出会い、バンド結成、躍進から最新曲「すれ違い」まで、激動の日々を3人で語る!

ザ・モアイズユー | 2020.08.28

 あなたは大阪発のセンチメンタルロックバンド、ザ・モアイズユーをご存知だろうか。一度聴いたら頭から離れなくなるグッドメロディ&グッドアンサンブル、ささやかな心の機微も丁寧に拾い上げた歌詞の一語一句たち、ボーカル&ギター・本多真央の力強くも繊細な温かい歌声。2018年にはback numberらが所属するイドエンターテインメントのオーディション「SUPEREGO」でグランプリを獲得し、2019年4月に初の全国流通盤となる1stミニアルバム『想い出にメロディーを』をリリースして一躍話題を呼んだ、今最も注目すべき3ピースバンドだ。そんな彼らがなんと4ヵ月連続で新曲を配信リリースするという。その第1弾となるのが8月26日にリリースされた「すれ違い」。ダンサブルなサウンドに彼らの新境地を感じつつ、中毒性の高いサビにまんまと心掴まれてしまう、キラーチューン必至の1曲だ。そんなザ・モアイズユーがFanplus Musicに初登場! 3人の出会いからバンドが歩んできた道のり、そしてもちろん新曲についてなどなど、大充実のインタビューをお届けしたい。

――まずは遡って、そもそものところからお伺いしますが、本多さんと以登田さんのおふたりが高校2年生のときに銀杏BOYZのコピーバンドを組んだところから始まるんですよね。
本多真央(Vo/Gt):そうなんです。実は僕、当時はほとんど銀杏BOYZを聴いたことがなかったんですよ。もともと僕はボーカルじゃなくてギターでそのバンドに入ったんですけど、当時のボーカルから「銀杏BOYZのコピーバンドをやるから、よかったら聴いてくれ」って薦められたのがきっかけで。聴いたらすごく衝撃を受けて、「俺もやりたい!」ってなったんです。で、バンドを組むためにスタジオに行ったらイトちゃん(以登田)がいたっていう。
――それまでに面識は?
以登田豪(Ba/Cho):まったくなかったです。
本多:高校も別でしたしね。
――ということは学祭に出たいから、とかそういう目的で組んだわけではなかったんですね。
本多:完全にライブハウス目的で集まったバンドでした。
――以登田さんは、そのボーカルの方とはどういうお知り合いで?
以登田:中学が一緒だったんですよ。僕は高1ぐらいのときに初めて銀杏BOYZを聴いたんですけど、そのときは「なんや、この音楽は!?」みたいな感じで。でも2回目、3回目って聴いていくうちにどんどんハマっていったんです。その前から楽器は触ってたし、バンドもやってたんですけど、それとは別にこの音楽を表現してみたいと思って。で、そのボーカルのやつと「こういうバンド、やろうや」みたいな話になって、真央ちゃん(本多)と出会ったという感じですね。
――さらに遡りますが、皆さん、音楽との出会いはいつ頃になるんでしょう。
本多:ちゃんとやり始めたのは高校生になってからです。中学卒業と同時にギターを買ってみたりはしてたんですけど、いかんせんひとりではそんなに楽しさも見出せず、ただ触ってるだけだったんですよ。でも高校生になって初めてドラムやベースと一緒に音を出したら「こんなに楽しいんや!」って衝撃を受けて、そこからハマっていって。
――ギターを買ったのは音楽に興味があったからですよね。
本多:特にミュージシャンになろうとか、そういう夢があったわけではないんですけど、僕の兄貴がベースをやっていたので。
以登田:そうなんや。
本多:家で弾いてるのを聴いていて、なんか気になるなって。そういう影響もあって、兄貴がベースだから自分はギターを買おう、と。
――それまで音楽に対してはごく普通に接している感じ?
本多:そうですね。きっとみんな小学生ぐらいから、アニメのエンディングテーマとかは普通に聴き始めると思うんですけど、自分はそこからそのアーティストのアルバムとかほかの曲が入ってるシングルを買ってみたりしてたので、周りの子よりちょっとだけ音楽が好きだったのかなとは思います。
以登田:僕は昔から父がずっとギターを弾いてたこともあって、最初に触れた楽器がギターだったんですよ。小学4年生の頃にギターを始めたんですけど、中学2年生のときに母方の伯父から「昔、弾いてたベースが見つかったからあげるわ」ってもらったのがきっかけで、ベースの魅力にハマっていったんです。
――以登田さんにとってベースの魅力とは?
以登田:やっぱりサウンドの土台となる部分なので、ドラムとの絡み合いも含めて、そこをどう出せるかっていうのが面白いところだと思いますね。
――ではオザキさんは?
オザキリョウ(Dr):ドラムとの出会いは中学生のときですね。当時吹奏楽部だったんですけど、そこで先輩が叩いてるのを見て「面白い楽器だな」と思ったのが最初で、その後、親に頼んでドラムの教室に通い始めたんです。でも当時はバンドもやらず、ずっとひとりで叩いてたんですよ。初めてバンドを組んだのは高校の卒業前くらいでしたから。
――かなり遅めですね。
オザキ:そうなんですよ。バンドに興味がなかったわけではないんですけど、周りにバンドが好きな友達があんまりいなかったんですよね。なので、ひとりでコツコツと(笑)。もちろん人と合わせたい気持ちもありつつ、それはそれで楽しいなと思ってました。イヤホンをして人の曲を聴きながらドラムを叩いてるのが至福のひとときで。
――どんな曲を聴いていたんです?
オザキ:母がわりと音楽好きで、その影響でいろいろ聴いてたんですけど……特に母はレッド・ツェッペリンが好きだったんですよ。僕が小学校のときにはもうジャクソン5とレッド・ツェッペリンは聴いてましたね。
以登田:入口がすごいな(笑)。
本多:しかも、その振り幅(笑)。
オザキ:ま、そうなんやけど(笑)。でも両方すごく好きだったので、ずっと叩いてましたね。
――さて話を戻しますと、銀杏BOYZのコピーバンドで本多さんと以登田さんが出会って、でもその後、当時のボーカルの方とドラムの方はやめてしまわれるんですよね。
本多:はい。大学に進んだり、就職をしたり……よくあることですけど、高校卒業を機にふたりはやめていきまして。
――残った本多さん、以登田さんは続けよう、と。
本多:もともと「続けていこうね」って話したりしてたわけではないんですけどね。ただ、高校卒業の直前になって「やめたくないな」っていう気持ちになって。あれ? ふたりが脱退したあとに、一緒に続けていこうって話をしたんやっけ?
以登田:どうやったっけ?(笑)。たしかメンバーが脱退して「俺らはどうする?」っていう感じで、「でも今やめるのもなぁ」「じゃあ、やるか」みたいな。
本多:続けたいっていうより、やめたくないっていう気持ちのほうが大きかったのかもしれないですね。こんなオモロいこと、ここでやめるっていう考えには至らへんなと思って、続ける選択をしたというか。
――そこで「やめない」っていう選択をしたっていうのは、かなり大きなポイントじゃないですか。
本多:そう思います。しかもベースとギターという、バンドとしての形態が成り立たへんパートだけが残ったので、メンバーを探さなあかんとか、いろいろ問題は山積みだったんですけど、とにかく続けたいなって。
――本当に楽しかったんですね、バンドが。
本多:はい。それまで趣味って言えるものがひとつもないまま生きてきて、バンドが唯一続けられた趣味というか、自分の中で初めて努力できるものだったんですよ。だからこそ、これだけは手放したくないなって。
以登田:僕もそんな感じです。高校に通っていても別に楽しいこともなかったけど、そのバンドを組んでからは「めちゃくちゃ楽しいな、これ!」って思ってて。で、メンバーがやめるとなったときに、僕自身、特にほかにやりたいこともないし、だったら音楽をやっていこうと決めて、ここまで続けてきたという。
――ではボーカルを本多さんがやることになったのには、どんないきさつが?
本多:いったん仮でボーカルをやるっていう話になったんちゃうかな? そしたら最悪、あとドラムさえ入ればバンドができる状態にはなるじゃないですか。別にどっちがやってもよかったんでしょうけど、なんとなくギターの人がボーカルをやるっていうのがよくあるイメージだったので、じゃあ僕がとりあえずボーカルをやるかとなって、気がついたら今もやってるっていう(笑)。
――気づいたら、って(笑)。それまで歌の経験は?
本多:まったく、です。
――見事に才能が開花したわけですね。
本多:いやいやいや! 最初はもうとにかく大きい声を出す、みたいな(笑)。
全員:ははははは!(笑)。
本多:そのぐらいしか頑張ってるところがないぐらいで。もちろん歌っていくうちに徐々に意識は変わっていきましたけど、最初はほんと全然で。最初の1年ぐらいは“ギター”から“ギターボーカル”になったという状態に戸惑いつつ、でもどんどんやり甲斐を感じるようになっていきましたね。
――以登田さんは当時の本多さんのボーカルをどう見ていらしたんですか。
以登田:それすら考える余裕もないというか、良し悪しとかも考えへんかったですね。とにかくバンドがやりたいっていう気持ちが強かったので、とりあえず歌ってもらおうっていうだけで。だから特に気にすることもなく、新しいボーカルを探そうという気にもならず。そんな感じでずっと3ピースでやってきた、という感じで。
――そのときにはもうオリジナル曲を?
本多:ふたりになって初めて楽曲を作ることに挑戦しましたね。高校生のときは銀杏BOYZのコピーバンドで完結してたので、高校を卒業して音楽を続けていくって決めた段階で、やっぱりオリジナル曲がいるよねって。
――このバンドでやっていきたい曲のイメージとか、カラーとか、そうしたところも話し合いながら?

本多:当時から、とにかくふたりともメロディや音の気持ち良さにこだわっているんですよ。“グッドメロディ”って僕らはよく言うんですけど、いいメロディの曲がふたりともすごく好きなので、メロディが素直に伝わる曲、メロディでグッと心を惹き寄せられるような曲を作ろうっていうのは、話さずともお互い意識して作ってるって感じですね。それは今もそうだと思います。
――たしかに“グッドメロディ”はザ・モアイズユーを語るうえで核になっていますよね。とはいえ、すぐに作れました?
本多:どんな感じで作ったとか、作ってた期間とかはよく思い出せないんですけど、とにかく1曲目は河原でギターとベースを持って、明け方に完成したのは覚えてますね(笑)。たしか朝5時くらいやったと思うんですけど。
以登田:でも、あの時期はすごかった。1ヵ月で4曲作りましたから。
――おお!
以登田:曲ができる前にライブを決めちゃってたんですよ(笑)。その間に曲を作って、ドラム探して……その1ヵ月はめちゃくちゃがむしゃらにやってましたね。
――そこからは着々と活動をしてこられたわけですが、2018年にサポートとして、そして2019年に正式加入されたオザキさんとの出会いはどんな形だったんでしょう。
本多:3人目のドラマーが脱退するって決まったとき、自分たちの周りにドラムをやってくれそうな人もドラムをやってほしいなって思える人もいなくて困ってたんですけど、ちょうどライブハウスの方から「ドラムだったらいいやつおるぞ」って話をいただいて。その方から見せてもらったのが、さっき言っていたジャクソン5をリョウくんがひとりで叩いてるTwitterの動画だったんですよ。それがまたすげぇかっこよくて。これはぜひ一緒にスタジオに入ってみたいと思って紹介してもらったんです。
オザキ:僕は僕で、当時彼らと同じように一緒にやれる人を探してたんですよ。で、一緒にスタジオに入ったんですけど、そのときから「ボーカルの声がいい」って思っていて。
本多:……どうもありがとうございます。(←超小声)
――めっちゃうれしそう。
オザキ:それが決め手というか、一緒に音を合わせていてめちゃくちゃ楽しかったですし、これはもしかしたらイケるんじゃないか?って全然根拠もないのに、自分の中ではもうそう思っちゃっていて。
――第一印象はいかがでした?
オザキ:イトちゃん(以登田)は最初見たときからずっと顔がかっこいいなって(笑)。
本多:なんやそれ(笑)。
オザキ:めっちゃイケメンや、シュッとしとんな~って思いましたね。で、真央ちゃんは……いろんな意味でデカい。
本多:ふはははははは!
以登田:“いろんな意味で”(笑)。
本多:それ、ジャンルとしてはもう悪口やからな(笑)。
――いやほら、器がデカい、とかね。
オザキ:そういうことです!
本多:そうかなあ?(笑)。
――逆におふたりはオザキさんに対してどんな印象を?
本多:当時、リョウくんは髪が赤かったんですよ。そんな派手な要素は僕らになかったし、動画で観たドラムもキレッキレやったんで、実際に会うまではちょっと怖かったです。でも、いざ一緒にスタジオに入ってみると、すごく物腰の柔らかい人で。このバンドは全員が人見知りなので(笑)、最初っから打ち解けるみたいなことはなかったんですけど、怖い人ではないんだなってわかってホッとしました。
オザキ:よかった(笑)。
以登田:僕はもう、とりあえずリョウくんのドラムのキレが良過ぎて、最初に合わせたときに「これは最高や!」って思ったのをめっちゃ覚えてますね。今でもリョウくんのドラムのフレーズを「かっこいいな!」って思うことがあるんですけど。「まだ、そんなの隠してたんか!?」みたいな。
本多:僕もいまだにスタジオ中とか思いますね、ドラムを見ながら「かっこええなぁ」って。
オザキ:珍しいですよね、メンバーで褒め合うなんて(笑)。
本多:いや、俺だけ「デカい」しか言われてないけど(笑)。
――せっかくなので本多さんと以登田さんが初めて会ったときの第一印象も教えていただけますか。
本多:やっぱりちょっと怖かったですね(笑)。今でこそ、こうやって普通に受け応えしてますけど、高校生のときなんて何もしゃべらなかったんですよ。無口ってレベルを超えてました。それこそ、ふたりでバンドを続けていくって話になったときに、ようやく「こういう声してたんやな」って思ったぐらい(笑)。
以登田:それは言い過ぎや!(笑)。僕としてはめちゃくちゃしゃべってるつもりだったんですけど、周りの人から見たら無口やったらしいです。
本多:うん。口から音が出てなかった(笑)。
以登田:そういうマオちゃんも当時めちゃくちゃクールやったやん(笑)。これ、触れたらキレられそうやなって思ってた。
本多:マジかー! 俺ヤバいやつやん(笑)。
――お互い様ってやつですかね(笑)。プロフィールを拝見すると、オーディションにもいろいろ参加されていて、かなりいい結果を残されてますよね。わりと早い段階から音楽で食べていこうという気持ちでいらしたのでしょうか。

本多:3ピースで活動を始めて1、2年経った頃には、もう音楽だけで生活していけたらって思ってたと思うんですよ、ふたりとも。そんなに話し合ったわけではないんですけど。なので、とにかく人の目に留まっていたいという気持ちで、ライブ活動だけじゃなくオーディションとかにも積極的に参加したり応募したりしてましたね。
――きっとそれまでにも、いろんなところから声をかけられることが多かったと思うのですが、ここに辿り着くまでの道のりは結構長いですよね。
本多:長かったですね。
以登田:でもオーディションでどんどんいい成績を残せるようになりだした時期に確信的に変わったことがあって。それ以前は銀杏BOYZの影響もあって、とりあえずライブ力をめっちゃ意識してたんですよ。もちろんグッドメロディにもこだわってたんですけど、とりあえずライブで魅せることをメインに考えていて。でも、それだとグッドメロディの意味がなくないか?って途中でお互いに気づき始めたんです。もっとメロディを伝えられるようにしようって意識を切り替えてから、オーディションにもちょっとずつ手応えを感じられるようになったんですよ。
――その結果、現在の所属事務所であるイドエンターテインメントのオーディションでグランプリを獲得、 初の全国流通盤となる1stミニアルバム『想い出にメロディーを』をリリースされました。

本多:それこそ、これまでの道のりが自分たちが思ってた以上に長かったということもあって、あの1枚に関しては今までの自分たちがやってきたことを全部詰め込もうという気持ちで臨みました。自分たちが信じてこだわってきたグッドメロディをどう表現するか、それぞれに色の違う7曲にしっかり詰め込んで届けたいって。
――結果として、ザ・モアイズユーの名前は広く知られるものになりましたよね。リリース前とはまた状況もだいぶ変わったのでは?
以登田:変わりましたね。初めて全国流通できたというのはだいぶデカかったです。
本多:今までの自分たちやったら考えられへんぐらいの人に知ってもらえて応援してもらえるようになったのを、自分らでも驚くぐらい実感してますね。本当にうれしいです。
――それぐらい素晴らしい作品でしたから。ちょうどそのリリースと相前後するタイミングで事務所の先輩バンドであるback numberのツアーに同行、屋外ステージでアコースティックライブを行われていましたよね。

本多:すごくいい経験をさせていただきました。いまだにback numberの皆さんとお会いするのは緊張してしまうんですけど、本当に尊敬する大先輩です。
以登田:実はミニアルバムの曲順の相談に乗ってもらったりもしたんですよ。
本多:僕らがスタジオで2時間ぐらいあーだこーだ言いながら曲順を決める作業をしてたところにたまたま依与吏さんがいらっしゃったので、「今、曲順で悩んでるんです」って相談させていただいたんです。それが初対面やったっけ?
――初対面で曲順の相談!?
以登田:なんちゅうことを、と思いますよね(笑)。
本多:しかも、まだミニアルバムの曲も聴いていただいてない状態だったっていう。なのに「こういうので迷ったときは自分が一番いいと思ったものでいくほうが悔いが残らないから」ってやさしく背中を押してくださって。「じゃあ、これでいこう!」ってすぐ決めることができたんです。
――素敵なエピソードですね。そうした経験を重ねながら、この8月26日に待望の新曲「すれ違い」が4ヵ月連続配信の第1弾としてリリースされるわけですが。これは本来なら5月に配信リリースされる予定だったEPからの1曲なんですよね。

本多:そうなんです。もともとは夏に向けて4曲入りEPを配信リリースする予定だったんですけど、コロナ禍の影響でレコーディング自体ができないという状況になってしまって。でも、こういう状況だからこそ、リリースできなくなってしまったと考えるんじゃなく、もっと違うアピールの仕方があるんじゃないかなって思ったんですよ。レコーディングが止まったことで、もう1回曲を見つめ直すことができたし、4曲ともさらにいい状態で仕上がったので、これなら1曲ずつ単独で配信したほうが、きっとお客さんに楽しんでもらえるんじゃないかということで4ヵ月連続で配信リリースすることにしたんです。僕たち自身、4ヵ月連続でしっかり届けられるという自信もありますし。
――第1弾となる「すれ違い」は以登田さんが作詞作曲を手掛けられていますが。
以登田:僕の書く曲は基本、恋愛曲が多いんですよ。性格上、思ってることを素直に伝えられへんとか、なかなか自分から行動できひんっていうのが曲のもとになっていて。今回もそれを題材にして作ったという感じですね。
本多:毎回いろんな曲を作って提出し合うので、すごい曲数のデモができるんですけど、この曲はイトちゃん(以登田)が出してくれた曲の中で一番耳に残ったんですよ。特にサビのメロディが。これはぜひともリリースしたいって直感で思ったくらい。
――とてもダンサブルでノレる曲なのに、歌詞には片想いのやるせなさも渦巻いていて、それでいて、すぐ口ずさめるくらいキャッチーで。何より曲全体の構成がすごく面白いです。
以登田:そうなんですよ。今回、構成はかなり練りました。
――例えば1番のAメロと2番のAメロではまるでメロディが違っていたりとか。
以登田:それも狙って作ってますね。メンバーにも相談しながら、めちゃくちゃ試行錯誤しましたけど。
本多:僕たち、基本的にはメロディ優先の曲作りをするんですけど、前のミニアルバムは本当にメロディ主体で作ったぶん、この「すれ違い」に関してはメロディを大事にしつつも、構成でちょっと面白い発想を入れたかったんです。ただ、聴きづらくなってしまうのはイヤなので、そのへんのバランスはみんなで何回も話し合って、何度も曲を分解したりしながら、やっと完成に持ち込みました。
――グッドメロディから、さらに一歩先に進みたいという意欲を感じますね。
以登田:それはすごくあります。やっぱり常に前に進んでるところを見せられないとお客さんからしても面白くないでしょうし、毎回、何かしらの進化は見せていきたいので。
――あと、韻の踏み方も絶妙ですよね。口に出して歌いたいと思わせる気持ち良さがあるというか。
以登田:それもめちゃくちゃこだわりました。韻を踏むのが好きなので、そこはかなり大事にしてますね。そのぶん、この曲に関しては何回も歌詞を変更してしまって。一旦、完成したと思っても「いや、これはもっとこうしたほうがいいんちゃうか」って何回も変えたので、作詞では一番苦労しましたね。
本多:ほんまに変更が多くて、結局完成したのはレコーディング当日、みたいな(笑)。大枠は決まってるんですけど、細かいところが変わるので、うっかり前の歌詞で歌ってしまったりとか何回もあったし……ほんと歌詞の変更には手こずりました(笑)。おかげで完成度の高い仕上がりになったのでよかったですけど。
――オザキさんはこの曲を叩くにあたって意識したことはありますか。
オザキ:メロディ優先ではありますけど、オケは面白くしたいと思ってましたね。独創性とメロディのちょうどいい絶妙なバランスはどこかなって考えながらアレンジの部分でいろいろビートを作ってたら、イトちゃん(以登田)が「これいい!」「あ、これも」「う~ん、これは違う」って選別をしてくれて。で、最終的にこの形になったんですけど、個人的にはすごく満足のいくビートになったな、と。やり切った感はありますね。
以登田:2A(2番のAメロ)とかかっこよくなったもんな。
オザキ:自分でもどうやってあのフレーズにしたのかわかってないけど(笑)、そのときはパッと感覚で出てきたんですよ。
――ライブでもすごく盛り上がりそう。
本多:アップテンポな曲は今までもあったんですけど、こういう16ビートのノリを主体にして突き進んでいく曲はなかったんですよ。ライブで演奏したときに盛り上がるのは当然のこと、ノリやすさも要素に盛り込みたいっていうのが今回のテーマにあったうえでのこの選曲だったので、まさにそこは意識してましたね。
――特に注目して聴いてほしい箇所などはありますか。
本多:1サビに入る前のドラムのフレーズと、2サビに入る前のドラムのフレーズ。
オザキ:ドラムばっかりやんか(笑)。歌は?
本多:歌は、そうね……やっぱりサビがすごく頭に残るので、そこは軸にしつつ、さっきも言った1Aと2Aでメロディが違うとか、メロディの置き方の面白さとか。あと、これだけ攻めた曲なのに、歌詞の主人公は結局アタマからケツまでずっと自分の中でしか完結してないっていうところかな(笑)。告白もしてないし、ずーっと葛藤してるだけ。頭の中ではこんなに行動してるのに、現実では何も動いてないっていう面白さにも注目してほしいです。聴きどころとはまたちょっと違うかもしれないですけど(笑)。
――このあとに控えている楽曲も早く聴きたいです。では最後に、ザ・モアイズユーとしてこの先、どんなふうに進んでいきたいですか。
本多:コロナ禍で、ツアーも中止になってしまいましたし、正直、現状に関しては自分たちがいろいろと思い描いてたものではないんですけど……でも、だからこそ4ヵ月連続リリースという企画も生まれたし、できないことばかりじゃなく、逆にそれを逆手に取って面白い発想で進めていけたらなと思ってます。いい曲もまだまだいっぱいありますし、次の制作に向けてどんどん動いてる状態なので……って、もう次回作の話をするのもなんですけど(笑)、ぜひぜひ僕たちのこれからを楽しみにしていてほしいですね。

【取材・文:本間夕子】

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「すれ違い」
https://linkco.re/Pc5qpHA1



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■ライブ情報

NIPPON CALLING 2020
09/21(月・祝)生配信ライブ

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