東日本大震災の復興を願い、“ap bank fes’11 Fund for Japan”開催。
ap bank fes | 2011.08.15
今回の“ap bank fes’11 Fund for Japan”は例年に増してその目的が明白だった。東日本大震災の復興を願い、収益のすべてを支援に充てるということと、何より、音楽を通して温かい気持ちを共有し、明日へとつなげていこうという真摯な志が、つま恋の会場に溢れていた。さらに仙台ではパブリックビューイングが行われ、全プログラムの同時生中継を各日約2000人の観客が鑑賞し、Salyu 、一青 窈、藤巻亮太(レミオロメン)らのアコースティックライブも行われた。
仙台から帰ったSalyuはつま恋の2日目に出演し、「仙台のお客さんから、みんな元気だよって伝えてくれって頼まれてきました」と、誇り高き伝言係の役目を果たした。人と人が、場所と場所が、気持ちと気持ちがつながっていくことを体感しながら歌うSalyuの歌は特別に澄み渡っていたように思えた。
出演者のだれもが、それぞれの思いを抱いてこのイベントに臨んでいた。MCに、選曲に、それがストレートに現れる。
「弱いところがあっても前に進んでいきたい」というmiwaの『つよくなりたい』、「シンプルに生きていくしかない」と決意する秦 基博の『水無月』、そして切々と複雑な気持ちを語った一青 窈は、中島みゆきの『時代』をカバーし、雄弁な存在となっていた。
言葉では多く語らずとも、歌詞やメロディ、Bank Bandとのミラクルなセッションで、内なるメッセージを鳴り響かせるアーティストもいた。真心ブラザーズはその筆頭と言えるかもしれない。真っ青な夏の空の下、『拝啓、ジョン・レノン』『どか?ん』など痛快なロックナンバーをつま恋の芝生に次々に投下していく。その潔さは愛に溢れ、『EVERYBODY SINGIN’ LOVE SONG』では会場が文字通り一つとなった。
ステージごとに色合いが変わっていくのがフェスの醍醐味でもあるが、2日日はそれを堪能できる1日だった。ナオト・インティライミはお祭り男たる肩書きを証明するかのように『カーニバる?』で28000本のタオルをスピンさせ、BONNIE PINKは「日はまた昇る、という詞を書きました。みんなに希望を持ってもらえるように」と『The Sun Will Rise Again』を歌う。歌詞の一部を自ら変えて今の思いを込めたのはトータス松本で、ハッピーな空気の中でピリッと風刺をきかせる。どこか忌野清志郎にも通じるスタンスが頼もしい。
ASKAは『廃墟の鳩』(ザ・タイガースのカバー)でこの時代の悲しみを歌ったが、ヒット曲『はじまりはいつも雨』や『SAY YES』のほか、このイベントがキッカケでできた曲『UNI-VERSE』も披露。大御所の貫禄を見せた。
猛暑の2日間を経て、曇り空ときどき雨降る3日目は、My Little Lover、Charaら、歌姫たちが次々に登場。Coccoは『歌う場所をありがとう』と、スカートで涙を拭きながら『絹ずれ』を。後半の部に登場した加藤登紀子は圧倒的な包容力で『Power To The People』を観客と大合唱した。
男性陣も個性派ぞろいで、「厳しい現実があるから音楽やパーティがある」とメッセージするRHYMESTERが強靭なビートに乗せた『そしてまた歌い出す』で言葉の強さを知らしめたかと思えば、学生服にギターを背負ったKANは自転車で登場(17歳の音楽の初期衝動をイメージしたらしい)、『愛は勝つ』で多いに盛り上がったあとの『すべての悲しみにさよならするために』で、再び私たちを現実に戻し、力強く背中を押してくれた。
そして小田和正はBank Bandが『沿志奏逢3』でカバーした『緑の街』を櫻井とともに歌い、その一つ一つの言葉と音は、つま恋に低く沈んだ雲に風穴を開けるかのような、鋭く強い光と化していた。
Bank Bandは“Great Artists”を強力にバックアップしつつ、『歌うたいのバラッド』『若者のすべて』『はるまついぶき』など、表情も豊かに、3日間にわたって音楽の夢と力を届けた。
“ap bank fes’11 Fund for Japan”では、ほかにも珠玉のカバーを聴くことができた。スガ シカオの『ファスナー』、スキマスイッチの『and I close to you』など、ゲストがMr.Childrenの曲を歌う場面も、このフェスならではのお楽しみの一つである。
さて、午後の強い日差しがステージにまっすぐ届く頃に登場するのは、さまざまな色を持ったバンドたち。1日目のレミオロメンは『雨上がり』『スタンドバイミー』『3月9日』など、太陽の光を若さで跳ね返すかのような楽しい選曲で観客を魅了した。
2日目のバンドアクトは、再結成されたJUN SKY WALKER(S)。まるでタイムマシンでやってきたかのような俊敏なステージングで、『歩いていこう』『すてきな夜空』『全部このままで』など、魅惑のセットリストでステージを駆け抜けた。
3日目、ポップもロックンロールも一手に引き受け、バンドの度量を見せつけたのは、the pillows。すさまじい音圧と迫力ある存在感に、つま恋の空気は一気に興奮していく。『空中レジスター』『この世の果てまで』など、塊となって届けられるメッセージをこの手にずっしりと受け取ったイメージ。
そして、3日間それぞれを締めくくったのは、Mr.Children。『and I love you』『いつでも微笑みを』『エソラ』と、やさしいきらめきに満ちた選曲が今年の彼らの姿勢をうかがわせる。中でも、復興支援というテーマを意識し「真っ先にやりたいと思った曲をお届けします」と紹介された『もっと』は、ゆっくりとじんわりと会場を包み込んだ。3日目の本編最後『innocent world』では大粒の雨が降りだしたけれど「これがいいんだよ、一緒の雨を浴びてるっていうのが」という桜井の言葉に観客はあっさり納得し、一体感はより強さを増していった。
アンコール。『かぞえうた』は何かを約束するかのように。微笑みを交わしながら。そして最後は出演者とともに『to U』を。壮大なスケールでありつつ、元気でねと手を振り合うような奇跡的な親近感で、いとおしい時間は終わっていった。さよなら。また明日。次へとつながっていくために。
【 取材・文:森田恭子 】
【 撮影:渡部 伸 】【 撮影:石渡憲一 】
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リリース情報
Bank Band with Great Artists Live&Documentary DVD「ap bank fes ’10」
2011年07月06日
トイズファクトリー
Bank Band : よく来たね
OPENING
Bank Band : カルアミルク
Documentary 1
FUNKY MONKEY BABYS:ちっぽけな勇気
Cocco:Raining
横山剣(CRAZY KEN BAND):タイガー&ドラゴン/生きる。
Documentary 2
Mr.Children:PADDLE/僕が僕であるために/I’ll be/しるし/声/Worlds end
Documentary 3
<Disc 2>
Documentary 4
THE BAWDIES :IT’S TOO LATE
Documentary 5
世界の終わり:<ダイジェスト>青い太陽/虹色の戦争/天使と悪魔/死の魔法/幻の命
lego big morl:<ダイジェスト>nice to/溢れる/Ray/バランス /space dive
Documentary 6
Salyu:新しいYES
KAN:よければ一緒に
ムッシュかまやつ:ゴロワーズを吸ったことがあるかい/バン・バン・バン
Documentary 7
レミオロメン:<ダイジェスト>Starting Over/雨上がり/スタンドバイミー/明日に架かる橋 /花鳥風月/Sakura /立つんだジョー
MONGOL800:<ダイジェスト>あなたに/Don’t Worry be Happy/ラッキー8/愛する花/face to face/神様/矛盾の上に咲く花/小さな恋のうた
フラワーカンパニーズ:<ダイジェスト>ロックンロール・スターダスト/恋をしましょう/元少年の歌/深夜高速/真冬の盆踊り
Documentary 8
GOING UNDER GROUND:ハミングライフ
エレファントカシマシ:今宵の月のように
Documentary 9
Bank Band with Salyu :to U
<Disc 3>
Documentary 10
スキマスイッチ:旅人
RHYMESTER:ラストヴァース
久保田利伸:LA・LA・LA LOVE SONG/LOVE RAIN~恋の雨~
Documentary 11
Bank Band:
有心論
ステップ!
遠い叫び
糸
煙突のある街
僕と彼女と週末に
ハートビート
若者のすべて
Reborn
歓喜の歌
奏逢 ~Bank Bandのテーマ~
ENDING
このアルバムを購入
セットリスト
Bank Band
- よく来たね
- ハートビート miwa
- don’t cry anymore
- つよくなりたい
- 441 MINMI
- シャナナ
- レクイエム
- ハイビスカス 秦 基博
- アイ
- 水無月
- 鱗(うろこ) Bank Band
- 歌うたいのバラッド Bank Band
- Drifter 一青 窈
- らぶれたぁ
- 時代
- ハナミズキ スカ シカオ
- 愛について
- はじまりの日
- ファスナー
- コーヒー 真心ブラザーズ
- 空にまいあがれ
- 拝啓、ジョンレノン
- どか~ん
- ENDLESS SUMMER NUDE
- EVERYBODY SINGIN’ LOVE SONG Bank Band
- 若者のすべて
- はるまついぶき
- 3. 奏逢 ~Bank Bandのテーマ~ レミオロメン
- 雨上がり
- 南風
- スタンドバイミー
- アカシア
- もっと遠くへ
- 太陽の下
- 3月9日 Mr.Children
- Dance Dance Dance
- Worlds end
- and I love you
- もっと
- いつでも微笑みを
- SUNRISE
- youthful days
- エソラ
- innocent world encore
- かぞえうた
- to U
- よく来たね
- ハートビート ナオト・インティライミ
- 今のキミを忘れない
- Brave
- カーニバる? Salyu
- 風に乗る船
- 新しいYES
- 青空 スキマスイッチ
- センチメンタル ホームタウン
- さいごのひ
- and I close to you Bank Band
- 歌うたいのバラッド Bank Band
- Drifter BONNIE PINK
- A Perfect Sky
- カイト
- The Sun Will Rise Again トータス松本
- 明星 ASKA
- 心に花の咲く方へ
- はじまりはいつも雨
- UNI-VERSE
- 廃墟の鳩
- SAY YES Bank Band
- 若者のすべて
- はるまついぶき
- 奏逢 ~Bank Bandのテーマ~ JUN SKY WALKER(S)
- 歩いていこう
- いつもここにいるよ
- 休みの日
- 青春
- すてきな夜空
- 全部このままで
- MY GENERATION Mr.Children
- Dance Dance Dance
- Worlds end
- and I love you
- もっと
- いつでも微笑みを
- SUNRISE
- youthful days
- エソラ
- innocent world encore
- かぞえうた
- to U
- よく来たね
- ハートビート My Little Lover
- 大切な贈り物
- 白いカイト
- Hello, Again ~昔からある場所~ RHYMESTER
- Just Do It!
- フラッシュバック、夏。
- そしてまた歌い出す Chara
- やさしい気持ち
- 才能の杖
- Swallowtail Butterfly ~あいのうた~ Cocco
- Heaven’s hell
- 絹ずれ
- 音速パンチ Bank Band
- 歌うたいのバラッド Bank Band
- Drifter KAN
- 東京熱帯SQUEEZE
- 愛は勝つ
- すべての悲しみにさよならするために 加藤登紀子
- 今どこにいますか
- Seeds in the fields
- Power to the people 小田和正
- 東京の空
- キラキラ
- 今日も どこかで
- 緑の街 Bank Band
- 若者のすべて
- はるまついぶき
- 奏逢 ~Bank Bandのテーマ~ the pillows
- インスタントミュージック
- Comic Sonic
- Funny Bunny
- 空中レジスター
- この世の果てまで
- Fool on the planet Mr.Children
- Dance Dance Dance
- Worlds end
- and I love you
- もっと
- いつでも微笑みを
- SUNRISE
- youthful days
- エソラ
- innocent world encore
- かぞえうた
- to U
Bank Band
Bank Band