EARNIE FROGsの10年の軌跡と新たな到達点『Answer』に迫る!

ゆびィンタビュー | 2021.02.12

 愛知県を拠点にしている男女混成ツインボーカルのロックバンド・EARNIE FROGs(以下、アーニー)にとって、結成10周年のアニバーサリー・イヤーだった2020年がコロナ禍に襲われたことは本当に残念だったが、改めて振り返ってみると、決して、ただ悪いだけの年ではなかったようにも思える。それは思うように活動できないからと立ち止まることをせず、当初の予定どおり4月、7月、10月、12月というハイペースでEP3枚とフルアルバム1枚をリリースしたことに加え、かねてから熱心に取り組んできたYouTubeの活動にもより一層力を入れることで、バンド自ら状況を変えていった結果にほかならない。
 その中で12月16日にリリースした3rdフルアルバム『Answer』は今後、彼らのキャリアにおけるマイルストーンとして記憶されることになりそうだ。春夏秋冬というコンセプトを持った4部作の集大成であることはもちろん、リリースするごとに新しい要素を取り入れながら、1つのジャンルに縛られないアプローチに挑んできたこの10年間の活動の、それこそ答えと言えるアルバムになったところに『Answer』の聴きどころがあるわけだが、同時に新たなスタートであり、これからの活動の基礎になるものだとメンバーたちが感じていることが重要だ。
 Fanplus Music初登場となる今回のインタビューでは2020年も含め、これまでのキャリアを振り返りながら、バンドのこれからについて訊いてみた。


PROFILE

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EARNIE FROGs


愛知県を拠点に活動する男女混声ツインボーカルロックバンド「EARNIE FROGs」。
2010年7月、テラオ(Gt)を中心に結成。
2011年3月に1stシングル「コールサイン」会場限定でリリース後、主に地元名古屋を中心に関東、関西でもライブを行う。
2013年の活動休止を経て、2020年に結成10周年を迎えた。
Gt,Vo三木とBa,Voおがたの歌声を武器に、メンバーの高い音楽性を生かし、柔軟に作られる楽曲は一聴の価値あり。
2020年は春夏秋冬、季節に合わせて4タイトルをリリースすることを発表し、4月にe.p『アルナイル』、7月にe.p『ラムネサイダー』、10月にe.p『Player 1』をリリース。
リリースするごとに新しいアプローチを取り入れ、ジャンルレスなアレンジで春夏秋冬を描き、冬盤としてフルアルバム「Answer」をリリースする。
最近では、YouTubeでの活動にも精力的に取り組んでおり、現在チャンネル内動画の総再生回数は1,400万回を超える。
まだまだ進化し続ける10年目のEARNIE FROGsのこれまでとこれからにぜひ注目してほしい。

  • 結成10周年のアニバーサリー・イヤーだった昨年2020年は、コロナ禍のせいで予定どおりに動けなかったところはありながらも、精力的に活動してきたと思うのですが、今振り返ってみて、どんな手応えがありますか?
  • テラオ(Gt)

    本当はYouTubeの活動と従来のバンドの活動を融合させていきたいと思っていました。春、夏、秋、冬とリリースすることで、定期的にインストアライブも開催して、ただYouTubeの中だけの存在にならずに会いにきてもらうという仕組みを作りたかったんですけど、進路変更をせざるを得なかったので結構大変でした。ただ、その分、動画作りと楽曲制作に時間を費やすことができたので、そういう意味では新たな可能性に挑戦したり、自分たちを見直したりできて、すごく充実した1年になったと思います。
  • 動画制作に関しては、2019年の4月から特に力を入れて取り組んでいたそうですね。コロナ禍に直面したとき、その活動がバンドにとってアドバンテージになったというところはあったのではないでしょうか?
  • テラオ

    それはめちゃめちゃありました。
  • 三木正明(Gt/Vo)

    YouTubeをやっていなかったら、配信ライブという形すら取れなかったかもしれないと思うので、やっていてよかったです。おかげさまでYouTubeにカバー動画をたくさん上げることができたんですけど、そこで出会えたお客さんもたくさんいますし、いろいろな曲をカバーすることで音楽的な発見もあったし、それは普通にバンド活動していただけでは得ることができなかったものなので、すごく楽しかったというか、そもそもはテラオ君の発案だったんですけど、本当にやっていてよかったと思います。


  • テラオ

    100曲ぐらいカバーしたもんね。
  • テラオさんの発案だったんですね?
  • テラオ

    そうです。インディーズという立場で、バンドの認知を広める方法を常に考えていて、その中で動画というツールは今後大きなものになる……というか、すでになっていたんですけど、もっと手軽で、もっと爆発力を持ったものになると思ったので、バンドに取り入れてみたいというのがきっかけでした。もともとYouTubeを観るのが好きだったんですよ。
  • その動画もいろいろな曲をツインボーカルにアレンジしたカバーに加え、視聴者が一緒に歌えるハモリ動画もあって、いわゆるYouTuberと肩を並べられるぐらいクオリティが高い。動画の作り方はもはやYouTuberの発想ですよね?


  • テラオ

    ありがとうございます(笑)。YouTube、Instagram、Twitter。いろいろな媒体があると思うんですけど、そこにはそこのルールがありますよね。郷に入っては郷に従えじゃないですけど、その媒体を必要としている人たちに響かせるアプローチは絶対に必要だと思うので、かなり研究しました。YouTuberっぽくやることに対して、僕はひっかかるプライドみたいなものが特になかったので、やる以上は自分たちにできるYouTubeでのアプローチをしっかりやろうぜっていう考えで取り組んだ結果、そういうふうになったんだと思います。
  • 3人は抵抗はなかったんですか?
  • 三木

    抵抗かぁ。ぶっちゃけ最初はYouTuberっぽくやる必要はないと思っていたので、抵抗があったということなのかな(笑)。ただ、ほかのアーティストの曲を歌いながら、自分なりの表現をするということを考えると、自分たちのオリジナルを作っていたときとは違う何かが必要だと思いました。それが結果的にYouTuber的な部分を自分に取り入れるというか、見出すことになって、現在ではそういう抵抗はなくなったと思います。
  • おがた(Ba/Vo)

    バンドマンだとか、YouTuberだとかこだわりすぎると良くないんだと思います。自分も含め、バンドマンって結構こだわりが強い人間だと思うんですよ。でも、そういうこだわりを持っていたら、カバーってやれないだろうし、カバーしながら自分の色を出していくみたいこともできないと思ったので、そういうことは考えないようにしながらやるようになりました。今はバンドではやっていないような音楽や曲ができるのが楽しいと思いながらやっています。
  • その一方で、2020年はリリースにおいても充実した活動ができたという手応えがあるのではないでしょうか?
  • テラオ

    いろいろ試したものが形にできたと思います。4人が4人、キャラかぶりしないというか、赤色と言ってもそれぞれにえんじ色やワインレッドを思い浮かべる4人なので、これまで曲を作るとき、同じイメージを共有できずにぶつかることも多かったんですけど、全員が同じDTMを導入することで、そういう制作ロスをできるだけ省きながら曲を作ることができるようになったんです。だから、昨年リリースした3枚のEPと『Answer』というアルバムは、僕らのバンドの武器である器用さをこれまででいちばん発揮できたと思っています。



  • 結成10周年という節目にリリースしたことも含め、『Answer』というタイトルからは、これがこの10年バンドをやってきた1つの答えだという思いが窺えます。
  • テラオ

    まさにそうですね。今までできなかったことが形にできたという実感が大きかったんですよ。そこに10周年というアニバーサリー感も合わさって、僕の中で10年という一区切りの中での答えになったと思えたので、『Answer』というタイトルを提案してみたところ、みんなから賛同してもらえました。
  • 『Answer』で形にできた、今までできなかったことって、例えば?
  • テラオ

    それこそ作りながら無駄な衝突を極力避けることができたとか(笑)。『Answer』の曲は僕がカラオケ音源を制作して、ボーカルふたりに投げて、歌を入れてもらってという流れでほぼほぼ作ったんですけど、無駄な衝突を避けるという意味では、そういう作り方を取り入れることができたのも大きいです。
  • 三木

    衝突を避けられたことももちろんなんですけど、テラオ君がカラオケ音源を作ってくれたおかげで、曲がすごく早く出来るようになりましたね。あと、カラオケ音源を聴いたときのインスピレーションから歌詞とメロディを作るんですけど、以前よりも真っ直ぐ、その曲に向かうことができるようになりました。それはテラオ君が作ってきたカラオケ音源がいいからなんですけど、作りながら幸せだなと思いましたし、歌の表現もデモ作りの段階から詰めることができて、レコーディングするときにはほぼ迷いなく歌うことができたので、歌を歌うことだけに集中できたという意味でも、『Answer』は充実した曲作りとレコーディングだったと思います。

  • ゆかちんさんとおがたさんは、『Answer』の制作を振り返っていかがですか?
  • ゆかちん(Dr)

    サポートの方にピアノを含めキーボードを弾いてもらって、音源を作れたのは今までなかったことなので新しいと思います。ドラムに関しては、バンドが求める音を何作か前からドラムテックさんに作ってもらっていたんですけど、『Answer』では同期の打ち込みのビートと生のドラムの音の融合が違和感なくできるようになりました。「7up tune」という曲がそうなんですけど、やってみたかったことが1つできたのでうれしかったです。

  • おがた

    制作の話ではないんですけど、今まで出来上がった作品を自分で聴き返すってことがほとんどなかったんですよ。でも、『Answer』は自分でもプレイリストに入れて聴き返しています。そんなふうに素直に楽しんで聴くこともできるアルバムになったのは、今回初めてなんですよ。
  • テラオさんがまずカラオケ音源を作って、メンバーに投げるという作り方は、『Answer』で初めて?
  • テラオ

    いや、前々からやってはいたんですけど、曲が採用される率が低かったんです(笑)。
  • つまりテラオさんが作るカラオケ音源のクオリティが上がったということですか?
  • テラオ

    そうなんです。YouTubeでカバーをやるためにカラオケをめちゃめちゃいっぱい作るようになったおかげで、クオリティが格段に上がりましたね。
  • デモの段階で曲の全体像や魅力が伝わるようになったから採用率が上がった、と?
  • テラオ

    そうですね。あとは、作業をやればやるほどスピードも上がっていくので、僕自身がカラオケ音源を作るスピードも加速度的に上がっていって、新曲を何曲か作らなきゃいけないってなったとき、「じゃあ、十何曲作ります」って、実際に十何曲作るってことが可能になったことも大きいですね。
  • なるほど。そんな変化もあったわけですね。ところで、今回Fanplus Music初登場なので、これまでの10年も振り返りたいと思うのですが、そもそものスタートは2010年7月にテラオさんを中心に現在の4人が顔を揃えたことだったそうですね?
  • テラオ

    そうです。三木とおがたが、歌がうまいということを知っていたので、ふたりの歌を混ぜたいと思ったんです。それでバンドをやるならうまいドラマーとやりたいと思って探していたとき、ゆかちんと出会って、この4人でスタジオでセッションしたのが最初でした。
  • その後、この4人で真剣にバンドをやっていこうとなったとき、男女のツインボーカルということ以外、バンドの音楽性や方向性は、どんなふうに考えていたんですか?
  • テラオ

    全然見えなかったです(笑)。考えていたとしたら、このふたりが歌っていれば、それでいいでしょうってことだけでしたね。
  • そうなんですか? じゃあ、バンドの方向性が決まったのはいつ頃だったんですか?
  • 三木

    いつだったんだろ? こういうことをやるのがアーニーだっていうのは、今も別に……。だから、本当におがたと僕が歌って、みんなで演奏しながら音楽にするという以外は決まりごとはないんじゃないかな。僕は正直、「こういうバンドになりたい」というのは始めたときからあんまりなくて。もちろん憧れているバンドはたくさんいたし、そのバンドから影響を受けたことはたくさんあると思うんですけど、「アーニーってこうだよね」って決めちゃうと、逆に作りづらいというか、音楽が狭まっちゃう気がして。それぞれのメンバーの感性で持ち寄ったものをバンドとして曲にしていく、音楽にしていく、そしてプレイするっていうのがある意味、バンドの決まりというか、方向性みたいなことではあったんじゃないかなと思います。
  • テラオ

    さっき話していた、4人の個性がキャラかぶりしないというところに繋がるんですけど、この4人がそれぞれにいいと思ったことを混ぜて、1つの形にするというプロセスだけでも相当大変というか、それさえできれば答えになるっていうぐらい個性はあると、ずっと思っていました。ただ、それをまとめ上げて、自分たちも納得できて、聴いてくださる方にもおもしろいと思ってもらえるものにするまで練り上げる上では、正直『Answer』を完成させるまで、「ああ、こういう感じ。こういう感じ」っていうのはまったくなかったです。むしろ、この4人の個性が混ざった上で、それぞれに活かされている作品をずっと追っかけてきたっていう感覚なんです。そういう意味では、それを形にすることがアーニーの存在意義というところもあったかもしれないですけど、『Answer』でそれがやっと形にできたという実感があるので、ここからその方向性を定めていけるなっていう地点に立てたという気がしています。
  • その『Answer』も含め、これまで作品ごとに新たなことに挑戦しながら曲の幅を広げてきたという印象があるのですが、新たなことに挑戦するときは、どんなきっかけや発想があって、4人の気持ちがそこに向かっていくのでしょうか?
  • 三木

    僕の印象では、今一緒にやっている事務所に協力してもらえるようになった最初の頃って、自分たちの中で、なんとなくこういうのがアーニーっぽいんじゃないかというものを曲にするっていうことをやっていたと思うんですけど、正直、全然うまくいかなくて、曲が作れなくなっちゃったんですよ。それでもなんとか踏んばって作った曲が「MATSURI」だったんです。「MATSURI」が出来たとき、僕ら的には「これは全然アーニーっぽくない。今までやっていたことと全然違う」って思ったんですけど、「そういうところがおもしろいんじゃないか」って事務所の人から言ってもらえて。そこから、なんでもやっていいんだと、自分たちが思いついて、自分たちがプレイして、声が出たり、手が動いたり、歌になったりするところには、全部自分たちがいるんだと思えるようになって、いろいろな要素を取り入れることも含め、作る曲の幅が広がっていったと僕は思っているんだけど、みんなはどう?

  • テラオ

    たしかに、きっかけとして「MATSURI」は大きかったですね。「これ、いいのかな?」というところもありつつ、「MATSURI」に対する反応を見て、ある意味オーディエンスがいてこそというか、それまでは曲を作るとき、そこに自分たちしかいなかったことに気づいたんです。だから、「MATSURI」以降は、オーディエンスにどういうふうに聴いてもらえるんだろうか、感じてもらえるんだろうかということも考えつつ、そこにアーニーらしさがあれば、どういう曲でもアプローチしていいんじゃないかっていう視野の広がりはあったと思います。
  • 意識的に曲の幅を広げようと考えて、曲を作ったこと、作ることもあるんですか?
  • テラオ

    『Answer』に入れる曲の元ネタをいっぱい作ったときは結構ありましたね。僕のオケ作りって、ある意味いろいろなアーティストに対するオマージュみたいなところもあるんですよ。もちろん、メロディも歌詞もオケもってやることはないですけど、オケだけをオマージュする場合、三木とおがたの歌が乗った時点で全然違う世界観になる――そういう安心感があるので、自分の好きなアーティストの曲を分析しつつ、自分たちがライブでプレイするなら、こういうふうにやったらおもしろいだろうというアーニーなりの解釈を加えて、その要素を取り入れながら曲を作ることもありますね。
  • おがた

    そういう作り方は私もやります。たとえば、『Answer』の「at the time」は……。
  • ラップの曲ですね。
  • おがた

    そうです。SIRUPさんの曲が好きで、そういう雰囲気の曲をやりたいと思って作りました。テラオがその曲のオケを作ってきたときは、ラップにしようなんて全然考えていなかったと思うんですけどね(笑)。

  • でも、ラップが見事に曲にハマった、と。「MATSURI」ができたときのエピソードもそうだと思うのですが、この10年の間にはそれ以外にもターニングポイントとなる出来事がいくつかあったのではないかと思うのですが。
  • テラオ

    それを言ったら、2013年の8月から12月まで、メンバーの不仲が原因で活動休止したことですね。いろいろ見つめ直すという意味で、あれは大きかった。活動休止と表向きは言っているんですけど、ライブ活動を休んでいただけで、復活する日もちゃんと告知した上での休止だったんですよ。その期間はスタジオで過ごす時間を4倍に増やしました。週2、3時間やっていたのを、週2で5、6時間ずつ入るようにして、ライブも制作も何も追われていなかったので、ひたすら音楽を楽しむだけのセッションをしていたんです。そのタイミングでふっと出来たのが「uncircle」。活動再開後にその曲を持って、「イナズマゲート2014」と、今お世話になっている事務所がやっていた「TANK!theAUDITION2014」を受けたら評価してもらえて、なおかつ今の事務所に所属が決まったんです。

  • なぜ不仲になってしまったんですか?
  • テラオ

    当時、三木と僕がルームシェアで一緒に住んでいたんですけど、ガッチガチの自主制作でやっていたときは本当にお金に困るというか(笑)、お金に困ると気持ちに余裕がなくなる。バンドでも一緒にいてイラついているのに、家に帰ってきてもイラつきながら一緒にいるみたいな(笑)。どこかが問題を起こすと、バンド全体の空気も悪くなるんですよ。あの時は連鎖反応で良くないことが続きましたね。
  • ゆかちん

    思い返せばですけど、自分の気持ちを言わないことがきっかけだったのかな。わかってもらえないとしても、思っていることを言うのが大事だということにこの10年で気づきました。コミュニケーション不足で起こる衝突がやっぱり多いんですよ。自分はこう思っているから相手もわかっているだろうって思い込みは良くないですよね。
  • でも、そこで解散は選ばなかった。
  • テラオ

    当時、僕は1ミリも考えてなかったです。なので、解散せずに続けられる方法を考えて、休んだほうがいいって思いました。
  • 解散するとは1ミリも思わなかったけど、三木さんのことはムカつくと思っていたわけですね?(笑)
  • テラオ

    はい。たぶん、三木も僕に対して、腹立つなと思っていたはずです(笑)。単純に幼かったんだと思います。人のせいにして、甘えていたんですよ。
  • それからは不仲になっていないんですか?
  • テラオ

    ハハハ。ちょいちょい問題はありましたけど、越えてきましたね。
  • 三木

    これからもなんだかんだあるとは思いますけどね。人間関係が何周もするみたいなことは、先輩のバンドやアーティストを見ていてもあるんだなと思うし、何周もしないと生まれないものもたぶんあるんだろうなと思うし。昔は、やめてやろうかって思うこともありましたけど、今は腹の立つことも、うまくいかないことも何周もしているうちの1つみたいな感覚にはなりましたね。
  • ゆかちん

    最近になって、我慢せずに言えるようになってきて、それを言ってちょっとバチッとなっても、お互い言いたいことを言ったあとだから、前みたいにモヤモヤすることはないんですよね。それに、言っても大丈夫だという安心感もあるんですよ。そういう意味では、人間関係をちゃんと築いてこられたんだなと思います。
  • 活動休止を経て、バンドのキャリアが好転し始めてからは、順調に一歩一歩、歩みを進めてきたという印象がありますが、それ以降、ターニングポイントはありましたか?
  • テラオ

    さっき話した「MATSURI」があって、そうだなぁ……個人的にはそのあと、「stand up crowd」という曲を作れたことと、それを『イエロウ・イン・ザ・シティ』というコンセプト・ミニアルバムに入れたことですね。あらかじめ考えたというよりは、作曲しながらでしたけど、コンセプトを持ったミニアルバムを作れたことは、作曲人生の中では大きかったです。そのタイミングでレコーディングするスタジオとエンジニアさんを変えたことも大きかった。『ノンフィクション』『キャラクター』まではギターをわりと添え物に近いテイストでレコーディングすることが多い現場だったんですけど、『イエロウ・イン・ザ・シティ』からは作曲者に寄り添ってくれて、なおかついろいろな音作りの挑戦をさせてくれるスタジオでできるようになって、そこで作れたのがその「stand up crowd」だったので、アーニーという音楽を表現する中でのターニングポイントになったと思います。

  • バンドサウンドとして、よりキャラクターが強くなっていった、と。
  • テラオ

    こんなに自由にレコーディングで表現していいんだってことに気づけたんですよ。
  • そうすると曲の幅も広がるし、曲の魅力も増していくっていうところに繋がっていきますよね。
  • おがた

    そのタイミングで、メンバー全員がDTMをやり始めたことも大きかったと思います。それまでは誰かしらが弾き語りで持ってきたものに全員が同時に肉づけしていく作り方だったんですけど、『イエロウ・イン・ザ・シティ』が、曲の味や方向性もあらかじめ決まっている、『Answer』でやったような今の曲の作り方の始まりだったんです。私の場合、ひとりで曲を作るときのほうが、誰のことも気にせずに自分のやりたいことができるんですよ。全員で曲を作っていたときは、アーニーらしさというのを自分たちに強いていたと思うんですけど、DTMをやり始めてからは、私も含め全員がそういうことにとらわれずに自分の色をより濃く出せるようになった。メンバーにピアノを弾く人は誰もいないけど、入れちゃったりとか、ライブハウスをメインに活動しているバンドがやりそうなギターロックじゃないアーバンな曲をやってみたりとか、各々が好きにやり出したことは『Answer』にも繋がっていると思います。
  • アーバンという意味では、『Answer』の「SUNNY」はまさに。そして、『Answer』のの最後を締めくくるのが、「夜明け前」という原点回帰を思わせるストレートなギターロック・ナンバーという。この曲を最後に置いたのは、やはり11年目の新たなスタートという気持ちがあるからなんでしょうか?

  • 三木

    この曲もテラオ君から送られてきたオケに僕が歌詞とメロディをつけたんですけど、アルバムに入れたいと思った曲の中で、メッセージをいちばん強く打ち出している気がしたんです。なおかつこの曲を書いていたのが、ちょうど緊急事態宣言が出て、自宅で作業していたときで。その中で歌詞を書きながら、僕の中で勝手に、世間のちょっと開いていかない感じとか、先の見えない感じとか、僕らが10年やってきて、いいこともたくさんあったけど、世の中にまだ自分たちの居場所が確立できていない状況がリンクして。そこから、夜を超えるという瞬間を音楽にしたいと思いながら、自分の中に生まれてきた歌詞を、実際にはメロディもほぼ同時に出てきたんですけど、書いたら見事に自分たちのこの先を歌うような曲にもなりながら、自分たち以外の、僕らの音楽を聴いてくれる人たちに対する僕らの答えと言える曲にもなっていたんです。
  • その「夜明け前」を最後に収録するというのは、すぐに決まったんですか?
  • テラオ

    アルバムを作るときはいつもループしてほしいと思っているんですけど、「夜明け前」で終ったとしてもメッセージは伝わると思ったので、「アルナイル」が1曲目で、「夜明け前」が締めというのは迷うことなく決まりました。
  • そして、「夜明け前」で新たなスタートを切ったアーニーが今描いている未来像は?
  • テラオ

    新型コロナウイルスの出現によって、今が変わってしまっただけではなく、たぶん今後の音楽を含めた芸術を楽しむメディアとか、プロセスとかがまるっきり変わってしまったというか、もう違う世界に移ったんだなと痛感しているんですけど、僕らが持っている個性、多様性、器用さをフルに活かして、そういう変化に対応できるエンターテインメントの形を僕らから発信して、それを求めている人に直接届けていかないといけないと思っています。変な話、それが自分の使命だと思っているので、これまでは曲を作って、ライブをしてという従来のサイクルに自分自身とらわれていましたけど、そこにとらわれずに新しいことに挑戦していきたいと考えています。
  • 新しいエンターテインメントという意味では、2020年の活動はかなりの手応えになったのではないですか?
  • テラオ

    なったと思います。
  • 足踏みせざるを得ないバンドもいる中、未来を感じられるお話を聞くことができて、一音楽ファンとしてうれしかったです。最後に3月20日にダイアモンドホールで開催するワンマンライブ「10 YEARS AS A FROGs~Answer~」の意気込みを聞かせてください。
  • 三木

    テラオ君が言うとおり、ライブやコンサートの楽しみ方は今後、形が変わっていくと思うんですけど、だからって音楽がなくなることはないし、音楽を楽しむ心を人から消すこともできないと思っています。3月のライブは入場もできるし、配信でも観られるようにしているんですけど、僕らはもちろん感染対策もしっかり行いながら、みんなが思いっきり楽しめる場所を、今だからこそ作るべきだと思っています。だから、配信でも十分に楽しめるエンターテインメントを作れるチームで、配信で観る人も絶対満足できるライブをすることも含め、どんな形であっても音楽を楽しむことができるライブにするつもりだし、そうなるとしか思えないので、ぜひ素直に受け取って、楽しんでもらえたらうれしいですね。

【取材・文:山口智男】

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リリース情報

Answer

Answer

2020年12月16日

TREASURISE RECORDS

01.アルナイル(album ver)
02.Player 1(album ver)
03.Mr.fanatic
04.SUNNY
05.リコリス
06.at the time
07.ラムネサイダー(album ver)
08.7up tune
09.anythings
10.aine
11.夜明け前

お知らせ

■コメント動画





■配信リンク

『Answer』
https://fanlink.to/epvD



■ライブ情報

「10 YEARS AS A FROGs 〜Answer〜」
03/20(土)愛知 名古屋ダイアモンドホール
(有観客+配信)

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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