ハンブレッダーズらしさとは? 1stシングル「COLORS」から改めて考える

ハンブレッダーズ | 2021.01.21

 大阪在住のバンド・ハンブレッダーズが、1月20日に1stシングル「COLORS」をリリースした。TVアニメ『真・中華一番!』第二期のエンディング主題歌として書き下ろされた表題曲「COLORS」に新曲2曲を加えた、全3曲が収録されている今作。バンドにとっての顔となる“1stシングル”というタイミングで、「ハンブレッダーズらしさってなんだ?」という命題にぶつかりながらも、そこで立ち止まったり背伸びをしたりすることなく、自然体のまま楽曲を作り上げた彼ら。ではなぜ、肩肘張らずに制作できたのか?――楽曲の話はもちろんのこと、そうした現在のバンドのモードについて、メンバー全員に訊いてみた。

――コロナ禍と呼ばれる時代への突入はどう感じました?
ムツムロ アキラ(Vo/Gt):落ち込む時期はありましたね。自分たちが直接ダメージを受けるというよりは、周りの人たちがダメージを受けている様を間近で見ていることがキツかったです。自分たちの手が届かない範囲があるということを、まざまざと見せつけられたというか。でも、この期間があったからこそ、今まで以上にライブハウスに出続けようと思えましたね。その気持ちは3人共通だと思いますし、それに気付けたのは良いことではあったなと思います。
でらし(Ba/Cho):ミュージシャンにとって、ライブって当たり前なものなんですよね。だからこそ、曲を作ってライブをするというライフワークが崩れてしまったことによって、自分たちの不甲斐なさや無力さを痛感しましたし、その上で、もっと自分で色々とできるようにならなきゃなと思いました。
木島(Dr):自分たちとしては、2月にフルアルバムを出してメジャーデビューして、本来なら盛り上がっていた時期だと思うし、駆け抜けていく1、2年だったんだと思うんですよ。でも、何もできなくなってしまったからこそ、改めて「メジャーデビューをして、どうしていきたいか?」ということを考えられる時期でもありました。
でらし:僕らって、作品を作って、それをライブで鳴らして、お客さんの反応で答え合わせをするんです。ライブで手応えを感じて、方向性を確かめるというか。でも今回それが全くできていないから、正直、1stフルアルバムの手応えがあんまりないんですよね。SNSでも反応を見られる時代ではありますけど、やっぱり生の反応っていうものほど大きいものはないので。
ムツムロ:うんうん、全然違うよね。
――でも、リスナーの反応を見るのだとすれば、SNSの方が正確ではありますよね。
ムツムロ:正確さで言えばそうなんですけどね。でも今って、色んなことに関して分かり過ぎちゃうなって思うんですよ。例えば、500人がハンブレッダーズの楽曲を良いと言っていても、1人がハンブレッダーズを嫌っていたら、その人の意見だけがはっきり見えちゃうと思うんです。だから僕はSNSほど正確に分からなくていいと思っているし、曖昧なものを曖昧なまま受け取っていきたいという気持ちが自分の根底にあるんでしょうね。
――なるほど。でも、今のお話を聞いている中で、今まで教室の隅で「一人」を感じる楽曲を歌ってきたハンブレッダーズが、自分だけの世界を守ろうとするのではなく、「周りの人」のことを率先して考えられるようになってきているんだなぁ、と変化を感じました。
ムツムロ:ああー。自分たちの音楽がお客さんに伝わっているんだと初めて分かった瞬間が一歩目で、チームのメンバーが増えていって、自分たちの音楽だけではなくなっていく実感が二歩目というふうに、周りの事をちょっとずつ考えられるようになって、じわじわとほぐれてきているんだと思います。
でらし:元々、尖った気持ちっていうのは持ってないんですけどね。周りの人がいないと何もできない人間ですし。それでも、徐々にそう思えるようになって良かったなと思っています。
木島:色々と心に制限をかけてしまうとやりづらいですからね。味方が増えていっているっていう感覚ですね。
――「DAY DREAM BEAT」で<ひとり 登下校中 ヘッドフォンの中は宇宙>と歌っていたのに対して、「ライブハウスで会おうぜ」では<ヘッドフォンの外にも宇宙はあったんだ>と歌っていることもそうですが、バンドが歩んでいく中で、徐々に外を向いていったからこその視野の広がりを感じます。
ムツムロ:スタンスが変わったんじゃなくて、アプローチが変わったのかもしれないですね。今も昔も曲を作るときには、“17歳の自分が聴いて良いと思う曲”という判断基準が絶対的にあるんです。だから、一人ぼっちのために音楽を作りたいっていうところは変わらず、その方法というか、バンドをやる意味っていうのがちょっとずつ広がっている感じですね。
――メジャーデビューもして「曲が届く範囲」というのは目に見えて広がってきていますし、その上でバンドの視野も広がってきているというのは、良い状態ですね。今作は、3曲入りの1stシングルということで、制作においての構想などはあったんですか?
ムツムロ:表題曲の「COLORS」に関しては、色んな側面が見える曲にしようと思っていました。アニメのストーリーに沿うだけではなく、今までのハンブレッダーズらしさからもブレていない曲にしたかったんです。その上で、他に入れる2曲に関しても、キャラクターが違う曲にしたいなと。それは毎回、木島が口を酸っぱくして言っているので……。
木島:いやいや、そんなに言ってないやろ(笑)。
――アニメのタイアップとしての書き下ろしという経験についてはどうでした?
ムツムロ:僕自身、小さい頃からアニメが好きなので、アニメのタイアップのお話をいただいた時は嬉しかったし、楽しみながらやれましたね。
でらし:テレビで流れた時に、画面を観ていなくても「お?」と思ってもらえるような派手さや音像は意識しました。
ムツムロ:そうだね。メロディに関しては、結構悩みましたね。最初にメロディの原型を3つ提案したんですけど、1つ目はチームの人からハンブレっぽくないと言われ、2つ目は結構テンポがゆったりなものだったんですけど、でらしから1stシングルっぽくないと言われまして。結果的に、3つ目のメロが採用されました。「1stシングルって何度も振り返られるし、バンドの顔になるよ」って色んな人から言われながら曲を作っていく上で、「ハンブレッダーズらしさ」っていうのが分からなくなってしまったんです。そこで迷っていた時期がありましたね。
――歌詞に関しては、アニメの雰囲気を加味しつつ、どういう風に作り上げていったんですか?
ムツムロ:自分たちの曲が初めてドラマ主題歌になったのが「ユースレスマシン」だったんですけど、その時に自分たちの楽曲の別の側面が見れたというか、違う聴こえ方をしたっていうのが面白かったんです。それで、今回は自分たちが持っている色と、アニメが持つ色が混ざり合うことをイメージしつつ、歌詞にしていきました。
――サウンド面については、しっかりまとまりつつも、ベースもドラムもかなり自由に動いている印象を受けました。
でらし:この曲は、僕としてはめちゃくちゃ派手にしたつもりだし、自分のやりたいことをやりました。高校生の自分が聴いたらカッコいいと思えるフレーズをガンガン弾きましたね。
ムツムロ:地味に派手、って感じだよね。
でらし:そうだね。でも、ハンブレッダーズの楽曲って全部そうだと思うんです。メロディと歌詞に意識が向きがちだけど、ちゃんと聴いたら小難しいことをやっている気がします。
ムツムロ:さりげなく難しいことをすることがカッコいいと思ってるよね。
でらし:思ってる思ってる。だけど、僕は!カッコいい部分をもっと出していきたい!!
木島:(笑)。僕は、今までやってこなかったフレーズをやりすぎたぐらいなんで、かなり新しかったですね。イントロのドラムなんてハンブレッダーズで今までやってこなかったものですし、キメもめちゃくちゃあるし、すごく新鮮でした。でも歌詞の邪魔をしないとか、歌を重んじる部分はちゃんと根っこにあるんで、そういう意味では落ち着きながらも派手にできたのかなと思います。
でらし:でも、こんなに派手派手言ってますけど、他のバンドからしたら全然落ち着いてると思います(笑)。今までは控えめというか、シンプルに歌とメロディを届けよう!ということだけを考えていたんですよね。だから「COLORS」に関しては、リスナーの方からすれば、違和感はなくとも、今までとは違ったカッコ良さを感じてもらえるんじゃないかなと思います。
――ハンブレッダーズが大事にしてきたことは大前提としつつ、3人が3人ともチャレンジできた楽曲だという手応えがあるんですね。
ムツムロ:うんうん、だから大成功だと思ってます。
――<浮かぶ星屑が 沈む鍵盤が>のところで、雰囲気が変わるのも良かったです。ここのセクションがあるのとないのでは、曲の聴き方が変わるというか。
ムツムロ:2018年の終わりくらいから、社会で起こるあらゆる出来事を他人事と思えなくなってきたんですよね。地続きなんだなという実感が出てきたし、そういう気付きをモロに言葉にするのではなく、自分なりの言葉に変換して歌ったのがこの部分ですね。
――次曲の「フェイバリットソング」は、とてもハンブレッダーズらしいですけど、メジャーバンドとして声高々に歌う歌ではないですよね(笑)。
全員:ははははは!(笑)
ムツムロ:この曲は、ハンブレッダーズの芯を一番食った曲かもしれないですね。
でらし:そうだね。「COLORS」をきっかけに初めて僕らを知ってくれた人たちが、「フェイバリットソング」を聴いて、「あれ? 思っていたのと違うぞ?」と戸惑う姿を想像すると、ニヤっとしちゃいますね。
ムツムロ:1曲目との対比だよね。ハンブレッダーズっていうバンドは、元々こういうところから来ているんだよっていうのが分かるというか。
木島:3曲の中で一番、ハンブレッダーズらしい曲だよね。アニメから入ってきた人たちに、うちがどういうバンドに見えるか?っていう問いを投げる2曲目、という立ち位置です。
ムツムロ:ここでもやっぱり、17歳の自分に聴かせたいっていう部分が出てくるんですよね。あの頃は“自分だけが好きであってほしい”っていうわがままな気持ちって絶対にあったと思うし、そういう想いを歌詞にしました。
でらし:今までハンブレッダーズの曲を聴いてきてくれたリスナーの方って、こういう一歩踏み込んでくる歌詞をすごく好きでいてくれると思うんですよ。だから、「COLORS」を聴いて“ハンブレッダーズって変わった?”と思ったとしても、今作を買って2曲目を聴いたら、変わったなんて思わないと思うんです。
ムツムロ:まあ、変わる変わらないって人が決めるからね。その答えは自分の中だけにあればいいと思うけど。
――でも、ムツムロさんの中に「17歳の自分」という確固たる基準があるのなら、変化はあってもブレることはなさそうですけどね。
ムツムロ:そうですね、自分でもそれが一番大きいと思ってます。
――「パーカー」は、切なポップなラブソングですね。
ムツムロ:メタ的なものが好きなんですよね。ちょっと捻くれているというか。
――構成も面白いです、フレーズの繰り返しのテンポが良くて。
木島:頭サビを入れるというアイデアは僕が出したんですけど、ハンブレッダーズとしては珍しく、ムツムロが持ってきた構成ほぼそのままですね。
ムツムロ:尺が4分超えていて長めなので、あえてシンプルにやって、言葉を聴いてもらおうっていう曲にしてます。
――オレンジのパーカーを着る人って、あんまりいないですよね。
ムツムロ:そうですよね。メロとのハマリ具合が良かったというのと、浮かびにくい景色にしたほうが面白いかなと思ってそうしました。情景が浮かびやすい歌を歌うバンドって結構いるんですけど、捻くれているんで、どうしても違和感を忍ばせておきたいと思っちゃうんですよね。この曲はフィクションなんですけど、前からずっとフィクションを書けるようになりたいと思っていたんです。自分が主人公になれるような一人称の歌ばかりだけじゃなく、絵本や漫画を読んでいる時のように、その世界に入るような感覚で聴けるような曲も、これからも作っていきたいなと思っています。フィクションとノンフィクションの二刀流って、見方によったらバンドの軸がブレてると思われるかもしれないですけど、自分に作家気質なところがあるので、これからもどちらもやっていきたいなと思います。
でらし:言葉選びから感じるムツムロさんらしさは、どの曲にも間違いなくありますし、ブレているとは思わないですけどね。
ムツムロ:普通のことを歌うのって、ロックバンドがやらなくていいことだと思っているんです。それをあえてやるカッコ良さももちろんあるとは思うんですけど、そこに関しては僕じゃなくてももっと強い人たちがたくさんいるんですよね。だからハンブレッダーズがやるなら、やっぱりちょっと捻くれていたいとは思います。
――それがハンブレッダーズらしさでもありますよね。「COLORS」の制作時に「ハンブレッダーズらしさ」を考えたと仰っていましたが、自分たちが辿り着いた「らしさ」を言語化すると?
木島:こう見えて、意外と元気。
全員:ははははは!(笑)
木島:いやだってさ、こんな3人が集まって、こんなわちゃわちゃした音楽をやっているわけがないやん!(笑)
でらし:俺は、“結局ポップ”ですね。
ムツムロ:おい、その2行で大丈夫か?(笑)
でらし:大丈夫、深みはある!(笑) 例えば、「自分たちはロックバンドだ!」という信念があって、ポップスには寄らないカッコいいバンドってたくさんいるじゃないですか?でも、僕たちは結局ポップなバンドなんだなとは思いましたね。
ムツムロ:なるほどね。僕は、“俺が作ればハンブレッダーズ”ですね。僕が一番「らしさ」や「型」っていうのを考えずに曲を作っていると思うんです。それを二人に止めてもらっているというか。
でらし:そうだね。だからムツムロさんは色んな曲を持ってきてくれるし、その中で「ハンブレッダーズとして出すならどれだ?」っていうのを、僕と木島さんが考えていますね。
――でらしさんと木島さんが、言ってみればハンブレのフィルターのような役割を果たしているんですね。
ムツムロ:本当にそうですね。特にでらしは、後から加入したということもあって、お客さん的な視点もちゃんと持ってくれているんです。だから、バンドとして徐々に変化は見せてはいるけれども、いきなり変わってはいないですし。でも、『ユースレスマシン』でも色んな曲を詰め込んでみましたし、これから色々と変わっていきたいなとは思ってます。
――でもそうやって自由に音楽を楽しんでいこうと思えているのは、バンド結成11周年を迎えて、自分たちの土台ができているという自負があるからかもしれませんね。
ムツムロ:ああ、それはあるかもしれないです。なんか、そんなに構えなくてもいいんじゃないかな?っていう気持ちが今はありますね。スクールカーストだったり思春期だったり青春だったり、そういう言葉に執着しなくなってきました。
――今までは、「ネバーエンディング思春期」というキャッチコピーを背負っているという意識が大きかった?
ムツムロ:かなりありましたね。アマチュアやインディーズ時代から「自分の武器って何だろう?」っていうのは、ずっと考えてきたんです。そこで辿り着いた一番の“自分らしさ”っていうのが、等身大の言葉や青春っぽさや自分の恋愛観だったんですけど、今までそれを必要以上に言ってきたのかなぁとは思います。今は、そうしなくてもいいなとフラットに考えられていますし、11年やってきて余裕が出てきたのかもしれないですね。

【取材・文:峯岸利恵】





ハンブレッダーズ「COLORS」Music Video

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リリース情報

COLORS

COLORS

2021年01月20日

TOY’S FACTORY

01.COLORS
02.フェイバリットソング
03.パーカー

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■ライブ情報

“きっと何かが変わるはず”ワンマンツアー
03/04(木)東京 TSUTAYA O-EAST

“きっと何かが変わるはず”ワンマンツアーדライブハウスで会おうぜ”ツアー vol.4
03/09(火)大阪 BIGCAT



DOUBLE FEATURE vol.2
02/06(土)香川 高松festhalle

HIROSHIMA CLUB QUATTRO
19th Anniversary

02/08(月)広島 広島CLUB QUATTRO

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