3年の活動休止期間を経て復活を果たしたニセ者ユニットFAKE TYPE.、待望の新作『FAKE LAND』リリース!
ゆびィンタビュー | 2021.02.17
ラッパーのトップハムハット狂とトラックメーカーのDYES IWASAKIによるユニット、FAKE TYPE.が3年の活動休止期間を経て復活を果たした。休止中にトップハムハット狂はソロラッパーとして確固たるポジションを築き、DYESとのタッグで作った「Princess♂」「Mister Jewel Box」といった楽曲は大ヒット。その源流であるFAKE TYPE.にも再評価の光が当たっていたところに投下された再始動のニュースは、以前の活動をリアルタイムでは知らない新たなファンにとっても嬉しいサプライズとなった。そして配信での新曲リリースを経て届いたニューアルバム『FAKE LAND』は、もちろん以前のFAKE TYPE.らしさを引き継ぎつつも、それぞれの活動を経てパワーアップしたふたりの「今」を鮮やかに浮かび上がらせている。マジで最強モードの復活フェイクから目を離すな!
PROFILE
FAKE TYPE.
2013年8月東京にてMCのトップハムハット狂(写真:右)とTrackMakerのDYES IWASAKI(写真:左)で音楽ユニットFAKE TYPE.を結成。
自らニセ物を語るニセ者が作り上げたニセ物は、果たしてニセ物なのだろうか?キャッチーでメロディアスなトラックに、ポップかつトリッキーなラップでリスナーに問いかける。
- もともと2020年3月にライブをやるという予定があって、それはコロナの影響で延期になってしまいましたけど、もっと前からFAKE TYPE.をやるという話にはなっていたそうですね。
トップハムハット狂
確か2年前くらいにDYESと、久々に話そうよみたいな感じで会ったんです。その時には俺的にはもうフェイクやりたい気持ちはあって。で、直接会いに行って話したら、逆にDYESの方から「どう? フェイク、またやろうよ」って言われて。それで「俺も結構そういうバイブスだったよ」って言って、じゃあ、今すぐにはちょっとできないけれども、順序立ててやるような流れを作りましょうっていう感じのところから始まりましたね。でもコロナもあって予定よりも伸びに伸びてしまったんですけど。- じゃあ、DYESさんにはもっと前からFAKE TYPE.をやりたいという気持ちがあったわけですか?
DYES IWASAKI
そうですね。元々活動休止って形取ってるんで、戻ってこれる場所というか、いつか再開するであろうという想定はあったので。ちょうどいい頃合いかなって。- 2019年ってことは、トップハムハット狂のソロで「Princess♂」(DYESがトラックを提供)を作ったときにはフェイクをやるっていうことも決まっていたんですね。
DYES IWASAKI
決まってましたね。何かジャブみたいな感じでやってました。でも「Princess♂」があんなにバズったのにはちょっとドン引きしましたけどね(笑)。もともとできたときに僕もトップハムハット狂も手応えをめちゃめちゃ感じてて「ヤバいのできたね」みたいな話をしてたんで、伸びるだろうなとは思っていたんですけど、こんなに突き抜けられるんだって。- 2017年に、お互い成長していくためにとか、自分たちでやりたいことに挑戦していくために、FAKE TYPE.を休もうという決断をしたわけじゃないですか。そこからどういうふうに心境が変わっていったんですか?
トップハムハット狂
俺の中ではフェイクでやるラップと、ソロやその他でやるラップっていうのはなんとなく使い分けてはいるんですけど、フェイクをやってた期間はフェイクでやるラップばっかりずっとやってたんで、どうしても弾切れみたいな状況になっていて。ちょっとほかのラップやりたいなって気持ちは実際あったんです。そんな状況で無理やりフェイクのラップを書いても、あんまりいいものは生まれないんじゃないかなみたいな懸念もあり。それでソロをやっていたんですけど、なんか、フェイクのラップがあってこそ、ソロのラップもやりたくなる、ふたつあって俺のやりたいことが満たされるんだなみたいな気持ちに気づいたんですよね。それでFAKE TYPE.やりたいみたいな気持ちが沸々と湧き上がってきて。DYES IWASAKI
そこは僕もかなり似てますね。FAKE TYPE.があったからこその、楽曲提供が楽しかったり。FAKE TYPE.を活動休止してからは楽曲提供1本みたいな活動をずっとしてたんですけど、それだけだと何か物足りなくて。最初は良かったんですけど、自分主体で発信できるFAKE TYPE.がいちばんやりたかったことだったんだなっていうのを再認識しましたね。- 休止中のお互いの仕事についてはどういうふうに見てました?
DYES IWASAKI
いや、もう、ひとりですごく動くようになって「立派だな」ってめちゃめちゃ思ってましたよ(笑)。そもそもFAKE TYPE.は、AO(トップハムハット狂)が音楽を辞めて実家に帰ろうっていうところを僕が引き止めて、一緒に音楽やらないかってところからスタートしたんですけど、それが今や自分から動くようになってて。トップハムハット狂
成長を感じた?(笑)DYES IWASAKI
もう眩しかったですね。- 逆にAOさんはDYESさんの活躍というのはどういうふうに感じてました?
トップハムハット狂
そもそも俺はダイゴ(DYES)の音はすごくかっこいいって思ってたし、フェイクをやる前から「なんでこんなくすぶってんの」みたいな、「ダイゴが評価されない世界線はおかしいよ」みたいなことを言ってたわけですよ。休止中もしっかり仕事してて、ダイゴはもうこのまま音楽プロデューサーとして生きていくんだろうな、みたいな気持ちにはなってましたよね。そもそも俺もダイゴも、結成当初は「最後はやっぱり裏方いきたいよね」みたいな話をしてたんですよ。でもフェイクで活動していくうちにその心境もちょっとずつ変化していったと思うんです。休止後、自分っていうものを発信して、これが自分がやりたい音楽なんだっていうある種の答えみたいなのを見つけたと思うんですよ、お互いに。そうなった上でやっていこうかってなってるんで。- 今回久しぶりにアルバムを作っていった作業というのはどういう感覚だったんですか? 「懐かしい」なのか、全然新しいことやってるっていう感じなのか。
DYES IWASAKI
新しいっていうか、すごくお互いの成長を感じたと思います。最初にできたのは「BEELZEBUZ」だったんですけど、それができたときに「すごいものができたな」と思って。やっぱこれだな、自分が生きる道ってこれなんだろうなっていうのを確信しましたね。- AOさんの場合はソロとも並行しながらFAKE TYPE.の曲を作っていったわけじゃないですか。さきほどFAKE TYPE.でのラップとソロのラップの違いっていう話もありましたけど、そのあたりのスイッチの切り替えはどうでしたか?
トップハムハット狂
それをやるつもりだったんですけど、やっぱり……今回FAKE TYPE.っていうのは約3年半休んでたわけですよ。その休んでる間に、フェイクに対しての想いみたいなのがたぶんたまってたんですよね。本来FAKE TYPE.の曲って、自分自身の体験や自分だけの言いたいことはあまり入れないようにしていたんです。ユニットだから、何かストーリーを絡めたりして、ちょっと皮肉ったりっていうことをやるべきだったんですけど、今回は結構自分のマインドの部分をリリックにしちゃった曲があったりもして。- そうなんですよね。すごく自分語りをしているし、FAKE TYPE.自体のことを歌っている曲も多い。
トップハムハット狂
フェイクをレペゼンしてる感じは結構意識して入れましたね。で、俺忘れちゃったのがストーリーの曲なんですよ。FAKE TYPE.は本来アルバムに1曲か2曲入れてたんですけど、それをちょっと書き忘れてしまって(笑)。ちょっとそこは申し訳ないなという気持ちがあるんで、次回作は気持ちストーリーをマシマシにしたいなっていうのが今から目標としてあります(笑)。- (笑)。DYESさんは今作のAOさんのリリック、受け取っていったときにどういうふうに感じました?
DYES IWASAKI
自分が出てるなっていうのはすげえ感じましたね。抑えられないんだろうなっていうのは伝わってきました。その時々でやっぱAOと話すわけじゃないですか。そこで話してるようなことがリリックにふんだんに入ってたりするんで、やっぱ気持ちが抑えられなかったんだなっていう。- FAKE TYPE.では今まであえて出してこなかったものなわけですよね、それは。
トップハムハット狂
そうですね、あんまり出さないように。自分の内面をあんまり言いたくなかったんです、なぜか。ちょっと恥ずかしかったんだと思うんですよね。でも、活動休止前のラストアルバム『FAKE WORLD』に「青の世界線」っていう曲があるんですけど、そこでは結構自分の生い立ちみたいなのを語ってて。あれをやったときに、単純にちょっと気持ちよかったんです。みんなからもダメとか言われないし、全然ありなのかなってそこで思うようになって。そこから休止したことで、自分の内面を出すようなことを言おうかなって切り替えられたんだと思うんですよね。- 音作りの部分では、DYESさんはどんなイメージを持ちながら作っていきましたか?
DYES IWASAKI
やっぱりFAKE TYPE.って、楽しい音楽っていうのが売りだと思うんです。なので、全力で盛り上げたいなっていう気持ちが溢れてましたね。既存のファンの人も新しく入った人も、両方楽しんでもらえるようなアルバムにしたいなって思っていました。なので、もちろん最近作った新しい曲もあるんですけど、前に作ってたけどFAKE TYPE.で出せなかったトラックがあって、じつはそれを使ったりもしていて。「FAKE HEARTS」「HOPTRONIC」「はじまりの背中」っていう3曲は、実はストックからちょっといじってリリースする形なんです。だから当時のままの部分と、ちょっとアップデートされた部分が混ざってます。トップハムハット狂
その3曲も含めて、どのトラックも確実にパワーアップしてるなっていうのは感じましたね。それを聴いて自分も今までよりももっと強いラップを乗せたいっていう気持ちになれたんで、すごくモチベーションをくれる音を作ってくれるなと思いました。- その強さっていう部分でいうと、今回すごく主張するリリックが多いなという印象があって。
トップハムハット狂
うん。明確に言い切ってる部分ですよね。わりとそうですね。- そのあたりはトラックから触発された部分なのかもしれないですね。「So what」とか、すごく思いが込められている感じがしますし。
トップハムハット狂
「So what」は自分のフラストレーションの部分が存分に出てる曲だと思います。今回のアルバムのほぼほぼ最後に作った曲なんですけど、そのタイミングで、俺がだいぶイライラモード爆発だったんです。ダイゴに対してとかフェイクに対してとかじゃない全く別のところですっごいイライラしてて。で、ちょっとそのこと言っちゃったんですよね(笑)。めちゃめちゃ怒ってるんだけど、悲しいかな、「So what」っていう一言で俺の主張なんてどうでもよくなっちゃうっていう。やるせない曲ですね。怒りとやるせなさが入り混じる曲だと思います。あとは2020年、本当はライブバシバシやって活動していこうと思ってた矢先にコロナでそれができなくなっちゃったから、そのフラストレーションとかストレスも出てるのかもしれないですね。DYES IWASAKI
この「So What」、最初にラップを入れて送ってもらったときに、聴いたらアウトロのいちばん最後に「クソが!」って声が入ってたんですよ(笑)。- はははははは!
トップハムハット狂
確かに、入れてた(笑)。DYES IWASAKI
びっくりして「え、なになに?」って思って。溢れすぎた想いが言葉に出てたんで、「ちょっとこれはやめよう」って言って消させました(笑)。トップハムハット狂
ダイゴから連絡来て「あの、これ大丈夫?」みたいな。「これさすがにちょっとドキッとするから消そう」って言われて「OK、OK、ごめん」って(笑)。DYES IWASAKI
トラックが終わった瞬間に「クソが!」って言って終わる曲だったんですよね。- だから、はけ口にしてたんですよね。
トップハムハット狂
そうっすね。このタイミング結構やばかったんすよ。- で、「クソが!」っていうのがありかなしかは置いておいて、それでいいと思ったんですよね、トップハムハット狂は。
トップハムハット狂
ま、そうですね。- だから、すごいリアルなことを、FAKE TYPE.においてやろうとしたというか、やってるというか。それがこのアルバムなんだなあと思いますけどね。
トップハムハット狂
確かに。ファンタジーを入れ込まなきゃいけないのに、リアルがそれを凌駕して溢れ出てしまった結果が今回の『FAKE LAND』ってアルバムなのかもしれません。- 「HOPTRONIC」なんかもめちゃくちゃ強気ですし。いいですよね、この感じ。
トップハムハット狂
これはちょっと調子乗っちゃおうかなみたいな。今のうちに俺らチェックしとかないと、乗り遅れるよみたいな、そういうイメージで書きましたね。で、それをいつのタイミングで言ったのかっていうのを象徴するためにアウトロでオリンピックのこと言ってるんですけど、オリンピックね、延期しちゃって(笑)。東京オリンピックの年に「俺らチェックしとかないとやばいぜ」って言ってたっていう、その足跡みたいな曲にしたかったんですけど。なんかそこもうまくかみ合わなかったなあっていう(笑)。でも、トラックもラップもすごいかっこいい曲なんじゃないかなって思ってます。- うん。まあオリンピックはズレちゃいましたけど、ここで歌われている気持ちは変わらないじゃないですか。やっぱり今の自分たちに自信があるんだろうし、これで勝ってくんだ、もっと言えば勝てるぜ俺たち、みたいな気持ちもあるんだろうなって。
トップハムハット狂
それはもちろんそうですね。DYES IWASAKI
そうですね。トップハムハット狂
ダイゴとふたりで話すときは、もっとビッグマウスですからね(笑)。だいぶリミッティングされてるんで、今。- いや、もうはみ出ているというか、隠せてないですよ、音楽のなかで。
トップハムハット狂
出ちゃってますね。休止前ならちょっと謙遜して「いやいや」とか言ってたかもしれないですけど、今は俺もダイゴもそれなりに技術も上がって、それが自信に繋がってるんで。当たり前じゃんくらいには、どっかで思ってるんじゃないかなっていうのはありますね。
【取材・文:小川智宏】
リリース情報
FAKELAND
2021年02月17日
Butcher Swing Records
01.Stay Tuned
02.FAKE LAND
03.BEELZEBUZ
04.FAKE HEARTS
05.So what
06.Yummy Yummy Yummy
07.GAME OF DICE
08.HOPTRONIC
09.Tandemoon Rendezvous
10.はじまりの背中
02.FAKE LAND
03.BEELZEBUZ
04.FAKE HEARTS
05.So what
06.Yummy Yummy Yummy
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08.HOPTRONIC
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降圧トランス
うち、エアコンとかに使うような200Vの電源が1個余ってて。それを音楽機材で使いたいんですけど、今のままだと使えないんですよ。「降圧トランス」っていうのをかませないと。それでググッてたんだと思います。
DYES IWASAKI
アウトボード 熱対策
最近アナログ機材をすごい買ってるんですけども、熱対策をしっかりした方がいいってエンジニアさんからアドバイスをいただいて、みんなどうやって対策してるんだろうって思って検索しました。
■ライブ情報
FAKE LAND Release Tour
04/02(金)名古屋クラブクワトロ
act:FAKE TYPE. and more...
04/25(日)梅田クラブクワトロ
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04/27(火)渋谷クラブクワトロ
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05/08(土)サンリオピューロランド
※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。
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