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即日完売となったandrop初の全国ツアーのファイナル

androp | 2011.06.06

 明かされているプロフィールは基本的にバンド・ロゴのみ。『anew』(’09年12月)、『note』(’10年4月)、『door』(’11年2月)という3作品とわずかな本数のライブ―この春まで、ワンマンライブはわずか2本だった--だけで瞬く間に新世代バンドシーンの話題を集めているandrop。純粋に音楽の魅力だけで多くのファンを獲得しつつある彼らだが、そのパフォーマンス能力が未知数であったことも事実だった。しかし、初の全国ツアーながら全公演即日完売となった「one-man live tour“angstrom 0.3 pm”」のファイナル公演で、自らの音楽的ポテンシャルを十分に見せてくれた。

 環境音楽的SEが流れるなか、メンバーがゆっくりと登場する。それぞれの立ち位置に付き、一瞬、4人で顔を見合わせたあと、瑞々しさをたたえたギター・フレーズが響き渡る。さらに最新鋭のダンス・ミュージックを想起させるリズム・セクション、浮遊感と美しさを感じさせるボーカルが加わり、このバンドにしか体現できない音響世界が色鮮やかに広がっていく。宇宙的な広大さと内省風景をクロスさせたような映像を含め、ライブが始まってからわずか数分で、彼らは完璧に自らの表現を立ち上げていた。続いては強靭なスラップ・ベース(めちゃくちゃ上手い!)からスタートする「Colorful」。CD音源では緻密に構築されたアレンジメントと繊細なメロディラインがまず印象に残るが、ライブにおけるandropはかなり肉体的で、ロックバンドに不可欠なダイナミズムをきちんと体現している。しなやかで力強いグルーヴを浴び、オーディエンスも気持ち良さそうに身体を揺らしていた。

 「ツアーファイナルなので、全部出し切るつもりでやります。今日は自由に、最後まで音楽を楽しんでいってください」というMCの後は、andropのなかにある、カラフルで奥深い音楽が描かれていく。まず「Q.E.D.」ではギタリストがシンセを演奏、ギターレスによるエレクトロ・サウンドを奏でる。ダンス・ミュージックへの接近を試みるロックバンドは数多いが、アレンジにおける洗練の度合いとパフォーマンス性の高さという意味で、彼らのダンス・チューンは確実に群を抜いていると思う。
 また、新曲「Noah」に続いて披露された「Merrow」では、“歌”の世界観がしっかりと伝わってきた。”君の呼吸は眩しい色/月明かりに揺れては消えるの”。この最初のフレーズだけで、オーディエンスの頭のなかにはそれぞれの風景が浮かんできたはず。抽象と具象をバランスよく混ぜながら、あるイメージを想起させる。そんな機能を持った歌もまた、andropの大きな魅力なのだ。

 2度目のMCでは、「やっと報告できることがあります!」という嬉しそうな声に続き、9月21日に初めてのフルアルバム『relight』をリリースすること、さらにライブハウスツアーの開催を発表、会場中に大きな歓声が巻き起こる。この日のSHIBUYA―AXも当然のようにソールド・アウト。ほとんどメディアに登場しないこともあって、「生のライブを見たい」という欲求がさらに高まっていくのは間違いないだろう。

 ライブ後半では「Roots」「MirrorDance」という、このバンドの特性をもっとも端的に示す(と言っていいと思う)2曲が続けて演奏され、オーディエンスのなかで心地よい高揚感が広がっていく。ピュアな疾走感とでも形容すべきリズム・アレンジと透明度の高いサウンドのなかで“見せてよ/悲しい日々はこれでもう終わり”というラインが描かれていく「Roots」、そして、構築された美しさを軽やかに上昇していくようなメロディが共存する「MirrorDance」はいずれも、’10年代における理想のポップミュージックのカタチを実現していると言っても過言ではない。たとえばヴァンパイア・ウィークエンドの「Horchata」、ジェイムス・ブレイクの「UNLUCK」を初めて聴いたときのように、ポップ・ミュージックの概念が気持ちよく更新されていくような感覚がしっかりと伝わってくるのだ。これは本当に凄いことだと思う。

 アンコールでは「いろんなことがあって、これからもいろんなことがあると思う。いま、ここで生きている意味だったり、ここに立ってる意味だったり、こうやって出会えた意味だったり、いろんな意味があるけど、今日のことが明日からの何かの意味になったらいいなと思います」とコメント。最後に演奏された「March」における「いつかは消えてしまう/僕らは今を生きる/またねと手を振っても/ここから今始まる」という歌詞からはandropの精神性をまっすぐに感じられて、強く強く心を揺さぶられた。モダン・ロック、最先端のダンス・ミュージック、普遍的なポップセンスがひとつになったパフォーマンス、そして、“純粋に音楽によって繋がっていきたい”という意思が感じられるピュアな感性がひとつになった、素晴らしいライブだったと思う。

【撮影 RUI HASHIMOTO】
【取材・文 森 朋之】

tag一覧 androp

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リリース情報

door

door

2011年02月16日

ワーナーミュージック・ジャパン

1. MirrorDance
2. Alpha
3. Amanojaku
4. Puppet
5. Youth
6. Q.E.D.
7. Clover
8. March

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INFORMATION

■ライブ情報

♪one-man live tour
“kangstrom 0.4 pm”

◆2011年9月23日(金・祝)
【北海道】札幌BESSIE HALL
[問]ウエス
011-614-9999

◆2011年9月25日(日)
【青森】Quarter
[問]キョードー東北
022-217-7788

◆2011年9月27日(火)
【宮城】仙台darwin
[問]キョードー東北
022-217-7788

◆2011年10月2日(日)
【石川】金沢van van V4
[問]キョードー北陸チケットセンター
025-245-5100

◆2011年10月7日(金)
【東京】代官山UNIT
[問]サンライズプロモーション東京
0570-00-3337

◆2011年10月9日(日)
【愛知】名古屋Electric Lady Land
[問]サンデーフォークプロモーション
052-320-9100

◆2011年10月10日(月)
【愛知】名古屋Electric Lady Land
[問]サンデーフォークプロモーション
052-320-9100

◆2011年10月12日(水)
【兵庫】神戸VARIT
[問]キョードーインフォメーション
06-7732-8888

◆2011年10月13日(木)
【香川】高松DIME
[問]デューク高松
087-822-2520

◆2011年10月16日(日)
【広島】Cave-Be
[問]YUMEBANCHI
082-249-3571

◆2011年10月20日(木)
【福岡】DRUM Be-1
[問]キョードー西日本
092-714-0159

◆2011年10月22日(土)
【長崎】DRUM Be-7
[問]キョードー西日本
092-714-0159

◆2011年10月23日(日)
【熊本】DRUM Be-9 V1
[問]キョードー西日本
092-714-0159

※詳しくはホームページをご覧ください。

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