climbgrow、新体制でメジャー進出!待望のメジャー1stアルバム『CULTURE』

climbgrow | 2020.09.01

 傍若無人なロックンロールからミディアムな歌ものまで、バンドの音楽的振り幅をこれでもかと魅せ付ける野心漲る一枚になった。滋賀発の4人組、climbgrowのメジャー1stアルバム『CULTURE』が遂に世に放たれる。というのも、当初は5月に今作を発表し、同月にレコ発ツアーも決まっていたのだが、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、延期を発表。しかし、今作は待った甲斐のある素晴しい出来映えである。新メンバーに立澤 賢(Ba/Cho)を迎え、新体制で作り上げた作品にはアルバム名に刻まれている通り、これからのカルチャーを背負う挑戦的な意志とサウンドが散りばめられている。メンバー4人に直撃した。

―――ようやく今作がリリースされますね。もともと5月20日に発売し、それに伴うレコ発ツアーも控えていたわけですが、当時の心境はいかがでした?
杉野泰誠(Vo/Gt):しょうがないと言えばしょうがないし……まあ、悔しかったですけどね。
近藤和嗣(Gt):僕も悔しかったですね。フェスやライブも飛んでしまい、この躓きを取り戻せたらいいなと。
谷口宗夢(Dr):3月辺りからライブができなくなり、僕ら自身も夏にはできるかなと思っていたら想像以上に深刻になってきてしまって。焦りの気持ちはあります。
立澤 賢(Ba/Cho):僕は2月に加入したんですけど、まだ3本しかライブをやれてないんですよ。お客さんとの距離感もまだ掴めていない状態ですからね。ただ、今の生活になって良い部分もあるんですよ。メンバー間のグルーヴはいい感じになったと思います。
―――というのは?
杉野:僕ら3人は関西の人間なので言葉使いが少しキツイみたいで。立澤は関東で、最初は練習中に落ち込んでしまうこともあったんですよ。今は俺がこういう奴なんやって、理解してくれたみたいで。
立澤:泰誠が言ったように最初は落ち込んだけど、どんな人間なのかわかってきましたからね。本当に早くライブを観てほしいです。
―――climbgrowとしては6月27日に無観客配信ライブを行いましたけど、手応えはいかがでした?
杉野:思っている以上に楽しかったですね。テンションが上がらへんのかなと思ったけど、画面の向こうに誰かがいると考えたら……観られている以上は100%でやるという。その感覚は新しかったですね。
近藤:音も映像もどんな感じになるのか不安でしたけど、両方クオリティが高かったですからね。伝わり方が違うだけで、同じライブやなという感覚になりました。
谷口:正直、最初は不安だったけど、ダーン!とバンドで音を鳴らした瞬間に目の前にお客さんが見えた感じがしたんです。それからスイッチがバッと切り替わりました。
立澤:配信ライブはやったことがなかったので不安はありましたけど、いいものを届けられたなと思います。あと、泰誠が画面越しのお客さんにも伝わるようにMCしていたので、それにもテンションが上がりましたね。
―――ええ、ライブ中に「どんなに世界が終わっていようとも、俺は一生バンドをやりたいっすね」と言った後に「MONT BLANC」が披露されました。6月に先行配信されている楽曲ですが、この曲にはどんな思いを込めて?
杉野:コロナ前に作っていた曲なんですけど、例え世界の終わりが来ても、俺はこの世界で生きたいという。今のコロナ禍で動けなくなっても、どうにか頑張ろう、闘おうと思いましたからね。いい曲になったと思います。
―――曲を書いた気持ちとコロナ禍の状況が図らずも合致したんですね。
近藤:ギターでいうと、今までとは違う新しいことをやってみたかったんです。あえてソロで気持ち悪いエフェクターを使っていて、それが世界の終わりを体言しているような気がして。サビではキレイなメロディが出てくるので、そのミスマッチも僕は好きです。
―――「MONT BLANC」では新しいことに挑戦したいという気持ちが強かった?
近藤:常々、新しいことをやりたい気持ちはあるんですけど、この曲では特に、良い意味でヘンな方向にいったと思います。
―――MVも公開されていますが、観た人の反響は?
杉野:良かったですよ!
谷口:MVの内容もそれぞれの家で楽器を演奏しているシーンを入れてますからね。それも今の状況を表してて、すごくいいなと思います。
立澤:MVをYouTubeでプレミア公開して、ファンの人もリアルタイムでコメントをくれたんですよ。お客さんもコロナ禍でライブにも行けないし、その状況の中でみんなと興奮を分かち合えたのは良かったですね。僕が加入して初のMVなので、より心に沁みました。
―――なるほど。そして今作の話に移りたいんですが、全12曲、現4人体制でレコーディングしたものになるんですか?
杉野:そうです。今回のアルバム名は自分たちが持っているカルチャーというニュアンスではなく、俺らがカルチャーになるぐらいの勢いで付けました。そのアルバム名にぴったりの作品になったと思います。
近藤:いろんな曲を入れたいし、新しいことをやりたかったですから。あと、全体的に多少引き算を意識しました。あえてピンボーカル前提で楽曲を作ったり、「FALL OUT」やボーナストラックの「冬の蠅」とかはライブでガンガンやれるような曲を意識しました。
―――とりわけ「FALL OUT」は今作の中でも異色のナンバーです。90年代のミクスチャーロックを彷彿させるグルーヴ感が格好良くて。
近藤:立澤は速い曲が得意なので、こういう細かいビートのアプローチもしやすくなったんですよ。
谷口:リズム隊がかなり速いですからね。難しい曲だから、レコーディングでも全然できなかったんですよ。立澤と一緒に個人練習して……「FALL OUT」は特に練習しました。僕らの持ち曲の中でもBPMが一番速いものになるので、新しい引き出しが増えましたね。
立澤:今回のレコーディングは僕が全曲弾いたんですけど、加入のタイミング的に制作の段階にはあまり携われなくて。だけど、この曲を初めて聴いたときに……BPMは速いし、ベースのフレーズもギターのリフとユニゾンしているから、右手との闘いでした。平常心を保って弾かないと――1個ズレると全部ズレてしまうんですよ。こういう曲がこのアルバムに入っているのは、リスナーの人も面白いのかなと。
―――それは同感です。
立澤:僕が入ったことでコーラスのある曲が多くなったので、一枚でいろんなジャンルを楽しめる作品になったと思います。
杉野:うん。立澤が入ったことでコーラスできる曲が増えて……自分の声と合うんかな?って不安もあったけどピッタリやなって。こういう沈んだ声にコーラスは合わへんと思っていたのでビックリしました。もともと(立澤は)ボーカルをやっていたから叫びもできるんで、オールマイティなんですよ。それはバンドに欲しい部分だったし、幅も広がったと思います。
立澤:そう言ってもらえると嬉しいですね。最初にコーラスを入れたのが「ドレスを着て」になるんですけど、僕と泰誠の声は両極端なんですよ。泰誠は低くてしゃがれているし、僕は高くてクリーンを出すのが得意なので。それがバチッと上手く噛み合っているし、自分も気持ち良く歌えるんですよ。総じてコーラスは良かったですね。
―――『EL-RODAR』リリース記念ワンマンライブ(今年2月11日)で初めて観たときも、立澤さんのコーラスワークはバンドの大きな武器になると確信しましたからね。あと、ベースの主張も激しいのでボトムが太くなり、いかつさも増してきたと思いますが、いかがですか?
杉野:ベースが替わると、バンドの音も変わりますよね。立澤の音は太いし、タテを意識して合わせるのも上手いんですよ。
―――今作もそうですけど、楽曲にドライブ感が生まれてますよね。「酔生夢死」もボーカルのバックで楽器隊がカオティックに蠢いているアンサンブルにも惹き付けられました。
杉野:弾き語りで持って行ったんですけど、こんな風になるとは思わなかったですね(笑)。でもめちゃくちゃ良くなったと思います。イメージを超えてきました。
立澤:この曲のベースのフレーズはほとんど近藤が考えたものなんですよ。普通にベースを弾いている人では入れないようなフレーズなので、最初は弾くのに苦戦しました。でも弾いてて楽しいんですよ。特にこの曲はフレーズが動きますからね。
―――ええ。それで今作の本編ラストは「ドレスを着て」(ボーナストラック「冬の蠅」を除く)で締め括りますけど、こうしたミドルテンポの曲調もバンドカラーに合うなと。ワンマンライブなどでより一層映えそうなナンバーですね。
杉野:この曲は弾き語りで持って行って、近藤にアレンジしてもらったんですよ。
近藤:もともと違う曲のフレーズを作っていたんですけど、それがうまくハマッたんですよね。
杉野:こんなに良くなるんや!って。2サビ後の近藤が弾いてるギターが一番好きですね。
―――とにかく、今作の楽曲をライブで聴ける日を楽しみにしてます。
杉野:まだ状況が状況なので、どうなるかわからないですよね。ただ、今作はライブを意識した曲が多いので。自分の声があり、バックの兼ね合いも面白いし――唯一無二というか、こういう音楽がこれからカルチャーになればいいですね。

【取材・文:荒金良介】



climbgrow「TIGHT ROPE」Music Video

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リリース情報

CULTURE

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2020年09月09日

ビクターエンタテインメント

01.TIGHT ROPE
02.DOOR
03.閃光
04.酔生夢死
05.BANG BANG BANG
06.MONT BLANC
07.ハローグッバイ(新録ver.)
08.MOTHER
09.FALL OUT
10.SEPTEMBER(新録ver.)
11.窓
12.ドレスを着て

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杉野泰誠(Vo/Gt)
Tシャツに着いたコーヒの落とし方
さっき白いTシャツにコーヒーを零しちゃって。だから、落とし方を調べてました。汚れても焦って捨てないで、と書いてました(笑)

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2歳の親戚の子がいるんですけど、家にギターを置いてあって、何を弾いてあげようと。それで「もしかしてだけど」のコードを調べました。弾いたら、すごく喜んでくれましたね。

立澤 賢(Ba/Cho)
創造ビックリマン
自分でビックリマンのキャラクターを作ることができるサイトを見つけまして。結局、1時間ぐらい作ってました。

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