Rude-α、「真夏の女神」で振り切って見えたものとは

Rude-α | 2020.08.14

Rude-αがニューシングル「真夏の女神」を配信リリースした。彼の作品ではおなじみのトラックメイカーEQと元CODE-VのシンガーソングライターSUNHEE(ソニ)と共作した楽曲、作詞はRude-α。3月にリリースされたアルバム『23』のポップ路線をさらに前進させたキャッチーなサマーアンセムだ。コロナ禍が気がかりな夏だけれど、スイカにかぶりつくRude-α(これにはちょっとした秘話も)と一緒に、気分だけでも爽快に過ごしたい。

――今年の夏はどう過ごしていますか?
Rude-α:ライブがけっこう中止になっちゃったりして、社会情勢的にこんなこと言っていいのかわからないですけど、旅行にも行けないし、わりとゆっくりと過ごしてる感じですかね。去年の夏は『オオカミちゃんには騙されない』に出てたんで、ずっと忙しくて地元に帰る暇もなかったんですけど。
――ストレスが溜まったりはしませんか?
Rude-α:あんまりないですね。例えば取材がこうしてリモートになったことで、会社に来る回数も減ったりして、いいか悪いかはわかんないですけど、時間を効率的に使えるようになったっていうか。
――移動しなくていいですからね。
Rude-α:家でできる作業もいっぱいあったんで、それはよかったなって思います。
――そうしてできた時間をどう使っていますか?
Rude-α:楽曲制作をやってます。スタジオに前ほど頻繁に入れないので、プリプロの段階を飛ばして宅RECのデモである程度仕上げて、スタジオではすぐにレコーディング。だからスタジオに行く回数も一回分ぐらい省けたなって(笑)。
――「真夏の女神」もそんなふうに作った感じですか?
Rude-α:そうですね。データをオンラインで何度かやりとりしながら歌詞やメロディを詰めていって、2ヵ月ぶりぐらいに会ったときにはスタジオ、みたいな。この他にも2曲そうして作った曲をレコーディングしました。
――今回はEQさんとSUNHEE(ソニ)さんとの共作ですね。
Rude-α:アルバム『23』の時からこうやってチームでの楽曲づくりを始めたんですけど、今回トラックに対して僕がこうしたいっていうイメージを伝えたら、SUNHEEさんがメロディの具体的なアイデアをたくさん出してくれて。それらをベースにしながら、歌を乗せて調整し形にして行きました。自分一人ではすぐに出てこないようなメロディも、チームだと作れるから勉強になります。
――SUNHEEさんのいいところって?
Rude-α:めっちゃ歌うまいし声域も広いんですけど、メロディラインに意外性があるんですよね。ブラックミュージックっぽい感性があるのがすごいなって思います。
――ボーカルがこれまでになく“歌手”っぽいなと思いました。
Rude-α:ほんと、どっちかっていったら歌ですよね。もうちょいラップっぽくすることも可能でしたけど、曲を聴いたときにヒップホップっていうより歌もののダンスミュージックみたいな感じになればいいかなって思ったんですよ。
――たまたまこうなったんじゃなくて、ちゃんと狙ってこうしたんですね。
Rude-α:思い切ってます。自分的には、かっこいいものだけのものを作ったっていうよりかは、なんだろ、分かりやすいんだけど、中毒性があるっていうか。言ったら岡村靖幸さん的な……。
――(笑)。
Rude-α:例えば普通の、ちょっとおしゃれな感じでやってるアーティストだったら、スイカ食ってる写真は絶対イヤだと思うんですよ(笑)。「自分の色じゃないんで」みたいな。歌詞も大胆っていうか、自分の中で振り切った曲ではありますね。
――振り切りは写真にも表現されていると。
Rude-α:去年の9月に「It’s Only Love」って曲を出しましたけど、ジャケットが僕の顔写真だったんですよ。僕はアニメっぽい絵がいいんじゃないかとか、写真だったら引きがいいんじゃないかとか考えてたんですけど。でも最近、このくらいな感じのほうがわかりやすくていいんじゃないかって思うようになったんです。岡村さんのジャケットって「岡村靖幸!」って主張が強いし(笑)、そこがいいなって。2~3年前にDAOKOさんと作った曲(「ステップアップLOVE」)もキレッキレでやばいし、disじゃなくて本当にいい意味で、リスペクトをこめて、僕の中ではめちゃくちゃ“ダサかっこいい”人だなって。で、自分自身のこともそういう感じに解釈するようになったんです。
――かっこよさの幅が広がったんですね。
Rude-α:最近はもう自分のことラッパーって言わなくてもいいんじゃないかって感じになってきてますね。誰かが第三者に僕を紹介するときに「彼は日本の有名なラッパーなんだよ」とか言われると「いやー、そんなにラッパーじゃないけどな」とか思ったりしますし(笑)。
――今のお話はとても腑に落ちました。僕が「真夏の女神」を聴いて思ったのが、まず「アイスクリーム」の続きっぽい感じがある、というのがひとつ。この件には追って触れますけど、もうひとつ、ルードさんの堂々とした歌いっぷりからDAOKOさんを思い出したんですよ。彼女もポエトリーラップのシーンから出てきて、メジャーデビュー以降は“ラップシンガー”を名乗っていますよね。そのあり方に通じるものがあるように感じて。
Rude-α:それはうれしいですね。僕は10年後ぐらい評価されるんじゃないかなって気がしてるんですよ、最近。後々、「あいつ先行ってたんだな」みたいな。昔m-floを聴いたときそこまでわからんかったですけど、1~2年前ぐらいからこの人たちやばいなって思い始めて。僕がチャンス・ザ・ラッパーみたいな曲を作りたいと思ってやってたようなことを、m-floは15年ぐらい前からやってたんですよ。うわ、先にいたんだ!みたいな。
――評価は10年後でいいけど、売れるのは先がいいですね(笑)。
Rude-α:それが理想ですね。最初はサビを英語にしてたんですよ。歌い出しの♪真夏の~女神~、のとこを♪I just wanna love you all、みたいな。でもそれだとただのちょっと普通にかっこいい曲みたいで、よくないなって思って。平井堅さんの<神様が僕に下した使命は君だけのヒーロー>(「POP STAR」)ってあるじゃないですか。あれを聴いたときに「人が言わないこと言ってんなぁ」って思ったんですよ。だからこそ心に引っかかってヒットするんだなって。「真夏の女神」みたいに、ベタに見えて意外と誰も言わないような言葉を入れたほうが面白いんじゃないかと思って入れてみたら、うまくはまった感じですかね。
――「POP STAR」って、意図的にアナクロなイメージをまとって聴く人を笑顔にさせておいて、そこに直球のメッセージを投げ込む歌みたいな印象があります。あえて言うなら“ダサかっこいい”というか。
Rude-α:そうなんですよね。俺、やっぱ多分“ダサかっこいい”になりたいんですよ。やっぱりスイカ食ってるぐらいのほうがいいんじゃないかなって(笑)。でも俺、スイカあまり得意じゃないんですよ。
――得意じゃないのにかぶりついたんですね(笑)。さっき出た“ダサかっこいい”というワードは、「POP STAR」だけに、ってわけでもないけど、いわゆる“ポップ”に通じるものかもしれませんね。
Rude-α:あー。俺も思います。そうなのかもしれないですね。
――かっこよくておしゃれなだけじゃなく、単にダサいのでもなくてね。
Rude-α:同時進行で作った他の曲はまた違うテイストになってて、曲によって自分の中で解釈を変えきれてるっていうか、ちゃんと意味がある曲をいくつも作れたなって思いますね。
――聴くのが楽しみです。さっき「この話は追って」と言いましたけど、この「真夏の女神」は僕的には「アイスクリーム」の続きというか、あそこで感じた新鮮さの先に生まれた曲だなって思ったんですよ。
Rude-α:通じるものがあると思います。この感覚が、「アイスクリーム」からちょっとずつ自分の中に芽生えてきた感じがあるんですよね。歌詞もストレートな言葉で書いて、響く人にはすごい刺さってくれるんじゃないかなって思って作ったし、自分の中で振り切り始めた曲だったので。
――『23』を聴いたとき、歌詞もそうですがメロディや構成も含めて「アイスクリーム」には“これが最新のRude-α”という感触がありました。
Rude-α:正直な話、これめっちゃ売れるんじゃないかな?って思いました。自分的にはいろんなものを込めることができた曲だったんです。普通の人が聴いたら普通にポップスなんですけど、僕は今まででいちばんチャンス・ザ・ラッパーに近づけたって勝手に思ってて。あと、あいみょんさんの「君はロックを聴かない」がめちゃくちゃ好きで、ああいう感じの歌詞を紡げたらいいなってずっと思ってたのが初めてできたのも「アイスクリーム」なんですよね。たとえ世間で評価されなかったとしても、自分の中では「いい曲できたな」っていう久しぶりの感覚がありました。伝わっててうれしいです。
――いつも言っていますが、あとは売れるだけですね。
Rude-α:本当にそうですね。コロナの影響でいろいろ流れちゃったりしてますけど、それがあったから何だっていうことは別に自分の中ではないんですよ。今までも上がり下がりはあったし。また何かしら自分でアクションを起こして上げていかないといけないだけだって思ってるんで。今はそこに向けての準備をずっとしてますね。具体的に何をしてるとかではないんですけど、自分の感覚を徐々に取り戻そうって。
――音楽が大好きで、才能も華もあるから大丈夫ですよ。
Rude-α:自分でもいける気はしてるんですけどね。俺は本当の意味で音楽好きなんだろうなって思うんです。誰が歌ってるとか関係なくて、いい曲だったらやばい!って思えるし。こないだ『ミュージックステーション』で瑛人が「香水」を歌ってましたけど、僕、あの曲を最初聴いたときに「何これ!?」って思って。でも結果的にめっちゃくちゃ流行ったし、僕自身、歌詞も覚えたし、最近はウクレレで練習してるし、「真夏の女神」もそんなふうになってほしいです。例えばラジオでかかったときに、初めて聴いた人が「なんだこれ、よくわかんないけど気になる」ってなってくれたらいいなって。
――確かに、「よくわかんないけど気になる」が最強ですもんね。
Rude-α:最近、友達と話してて、10年後にも歌詞を覚えてたり、メロディを歌えちゃったりするのがいちばんいい曲なんじゃないかって話になったんですよ。僕の中ではAqua TimezとかFUNKY MONKEY BABYSとか絶対そうだし。そういうとこに自分は行きたいですね。

【取材・文:高岡洋詞】


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リリース情報

配信限定「真夏の女神」

配信限定「真夏の女神」

2020年08月12日

Sony Music Labels Inc.

01.真夏の女神
02.真夏の女神 instrumental

お知らせ

■配信はこちら

https://smer.lnk.to/XJHaSF8f



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2000年代 ガム
子供の頃にすごい好きなガムがあったんですけど、思い出せなくて、名前も思い出せないから、とりあえず「2000年代 ガム」って調べたんです。それで、検索結果を色々読んでいったら、ガム市場が落ちてきているらしいです。若者のガム離れみたいな。で、思い出せなくて色々調べて、ぶどう味だったんですけど。それで、何枚入りかなって考えた時に、8枚入りだったので、
8枚入りガム
って調べて出てきた中で、「うわ! これだ!」ってなったのが「ウォータリングキスミント」でした。僕めっちゃ好きで。思い出のガムなのに、「うわ、食いてえ!」って調べたら、「2018年10月、若者のガム離れにより、生産を中止した」ということでした……。




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フロムニューエイジアツアー2020 -summer-

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