KALMAが伝える「歌」が持つ力

KALMA | 2021.04.14

畑山悠月(Vo/Gt)、斉藤陸斗(Ba/Cho)、金田竜也(Dr/Cho)からなる北海道のスリーピース・バンド、KALMA。彼らが3ヵ月連続で配信シングルをリリースしている。2月はちょっぴり切ないメロディに力強いバンドサウンドが乗って聴く者の背中を押す「さくら」。3月31日には特別な存在に素 直な気持ちを朗らかなメロディで打ち明ける「親友」。4月14日には破裂しそうなほどの胸の高まりを本能的に音楽の中に閉じ込めたようなアップナンバー「恋人」を。曲を手がける畑山が、きっと今、伝えたいのは「歌」が持つ力なんだろう。ただ口ずさむだけで楽しい気持ちになれたり、本当の気持ちを伝えられたり、何とも言えない高揚感が味わえたり。閉塞感を感じることが多い今だからこそ、KALMAはラウドに音を鳴らし、大声で歌うんだ、そんな気持ちが豪快に伝わってくる3曲だ。今回は畑山へのソロ・インタビューでじっくりと語ってもらった。

――お元気でしたか?
畑山:はい、毎日ラーメン食べてたら、ちょっと太っちゃいました(笑)。ほら!(と横を向いてお腹のシルエットを見せる)。
――あはははは!今回、KALMAの3ヵ月連続配信シングルは「さくら」「親友」「恋人」と、すごくストレートなテーマでの曲が並びましたが、どういう経緯でこの曲たちはできていったんですか。
畑山:去年の春ぐらいから、毎月の楽しみとして連続リリースとかやりたいですねって話をスタッフさんたちとしていたんです。でもコロナ禍でなかなか曲を作れなかったこともあり、走りだしが遅かったんですけど。「さくら」は去年レコーディングして、その後に「恋人」、「親友」の順にできていきました。「さくら」を作った時にはこのタイトルは決まってなくて、マスタリング直前にメンバーで考えました。あえてたくさんの人が生み出してきている王道な桜ソングの中に食い込んでいきたかったし、これがKALMAなりの「さくら」だっていうのを見せつけたかった。その後で、何か2曲で対になるようなものが作りたくて「親友」と「恋人」を作っていったんです。
――最初にタイトルが決まってなかったのが不思議なくらい、「さくら」はKALMAならではの桜ソングになりましたね。
畑山:やっぱり桜の季節って人との別れが多いけど、この曲は最初から聴いてくれる人の背中を押す曲にしたかった。<思うがまま 大袈裟に/浮かべてみる イメージを>や<終わりがあるから 出逢う特別がある>とか、ずっと歌いたかったことが歌えました。<もう来ない日々は もう来ないわけじゃない>っていう部分も矛盾してるようだけど、コロナ禍でライブができなくて暗いことばっか考えちゃう時に自分たちにも言い聞かせている歌詞だし。レコーディングの直前でかなり書き直したんですけど、最終的にこの歌詞ができて良かったなと思いました。

――<愛する人や親友やいつかのあの人も みんな頑張ってる>なんて部分には、色んな人にメッセージを届けようとする視野の広がりも感じました。
畑山:そうですね。僕らのことを応援してくれる人のことも思い浮かべながら書きました。去年メジャーデビューしたけど、周りの友達からは会社やバイトをクビになったりした話も聞いていたので、この世界には色んな人がいるんだなと思ったし、余計に頑張らなきゃなと。自分には何ができるだろうと思って寝ないで曲作りしたりしていました。
――そうだったんですね。アレンジとしてはピアノの音が入ってるのもポイントですね。
畑山:ピアノを入れたら、より春っぽさが出るんじゃない?っていう提案がディレクターさんからあって。正直、めちゃくちゃ悩んだんですよ。この曲にはピアノを入れた方が切なさも出るし良いよって陸斗と竜也も言ってたんですけど、3人だけで演奏することも大事にしたいっていう気持ちもあって。でもその頃にバンドの先輩と話したら、「最初はライブで同期使うとかマジだせえと思ってたけど、入れたらライブが良くなるし、曲もそうだよ。でも曲を作ってる悠月が最終的に決めたらいいんじゃない?」って言われて考えて。冷静になって聴いたらやっぱり入れた方がいいなと思えたし、レコーディング当日に、入れるとしたらピアノは自分で弾きたいですって言って、アレンジャーの石崎光さんと一緒にピアノの前に座って弾いたんです。
――悠月くんピアノ弾けるんだ?
畑山:弾けないんですけどね(笑)、ちょっと練習したら弾けるくらいまでフレーズをバラしてもらったりして。石崎さんとふたりで弾いてみて、やっぱりこっちの方がいいなと思いました。入れるんだったら自分で弾きたいっていうのはこだわりでしたね。そんなわがままを言ったために深夜3時までかかりましたけど(笑)。

――その甲斐あってKALMAのバンドサウンドのひとつとしてピアノが入ってるという自然な、でもすごく効果的な演奏になったんですね。
畑山:「さくら」の制作はすごく手応えを感じましたし、この経験があったからこそ「親友」と「恋人」も良い状態で作れたと思います。
――「親友」と「恋人」は対になる2曲を書きたかったということですが。まず「親友」の曲作りはいかがでしたか。
畑山:友達の歌はよくあるけど、「親友」っていう特定の存在の歌ってなんだろうなって考えました。そこで、例えばどっちかが上京するから今までありがとねとかじゃなくて、側にいてくれてありがとねっていう曲を書きたいなと思ったんです。でも歌詞は悩みましたね。大好きな親友がいて、いつも一緒にラーメン食べに行くんですけど(笑)。そいつのことを歌える自信があったのに、いざノートを目の前にすると何も進まない。<ありがとね>って言葉も最初に思い浮かんだんですけど恥ずかしいなと思って。
――でも最終的には<ありがとね>を伝える歌になったと。
畑山:それが真っ直ぐな自分の気持ちだったので、それを歌わないでどうすんだ?って思ったんです。<「難しく考えんな。らしくねぇな。」>って実際に言われたわけじゃないけど、そんなことを言いたいんだなって感じることもあるし、僕もそいつに言いたいし。

――親友と肩を組んで歌ってるような姿が目に浮かぶようなサビですね。
畑山:そう、そのイメージは最初からあったんですよ。僕と親友だけじゃなくて、色んな人に伝わればいいなと思って書いたので、これも広まって欲しい1曲です。3人で話し合ってバンドの音もカッコ良く仕上がったし、2回転調するアレンジも気に入ってます。
――「恋人」は悠月くんの本能と曲が直結しているようなメロディが素晴らしくて。やっぱりこういう旋律や曲の構成って頭で考えてやれるもんじゃないよなあって思いました。
畑山:そうですね。この曲は難しいことは考えてなくて本能のままっていう感じは確かにあります。とりあえずチューしたいみたいな気持ちになったら、1回じゃおさまらないじゃないですか、チューしたいチューしたいチューしたいって思うじゃないですか。1回言うだけじゃ足りねえぞっていう感じをしつこいメロディにしてみました(笑)。
――<しかも唄の方が 想い伝わるから!>っていうのは普段から思ってることなんですか?
畑山:そうですね。僕は口下手で、こういう取材でも上手く説明できないし。友達や好きな人、色んな人と喧嘩したりした時に、何も言えないってわけじゃないんですけど、本当に思ってることが言えなかったりするんです。<だいすきさ君が>なんて気持ちも歌だからこそ伝わるかなって。
――メジャーデビューしてからの気負いとか、たくさん曲を作ってきた中でのスキルとかも当然あるわけじゃない?でも悠月くんはこの曲を本能のままに作った、その潔さがすごく良いと思うんですよね。
畑山:この曲を「いいね」って言ってくれて、レコーディングさせてくれた人たちが周りにいてくれて、恵まれてるなと思いました。自分としてはちょっと子供っぽいなというかIQ低いなと思ったんですけど(笑)。メンバーやライブに来てくれるような人たちが今、僕に書いて欲しい曲って多分こういう曲なんだろうなって、周りの反応を聞いて思ったんですよね。変に気負わず、この曲が作れて、結果的にみんなの期待にも応えられて良かったなって(笑)。
――レコーディングも順調だったということで、3人共良い感じで活動できているんですね。
畑山:そうですね。喧嘩するとしたら生活面ですよ!竜也がゴミを捨てないとか、だらしないとか(笑)。昔は陸斗が優しいから片付けてくれてたけど、最近は不満が溜まってるみたいで竜也に「これ捨てろよ」とか言って注意してます。そういうのも面白いですよ(笑)。
――この3ヵ月連続シングルを引っさげて、4月からは全国ワンマンツアーと、対バンツアーがスタートします。意気込みはいかがですか。
畑山:長いツアーになるので、めちゃくちゃ嬉しいです。これ以上、各地で美味しいものを食べて太らないようにしたいです(笑)。ツアー中は知らない土地を朝ランニングして痩せようかな!

【取材・文:上野三樹】

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