BiS、心に寄り添う楽曲が詰まった最新作「KiLLiNG IDOLS」

ゆびィンタビュー | 2021.02.24

 渡辺淳之介(WACK)×松隈ケンタ(SCRAMBLES)のプロデュースによるBiSの2nd EP『KiLLiNG IDOLS』は、内面に蠢く感情を激しいサウンドとともに描きだす作品だ。2019年に結成された第3期BiSだが、『KiLLiNG IDOLS』では、2010年に結成された第1期BiSの楽曲を随所で踏襲していることも興味深い。作家陣とメンバーの精神の動きが、そのまま「研究員」と呼ばれるファンの精神をも揺さぶるかのようなこの作品は、どのようにして生みだされたのだろうか。メンバーのチャントモンキー、ネオ・トゥリーズ、トギー、イトー・ムセンシティ部に聞いた。

PROFILE

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BiS


 日本のアイドル・グループ。名前は“Brand-new idol Society(新生アイドル研究会)”に由来。2010年11月より始動し、2012年にシングル「PPCC」でメジャー・デビュー。“全裸PV”やコシノジュンコ加入などで注目を浴びるが、2014年7月に解散。2016年7月に再始動。メンバートレードやシャッフルユニットなどを経て、2018年に再メジャー・デビュー。2チーム体制〈BiS.LEAGUE〉期、2019年5月の解散を経て、同年に“第3期”へ突入。

  • ライブを再開して、「KiLLiNG IDOLS TOUR」や「TO BE CONTiNUED WACK TOUR」で各地の研究員に会えるようになっていかがですか?
  • イトー

    やっぱりライブが好きだな、って。今の気持ちを届けることを自分たちが大事にしているのは変わらないです。
  • チャント

    ライブでしか届けられないものが絶対にある。実際にやってみて「やっぱりこれだよな」ってすごく思いました(拳を握りながら)。
  • トギー

    やっぱり嬉しい。一度ライブができなくなったからこそ、当たり前じゃない今日を大切にしようと思えるようになった。
  • ネオ

    無観客ライブが続いていたからこそ、お客さんに会えて一つひとつのライブを大切にしたいという気持ちはより強くなりました。
  • そしてリリースされるEPが『KiLLiNG IDOLS』です。その1曲目の「HiDE iN SEW」は、曲名も歌詞も曲調も、トギーさんがカタカナで乗りきったという英語詞も、第1期BiSの2013年の「Hide out cut」を踏襲していますよね。なぜ今、自分たちにそういう曲が与えられたと思いますか?
  • チャント

    第2期までの曲はパフォーマンスせずに、第3期の楽曲だけで活動はしているんですが、何期であろうと”BiSはBiS”なわけで、ちゃんと受け継いでやっているって、わかりやすいものができたかな。
  • トギー

    「こんなにいい曲あげているからまたがんばれよ」って言われているようですごく嬉しかった。「Hide out cut」はめちゃくちゃいい曲だから。
  • ネオ

    渡辺さんの内の内、本当は言いたくないんだろうな、ってことを英語で表現していて。この歌詞を私たちが歌うことに絶対意味がある。
  • イトー

    「渡辺さん大丈夫かな?」って心配になっちゃった(笑)。私たちの知らない部分を見た気がして。嬉しかったけど。


  • 「Hide out cut」のMVも見たと思うんですが、あの時代のボロボロになっていたBiSは、今のメンバーの目にはどう映りますか?
  • 全員

    難しい……。
  • トギー

    自分たちを重ね合わせることはなかった。第1期BiSにしかない魅力だと思います。
  • イトー

    当時のインタビューではそんなに仲良くなかった、みたいに書かれているけど、あのMVだけ見ると、なんだかんだみんなBiSを好きだったのかな、って。
  • そうですよね。2曲目の「COLD CAKE」は、またシングルCDがゲリラリリースされましたね。しかも、ジャケットがやはり第1期BiSを継承して全裸っぽい。結成した2019年にインタビューしたとき、チャントさんだけは「全裸はちょっと……」と言っていましたが、今回それっぽく撮影してみてどうでしたか?
  • チャント

    とりあえず親に「特殊メイクをしてアーティスティックな感じにしてもらえるから、ああいう感じとは違うよ」って報告はしました(笑)。ジャケットが出たら親も「いいじゃん!」って。
  • 他のメンバー

    あはは!
  • ネオ

    まず「モンちゃん大丈夫かな?」って(笑)。マリリン・マンソンのジャケット(『Mechanical Animals』)のオマージュ的なもので、近づけるのか不安があったけど、綺麗にしてくれて。
  • トギー

    「エッチなものじゃなくて、アーティスティックなものをやりたい」と言われたので、 「かっこいいやつだ!」って。
  • イトー

    真っ先に「あ、痩せなきゃじゃん!」って思って。ギリギリ間に合った(笑)。
  • 「COLD CAKE」のヴォーカルは、激しく歌うのはサビだけで、他のパートは完全にラップだし、今までになく緊張感がありますよね。
  • チャント

    「音程を気にしすぎず」って言われて。私自身この曲にめちゃくちゃハマっちゃって。私もこういう風に歌いたいな、って。
  • トギー

    滑舌が追いつかなくて。「あれ? 言えてなくない?」ってところが採用されていたり。
  • ネオ

    私は欅坂46さんの「エキセントリック」を参考にしてやっていました。
  • イトー

    松隈さんから私へのディレクションって、「エロかエロじゃないか」なので、今回は「ラップ部分はエロじゃない」ってだけ。自分は歌う時に感情を込めがちなので、その抜き加減は難しかった。しつこいかしつこくないか、みたいな(笑)。
  • 3曲目の「GOiNG ON」は、それこそGOING STEADYのような青春パンクを連想させますが、松隈さんと渡辺さんが書いた歌詞にさらっと「星が瞬く夜に」というBiSHの曲名が出てくるのをどう思いましたか?
  • チャント

    びっくりした(笑)。でも、違和感なくスッと入ってきた。いろんなグループにこのフレーズがあっても全然いいと思う。
  • ネオ

    同じく正直めちゃくちゃびっくりしたけど、一瞬のびっくりで。この「GOiNG ON」はBiSの曲なので。
  • トギー

    もともと松隈さんの仮歌に入っていたフレーズで。でも、私たちとしたら、普通の「星」としか思っていない。
  • 4曲目の「I ain’t weak maybe..」はネオさん作詞ですね。第3期BiSって、「終わらない悲しみ、でも前を向く」みたいなテーマが常にある気がするんですが、この歌詞はどこから湧いてきたものですか?
  • ネオ

    去年の10月後半頃に自分を助けるために書きました。採用された時は正直「どうしよう?」って気持ちもあって。まんま気持ちをさらけ出して書いたので、どう思われるか不安で。
  • 5曲目の「どっきゅんばっきゅん」はトギーさん作詞で、「脳内爆破」がキーワードになっていますね。自分たちで書いた歌詞について、メンバーで話すことはありますか?
  • 全員

    いや。
  • チャント

    歌詞だから言えることもたくさんあると思う。
  • トギー

    当時、周りの大人にブチギレていた私に「大人は信用しなくていいし、今ある社会が全てじゃないから、なんでも動き出せるし、変われる」って伝えたくて。今関わっている大人は好きですよ。BiSを良くするためにいろいろ助けてくれるから。
  • イトー

    本当にふたりらしい2曲。ネオがこんなに感情的な、一貫したものを出してくれたのは初めてで、今までは弱さをあまり見せなかった。トギーは始まった頃からこれくらい殺伐とした感情を持っていて、すごくいい。芯がないと、「絶対に許さない」という気持ちは書けないと思うから、それがすごく強みだと思う。
  • 最後の「つよがりさん」はSCRAMBLESの田仲圭太さん作曲ですが、こんなにピアノが前に出た楽曲はBiSとしてもWACKとしても珍しいですね。しかも、渡辺さんが書いた歌詞は全部ひらがなで、「たべなきゃいいんじゃない?」(2011年『primal.』)、「じゅもんとなえた」(2011年『太陽のじゅもん』)、「せかいかえるのむずかしい」(2011年『レリビ』)と、ここでも第1期BiSの歌詞が踏襲されています。こういうことは渡辺さんと話したりするんですか?
  • 全員

    ないですね。
  • 第1期を踏まえているということはプレッシャーですか?
  • トギー

    嬉しい。
  • チャント

    第1期BiSのことは私はあまり考えていなかったです。
  • イトー

    この曲もまた「渡辺さん元気かな……?」って(笑)。「普段絶対こんなこと人に言えなくない?」って言葉がすごく多かったので、すごく衝撃を受けた。
  • ネオ

    武道館がちょっと頭をよぎった。


  • 武道館と言えば、2020年2月3日の恵比寿リキッドルームで、武道館に行くと宣言してから約1年です。今、どのあたりまで来ていると感じていますか?
  • ネオ・チャント

    まだまだ。
  • トギー

    WACKではアユニ・DさんがPEDROとして立てたけど、でも、BiSHが立つのとBiSが立つのと全然違うから、難しい。どこまで行ったかと言われても、わからないくらいのところにいると思う。
  • イトー

    実力とかまだまだだとは思うけど、グループの目線はバラバラではないから、それは変わっていないな、って最近ツアーを回っていて特に感じる。一歩は踏み出せているのかな。
  • そうやって踏み出していくなかで、今回のEPはどんな人に届いてほしいですか?
  • トギー

    あと一歩が踏み出せない人の背中を押してくれる曲がたくさんあるので、どうか心に寄り添えたらいいな、って。
  • ネオ

    みんな一緒にいる、という感じがすごいするEP。ひとりじゃない、とにかく寄り添ってくれる曲が多い。支えになる曲があったらいいな、って思います。
  • チャント

    自分の中の言葉にできなかった部分を知れたEPで、今を大切にしたくなったので、聴いた人もそうなってくれたら嬉しい。
  • イトー

    Dragon Ashさんを好きな人が「まじ? 本当だ!」みたいになったり、全部曲調が全然違ったり、気になるきっかけになる曲が詰まっているので、いろんな音楽のファンにも広まればいいなと思います。

【取材・文:宗像明将】



■「thousand crickets/teacher teacher teacher」ライブ映像

■「LOVELY LOVELY」ライブ映像

tag一覧 J-POP EP ゆびィンタビュー 女性ボーカル BiS

リリース情報

KiLLiNG IDOLS

KiLLiNG IDOLS

2021年02月24日

日本クラウン

01.HiDE iN SEW
02.COLD CAKE
03.GOiNG ON
04.I ain’t weak maybe..
05.どっきゅんばっきゅん
06.つよがりさん

お知らせ

■マイ検索ワード

チャントモンキー
NIKE
スニーカーがほしくて。種類が多すぎてまだ決まっていない……。

ネオ・トゥリーズ
セブンイレブン 支払い 方法
モルカーのぬいぐるみ5個セットを買うのにセブンイレブンで支払いをしなきゃいけなくて。調べたけどまだ分かんない(笑)。

トギー
横浜アリーナ キャパ
自分が立ちたい会場の人数を覚えておかなきゃ、って。

イトー・ムセンシティ部
おもしろい資格
そんな資格が取れたらおもしろいな、って。気になったのが「キノコ検定」「あいさつ検定」とか。取ろうと思ったものは1個もなかったけど。



■ライブ情報

「KiLLiNG IDOLS」
REPRODUCTiON STREAMiNG LiVE

03/09(火)無観客ライブ


WACK TOUR2021
"TO BE CONTiNUED WACK TOUR"

03/17(水)Zepp Tokyo
w) BiSH/GO TO THE BEDS/Wagg

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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