ネットミュージックシーンで注目のシンガー・PAREDが音楽で伝えたい想いとは

PARED | 2021.02.11

 ツイキャス、YouTube、TikTokなど、様々なプラットホームを使いながらインターネットで積極的な活動を重ねてきた、1999年2月生まれ福岡県出身のソロシンガー・PARED。彼が映画『ツナガレラジオ~僕らの雨降Days~』の主題歌を表題にした1stシングル「Message~ツナガレイノチ~」でフィジカル作品を初リリースする。芯を感じさせる天性の低音ハスキーボイスに、カバー曲の投稿で磨いたスキルが加わった彼のボーカルは、楽曲が持つ生々しい感情を丁寧かつダイナミックに切り取る。彼はいったいどのような人生を送り、どんな心情を抱えながら音楽活動を続けて現在位置に辿り着いたのだろうか?

――音楽に興味をお持ちになったのはおいくつぐらいなんですか?
PARED:音楽自体は小学校の頃から両親が車で流してる曲……それこそサザンオールスターズさんとか、桑田佳祐さん、玉置浩二さん、安全地帯を聴いて育って。で、もともと漫画家になりたくて、SNSでイラストを描いてアップしてたんですよ。そしたら多少なりとも歌い手さんと知り合うようにもなっていって。その影響もあって、歌はもともと好きだったので中2くらいでスマホで簡単に歌声や楽器演奏が録音・投稿できるアプリを始めて。趣味で歌を毎日投稿してたんですよね。
――小さい頃からインターネットが当たり前に存在する世代の方々ならではの楽しみ方ですね。
PARED:中3の時にパソコンを自作したりしてました(笑)。その流れで工業高校に進学して。そのあとも歌のアプリを続けてたんですけど、高2くらいに友達から「ツイキャスで配信やろうぜ」って誘われたんですよね。それで配信できる環境を整えて、高3ぐらいからちゃんと始めたんです。
――高校を卒業なさって企業にお勤めになったとプロフィールにあったので、高校での経験を生かしたお仕事をされているのかな?とは思っていたんです。
PARED:設計の仕事をしてました。高校時代に製図検定で満点を取ったのをきっかけに、先生が企業の方にアピールしてくれて。その先生にもめちゃくちゃ感謝してるんです。その先生がいなかったら、いまこうして音楽をやれていないと思う。それもバドミントンを始めたからなんですよね。
――えっ? バドミントン?
PARED:(笑)。中学時代美術部だったのに、運動したいな~と思って初心者でもできそうなバドミントン部に入ったんですよ。そしたらうちの高校、バドミントンの強豪校で(笑)。入部当初は体育館100周走った時点で喘息出てぜえぜえ言ってたのに、2年間続けたら県大会に行けて。そのバドミントン部の顧問が、その企業にアピールしてくれた機械科の先生なんです。「お前はすごく努力家だから」「根性がある」って、機械科ではない僕に機械科の推薦枠をくれて。
――ああ、なるほど。バドミントンをやっていなければ、その推薦枠をもらうことはなかったし、その推薦枠をもらわなければ関東に引っ越してくることもなかったということですね。
PARED:僕は多分、実家にいたら性格的に「コンビニバイトでいいや」と思いながら趣味で音楽をやってたと思います。でも関東で一人暮らしってなると、自分でちゃんと生きないといけないじゃないですか。誰からも助けてもらえない状態だし、友達もいない場所にやってきたから、仕事と音楽に対して本気になれたというか。だから先生にはめちゃくちゃ感謝してるんです。
――諦めずにバドミントンを続けたPAREDさんに幸運の女神が微笑んだ、と。
PARED:学校に行ったら朝練に参加することが条件反射になっちゃってて、辞めようかなと思って学校に行ったら気付かない間に練習してたんですよ(笑)。就職が決まったとはいえ、末っ子の三男だからか、家族から県外の一人暮らしをすごく心配されて。でも3年間最後までバトミントンをやったから大丈夫だろうなと思ってくれて、送り出してくれたところもあるんですよね。
――バドミントンさまさま。導かれるようにいまこの場所にいらっしゃるんですね。
PARED:めちゃくちゃ人に恵まれてるんですよ。ツイキャスで声真似配信をやってたら、友達が「もっと配信に力入れてみたら?」と言ってくれて。それで歌の配信をやり始めたら、閲覧数が伸びて。そこで堂村璃羽さんと知り合って、YouTubeに曲をアップするようになって。ちょうど時期的に会社を辞めたりもしていて、有休消化しながら音楽活動に本腰を入れるようになるんです。
――いろんなことに挑戦しているけれど、PAREDさんの手元に音楽だけは残ってるんですよね。その理由ってどこにあると思いますか?
PARED:音楽は悲しい気持ちの時だけでなく、楽しい気持ちの時も聴くし、車のなかで友達といる時も、ひとりで電車移動の時も聴きますし。常日頃触れているものであり、生活の一部だと思うんですよね。僕には「みんなの生活の一部になりたい」っていう気持ちがあって。悲しい時に僕の歌声を聴いて元気を出してくれたり、力を与えられる人物になりたい。その目標がずっと僕を動かしてますね。
――その目標を持つようになったのは、聴いてくれた人からのリアクションも影響しているのでしょうか?
PARED:そうですね。コメントはマイナスのものからプラスのものまで全部しっかり読んでます。
――マイナスのコメント、平気なんですか?
PARED:全然大丈夫ですね。余裕っす!(笑)。どれだけイケメンと言われる人でも、その人のことをイケメンと思わない人も確実にいますよね。僕は100人のうち20人が僕の声をめっちゃいいと思ってくれれば、80人のコメントが誹謗中傷でも「感性が違うんだな」と受け取れる。マイナスな意見ばかり気にするのは、気に入ってくれる20人の人たちに失礼じゃないですか。だからあんま気にしないですね。
――ネットカルチャーはプラットホームによってシーンが分かれがちだったので、これだけフラットに様々なプラットホームを使いこなす方が現れたのは時代性を感じます。
PARED:インターネットは行動を起こしたもの勝ちですよね。誰でもできるがゆえにライバルも多いし、どんどんこれからヤバいやつらが出てくると思うので、僕もチンタラできないなって(笑)。
――ははは。とはいえ1stシングルのリリースは大きな新しいスタートです。表題曲「Message~ツナガレイノチ~」は映画『ツナガレラジオ~僕らの雨降Days~』の主題歌。ご自分の曲が映画で流れた時はどうでしたか?
PARED:正直なことを言うと、うれしい反面ちょっとむず痒いというか(笑)。「うわあ、俺の歌が流れたやったー!」というよりも、「PAREDここまで来たか。よく頑張ってるな」みたいに本名の僕が感心したというか。これからだなと感じました、
――これまで歌われてきた楽曲のなかでもスピード感がある楽曲ではないでしょうか。
PARED:仮歌のデモを聴いたときにちょっと寂しさというか、寂しいなかグッとこらえて、我慢してるものがあるんだけど、サビで吐き出しちゃう感じのイメージを持ったんです。それを最大限イメージして、感情移入しまくって歌いましたね。<吐き出しちゃえよ>という歌詞を自分自身に言い聞かせてるぐらい吐き出しちゃってるんですよ。ボーカルの勢いもすべて全部乗せた感じですね。
――「Message~ツナガレイノチ~」で特にPAREDさんに響いたメッセージは?
PARED:<かっこ悪くても なんで? 沁みる 声を届けて>って歌詞ですね。僕、自己肯定感が低くて。曲を投稿するとき、低めの目標を立てちゃうんです。だからこの歌詞はそういう自分に「かっこ悪くても良いだろう!」って言い聞かせてくれる感じというか。「かっこ悪くても、それが僕なら大丈夫じゃん。かっこ悪いことも僕にとってかっこよくなるんじゃないか」って。
――そんなふうに感じる人が、中学時代から積極的に行動を起こしていたんですね。怖いから行動に移せない人は多いと思うんです。
PARED:完璧主義者の人って特にそうだと思うんですよ。これ上手くいくのかな、これ本当に正しいのかなとか……。そこを「間違っててもいい」と「かっこ悪くても良いから動こう」と思わせてくれる。だからこの歌詞、僕は好きですね。
――なるほど。今まで聞かせてくださったお話がすべて、PAREDさんが作詞なさった「START LINE」の歌詞の裏付けになっているように感じます。
PARED:「START LINE」は最大限に自分の思いを伝える、僕の人間性を書いてます。家族が大好きなところとか、僕の素直な思いと不器用な感じがそのまま出てますね。マイナスなことももちろんたくさんあったけど、多方面からの支えでここまで来れたなって思うんです。ファンの子が曲を聴いてくれてることもそうだし、こうやってスタッフさんのお力添えでこういうインタビューも受けさせてもらえるし。だから<一人じゃないよ>というメッセージとして乗せてます。
――<色の無い日々をただ過ごし>など、若い世代で同じような気持ちを抱えて過ごしている人は多いと思うので、自分の歌のように聴けるんじゃないかなって。
PARED:こうやって活動していると、頑張ってる人たちが多いと感じるんです。その人が評価されるされないとは別に、僕はその人たちに成功してほしい。僕ができるのは音楽でその気持ちを表現することだから、それでみなさんの力になれたら良いなって。なにをやっても中途半端で、それが嫌で嫌で。なにかひとつに専念できる今はとても幸せですね。……自分の書いた歌詞についてしゃべるのは恥ずかしいな(笑)。
――ははは。「Message~ツナガレイノチ~」と「START LINE」は、ロックが共通項とはいえまったく違うテイストなのもいいバランスですね。ここに164さん作のバラードの「tell me」が入ることで、作品にいいトライアングルが出来上がって。
PARED:今恋愛はしてないんですけど、いいなと思った女性がいても、毎回「相手に迷惑じゃないかな」って結局アタックできなかった時期があって。この関係性が崩れるのが怖いし、僕は友達でいいやと思っていたんです。でもその好きな女の子は、僕に好きな人の相談とかしてくるんですよ。
――そのシチュエ―ションあるあるですし、ものすごく胸が痛いですよね。
PARED:ものすごく寂しさを感じて。「天ノ弱」を作った164さんなら、この感覚をすごく素敵なかたちで表現してくれると思ったんですよね。歌詞の内容も寂しさがあるんですけど、歌も大人しめの寂しさを表現しました。今回初めてCDを出すということで、作品全体を通して食事のコースみたいな感じで楽しんでもらいたくて、この3曲になりましたね。サブスクが主流の今、このCDを買ってくれるのはほとんど今まで僕を応援してくれたファンの子たちだと思うんです。その子たちが喜んでくれるものを作りたかったんですよね。
――お話を聞いていると、PAREDさんはお客さんに寄り添う、お客さんに投げかけたいという気持ちが強い方だと感じます。
PARED:画面の向こうには人がいて、1再生をするのは絶対に人なんですよね。貴重な時間を割いて僕の音楽を聴いてくれるんだから、聴いてくれる人が何か得るものじゃないとなと思うし、その人のために何かできたらなという気持ちがあるんです。その時それぞれの感情の波で僕の曲を聴いてほしいですね。ネットのいいところは自分で行動できることと、想いを素直に出せるところ。いろいろ汲み取って聴いていただけたらうれしいですね。
――「聴いてくれる人に力を与えられる人物になりたい。その目標がずっと僕を動かしてる」と先ほどもおっしゃっていましたが、今後どのような活動を予定されていますか?
PARED:カバー曲も上げつつ、誰かと共感できるようなオリジナル曲をどんどん出していきたいですね。みなさんが抱える不満や不安、ナーバスな部分を支えられたら。「頑張れ!」と前に押すというよりは、隣で音楽聴いてるような感覚で、寄り添えるような曲を出していきたい。
――音楽性というよりは、曲に込められた想いがなによりも重要ということですね。PAREDさんの声は個性的でありながらどんな曲調にもフィットするので、伝えたい想いをまっすぐしっかりと伝えられる曲調の楽曲で届けられるのではないかと思います。
PARED:わ、それめっちゃ嬉しいですね。天才的コメントありがとうございます(笑)。今後もどんどんかましていきます!

【取材・文:沖さやこ】




Message ~ツナガレイノチ~【official MV】

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リリース情報

Message 〜ツナガレイノチ〜

Message 〜ツナガレイノチ〜

2021年02月10日

ポニーキャニオン

01. Message 〜ツナガレイノチ〜
02. START LINE
03. tell me
04. Message 〜ツナガレイノチ〜(Instrumental)

お知らせ

■配信リンク

「Message ~ツナガレイノチ~」
https://lnk.to/Message_limited

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