“歌を届けたい”そんな想いが強まった、Rakeのニューアルバム
Rake | 2012.07.19
Rakeから待望の2ndアルバム『WONDERFUL WORLD』が届けられた。ボーナストラックを含めた全13曲のうち7曲がタイアップ曲という超強力な本作は、ポップ、ロック、ファンク、レゲエのアプローチに、じっくり聴かせるスケール感あふれる曲まで、Rakeの多彩な音楽性と、その中心をまっすぐ貫く“歌”という軸が明確に提示されたダイナミックな1枚だ。しかもこの作品には、何度でも聴きたくなる中毒性も備わっている。
“歌を届けたい”--そんな想いが強まったというRakeに話を訊いた。
- EMTG:少し前の話になりますけど、赤坂ブリッツでのライヴ、すごく楽しかったです! Rakeさんにとって、あの全国ツアーはいかがでしたか?
- Rake:全国13ヵ所というのは僕にとって今までで一番大きな規模で……去年震災があったから余計に思うのかもしれないですけど、ツアーを周れる喜びだとか、音楽に応えてくれるみんながいる喜びっていうのを感じながら周ったツアーでしたね。あと、今回の2ndアルバムに入る新曲を、レコーディングする前にみんなに聴いてもらうっていうのがあのツアーの1つのテーマでもあったので、それを実践して、こうやって2ndアルバムができたっていう点でも、意味のあるツアーだったなと思ってます。
- EMTG:ということは、今回のアルバム『WONDERFUL WORLD』のレコーディングは、ツアー後に行われたんですか?
- Rake:全曲ではないですけど、何曲かはツアー後です。一般的にはアルバムを作って、リリースして、それを持ってツアーを周るっていうのが日本のスタンダードなのかもしれないですけど、僕はずっとライヴハウスとか路上でやってきた人間なので、曲ができたらまず生でやって、みんなの反応を確かめながら曲をブラッシュアップさせていってレコーディングに臨むっていう方が自然なんですよ。それで今回、そういうやり方でやって、レコーディングもいいフィーリングで出来ましたし、ボーナストラックも含めて全13曲、いろんなテイストの曲を入れつつ、13曲の中に“Rakeの歌”っていう1本しっかりした軸を貫通させられたので、できあがった時にはホッとしたし、すごく納得のいく1枚になりましたね。
- EMTG:今“いろんなテイスト”という言葉が出ましたけど、本当に幅広い楽曲がそろったアルバムになりましたよね。例えば「Right NOW」のようなファンキーな曲があったり。
- Rake:ギターのカッティングが気持ちよく鳴ってて、ちょっとロックでソウルフルな歌っていうのは、僕の一番好きなところなんです。だから、あの曲の着地点はすぐに見えましたね。
- EMTG:ちなみに、その「Right NOW」の歌詞は半分ぐらい英詞で、言葉の響き自体ファンキーな印象を受けたんですけど……Rakeさんって留学の経験があるんでしたっけ?
- Rake:はい。でも英語は留学で身につけたというより、小さい頃からわりと慣れ親しんでいたんですよ。うちのおじいちゃんが英語に精通してる人で、そのおじいちゃんと一緒に毎日夕方6時からNHKの英会話入門のラジオ講座を聴くっていうのが日課だったんです。当時はイヤだったんですけどね。もっと友達と外で遊んでいたいとか思って。でも今振り返ってみると、おかげで英語が好きになったし、音楽にもこうやって活かせたりして、おじいちゃんに感謝だなって。
- EMTG:おじいちゃんは今もご健在なんですか?
- Rake:いや、93歳で亡くなりました。でもほんとにファンキーでブッ飛んでるおじいちゃんで。僕が家族の中で一番そのおじいちゃんに似てるって言われてます(笑)。
- EMTG:なるほど、いいお話でした(笑)。で、また話をアルバムに戻すと、「HANABI」はキラキラとしたロックチューン、「Town Beat」はセカンドビートのパーティーチューン、「Smile Song」はレゲエ・アプローチの曲だったりして。
- Rake:はい。そうやっていろんなアプローチに挑戦できたのは、自分の中でようやく“歌”っていうブレないものが見え始めてきたからかなって。逆に、一本の強い芯がないまま、あれもこれもってやると、“この人何がやりたいんだろう?”ってなっちゃうと思うんですよ。でも今回は、そうはならないっていう自信もあったので。
- EMTG:あの、前にインタビューさせていただいた時、Rakeさんはもともとバンドでギターを弾いていて、そこが出発点だから、歌に対してはいまだにコンプレックスがあるとおっしゃってましたが……。
- Rake:そうそう、そうなんですよ(笑)。1stアルバムの時とか、まだ結構ギターに重きを置いていて、歌もどう歌っていいかわからないところがあったんです。でも去年一年間たくさんライヴをやって、いろんな経験を重ねていく中で、“自分は歌ってる人間なんだ”っていう自覚が出てきたというか。
- EMTG:その自覚はどういうことから出てきたんでしょう?
- Rake:オーディエンスのみんなが“この歌のこういうところに共感しました”って言ってくれて、”みんな歌をすごく聴いてくれてるんだな…”と思ったり、音楽仲間と話す機会も増えて、“Rakeの歌い方はこういう特徴があるよね”みたいなことから、“歌”というものをより意識するようになったり。あと、去年の震災後、初めてライヴをやった時、自分で作った曲なのに歌詞が自分にとってリアルすぎて、歌えなくなっちゃったことがあったんです。
- EMTG:今作にも入っている「希望の歌」ですか?
- Rake:そうです、そうです。で、涙が止まらなくなっちゃって。正直、”これは後でみんなにツッコまれるだろうなぁ…”と思ってたら、終演後、シビアにジャッジする媒体さんたちが「俺も泣いた」「俺も泣いた」って言ってくれて。その時、僕の兄貴も来てたんですけど……兄はレコーディング・エンジニアをやってるんですよ。つまり音楽のプロで、しかも身内じゃないですか。だから、”兄ちゃんには相当ツッコまれるだろうな…”と思ってたら、その兄までもが「あれは<The Music>という感じで良かった」って言ってくれて。僕にとってその出来事は<事件>だったんですよね。何か価値観がひっくり返るほどの。それまでは音程正しく、リズム正しく、自分の思い描いている歌を歌いたいって、技術的な部分に頭がいきがちだったのが、”いや、歌というのはそうじゃないんだ!!”と。もちろんプロとして技術を磨くのは大事だけど、それ以上に大切なのは、その先にある<届ける>ということなんだ、と。
- EMTG:なるほど。そういういろんな経験を経て、歌に対して自覚的になってきたと。
- Rake:そうですね。“歌を届けたい”っていう想いはどんどん強くなってきています。
- EMTG:だから今作も、これだけ多彩でありながら全然ブレずに、歌がまっすぐ届いてくるんでしょうね。
- Rake:ほんとにそれが嬉しくて。アルバムができた時、すごく嬉しかったです。
- EMTG:デビュー3年目の今年は“これがRakeの音です!”っていうものを提示したいって、これも前におっしゃっていたことですけど。ではアルバムが完成した今、今作がそういう作品になったという思いは?
- Rake:そうですね……間違いなくこれまでやってきたことがいっぱい詰まったアルバムになったなと思っています。いろんなアレンジやリズムでのアプローチをしていく中で、もっともっといろんなことがやれるなっていうことも感じたので。ちょっと生意気かもしれないですけど、Rakeはまだまだ攻めるよ!って。
- EMTG:おっ、「攻めるよ!」宣言が!!(笑)
- Rake:今年が始まる前は、ある種、”三年目の集大成みたいな音が出したい”って思ってたんですよ。でも実際始まってみたら、”まだまだ発展途上でいいじゃん”って思えるようになったというか。<これがRakeです>なんて言うのはまだまだ早くて、自分でももっと自分に期待したいし、みんなにも期待しててほしいし、音楽に期待していたい自分もいるし。そういう感覚の方が今は強いかもしれないですね。
【取材・文:赤木まみ】
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もともとスポーツが好きで、走るのも前から好きなんですけど、最近はマラソンにもチャレンジしたいなと思っていて。それで、走るフォームも含めて“ランニング”を検索しました。実は今日も走ってきたんですよ。皇居の周りを2周。10キロを1時間で走ろうって自分で決めて。すごく疲れました(笑)。でもランニングなら旅先でもできるし、ライヴのための体力作りにもなるし。だからちょっと頑張ってみようかなと。そして頑張って、ホノルルマラソンにも挑戦したいなって、スタッフと今たくらんでるところなんです(笑)。
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※その他ライブ情報・詳細はオフィシャルHPをご覧ください。
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