですけど。
――そのへんが響くってかなり渋い幼稚園生ですね。
ITSUKI:そうかもしれないです(笑)。The Beatlesさんもよく聴いていました。
NARITO:僕も幼稚園の頃の送り迎えですね。当時はまだカセットテープだったんですけど、それを聴いて歌いながら車に乗ってたのがいちばん最初に「音楽、楽しい!」って思った記憶です。DREAMS COME TRUEさんの曲――特に「未来予想図Ⅱ」がすごく好きで、同じ曲ばっかりずっと流していたんですよ、僕。
――資料によれば、ITSUKIさんは中学2年生のときに友達の誘いでオーディションを受けて、最終選考まで残ったことがきっかけでボーカルとダンスのレッスンを受け始めた、NARITOさんは同じく中学2年生のときにカラオケで母に褒められたことがうれしくて、自然と歌手を目指すようになった、とありますけど、それまで音楽との関わりは?
ITSUKI:まったくなかったですね。中2のそのときまで僕はずっとサッカーをやっていたので。オーディションを受けたのも本当に軽い気持ちだったんですよ。一緒に受けてみようって友達に誘われて。そしたら運よく最後まで残ることができて。当時、中学生だったこともあって、音楽をやってみたいっていう気持ちはどこかにあったんでしょうね。最後まで残れたことで、音楽をやってみたいなという気持ちが芽生えて、それからずっとやってきたっていう感じです。
――ずっとサッカーをやっていて、特に歌を習ってたとか、そういうわけでもないんですよね?
ITSUKI:はい、まったく。
――それで最終選考まで残ったら、それは「あれ? イケるんじゃね?」って思うでしょうね。
ITSUKI:(笑)。でも、おかげで中学生ながらしっかり夢を定めることができたので。音楽をやっていこうって決意してからはサッカーもやめましたし。
――潔いなぁ。NARITOさんはいかがですか。
NARITO:ぼんやりと歌手になれたらいいなって考えてはいましたけど、高校生までは本格的に音楽をやろうとはあんまり思ってなかったんですよ。学校の終わりに友達とカラオケに行ったりはしていましたけど、週に3~4回ぐらい。
――それ、結構多くないです? カラオケが部活っていうぐらいの頻度じゃないですか。
NARITO:そうかも(笑)。歌うのが楽しかったんですよ。歌ったあとの爽快感や開放感が好きだったんです。そういうのもありつつ、高校の進路選択の段階になって「ちゃんと音楽をやっていきたいな」と思って。僕の音楽はそこから始まりましたね。
――ちゃんと音楽をやりたいと思うに至ったきっかけはなんだったんでしょう。
NARITO:僕の地元では上京する人もあんまりいなかったので、だったら自分が東京に行ってみようかな、それで音楽をやってみたいなって。何か人と違うことに挑戦してみたいっていう好奇心がすごくあったんです。
――ITSUKIさんが上京されたのも、やっぱり歌をやっていくなら東京のほうがいいだろう、と?
ITSUKI:そうですね。地元の札幌でレッスンを受けていたんですけど、先生から「東京にはチャンスを掴めるところがいろいろあるし、刺激を求めるなら上京したほうがいいよ」と言っていただいて。僕自身、刺激を求めていたので、それなら東京に行こうって高校2年生の時点で上京を決めていました。
――親御さんに反対されませんでしたか。
ITSUKI:即OK、ではなかったですね。ずっと応援してくれてはいたんですけど、まだ高2だったし、本当にやっていく気持ちはあるのかってすごく確認されました。ちゃんと大学に行ったほうがいいんじゃないかとか、自分が好きなことをやるためにはいろんなことをしっかりやらないとダメだって言われたので、勉強とか音楽以外のことも一生懸命やって。僕も自分のやりたいことをやるには、ある程度知識も持っていないとダメだなと思っていましたし。
――しっかりやることをやって認めてもらったんですね。
NARITO:僕は父親にすごく反対されました。たぶん地元で頑張ってほしかったのかなって思うんですけど、最初に話したときは「嘘だろ? 信じられない」って言われました。なので経緯とか自分の想いとか、こういう理由で僕は東京に行きたいんだっていう話をしたんですけど、なかなか通りませんでしたね。最終的には膝をついて頭を下げて「行かせてください!」って熱意でなんとか了承をもらいました。でも今はすごく応援してくれているので、もっともっと頑張らなきゃなって。
――おふたりは上京後に入学した専門学校で出会ったんですよね。わりとすぐに顔見知りに?
NARITO:ふたりとも学生寮に入っていたので、お互いの存在は知っているって感じでした。
――第一印象は?
ITSUKI:「細っ!」(笑)。
NARITO:ははははは!
――そのまんまだ(笑)。
ITSUKI:ほんとそのままでしたね(笑)。自分は札幌出身なので、ある程度都会には耐性があったというか、そこまで東京と札幌って変わらないなと思っていたところもあったんですけど、NARITOは都会に慣れていない感じがあったので。か弱そうというか、ちょっと心配になる感じ。ちゃんとご飯食べているのかなって。
NARITO:そう思われるのは自分でもなんとなくわかります(笑)。念願叶っての東京生活だったので気分は上々だったんですけど、やっぱり人混みがすごくて怖かったのと、あと駅とか路線とかもいっぱいあるじゃないですか。「どこに行けばいいんだろう? どれに乗ればいいんだろう?」みたいな感じだったので、上京したての頃は。
――ではNARITOさんから見て、ITSUKIさんの第一印象はどうでした?
NARITO:怖かったですね(笑)。ITSUKIはスポーツをいろいろやっていたので今よりも体がちょっと大きめだったし、オーラもあったんですよ。なので、最初は話しかけづらかったというか。
ITSUKI:ふふふ(笑)。
――仲良くなったきっかけとか覚えています?
NARITO:え~と……?
ITSUKI:どうだったっけね。
NARITO:そうだ、専門学校に共通の友達がいたんですよ。その友達が「ちょっと買い物に行こうよ。ITSUKIって子も連れて行くから」って、そのときに初めてちゃんと会話したんです。
ITSUKI:そうそう! その頃は顔は知ってるけど……ぐらいでした。
――じゃあそこで意気投合したんですか。
ITSUKI:(食い気味に)全然!
NARITO:ははははは!
ITSUKI:当時、僕はずっとソロでやっていこうって思っていたんですね。歌をやり始めた中学2年生のときからずっとブラックミュージックが好きだったので、R&Bやファンク、ジャズとかを聴いていて、なかでも転機になったのがブルーノ・マーズさんなんですよ。その頃はまだ得意分野とか自分でよくわかっていなかったんですけど、ブルーノ・マーズさんが歌っていた「Uptown Funk」(※マーク・ロンソンの楽曲にブルーノ・マーズがボーカルとして参加)を聴いて「これ、かっこいい! 練習してみよう」って歌ってみたら、それがすごく自分に合っているってことに気づけたんです。そういう音楽を目指すとなると、誰かと一緒にやるのはなかなか難しいのかなと思っていて。
NARITO:逆に僕は専門学校に入ったばかりの頃、音楽の知識はまだそんなになかったんですよ。ざっくり歌ものというか、バラードみたいな、聴かせる曲を歌えるようになりたいなとは思っていましたけど、それこそITSUKIの目指しているジャンルとはまったく別物で。ただ、高校生の頃に、毎年文化祭で友人や後輩と一緒にステージに立ってはいたので、2人でも3人でも4人でも、誰かと一緒にやりたいなっていう気持ちはありました。
――誰かと一緒にやるにしてもバンドとかボーカルグループとかいろいろあると思うんですが、そのへんはあまりこだわりなく?
NARITO:形態はなんでもよかったのかもしれないです、そのときは。純粋に音楽を楽しめればそれでいいっていう気持ちだったんだと思います。
――対照的なふたりですね。
ITSUKI:ほんとそうなんですよ(笑)。
NARITO:かなりバラバラです(笑)。
――そのふたりがどうして一緒にやることになったのか、ものすごく気になります。
ITSUKI:学校で開催されていたイベントがきっかけなんです。そのときちょうど僕もチャレンジとして誰かと一緒に歌ってみたいと思っていて、そのタイミングでNARITOに声をかけました。
――なぜNARITOさんに?
ITSUKI:ちょうど近くにいて、空いているみたいだったので「一緒に出ない?」って誘いました。そのときはもうだいぶ仲良くなっていたし、彼の歌声も知っていたので、一緒に歌いたいなって気持ちはすごくあって。で、初めて一緒に練習したときに、それまで自分が思い描いていたものよりもNARITOとふたりで歌っているときのほうがすごく大きなステージに立てるっていうイメージが浮かんだんですよ。ただの直感なんですけど、その場ですぐ「ふたりで本格的にやっていかない?」って言ったんです。
――おお!
NARITO:びっくりしましたね、まさかと思いました。さっき話したとおりお互いの目指すジャンルも違っていたので、今回きりだと思っていたんですよ。そしたら「一緒にユニットをやろう」って。でもびっくりはしたけど、僕にとってITSUKIは憧れみたいな存在だったので、そう言ってくれるならぜひやりたいと思って、ふたつ返事で「やる!」って言いました。
――青春っぽい! そこからデュオとしての方向性を探っていくわけですね。
ITSUKI:一緒にやると決めてからいちばんに悩んだのは、やっぱりどういうジャンルをやっていくのかっていうことで。ふたりで最初に練習した曲がORIGINAL LOVEさんの「接吻」だったんですよ。僕、AORやシティポップも好きで、そういうバックミュージックが鳴っている音楽に興味を抱いていた時期だったのでこの選曲になったんですけど、僕たちの武器を活かすという意味ではちょっと違うかなと思ったんですね。すごく好きな曲だけど、19歳でこんなにも大人っぽい曲をやっても自分たちでは表現しきれないんじゃないかなって。
――なるほど。
ITSUKI:じゃあ何がいいんだろうってずっと探していたときに、たまたまC&Kさんの「Y」を聴いたんです。その頃は2人組で歌っている方の楽曲をいろいろ探しては練習していたんですけど、C&Kさんの「Y」は本当にいい曲でしたし、初めて練習した瞬間に「これだ!」って思って。NARITOのすごく綺麗なハイトーンも活かせるし、僕もすごく感情が入って本当に歌いやすかったんですよね。自分たちのまっすぐな声を活かせる曲、その方向で勝負できる曲でいこうって、そこで方向性が決まって。
――おふたりが配信された「Y」のカバー動画も素晴らしかったです。

Y(C&K)cover / all at once
ITSUKI、NARITO:ありがとうございます!
――ちなみに、ふたりでやっていくと決めたときの周りの反応は?
ITSUKI:僕がひとりでやっていくつもりでいたことを知ってくださっていたので、最初は先生方に反対されましたね。
――あ、反対されたんですか。
ITSUKI:すっごくされました(笑)。でも僕が直感を信じてNARITOに声をかけたわけだし、あまり周りの意見は気にせず、自分たちの好きなようにやっていこうと思って。
――そういうところが揺るぎないですよね。こうやってお話させていただいて思ったんですけど、ITSUKIさんはこうと決めたら突き進むタイプ、ちょっとのことでは動じない頼もしさがあるなって。そんなITSUKIさんに対して柔軟に共鳴しているのがNARITOさんなのかなという気がします。
ITSUKI:まさにそのとおりですね。性格は真逆なんですよ、僕たち。
NARITO:うん、全然違います(笑)。
ITSUKI:ほんとに今おっしゃっていただいたとおり、基本的には僕が大枠を決めて、こうやってやっていくって提示したことにNARITOはついてきてくれるので。
NARITO:やっぱりITSUKIは信頼してますし、尊敬もしていますから。僕が意見することももちろんあるんですけど、軸になる部分はITSUKIがいろいろ発信してくれるので、僕はそこに足すという感じで。
――ボーカリストとしてお互いのどこに惹かれますか。
ITSUKI:素朴でまっすぐな声が魅力だと思っています。NARITOにしか出せない声質だし、まっすぐさが相手にもわかりやすく伝わるのが彼の武器だなって。ハイトーンもNARITOの武器だと思うんですけど、僕がいちばん惹かれているのはそこかな。
NARITO:ITSUKIは歌声にレンジがすごくあって、ファルセットからローの低いところまでどっしりと芯のある声を出してくれるんですよ。僕にない声の温かみだったり、すごく素敵だなと思いますね。
――ところでall at onceというグループ名の由来は?
ITSUKI:僕らが学校のイベントに出ている頃から、今所属している事務所の方が目をかけてくださっていて、卒業のタイミングで事務所に入らないかとお話をいただいたんですよ。ちょうどグループ名をどうしようかと考えていた時期でもあったんですけど、そのときにスタッフの方が、僕たちの武器はまっすぐさと純粋さだって言ってくださったんですね。僕らってほんと歌しかやっていなくて、それ以外のことは全然だったんですけど、歌しかやっていないのがいいんだって。それを武器に新しいムーブメントを起こしていくにはどうしたらいいかって考えたときに、僕たちだけじゃなく、スタッフさんや僕たちの音楽に触れた人全員を巻き込んでいけたら、新しい何かを起こせるんじゃないかという話になって、“みんなを巻き込む”という意味を込めてall at onceという名前になりました。スタッフさん含め、チーム全員でいろいろ悩んだ結果、この名前になったんです。
――みんなの想いがこもった名前なんですね。
NARITO:はい! すごく気に入っています。
――そして2019年からall at onceとしての活動をスタートされて。先ほどお話しいただいた「Y」のカバー動画が2週間で100万回再生超えを記録、事務所の大先輩である倉木麻衣さんのデビュー20周年記念ツアーの東名阪と仙台公演にオープニングアクトおよびバックコーラスで参加するなど大注目のおふたりですが、今の心境は?
ITSUKI:やるしかない!
NARITO:うん!
――不安はないですか。
ITSUKI:ないですね。いや、ないって言ったら変ですけど、目の前のお仕事を1つ1つ全力でやっていくしかないって思っています。歌以外はほんと不器用なので、1つ1つ集中して頑張っていくのが、今自分たちのできることなので。
――注目されているのは感じていらっしゃるでしょう?
ITSUKI:すごく期待をしていただいている実感はあります。その期待をちゃんと背負っていけなかったらプロじゃないと思うので、期待を背負いつつ、しっかり自分たちの100%を見せるパフォーマンスをやっていかなきゃなって。でも、あんまり意識し過ぎないようにしようとも思っています。
――4月29日に先行配信される「12cm」がまた素晴らしいバラードで。ただ、このタイミングでバラードを選ぶというのはある意味、かなり覚悟がいるとも思うんですよ。しかも6分を超える楽曲じゃないですか。相当の力量と自信がなければ、しっかり聴かせきることのできない曲なのではないかと思うのですが、この曲でいこうと決めた理由を教えていただけますか。

all at once「12cm」
ITSUKI:やっぱりすごく悩んだんですよ。タイミング的に自分たちの名刺になる楽曲だと思ったので。スタッフさん含めall at onceチームで何がいいのか考えて、アップテンポがいいんじゃないか、ファンクっぽいのはどうだろう、ロックもいいかもしれない……って考え抜いた結果、やっぱり僕たちのまっすぐさを伝えるにはバラードだなっていうところに着地したんです。そのあと、じゃあどういう曲がいいんだろうっていう話になって、チーム全員でスタジオに入ったんですよ。まず鼻歌から始めてそこにコードを付けてみよう、さらに矢作(綾加)さんも呼んで一緒に仮歌詞を付けてみようってやりながら、ある程度デモ音源が出来て。
――本当にイチから手探りで作られた曲だったんですね。
ITSUKI:はい、チームで力を合わせて作りました。「12cm」っていうタイトルも、最初は男女の距離感を表したストーリーを作りたいという気持ちから始まって、でも“10cm”とか“15cm”だとなんだかしっくりこなくて。
――わかる気がします。
ITSUKI:そしたら歌詞を共作してくださった矢作さんが“12cm”がいいんじゃないかって。それはなかなか絶妙な距離感だねって全員一致でそれを仮タイトルに付けたんですよ。そのあとスタッフさんが“12cmはキスに最適な身長差”っていう記事を見つけてくれて、「これはいい!」って正式にタイトルに決めたんですよ。
――しかも編曲を手掛けられたのが亀田誠治さん。
ITSUKI:まさか引き受けていただけるとは思いませんでした。編曲をどなたにお願いしようかという話になって、亀田誠治さんにお願いしたら快諾してくださったんです。個人的にも東京事変さんとか好きで聴いていたので、「本当に?」っていう感じで。
NARITO:路上ライブでカバーを歌っているときに、東京事変さんのカバーをさせていただいたりもしていたんですよ。
――憧れの方を目の前にして、いかがでしたか。
ITSUKI:最初に亀田さんのスタジオでご挨拶させていただいたんですけど、緊張でまったく覚えていないんです。「うわぁ、テレビとかで見てる人だ!」って思っていたら終わっていて(笑)。そのときに「すごくいい声だ」って言ってくださったことだけはふたりとも覚えているんですけど、それ以外はほとんど……。
NARITO:緊張しすぎてしまって。
ITSUKI:その次にお会いしたのは、ストリングス隊のレコーディングに立ち会わせていただいた時だったんですけど、デモ音源としてあったものが生の音に変わる現場を見ることが初めてだったので、「こうやって作られていくんだ!」ってすごく刺激を受けました。そのレコーディングが終わったときに亀田さんが「すごくよくなったからね。これで伸び伸びと自由に歌って、自分たちの好きなようにこの楽曲を作っていってね」って言ってくださったんです。おかげで自分たちのレコーディングのときも、すごく自由に伸び伸びと歌えました。
NARITO:もちろん「ちゃんと歌わなきゃ」っていう気負いもあるにはあったんですけど、亀田さんの「伸び伸びと自由に」っていう言葉が頭の中にあったので、気負いは一旦置いておいて、自分たちの今できるいちばんの歌を届けようってことだけを考えて臨めましたね。何より「12cm」っていう楽曲に対しての僕たちの熱意が真っ先にあったので、あんまり緊張せずに歌えたんじゃないかなって。
――完成した「12cm」を聴いたときの率直な感想は?
NARITO:自分たちの歌ではあるんですけど鳥肌が立ちました。あと、生のストリングスが入った重厚な音も素晴らしいし、1番からオーラスに向けて男女の距離感がいろんな音で表現されていて。亀田さんが編曲してくださって本当に素敵な曲に仕上がったなって。
ITSUKI:たしかにストリングスが肝になっている曲だと思います。1番2番、そして最後に入っているストリングスが全て違っていて。そこに自分たちの声が乗っかっているのを聴いたときは、いい意味ですごく衝撃を受けましたね。今後、この曲をいろんなところで歌っていくんだなと思うと、いっそう大切にしなきゃいけないなっていう決意が改めて生まれてきました。
――一方で、「Take mo’ Chance」はこれまたガラッと趣を変えたファンキーな1曲で。現在放送中のTVアニメ『ぼくのとなりに暗黒破壊神がいます。』オープニング主題歌でもあるんですよね。
ITSUKI:はい。実はこれ、僕たちが事務所に入ってからいちばん最初にレコーディングさせていただいた曲なんですよ。最初はもっとロック寄りな楽曲を予定していたんですけど、この曲を歌ったところ全員一致で「これだ!」となったんです。
――この2曲の先行配信曲をどんなふうに聴いてほしいですか。
ITSUKI:「12cm」に絞るなら、この絶妙な距離感にキュンキュンしてほしいですね。サウンドも、声も、歌い方も、歌詞も、ストーリー性も全部が繋がって最後は幸せに辿り着いているっていうのを感じてもらえたらうれしい。さらにMVも観ていただけたら、よりいっそうキュンキュンしてもらえると思うので。
――ではall at onceがこの先に目指すものは。
NARITO:僕たち自身、大事なのは音楽を始めたときの初心じゃないかなって思ってるんですよ。僕たちが楽しく音楽をやっていないと、聴いてくださる方も楽しめないと思うので。なのでこれからも初心は忘れずにやっていきたいですし、そのうえでall at onceを知ってよかったな、応援してよかったなって思ってもらえるアーティストになりたいです。
――いちばん伝えたいのは音楽の楽しさ?
NARITO:そうですね、いちばん根底にあるのはやっぱりそこかなって。
――例えばこのステージに立ちたいとか、野望なんかはありませんか。
ITSUKI:僕たち本当に不器用なので、先のことは全然考えられないんですよ(笑)。なので、とにかく1つ1つ、目の前ことに全力で取り組んで、それが自ずと大きいところに繋がっていけばいいなって。「日本武道館でやりたい」とか言うのは簡単ですけど、それよりも1つ1つしっかりやっていくことが大事。そこはふたりの共通認識としてあるので。
――とことんまっすぐ真面目で爽やかなall at once、ブレない強さを感じます。
ITSUKI、NARITO:ありがとうございます、頑張ります!

【取材・文:本間夕子】

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リリース情報

先行配信「12cm」「Take mo’ Chance」

先行配信「12cm」「Take mo’ Chance」

2020年04月29日

ビーイング

12cm
Take mo’ Chance

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■マイ検索ワード

ITSUKI(Vo)
ブルーノ・マーズ ライブ映像
僕は休み中も音楽を聴くのが趣味で、このタイミングで初心に戻らないといけないなと思ったので、先ほど話したブルーノ・マーズさんのライブ映像を見直しています。最近「Versace on the Floor」という曲を聴いて、ライブじゃないと味わえない楽曲自体のスケール感をすごく感じて、改めて自分たちがプロになっていくことを踏まえて、ライブの見せ方だったり、アーティストってこういう人じゃないといけないんだっていう感覚を改めて勉強させてもらっています。

NARITO(Vo)
のどミスト
やっぱり歌う人たちにとって乾燥は最大の敵だと思うので、その対策として。家にあるものを持ち歩くには大きすぎるので、持ち運べる便利なものを探していて。調べていると、かぜ予防に効くものがあるみたいで、そういうのもいいなあと思っています。

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