大人のための夏フェス「Slow Music Slow Live 2011」。レポート、第1弾!
Slow Music Slow Live | 2011.09.27
『Slow Music Slow LIVE』は、毎年夏に東京・池上本門寺で行なわれている“大人のための夏フェス”だ。歌を大事にしているアーティストたちが、本門寺境内の五重塔の前でアコースティック編成でパフォーマンスする。バックヤードには趣向を凝らしたフードやドリンクのテントがいくつも並び、快適な野外ライブが楽しめるセッティングがなされている。
今年は初日の8月26日がゲリラ豪雨のため、残念ながら中止となってしまった。大貫妙子、ハンバートハンバート、コトリンゴという組み合わせに期待が集まっていただけに、スタッフは苦渋の決断。リベンジを誓ったのだった。
そして2日目からは、予定通り開催された。
8月27日は曇り空。夏の終わりらしい気温で、絶好のイベント日和になった。
Opening Actとして登場したのはPredawn。注目の新進女性シンガーソングライターで、非常にセンスのよいアコースティック・ギターの弾き語りが魅力。ニュアンスに富んだ柔らかい声に会場が釘付けになる。
Sotte Bosseは、ボーカルのCanaが出産したため久々のライブのせいか、後半に行くほど調子が上がってきて、ラストのストレートな愛のバラード「hello」で、完全復帰を印象付けた。
スウェーデンから参加してくれたのは、Maia Hirasawa。本格派のシンガーソングライターで、セミアコのエレキギターをざっくり掻き鳴らして歌う姿にスケールの大きな才能が見える。今後が楽しみなニューカマーに大きな拍手が上がった。
夏川りみは、鮮やかな島衣装で登場。石垣島民謡「あがろーざ節」のゆったりしたリズムが、オーディエンスの心と体を心地よく揺らす。
そろそろ日が暮れてきて、境内はすっかり涼しくなる。セットチェンジの間、オーディエンスはバックヤードでドリンクやフードを楽しんでいる。片手で持って食べられるピザとアイスコーヒーのセットが人気だ。その背後では節電のため休止されていたライトアップが本門寺の配慮で特別に実施され、五重塔が美しく浮かびあがる。
そんな中、BONNIE PINKが登場。大きな拍手が上がる。エレピとアコギを従えて、初のアコースティック・セットでの演奏だ。センターに座ったBONNIE PINKが、ハンドマイクでデビュー曲「Heave’s Kitchen」を歌い始めた。ソウルフルな歌声がシンプルな編成のサウンドに映えて、オーディエンスは聴き入る。都心の野外ライブだけに、大音量は出せない。だが、逆にアコースティック・セットだから実現したBONNIE PINKの初参加を、オーディエンスは歓迎している。また、BONNIE PINKも、いつもと違う雰囲気でのライブを楽しんでいるようだ。
「今、五重塔がライトアップされて、おいしい時間帯です(笑)。デビュー16年目に入って、以前の曲を新曲のように歌ってみたいと思ってセルフカバー・アルバムを作ってました」。そのアルバムに収録される新曲「The Sun Will Rise Again」を披露。このライブは、この秋リリースの彼女のニューアルバムを一足先に聴かせてくれる内容で、“BONNIE PINKの今”をヴィヴィッドに伝えてくれたのだった。
続く持田香織は、このイベントに3回目の出演。それだけに、会場やオーディエンスの落ち着いた雰囲気をよく分かっている。さて今回はどんなステージを見せてくれるのかと期待して待っていると、ピアノ、ギター、ベース、ドラムがフリーなインストを奏でる中、シックな黒のコスチュームで登場。いきなりジャズのビートで「Night Cats」を歌う。もっちーとお寺とジャズ。この絶妙のバランスに、観客は驚くとともに、“いつもと違うもっちー”を楽しんでいる。また、持田自身も楽しんでいるのが手に取るように分かる。普段とちょっとギアを替えた音楽にトライできるのも、『Slow Music Slow LIVE』の特長だろう。先入観にとらわれず、楽しんだほうが勝ち。持田は完全に主導権を握ったままライブを進める。だから余計に「これからも等身大で、いろんな人の力を借りながらやっていきますので、よろしく」という素直なコメントが心に響いたのだった。
この日のトリは、ORIGINAL LOVE。音楽センス抜群の彼らがどんなサプライズを用意しているのかと思ったら、ORIGINAL LOVEも斬新なアコースティック編成で登場。若干、緊張気味ながら、「サンシャインロマンス」などヒットチューンで飛ばす。ギター2本とウッドベースという穏やかな編成なのに、ロックを感じさせるのはさすがだ。その中心には、歌そのものにグルーヴを感じさせる田島貴男がいる。だからオールデイズ・ヒットの「恋の片道切符」をカバーしても、ORIGINAL LOVEの大ヒット「接吻」を歌っても体が動いてしまう。これぞ“大人の夏フェス”と言える、ダンサブルなアコースティック・ロックを堪能したライブになった。
【 取材・文:平山雄一 】
【 撮影:堀清英 】
セットリスト
Opening Act :Predawn
- Keep Silence
- Free Ride
- Tunnel Light
- Over the Rainbow
- Suddenly
- 太陽のキス
- はじまりのうた
- You are mine
- 遠く遠く
- ハナミズキ
- ガラス越しに消えた夏
- マンダリンパスタ
- hello
- The Wrong Way
- Mattis and Maia
- 太陽
- Fragile
- It Doesn’t Stop
- Gothenburg
- 丘の上で
- Star Again
- And I Found This Boy
- Boom!
- あがろーざ節
- 童神
- 愛よ愛よ
- 満天の星
- 涙そうそう
- 景色
- あすという日が
- 花アカペラ
- Heaven’s Kitchen
- A Perfect Sky
- The Sun Will Rise Again
- Look Me In The Eyes
- Tonight, the Night
- Night Cats
- 静かな夜
- A Dream Goes On Forever
- ’ Blood Stone Butterfly
- Bolero
- green
- サンシャインロマンス
- 恋の片道切符
- ふたりのギター
- 接吻
- 朝日のあたる道
- カミングスーン
- ジャンピン・ジャック・ジャイブ
- ボラーレ!
-
持田香織