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更に強烈になった精度とパワー あべま東京ライヴ

阿部真央 | 2010.12.22

『阿部真央らいぶNo.2』2010.12.06@ZEPP TOKYO

 パワーも精度も大幅にアップした、これまで観た阿部真央の中で最高のライブだった。

 ツアー“らいぶNo.2”も終盤。バック・メンバーとのコミュニケーションも良く、ライブの運びの良さもピーク寸前にまで上昇している。今年いちばんの伸び盛り、その年末に阿部のライブがどこまで達しているのかを楽しみに足を運んだ。だが、阿部はそんな期待を軽々と越えてみせたのだった。

 バンドが先に出て爆音でノイズを鳴らす中、阿部はひとつにまとめた長い髪を揺らしながら現われた。オープニングは強烈なリズムの「マージナルマン」だ。これまではライブの中盤に、シーンをガラっと変える場面で使われてきたトリッキーなロックだ。それを1曲目にもって来るとは・・。開演前から熱くなっていたフロアが、一瞬にして爆発する。その爆発をさらに上回るエネルギーを、阿部は発している。気持ちの高揚と自信をこめて、阿部が「hah!」とシャウトすると、僕の背中に鳥肌が立った。

 「帰ってきたぜー」と、阿部が嬉しそうに叫ぶ。「一緒に歌ってくれますか」と「I wanna see you」を歌い始める。まるで彼女の今の気持ちを代弁するような選曲だ。ギターを置いてブルージーな「give me your love」、まぶしい光を放つ「ふりぃ」で、あっさり最初のピークがやって来た。阿部の激しさ、キュートさがたった4曲で伝わる。この日は初めて阿部のライブを観る人が多かったのだが、こんな素敵な初対面のアイサツをされたら、いっぺんに好きになってしまうのも当然だ。
 この後、一転してギターの弾き語りで「morning」「デッドライン」などを歌う。特に、ピアノに重実徹を迎えての、Zeppスペシャル・バージョンのバラード「側にいて」が素晴らしかった。

 構成としては、ラウドなロックのパートと、じっくり聴かせるコーナーがはっきり分かれていて聴きやすい。しかし、こうしためりはりの利いたセットリストの場合、1曲1曲の完成度がもろに問われるので、歌う側に高い力量が要求される。阿部はそれを見事にクリアしていた。だからオーディエンスはなんのストレスもなく、楽しい唄は楽しく、ヒリヒリする唄は痛く、曲のひとつひとつに彼女の輝く世界観を感じ取って、彼女との時間を共有することができたのだった。

 20歳にして、この精度は尋常ではない。僕は改めて阿部の成長力を実感した。この後、再びみんなで歌ったり踊ったりしながら楽しむ。最新シングル「19歳の唄」、定番曲の「伝えたいこと」などが、このツアーでこれまで以上に弾けるナンバーに変身していた。

 彼女はなぜ、これほどまでに精度を高めたのか?

 「楽しんでますかあ?みんなが“イェー”って言うと、“G”が凄い。圧力が凄い(笑)。これだけの人が同じ時代に生まれて、みんな右往左往しながら生きてきて、ここに来てくれた。出会ったことに感謝します。そんな気持ちを忘れずにいてください。いつか消えてしまうその日まで、生きていきましょう。みなさんにとって大事な唄になりますように」と、最後に「いつの日も」を歌った。このMCに込められた思いこそ、阿部の成長の原動力なのだ。

 アンコールを求めるオーディエンスの掛け声が愉快だった。ニックネームの「あ・べ・ま」と言った後、みんな拳を上げて「オー!!」と叫ぶ。つまり「あべまオー」なのだ(笑)。
 満面の笑みでステージに再び登場した阿部は、バンドと「ロンリー」、ひとり残って彼女のデビューのキッカケになった「母の唄」を歌う。「母の唄」を初めて聴く女性客の中には、娘から母へのストレートな愛情表現に自分の経験を重ねて、涙を流す人もいた。

 さらにアンコールを求める声が鳴り止まず、阿部がステージに戻ってきた。「みなさん、誰かを追い掛け回したいほど好きになったことはありますか?私はあります」と阿部が言うと、会場から「ひゅーひゅー」と明るい冷やかしの声が上がる。「さっすが東京。11ヵ所で、こういうノリは初めてです」と阿部が超ハイテンションで返す。そしてウキウキしながら「ストーカーの唄~3丁目、貴方の家~」。タイトルもすごいが、内容も爆笑ものの阿部ならではの可愛いラブソングに、会場が沸きに沸く。最後の1秒まで、楽しく充実したライブだった。

【取材・文:平山雄一】

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リリース情報

19歳の唄

19歳の唄

2010年11月03日

ポニーキャニオン

1. 19歳の唄
2. 逢いに行く
3. morning

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