神山羊が世界へ放つJ-POPカルチャーの革新――「群青」がそのターニングポイントとなる理由

神山羊 | 2020.04.24

 ネット発アーティストの革新が止まらない。2020年、要注目なのが新時代のサウンドクリエイター&シンガーソングクリエイター、神山羊の存在だ。歌唱、詞曲、アレンジを一気通貫で手がけ、3月4日にCDシングル「群青」でソニーミュージックからメジャーデビューを果たした逸材だ。 ボーカロイドクリエイター時代は“有機酸”と名乗り、アンダーグランドな人気を得ていた彼だが、“神山羊”名義となり自身で歌唱することになって作品性の幅が広がった。よりキャッチーな要素がフックとしてあらわれてきたのだ。そのターニングポイントとなるナンバーが「群青」だ。2020年1月クールで評価の高いTVアニメ『空挺ドラゴンズ』オープニングテーマとなった本作。冒険感とポップセンスが相まった映像作品と溶け合う極上のシンクロニシティー。世界へ向けてJ-POPカルチャーをアップデートしたいと語る神山羊に話を訊いた。

――最新曲「群青」、全パートがサビのようにインパクト強いナンバーですね。

神山:“全パートがサビ”、ありがとうございます(笑)。
――少年感もあり、作品とリンクする冒険感も表現されたワクワク感の強い素晴らしい曲だなと。うちの『空挺ドラゴンズ』が好きな小2の息子も初見から口ずさんでいて。
神山:おお、めっちゃ嬉しいです。
――神山さんのメジャーデビューのタイミング曲として、歌詞の世界観が心情として重なりますよね?
神山:そうですね、船出感というか。旅立ちみたいなイメージがマッチするかもしれないです。「群青」は『空挺ドラゴンズ』主題歌として書かせてもらって。制作のスタートは、まず原作漫画を読んで作詞作曲へと入りました。基本的には空に突き抜けていく青い感じを表現したくて。僕の中での青さのイメージがギターロックだったんです。この曲はギターだなってところからはじまりました。
――神山さんにとって、ギターロックのイメージとは?
神山:僕がこの楽曲でやりたい要素が、ダンスロックな要素を持つギターロックだったので、サカナクションのイメージがありました。
――なるほどね。それを言ってくれる神山さんが好きだわ。
神山:ははは(笑)。ライブでみんな踊れるようなギターロックを作りたかったんです。ベースは、ベースラインにこだわりたくて、サカナクションの草刈愛美さんにお願いしました。踊れるロックには踊れるベースが必要なので。
――あ、そうなんだ! それはズバリなんですね。あと、80年代的なアレンジの要素? ベースやシンセの入れどころなどに感じました。ベースが跳ねてうねっている感じが、エピック・サウンドっぽいというか。わかります?
神山:わかりますわかります。
――超絶ツボで。ちなみにエピック・サウンドとは、岡村靖幸、大江千里、渡辺美里、TM NETWORKなどで用いられたアレンジセンスというか。
神山:この時期80’sをいろいろ聴いていて、それこそ岡村靖幸さんは好きでよく聞いていました。いま、2020年にこういうサウンドを自分がやったらどうなるのかな、なんて考えたりしていました。
――アレンジ含めこだわられつつ、隠しキャラ風なSEなどテン年代以降のR&B要素を取り入れられたり。
神山:R&Bテイストは、これまでやってきた僕らしさのあらわれですね。
――そうなんだねぇ。今回の「群青」という楽曲タイトルは『空挺ドラゴンズ』の世界観で重要な“青空”をイメージされたのですか?
神山:そうですね。「群青」には“群”という字が入っているんですけど、人間の群像劇を描いているのが『空挺ドラゴンズ』なので、これしかないなって。ちなみに『空挺ドラゴンズ』は、3Dアニメーションなんですが、人物がより人間的に、空の世界はより壮大に描かれているのでいいなって思いましたね。
――「群青」では、神山さんのルーツとして大きな90年代J-POPセンスであったり、フックの強度さを絶妙に表現されているなと思いました。もっともっと広がりを感じさせるというか。
神山:それは印象的にやったかもしれませんね。あと、アニメタイアップというのもあって、主題歌として引っ掛かりがあるものにしたいなと考えました。メロが頭に残りやすい感じ。そのうえで踊れるサウンドという作り方をしています。
――神山さんはアニメーション作品もお好きなんですか?
神山:そうですねぇ、今敏監督の『パプリカ』や、伊藤計劃さんの作品とか、ジブリも好きですよ。TVアニメを観るようになったのは最近で、ニコニコ動画に作品を投稿するようになってからなんです。最近は『週刊少年ジャンプ』系のアニメを観てますよ。
――この数年、米津玄師などネット発アーティスト含め、星野源、あいみょんなどシンガーソングライター、バンドシーンもKing GnuやOfficial髭男dismなど、いいアーティストや楽曲がどんどん生まれています。そんなシーンの変動を神山さんはどう受け止めていますか?
神山:やっぱり、音楽を聴く環境が、YouTubeやサブスクでハードルが低くなって聴きやすくなっているかもしれないですね。新しい音楽を発見したり取り入れやすいフローが、昔に比べて楽になりました。作り手にとっても情報を受け取りやすくなりましたし。たとえばですけど、僕に興味がない人にも作品が届きやすくなったというか。TikTokの拡散力とかすごいですし。そこで知ってライブに来てくれるようになった人もいますし。大きく変わったと思います。
――サービスごとにお客さんのコミュニティーが違ったり、入り口がたくさんある状況というのは面白いことですね。そんな意味では『空挺ドラゴンズ』など、アニメーションとコラボすることで海外ファンからの入り口も増えますよね。
神山:そう思います。J-POPを海外に伝えたい気持ちは強いんです。海外で気に入ってもらえたらいいなって思いますね。僕が目指している音楽の伝わり方として正しいと思います。その一方で、もっともっとやりたいことはあるんです。今回は、『空挺ドラゴンズ』に寄り添ったアレンジで、作詞で作曲だったので。作品ごとにやりたいことがいっぱいあります。
――おおお、次なる展開も楽しみです。昨年11月のEX THEATER ROPPONGIでのライブ『神山羊2019TOUR「ゆめみるこどもが目覚めたら」』も最高で。歌が伝わる要素はもちろん、音響、ライブ演奏とのハマり具合、世界観の構築っぷりが最強で。
神山:あ、嬉しいです。最高なサウンドをチームが生み出してくれるので、僕は遊んでます(笑)。
――2曲目「スタンドバイミー」では、冒険感という「群青」の世界観とも通じる、80年代の名作映画『スタンド・バイ・ミー』を彷彿とさせますよね。それでありながら、イントロでは環境音楽的な絶妙なるコード感を織り交ぜた導入部で。しかも、ラップ風のシンガロングできるメロディー展開という。
神山:これは、外を散歩しながら生まれた曲で。ラップってキーワードでおっしゃられましたが、僕が好きなのはブラックミュージックだし、ヒップホップなんです。そんなテイストの曲を作りたいなと、でもシンガロングできる曲にしたいなって。
――歌詞の世界感では、いろんな受け取り方ができる要素があって。言葉が持つ力を感じました。
神山:言いたいことを言えない自分に嘘をついている人が、自分のことをちゃんとわかってもらいたいというか、自分のことを考えて欲しいという気持ちを書いた曲ですね。今回書き下ろしたナンバーです。
――そうなんだ。イントロでの構成はなぜこのようなテイストに?
神山:公園にいたからですね。昼間、あたたかい公園にいるときって、日差しや木漏れ日であったり、キラキラした感じってあるじゃないですか? あれです。
――それをイントロで音であらわしたというか。なるほどねぇ。ツアーなど、ライブ関連が社会的な問題で中止や自粛が続いているのでなんとも言えないのですが、ライブで是非聴きたい2曲ですね。
神山:嬉しいです。ライブやりたいですよねぇ。CDをチェックしていただきつつ、ミュージックビデオも観て欲しいですね。
――「群青」のミュージックビデオでは、神山さんが3人あらわれていたり、三原色で抽象的に物事を展開されていたり。人生観、生きている感じが心情含めあらわされていますよね。あと、魚の扱い。魚というと水槽の中で飼われているイメージがあって、それが解放されて飛んでいくファンタジー・センス。子供時代って、なかなか親であったり学校であったり鬱屈する瞬間があるんだけど、それを突き抜けるパンキッシュなテイストを「群青」には感じていて。神山さんらしい表現ですよね。
神山:ありがとうございます。楽曲と映像がマッチした作品になったと思います。そう言えば、監督さんには“水”というキーワードを提案して。
――それはなぜ?
神山:『空挺ドラゴンズ』って空を船で旅しているんです。空が海のように感じて。竜が出てくるんですが、それがサメだったり鯨だったり魚のようにも感じて。映像としても単純に、空の青さで表現するだけではなく、という考え方で。
――なるほどね。神山さんは、映像作品をアート作品的なセンスであったり、クリエイターとのコラボレーションだったりこだわられていますよね?
神山:いまのティーンは、映像で音楽を知ったり聴いていたりしますからね。そこは大事にしたいポイントです。目で見る情報は大事なのかなって思っています。あと、アニメーションとのタイアップだからこそ、今回「群青」では、自主制作の頃と同様にアートワークなどこだわって作っているので、是非CDで手に取って欲しいですね。

【取材・文:ふくりゅう(音楽コンシェルジュ)】




神山羊 1st major Single「群青」クロスフェード

tag一覧 J-POP シングル インタビュー 男性ボーカル 神山羊

リリース情報

群青

群青

2020年03月04日

SMAR

01.群青
02.スタンドバイミー

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卵かけご飯 東京
音楽関係ないですね(笑)。『テラスハウス』が好きで観ていたら、卵かけご飯屋さんが出てきて。美味しそうだったんです。それで検索して行ったんです。卵を自分で選べたり、めっちゃ美味しかったですよ。



■ライブ情報

神山羊 TOUR 2020群青
06/02(火)東京 渋谷CLUB QUATTRO

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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