結成10周年を迎えたSHE’Sの今――「追い風」からわかること

SHE’S | 2021.03.05

 バンド結成10周年、メジャーデビュー5周年のアニバーサリーイヤーを迎えたSHE’S。2021年第1弾シングル「追い風」(ドラマ『青のSP(スクールポリス) ―学校内警察・嶋田隆平―』の主題歌)も大きな話題を集めている彼らに、現在のバンドのモード、10周年を迎えた心境などについて語ってもらった。

――まずは2月22日に、みなさんの地元である大阪・吹田市で行われたライブSHE’S 10th Anniversary「From 19」について。10周年のキックオフ公演、手ごたえはどうでした?
井上竜馬(Vo/Key):いい雰囲気のライブができましたね。演出やセットリストを含めて、10周年の特別感があったと思うし。
広瀬臣吾(Ba):シンプルに「人(観客)がいてくれて良かった」と思いましたね。その前の大阪のライブ(昨年12月に開催した「SHE’S Tour 2020 ~Re;reboot~」ツアーファイナル公演)が急遽、無観客になってしまったので、余計に「やっぱりぜんぜん違うな」と。拍手もすごかったやん?
服部栞汰(Gt):うん。
広瀬:初めてライブで披露した「追い風」もイントロからすごい拍手で。10周年をいい形で迎えさせてもらえました。
服部:さっき竜馬も言ってましたけど、特別感があったんですよね。たとえばレーザーとか、足元のスモークもそうだけど、演出もすごくて。「ここからがんばろう」とスイッチが入ったライブでしたね。
木村雅人(Dr):10周年のスタートを地元で開催できたこともよかったし、初心に返るというか、「ここからまた始まる」という気持ちにさせてもらえて。
――ニューシングル「追い風」も、10周年のスタートを彩っていて。表題曲「追い風」は、アニバーサリーの始まりを意識して制作されたんでしょうか?
井上:いや、実はそうでもないんですよ。ドラマの主題歌のお話をいただいて、台本を読んで歌詞を紡いでいったので。“犯してしまった失敗とどう向き合うか、それを踏まえてどう生きていくか?”ということを考えながら書いたんですが、曲を聴いてくれた方から、そういうふうに言ってもらうことがすごく多くて。それも縁なんだろうなと思いますね。
広瀬:誰が聴いても共感できる間口が広い曲だと思うし、いまの世間の状況ともフィットしているなと。自分も励まされてますね、この歌詞には。たとえば無観客のライブのときって、若干ヘコむんですよ。でも、未来を見つめて進んでいかないといけないし、そういう瞬間に背中を押してもらえるので。
服部:歌詞のワードも強いんですよね。<誰の目も厭わずに咲き誇れ><降りしきる雨も背中を押すよ>とか。
木村:竜馬らしい歌詞だなって思いますね。無理矢理「がんばろうぜ」って言うんじゃなくて、失敗を受け入れたうえで、先に進んでいこうっていう。『Tragicomedy』くらいから、そういうイメージの歌詞が多くなってる印象があるんですよ、僕のなかでは。それがSHE’Sらしさにつながってるのかなと。
――より直接的なワードが増えている印象もありますね。
井上:以前からそこまで遠回りするような歌詞は書いてないつもりなんですけど(笑)、わかりやすい言葉選びは増えてるかもしれないですね。かといって、普遍的な言葉だけを並べてるつもりもなくて。「追い風」もそうなんですけど、感じたことをそのまま歌にして届けているので。
――煌びやかで力強いサウンドも印象的でした。バンドサウンドとエレクトロのバランスが絶妙だなと。
井上:イメージ通りのサウンドになりましたね。Aメロに関しては音の冷たさがほしくて、エレクトロを取り入れて。
木村:リズムは疾走感と重厚感を意識してましたね。2番のBメロはメロディと絡むようなドラムになってて。
広瀬:ベースに関しては、シンプルな演奏を意識しつつ、ところどころで気の利いたフレーズを入れるという感じですね。
――広瀬さんのベースライン、作品を重ねるごとに豊かさを増してますよね。
広瀬:昔とは比べ物にならないと思います。竜馬のやりたいことが増えて、曲調も広がってますからね。“弾くべきところは弾ける”ベーシストになりたいです。
――服部さんのギターソロもめちゃくちゃインパクトがあって。すごくロックだなと。
服部:この曲を制作してたとき、エディ・ヴァン・ヘイレンが亡くなって。どこかで追悼の気持ちを表したいと思ってたんですが、竜馬が「『追い風』のギターソロ、エディっぽく弾くのはどう?」と言ってくれて。音作りもプレイスタイルも、エディ全開でやらせてもらいました。ギターを始めた中学生の頃からずっと聴いてて、めちゃくちゃ影響を受けていて。自分のルーツもわかってもらえると思うし、ギタリストとして名刺代わりの曲になったと思います。
――ライブでの反応はどうでした?
服部:すごく良かったですね。手拍子もすごかったし、しっかり伝わってるのがわかって。
広瀬:ライブの映像を観ると、音源よりもだいぶロックでしたね。
井上:うん。ライブでやると、こんなにバンド感が出るんだなって。
――2曲目の「Mirai」は、“未来”に対する前向きなメッセージが伝わる楽曲。
井上:もともとCM(エネルギア・コミュニケーションズ 企業CM イメージソング)の為に作った曲なんですけど、“未来”がキーワードになっていて。未来って、見えないものだと思うんですよ。目を閉じて、“こうしていきたい”というものを想像するところから始まるのかなと。自分の中にある未来のイメージを思い返しながら書いた曲ですね。
――SHE’Sも“こういう存在になりたい”というイメージに向かって進んでいる?
井上:どうだろう? もちろん目標もあるし、“こういうことをやりたい”というものもあるけど、実際は目の前にあるもの、ちょっと先のことに向き合ってる感覚が強いかもしれないですね。
――なるほど。R&Bのテイストを取り入れたサウンドも素晴らしいなと。
井上:CMの絵コンテが日常を描いていたので、ほっこりしたサウンドがいいだろうなと思って。
広瀬:この曲は全編シンセベースなんですよ。R&Bやゴスペルっぽい曲でシンセベースが鳴ってるって、マイケル・ジャクソンみたいでいいなと思って。
服部:ギターに関しては、竜馬が伝えてくれたイメージを形にしていきました。日常的なあたたかさを感じる音色だったり、ブルースやジャズを取り入れたフレーズだったり。歌と掛け合いになってるギターも入れてるし、作ってて楽しかったですね。
井上:こういうリズムが跳ねてる曲って、SHE’Sではあまりやったことがなくて。ハッピーになりすぎない跳ね具合を意識してましたね。
――そして3曲目の「In Your Room」は、昨年の春に配信された“SHE’Sと過ごすおうち時間企画”「SHE’S Room」のなかで、ファンの皆さんと作り上げた楽曲。
井上:おもしろかったですね。主に歌詞のキーワードを送ってもらって、そこから組み立てていったんですけど、自分からは出てこない単語もけっこうあって。参加してくれた方も、自分たちの言葉が歌詞になるという経験は初めてだっただろうし、楽しんでもらえたんじゃないかなと。
服部:毎週、それぞれの家から配信していたんですけど、こういう新しいことができたのは良かったですね。曲を作る楽しさを実感してもらえたんじゃないかなと。普段、自分たちも同じことをやってるんですよ。竜馬から曲が送られてきて、少しずつ更新されていくので。
木村:曲を作る過程を共有できたし、いい企画だったと思います。レコーディングも楽しかったですね。「追い風」はパートごとに録音したんですけど、「In Your Room」は全員でせーの!で録ったので。ライブ感ある音源になりましたね。
広瀬:あの時期はすごく暇だったし、週に1回の配信が唯一の“笑う日”だったんですよ。曲を作れたことも嬉しいし、「こちらこそ楽しみをくれてありがとう」と言いたいです。
――メンバーのみなさんにとっても楽しい企画だったと。
広瀬:そうですね。キム(木村)の早口言葉、あの時期、いちばん笑いました(笑)。
服部:あれはおもしろかった(笑)。
木村:そう思ってもらえてよかった(笑)。
――最後に“10周年”について訊かせてください。結成から10年という数字については、どう捉えていますか?
井上:特別なことだとは思っていないんですよね、正直。関わってくれた方、支えてくれたみなさん、応援してくれた人たちに対してめちゃくちゃ感謝しているし、自分たちからも気持ちを伝えたいと思っていて。ただ、自分たちとしては“まだまだ”という感じだし、先を見て進んでいるので。
広瀬:うん。自分たちのことよりも、まわりの人たちに対する感謝が強いですね。みなさんにお中元を配る1年にしたいです(笑)。
――(笑)。メジャーデビューからの5年間についてはどうですか?
広瀬:すごく濃かったし、自分たちも変わりましたね。その前の5年は何をやってたんやろう?って思うけど(笑)。
井上:のんびりしてたな(笑)。メンバーのうち3人は大学生だったし、1年に1枚ミニアルバムを作るくらいだったので。デビュー後はバイトも辞めて、必死になって曲を作って……。メンバーのプロ意識も高くなりましたね。
服部:そうやな。もともとは友達同士だし、特に臣吾とは中学のときから一緒で。中学の同級生で、ここまで一緒にいるヤツなんて、他にいないですから。
広瀬:確かに(笑)。
服部:10周年を迎えたところで、さらに15年、20年と続けていきたいなと改めて思いましたね。
木村:10周年をいいムードで迎えられるのも嬉しいですね。“あのときは良かった”ではなくて、SHE’Sはいまがいちばんいい状況なので。
――5月8日には大阪情音楽堂、6月26日には日比谷公園大音楽堂で「SHE’S 10th Anniversarry「Back In Blue」」を開催。今年はさらなる飛躍の年になりそうですね。
井上:来年4月までは10周年イヤーなので、ワクワクしてもらえるようなことをいろいろ考えていて。アルバムの制作もやっていくので、ぜひ楽しみにしていてほしいですね。

【取材・文:森朋之】




SHE’S - 追い風【MV】(ドラマ「青のSP(スクールポリス)」主題歌)


SHE’S 6th Single『追い風』Trailer【2021.2.17 Release】

tag一覧 J-POP シングル 男性ボーカル SHE’S

リリース情報

追い風

追い風

2021年02月17日

ユニバーサルミュージック

01. 追い風
02. Mirai
03. In Your Room
04. 追い風 (Instrumental)

お知らせ

■ライブ情報

SHE’S 10th Anniversary
「Back In Blue」

05/08(土)大阪 大阪城音楽堂
06/26(土)東京 日比谷公園大音楽堂


Halo at 四畳半 presents
『ぼくらのウォーゲーム.Extra』

03/08(月)東京 TSUTAYA O-EAST

uP!!! SPECIAL LIVE HOLIC extra vol.5
supported by SPACE SHOWER TV <DAY2大阪(Acoustic Set)>

03/14(日)大阪 なんばHatch

FM NORTH WAVE & WESS presents
IMPACT ! XVII supported by アルキタ』

04/23(金)北海道 Zepp Sapporo

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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