Mr.Children、総動員42万ツアー終了!
Mr.Children | 2011.10.13
総動員数は、実に42万人。8月20日の広島ビッグアーチからスタートし、9月24、25日に宮城県 国営みちのく杜の湖畔公園風の草原でファイナルを迎えた、“Mr.Children STADIUM TOUR 2011 SENSE-in the field-”。
Mr.Childrenは、昨年12月にリリースした『SENSE』を携えたアリーナ・ツアーを2月から5月末まで行った。ツアー中に発生した東日本大震災。それを受けて復興支援のために急遽制作された「かぞえうた」の存在。必然的に「かぞえうた」はアリーナ・ツアー終盤の重要な楽曲となり、そこでバンドが確認した“音楽にできること”のリアリティは、7月の“ap bank fes’11 Fund for Japan”でのライブにも引き継がれ、そしてこのスタジアム・ツアーを迎えた。ここでレポートするのは、9月4日の神奈川 日産スタジアムのライブである。
この日、Mr.Childrenが体現したライブは、どこまでも6万5千人のオーディエンス一人ひとりに向い、まるで親密な対話を交わすように響いた。日産スタジアムという巨大な会場をスケールの大きなパフォーマンスや演出で飲み込むのではなく、桜井和寿(Vo&G)、田原健一(G)、中川敬輔(B)、鈴木英哉(Dr)、小林武史(Key)の5人で、色褪せることを知らない普遍性と強靭なポピュラリティを宿した楽曲の地力を会場の隅々まで浸透させていく。そんなライブだった。
1コーラスだけ唄われた「かぞえうた」からはじまったライブは、「Prelude」、「HOWL」という『SENSE』のなかでもフレッシュなポップネスが強く表出している楽曲へつながれていき、「未来」を挟んで、ふたたび『SENSE』の「I’m talking about Lovin’」へ。風通しのいいグルーヴが、夏の終わりと秋のはじまりのあいだを感じさせる夕刻の空気を潤わしていく。さらに「I’m talking about Lovin’」のアウトロからシームレスに橋渡しされた曲が「innocent world」だとわかったとき、オーディエンスから歓喜の声が上がった。
桜井の「自分にとって最高の夏を思い出して聴いてください」というMCを受けて久しぶりに披露された1993年リリースのシングル「Replay」から「君が好き」、「Mirror」、「蒼」と、徐々に深淵なムードが増していったラヴソング群とともに夜の帳が下りていった。
また、「君が好き」と「Mirror」のあいだに挟まれたメンバー紹介後のMCでは、桜井が「みんなに協力してもらって、最終日の宮城公演にプレゼントを持っていきたいんです」と提案した。「土から芽が出て、空に向かって高く伸びていく」モーションをオーディエンスが全身で表現。それが会場の隅から隅までバトンのように連鎖していく様子を桜井自身がハンディカメラで撮影した。
以降、「CENTER OF UNIVERSE」、「365日」、「ハル」、「ロックンロールは生きている」、「ニシエヒガシエ」、「Everything is made from a dream」、「風と星とメビウスの輪」、「HERO」、そして『SENSE』の核心を担っている「擬態」の流れは、人間が抱えている矛盾をあぶり出した上で、人間の尊さを見出していくメッセージ性を中心に据えながら、Mr.Childrenのロック・モード、ひいてはジャンルを超越した歌の力をあらわにしていった。
そして、本編ラストを飾ったのは、音楽を共有する喜びを至上のポップ・ミュージックに昇華した「エソラ」。会場全体が、忘れがたい多幸感に包まれた。
高らかに鳴らされた「fanfare」からはじまったアンコールが、またすばらしかった。イントロの時点でどよめきが起こった「星になれたら」と「Tomorrow never knows」。もう一度、今度はフルコーラスの「かぞえうた」。桜井による最後のMC。
「最後に、消えない希望と終わらない夢をこの曲に乗せて届けたいと思います」
そして、放たれた「終わりなき旅」。そのとき6万5千人の誰もが「これは、自分の歌だ」と本気で思ったに違いない。そう、Mr.Childrenというバンドの真髄が、そこにあった。
【 取材・文:三宅正一 】
【 撮影:石渡憲一・渡部伸 】
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