大胆なイメージチェンジを遂げた1stシングル、林青空の新たな一面がここに!

林青空 | 2020.08.19

 今年2月にアルバム『出航日和』でメジャーデビューを果たした林青空。キュートな甘さと意志の強さを併せ持つ歌声、ユニークかつ色彩豊かな言葉選びで描写される歌詞など、存在感のある個性を打ち出しながら活動を続けているシンガーソングライターだ。そんな彼女が、1stシングル「ハイヒールシンデレラ」をリリース。現在オンエア中のTVドラマ『おしゃ家ソムリエおしゃ子!』のエンディングテーマとして書き下ろした本作は、どのような過程を経て完成したのか。アレンジとサウンドプロデュースを手掛けた亀田誠治氏とのやりとりなど、制作にまつわるエピソードを語ってくれた。

――デビューアルバム『出航日和』をリリースして、皆さんからの反応や反響はどうでしたか?
林青空:コロナの影響で残念ながらツアーは中止になってしまいましたが、林青空を知ってもらえるこのアルバムだけは、ギリギリセーフで届けられたかなと思ってます(笑)。自分のラジオ番組にメッセージをいただいたりもするんですけど、あのアルバムで新たに知ってくれたっていう方もいたりして。出来上がったときもめっちゃうれしかったけど、そういう声が届いたときに「アルバムが出来たんだな」っていううれしい実感がいちばん湧いた感じでしたね。
――大変な状況はまだ続いていますが、そんななかメジャー1stシングル「ハイヒールシンデレラ」が無事に完成しました。
林青空:やっぱりこういう状況やから、ツアーもできなくなって自分自身気持ちがすごく落ち込んでたけど、こうやって明るい曲で初めてのシングルを出せるっていうのは自分も周りの人も元気にできるかなって思うから、ありがたいし、うれしいなって思ってます。
――しかし今回のビジュアル面の変化には驚かされました。女の子がいちばん理想とする形での大胆なイメージチェンジ、めちゃくちゃ似合ってます。
林青空:うれしい!(笑)。今回のビジュアル面は、私もたくさんアイデアを出して相談しながら作りました。絶対に媚びない、女の子が可愛いと思えるビジュアルにしたいっていうのはすごくこだわったので、そこが伝わってうれしいです。今まではどちらかというとナチュラルな、自然な姿でっていう方針だったんですが、今のビジュアルのほうが素の私が出てる気がしますね。気の強さだったり、強いところもあるけどちょっと可愛らしいポップな感じが好きっていうところも表現できたんじゃないかなと。作り込んだというより、むしろ自分を出せたなっていう感じになりました。
――では改めて、今回の新曲「ハイヒールシンデレラ」について聞かせてください。この曲はすでに、TVドラマ『おしゃ家ソムリエおしゃ子!』のエンディングテーマとしてオンエアされていますね。
林青空:はい。4月の末にコンペの話をいただいたんですけど、2日で書いてくださいと(笑)。書き下ろし自体初めての経験で、台本を1話だけ読んで書き始めました。ちなみに「2日で」って言われた時点でもう昼過ぎだったので、そこから寝ずに作りました(笑)。
――コロナ禍のモヤモヤとか鬱憤とかが一気に吹き飛ぶような、慌ただしい2日間だったのでは?
林青空:そうですね。それまでも曲は書いてたんですけど、やっぱりそういうモヤモヤみたいなものが曲に表れてしまってたというか。マイナーコードでダークな曲みたいな、今までにはない強い曲が生まれてきたりもしてたんです。でもこの「ハイヒールシンデレラ」は、自分から生まれるものというよりは、いただいたヒントをもとにゼロから作ったので、転機になったような感じがありましたね。「あぁ、私こんなに明るい曲書けるんや」って自信にもなったから、その後の曲作りもちょっと変わったんですよ。そういう意味でも、いいきっかけをいただいた感じでした。
――作業自体は順調だったんですか?
林青空:1回……いや2回、泣きながら友達に電話しました。「わかれへん、どうしたらいいー!?」って(笑)。「ヤバいかもしれん、どうしよう」ってなったけど、歌い出しのフレーズとメロディーが一緒に出てきて、そこからは結構早かったです。
――<ここらで失礼いたします/明日も早いので>という、あの名フレーズですね!
林青空:(笑)。ドラマの主人公であるおしゃ子ちゃんみたいに、さっぱりキッパリしている性格の女の子を主人公にしようって決めてたから、その子が言いそうなセリフ、しかも覚えやすくてっていうところから浮かんできました。メロディーも、できるだけセリフっぽくなるようにしたいなと思ってて、ハマったなっていう感覚は自分でもありましたね。
――おしゃ子ちゃんやあのドラマ自体に、共感できる部分もありました?
林青空:私自身趣味がインテリアで大好きやから、その時点でちょっとうれしくて。あんなに厳しくはないけど(笑)、そこに目線がいくっていうところに共感しましたね。あと、私もよく「頑固だね」ってスタッフさんや友達から言われることがあるけど、一本貫いてるところがあるのは素敵だなと思います。
――“トング争奪戦”や“薄めのファンデーション”など、女子は思わず「そうそう!」と言いたくなるようなキーワードもありますね。
林青空:今回は女の子ならではの部分を絶対に入れたかったんですよ。男の子が「これって、なんなんだろう?」って思うようなものでも入れたいなと(笑)。自分が経験したことや身近で見てるようなものも入れたいなっていうのがあったから、「トングとか言われてもわからんやろな」とか想像しながら書いてました。「女の子はみんな頑張ってるんだぞ!」ってところもちりばめながら(笑)。
――今回はアレンジとサウンドプロデュースを亀田誠治さんが手掛けていらっしゃいます。性別も世代も違う亀田さんと、どんな話をしながら作り上げたのかも興味深いのですが(笑)。
林青空:あ、たしかにそうですね(笑)。亀田さんとは今回初めてで、しかもリモートでお会いしたんですけど、歌詞の面は「すごく面白い」「ここなんかはかなりキテるね」って結構面白がってくださってました(笑)。あと、「新しい」「こんなふうに書くんだね」って言いながら、リモートの会議に参加してるほかのおじさんスタッフの人たちに「ここ、わかる!?」みたいに話されていたのがちょっと面白かったです(笑)。でも表現の面とか、わかりやすさとか、いろいろと相談にも乗っていただけてありがたかったです。
――アレンジが上がったときの印象はどうでした?
林青空:めちゃくちゃテンションが上がりました! もともと「可愛く、かっこよく」っていうのはお伝えしていたんですが、想像どおりだし、それを超えてたし、もうちょっとキラキラというかキュートに寄ってるのかなと思ってたらちゃんとトゲもある感じが音に出てたから、すごくうれしかったです。頭の中にふわっとあったイメージが、ガッと鮮明になった感じ。曲の世界観をさらに広げていただいたという感じでした。
――「ハイヒールシンデレラ」というタイトルは、亀田さんとやりとりをする時点でもう決まっていたんですか?
林青空:タイトルは最後につけました。まず“シンデレラ”っていう、可憐で強さもあるけど弱さもあるみたいなイメージが私の中にあって。その子が“ハイヒール”を履いてる画があったんです。で、シンデレラって0時になったら帰るじゃないですか。それが「お先に失礼いたします」って終電までには帰っちゃう主人公のイメージにも当てはまるなと。
――シンデレラを語るときはよく“ガラスの靴”っていう言い方をすると思うんですが、それが“ハイヒール”となると、一気に意志みたいなものが伝わってきますね。
林青空:そうなんですよね。ガラスやと繊細な感じがするじゃないですか。でも、シンデレラがハイヒールを履いて、自分の意志で帰っていく様子みたいなのが浮かんだので、それすごくかっこいいなと思って。
――MVでも、赤いハイヒールが印象的に使われていますよね。
林青空:私の中で、ハイヒールのイメージといえば赤でした。あの撮影のときは、言わずとも伝わってたという感じだったんですよ。最初から赤を用意してくれてて……だけど私、普段はハイヒールなんて全然履かないから、へっぴり腰にならないように1時間くらい前から履いて練習してました(笑)。お仕事で毎日履いてる人たちは、それだけでも苦労してますよね。最近はフラットな靴も多いけど、そういうところも女性は大変なんやなって思ったし、自分でハイヒールを履いてみて、やっぱりこのタイトルが合ってたなって思いました。
――カップリングの「白いワンピースを着て」には、「ハイヒールシンデレラ」とはまた違ったタイプの女の子像があります。
林青空:これは今まで弾き語りでやってた曲で、アレンジャーさんにお任せでお願いしたらすごく面白い感じに仕上がりました。もともと女の子がひとりで外で踊ってるイメージやったから、まったく逆の、いい意味でちょっと違和感のあるアレンジっていうんかな? なんか、聴けば聴くほど不思議な世界に入れるんですよ。歌ってる私はひとりの気持ちやけど、たぶん踊ってる女の子はこういう世界で踊ってるんやろなっていう、なんかちょっと絵本みたいな世界にできたなって思ってます。
――「秋風 -stay home ver.-」は、どういった経緯で?
林青空:「秋風」は、音楽活動を始めて最初に書いたオリジナル曲なんです。私にとって大事な曲やし、会場盤でずっと出してたけど、今はもうどこでも聴けないから、1枚目のシングルに入れたいって相談しました。これ、まさにおうちでレコーディングしたんですよ。いつもデモ音源を録ってる環境で、弾き語りをしました。こういうところでいつも曲作りしてるんだなって思ってもらえるような、いわゆるスタジオでレコーディングしたものとは違う生感みたいなのも出てると思うので、これはこれで面白い音源になったなと思います。
――初めてのシングル、そして初めての書き下ろし。経験としても貴重な機会になったのでは?
林青空:そうですね、自信がつきました。歌うことは生まれたときからずっとやってきたから大好きやし、積み重ねてきた自信があったけど、曲作りのほうが、その自分の歌に追いついてないような感覚があったんです。でもこんなふうに楽しんで曲を作れたし、初めての書き下ろしも経験して、「自分、できるやん!」って思わされました。ライブができなかったりしてちょっと落ち込んだりしたし、この先どうすればいいかわからんみたいな気持ちにもなったけど、「まだ全然やれるわ!」って(笑)。いろんなきっかけで自分が思ってる以上の曲を書けるんだって思ったら、すごい楽しみになりました。もちろん不安もあるけど、そういうネガティブも、もちろんポジティブも、自分の音楽に活かせるっていうのはありがたい話やなって思います。
――泣きながら頑張ってよかったですね(笑)。
林青空:本当に(笑)。これまでは自分の気持ちだとか経験を曲にして、それによって昇華できてたというか。嫌な経験もいい経験も作品にして残せるし、成仏させられるみたいな気持ちがあったけど、その感覚がちょっと変わりましたね。ラッキーだなっていうのと、それに加えて「ありがたいな」って思うようになった(笑)。自分の作品がこんなにいろんな人に関わってもらえて、楽しくものづくりができるってありがたいことだなって思うようになりました。
――これからも、たくさんの方に楽曲を聴いてもらいたいですね。
林青空:はい。ライブで直接会うのはまだ当分できないと思うけど、早くみんなに会いたい、歌を届けたいという気持ちはめちゃくちゃあります。配信ライブも最初はどんなもんだろうとか思ってわからなかったけど、私自身いろんな方のライブを見たりしながら、配信であっても、歌も思いもちゃんと伝わるんだなっていうことがわかったんです。だからこれからも、いろんな形でやってみたいなっていう気持ちが生まれました。とにかく歌いたいっていう思いが強いし、あとはいろんな曲を歌うことと作ることにもっとチャレンジしていきたいなって思います。私はずっと、やりたいことをやる、いいと思ったほうに進むっていうのを自分の中に持ってやってるんですけど、落ち込んでるときはそれを忘れがちやった。でも、「なんでも楽しんでやらないともったいない!」、そう改めて自分で思い直して、面白そうやなって思うことをやって進んで行こうって思ってます。

【取材・文:山田邦子】

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リリース情報

ハイヒールシンデレラ

ハイヒールシンデレラ

2020年08月19日

ユニバーサルミュージック

01.ハイヒールシンデレラ
02.白いワンピースを着て
03.秋風 -stay home ver.-

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■配信リンク
https://umj.lnk.to/aozora


1stシングル「ハイヒールシンデレラ」リリース記念!
“#教えてハイヒールシンデレラ”キャンペーン

https://www.universal-music.co.jp/hayashi-aozora/news/2020-08-19/

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