みんながグルーヴし、1つになって大切なメッセージが届けられた、Rakeの赤坂BLITZの夜をレポ!
Rake | 2012.05.17
昨年リリースした『100万回の「I love you」』がUSEN J-POPで連続チャートインの日本新記録を樹立するなど、2011年“日本で一番聴かれている曲”として話題を集め、自身も注目のアーティストとなったRake。彼のデビュー後2回目となる全国ワンマンツアーが行われた。ツアーのタイトルは、5月23日リリースの両A面シングル「素晴らしき世界/大切な人」から取ってアレンジされた“WONDERFUL WORLD”だ。
ゴールデンウィークまっただ中の5月3日。外はあいにくの雨だったが、赤坂BLITZはその雨も蒸発させてしまうほどの熱気に終始包まれていた。
まずはオープニングアクトとしてソロシンガー・石崎ひゅーいがピュアな歌を届け、会場を充分にあたためた後、Rakeが登場。彼は、バンド・メンバーがスタンバイしたところで、仲間が集まる場所にやってくるように気負わない雰囲気で現れ、「ヘイ、ヘイ、ヘイ、ヘイ! みんな、楽しんでいこうね!」と明るく言うと、アコースティックギターを鳴らし、1曲目の「Drive on」を投下。フロアはこの勢いあるナンバーで早くも大きく揺れ始めた。
「こんばんは。Rakeです!みんなと会えるのを本当に楽しみにしてきました。一緒に踊って、一緒にグルーヴして、1つになって、外の雨も吹っ飛んじゃうくらい最高の時間を作っていきましょう。よろしく!」
短いMCを挟んだ後は、1stアルバムから「Twilight」「WEAK」。そして「Sunday Morning」ではオーディエンスと熱いコール&レスポンスを展開する。Rakeといえば『100万回の「I love you」』の印象が強く、ストレートでメロディックなポップチューンを歌うアーティスト、というイメージを抱いている人も少なくないかもしれない。もちろんそれも彼の一面ではあるけれど、それがすべてではない。特にこうやって生で彼の歌を体感すると、いかにRakeの音楽世界が幅広いかよくわかる。ファンキーだったり、R&Bやハードロック、アメリカンロック、時にスパニッシュな要素まで感じさせる曲たち。逆に言えば『100万回の「I love you」』をはじめRakeのポップチューンは、幅広い多様な音楽性の中からポップな要素がギュッとドリップされて出来上がっているから、奥行きがあり、深みもコクもあるのだ。
「このツアーが始まる前はずっとレコーディングをしていて、新曲がいっぱい生まれました。あとはみんなに届けるだけなんですけど、今回はCDとして届ける前に、ライヴでたくさん届けたいと思います」。そう言って、中盤以降は未発表の新曲も多数披露。心をほっこりさせてくれるあたたかいラブソング「真冬に咲いたオリオン」、夏の解放感にあふれたアップチューンの「HANABI」。「Town Beat」は「ツアーで行ったその町その町のことを歌いたいと思って作った曲」ということで、会場によってバージョンが変わるらしい。例えば、ここ赤坂BLITZなら「Town Beat東京バージョン」になる。歌う前にRakeが「“東京”って言うと何が思い浮かぶ?」とみんなに訊くと、フロアからは東京の名所が次々と挙がる。「スカイツリー!」「浅草!」「東京タワー!」。それらをアドリブで歌詞に入れ込んで歌うRake。ニューオリンズ・スタイルの弾けた楽曲と相俟ってなんとも楽しい。一部、“東京”と歌うべきところを思わず“仙台”と言ってしまい、Rakeの地元に対する愛の強さが再確認できた場面も(笑)。歌い終わってから「間違って“仙台”って言っちゃったよ。あ?びっくりした!」と苦笑いするRake。そんな正直で飾らない人柄も魅力で、みんな笑ったり、クラップしたり、パーティーのような盛り上がりとなった。
後半も起伏に富んだ構成で、じっくり聴かせたり、グルーヴしたり。多彩な楽曲と歌で魅了し、本編ラストは『100万回の「I love you」』。Rakeの歌に合わせて大きなシンガロングが起こり、最高にハッピーな一体感がそこに生まれた。
アンコール。バンドではなく1人で登場したRakeは、オーディエンス1人1人に想いを手渡しするように、新曲「大切な人」をアコギの弾き語りで丁寧に歌う。また、今年グラミー賞6冠を受賞したAdele(アデル)の「Someone Like You」をピアノの弾き語りでカバーしたりと、どこまでも見所が続く。そして再びバンドを呼び込み、最後を締めくくったのは、新曲の「素晴らしき世界」。この曲を放つ前に、彼はこんな話をした。 「生きていると……一生懸命生きようとすればするほど、震災もそうだし、仕事のことだったり、大切な恋人のことだったり、時にうまくいかないことが起きて、悩んで、1人泣いちゃったりすることもあると思う。でも自分で思っている以上にたくさんの人が自分のことを支えてくれていて、今日という1日があるんじゃないかなと思って。それを大切にしたいなって……」
そんな想いが込められた「素晴らしき世界」は、一言一言、力強い説得力に満ちていた。歌詞に説得力があるのは、それがRakeの嘘偽りのない実感から生まれた言葉だからだろう。
私たちの毎日は確かに、落ち込んだり腹を立てたりくじけそうになったりしながらも、誰かの言葉や笑顔に支えられて回っている。そうしてその連続の日々の中には、こんなふうにいい音楽を介してみんなで盛り上がって1つになれる至福の時もある。生きていくことは大変だけど人生って悪くない。なんだかそんなことまで思えたRakeのライヴは、それ自体が素晴らしき世界、WONDERFUL WORLDそのものだった。
【取材・文:赤木まみ】
リリース情報
セットリスト
- Drive on
- 輝く明日へ
- Twilight
- WEAK
- Sunday Morning
- 真冬に咲いたオリオン
- HANABI
- Town Beat
- フタリヒトツ
- 希望の歌
- YES or NO
- Freaky!
- 君へのLOVE SONG
- First Sight
- Right NOW!!
- Fly away
- 100万回の「I love you」
- 大切な人
- Someone Like You
- 誓い
- ただ会いたくて
- 素晴らしき世界
お知らせ
Rake TOUR2012 素晴らしき世界〜Now and Forever〜
2012/10/20(土)梅田クラブクアトロ
2012/10/21(日)名古屋クラブクアトロ
2012/10/23(火)Shibuya O-East
2012/10/26(金)広島クラブクアトロ
2012/10/28(日)福岡DRUM Be-1
2012/11/04(日)東京エレクトロンホール宮城 ※ホール公演
※その他ライブ情報・詳細はオフィシャルHPをご覧ください。