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lego big morl、熱く進化したツアーファイナルをレポート!

lego big morl | 2012.03.29

 レミオロメンの前田啓介をプロデューサーに迎えたニューアルバム「Re:Union」に伴う全国ツアー、最終日。アルバムのインタビューの際にヤマモトシンタロウ(B)が「このアルバムを作ってから、ライブも変わってきてるんですよ。”こなしてる”っていう感じがぜんぜんなくて、1本1本、すごく集中できているんですよね。スレ違いもなくなって、みんながちゃんと前を向いているというか」と語っていたが、その言葉通り、この日もlego big morlは驚くほどに充実したパフォーマンスを見せてくれた。鋭さとダイナミズムを併せ持ったバンド・サウンドのなかで、真摯にして切実なエモーションが充満したカナタタケヒロ(Vo,G)の歌が気持ちよく広がっていく??それはまさに、このバンドの本質そのものだったと思う。

 バンドの状態の良さは、オープニングの「素晴らしき世界」から伝わってきた。「Re:Union」の1曲目に収録されているこの曲は、タイトルが示すとおり、ポジティブな光をたたえたナンバー。大らかな広がりを感じさせるバンドサウンド、透明感と美しさを共存させたメロディ、そして、「試されているなら、この69億の生き物にまだ希望はあるのだろう」というラインが響き渡り、すべてのオーディエンスの感情をしっかりと揺り動かす。ライブが始まった数分。この時点で僕は、バンド全体の表現力は明らかに向上していることを確信した。

 さらにシャープな疾走感をたたえた「正常な狂気」が始まり、会場のテンションは一瞬にして上がっていく。緻密に構築されたリズム、意外性に満ちたアレンジも彼らの特徴なのだが、テクニックやアイデアだけが目立つこともなく、すべての要素がライブの高揚感へと直結している。これもまた、バンドの熱をそのまま表現することに成功した「Re:Union」の”成果”かもしれない。

 ライブ前半において、個人的にもっとも印象に残ったのは、ソウル・ミュージックのエッセンスが入った「雨のタクシー」だった。繊細なニュアンスを求められるこの曲を彼らはカンペキに血肉化し、豊潤なグルーヴとともに表現していたのだ。しっかりアイコンタクトを取りながらリズムを合わせていくヤマモトとタナカヒロキ(G)の姿も印象的。ライブの奥行きを演出するという意味でも、きわめて重要な楽曲だと思う。

 10曲をほぼノンストップで演奏したあと、最初のMCへ。「短いツアー(今回のツアーは全9本)だったけど、1本1本、充実したライブをやって、ここまで来れました。「Re:Union」を作って、”これを表現したい”という気持ちが加わって…」としんみり話したかと思うと、いきなり「音楽なんだから、考えてもしょうがねえ!後半も飛ばしていくぜ!」といきなりいきり立つカナタ。興奮、混乱、楽しさがごちゃ混ぜになったまま、エッジーなロックンロール「溢れる」へ突入、ライブは一気に頂点を迎える。シューゲイザー的な雰囲気と圧倒的な爆発力を共存させた「Flowers」、オーディエンスの大合唱が生まれた「Hit song crazy」(ギタリストのタナカヒロキが自分のコーラス・マイクを客席に放り込む!)、会場全体が快楽的なスピード感に包まれた「バランス」。ライブが進んでいくにつれて、ドラム、ベース、2本のギターがガッチリと噛み合い、先鋭性と大衆性を兼ね備えたアンサンブルが生き生きと響きまくる。lego big morlはようやく、自分たちだけのサウンドを手に入れつつある。そんな実感がまっすぐに伝わってきて、こちらまで嬉しくなってしまう。

 そしてカナタは、2度目のMCでゆっくりとオーディエンスに話しかける。音楽は聴く人の心をグッと掴むものであってほしい、と思っていること。「Re:Union」にはいままで以上の思いが込められていて、それに共感してくれた人がこんなにもいること。そして、「これからも前を向いて歩いていくと4人で話し合いました。だから、みなさんにもついてきてほしい」と。本編ラストに演奏された「Re:Union」における、「無くしたものはもう今は数えなくてもいいから/さぁ僕ら次の夢を数えてこう」というフレーズ、逞しさと力強さを増したカナタのボーカルはきっと、この場所にいた全員の胸にいつまでも刻まれるはずだ。

「ここに何も残したくないから、ドバーッと☆◇×○♯!(以下、意味不明で聞き取れず)」というカナタの煽りに導かれたアンコールでは「ダーリン」「OPENING THEME」という必殺のダンスチューンを連発、迸る汗とともに爆発的な盛り上がりを演出。さらにダブル・アンコールに応え「テキーラグッバイ」も披露。アルバム「Re:Union」で得た手ごたえをダイレクトに体現したこのツアーは、彼らにとっても大きな意味を持つことになるだろう。この先、lego big morlはこちらの想像を超えた進化を果たす。そんな予感がビシビシ感じられるステージだった。

【取材・文:森朋之】

tag一覧 ライブ 男性ボーカル lego big morl

リリース情報

Re:Union

Re:Union

2011年12月07日

ORS

ディスク:1
1. Re:Union
2. 素晴らしき世界
3. Fo(u)r rockstars
4. 雨のタクシー
5. Flowers
6. 正常な狂気
7. memento
8. Hit song crazy
9. さよならジャーニー
10. ダーリン
ディスク:2
1. space dive (STUDIO LIVE 2011)
2. 正常な狂気 (music clip)
3. Re:Union (music clip)
4. Flowers (STUDIO LIVE 2011)
5. nice to (STUDIO LIVE 2011)
6. 隣の少女と僕と始まり (STUDIO LIVE 2011)
7. FROM 12 TO 4 (STUDIO LIVE 2011)
8. Fo(u)r rockstars (STUDIO LIVE 2011)
9. ダーリン (STUDIO LIVE 2011)
10. ワープ (STUDIO LIVE 2011)
11. moonwalk for a week (STUDIO LIVE 2011)
12. Ray (STUDIO LIVE 2011)

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セットリスト

  1. 素晴らしき世界
  2. 正常な狂気
  3. moon walk for a week
  4. 所詮、僕は言葉を覚えたばかりの猿
  5. 雨のタクシー
  6. love light
  7. Fo(u)r rockstar
  8. space dive
  9. Ray
  10. 大きな木
  11. 溢れる
  12. シェイカー
  13. memento
  14. Flower
  15. ワープ
  16. Hit song crazy
  17. パーティーピーポー
  18. バランス
  19. Re:Union
ENCORE
  1. ダーリン
  2. OPENING THEME
ENCORE2
  1. テキーラ・グッバイ

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