5月にメジャーデビュー!Heavenstampのワンマンライブをレポート!
Heavenstamp | 2011.06.15
今年の5月に「Stand by you - E.P.+ REMIXES」でメジャーデビューを果たしたHeavenstampが、Shibuya DUO -Music Exchange-でワンマンライブを開催した。初期衝動を体現する新世代のロックバンドとして注目を浴びている彼らの名前や音を耳にし、果たしてどんなバンドなのか、気になっている人も多いだろう。先に結論から述べると、彼らはフィジカルに感じられるリアルな楽しさを提示してくれるライブバンドであった。
Heavenstampは、それぞれ別のバンドで活動をしていたSally#Cinnamon(Vo&G)、Tomoya.S(G)、Shikichin(B)、Mika(Ds)の4人が集まり、09年に結成された。翌2010年12月には、早くも初の音源となる「Hype - E.P. + REMIXES」をインディーズからリリース。Myspace で彼らの刺激的でクールなサウンドを耳にしたイギリスの4人組ロックバンド、ブロック・パーティーのラッセル・リサックがリミックスで参加したことが大きな話題を呼んだ。ライブでは、ラッセルと彼の相棒であるジェイミーとともに新曲を製作していることを明かし、ワールドスタンダードなキラーチューン「Pops」を披露。前述のメジャーデビューEPは共同プロデュース作品となり、この日のライブでもラッセルはギターで参加した。国、言語も異なる彼らの共通点はなんだろうか。それは、彼らが常に、革新的な音楽を希求するラディカルさを持っているということだろう。
新しいサウンドを追究している彼らに音楽のジャンルは似合わない。例えば、Sallyによる男勝りなギターのカッティングからはじまる「Hype」には、ダンスロック的なタイトなビート、シューゲイザー的な轟音ギター、混沌のなかに隠された美しいハーモニーと、ハウスを思わせる開放的なメロディが内包されている。さらに、聴き手の心を突き破るように叫ぶ歌声には、激しい痛みの放出の果てに心地よい癒しを感じるという不思議な感覚がある。1曲だけでも様々なジャンルがハイブリッドに融合されている上に、ギターのフィードバックノイズによって、各曲が有機的に紡がれていくために、1曲ずつをひと言で説明するのは難しい。
ライブで披露された全11曲を受け取った聴き手は、様々な音楽の要素が足し引きされた、独特の世界観のなかで、いままでに見たことのない音像を感じたことだろう。UKロック直系のメランコリックさ、サイケデリックで分厚いギターサウンド、男女ヴォーカルが混じりあうことで生まれる甘くて暗い浮遊感、ニューレイブ、ディスコパンク、シューゲイザー、クラシック……。さらにこの日はラッセルがいたことで、バンドのボリューム感が増した印象を受けた。ともすれば、アート性やナイーブさが前面に出そうなところで、彼がロックバンドに必要なフィジカルさやパッションも与えてくれていたように思う。
バンド結成から2年足らずでメジャーデビューを果たし、既に数回のワンマンライブも成功させている彼らの未来に望む期待値は高い。UKロックのムーブメントを耳から入った情報ではなく、ラッセルらとのコラボでダイレクトにつながっている彼らが、これから日本でどんなムーブメントを起こしてくれるのか。と、あれこれ書いたけれども、彼らは先入観なしに、身体で楽しめる新しい音楽を奏でているのは間違いない。まずはとにかく、ライブに足を運び、天国で鳴り響いているようなダンスミュージックに合わせ、頭を空っぽにして、足を踏み鳴らして欲しい。その先には、希望の光に満ちた素敵な夜明けが広がっているのではないかと思う。
【取材・文 永堀アツオ】
リリース情報
セットリスト
- Hellfly
- Hype
- Wake up
- Pops
- I don’t wanna die
- Stamp your feet
- Waterfall
- LOVELESS
- Stand by you Encore
- Fog
- Morning glow