昨年のリリース以来、多くの人に聴かれ続け、配信で150万ダウンロードを突破した『100万回の「I love you」』。その作者であり、歌っているのがこの人、仙台在住のシンガーソングライターRakeだ。あたたかみのある歌声で、想いをまっすぐに伝える。そんな彼が待望の新曲「フタリヒトツ」をリリース。『100万回の「I love you」』の先にあるストーリーを描いたという本作は、永遠の愛が込められた優しく力強いラブソング。また、東日本大震災で被災した2週間後に生まれたというカップリング曲「希望の歌」は、聴き手の心を突き動かすパワーソングになっている。Rakeの今作へ込めた想い、そして彼の意外な告白（!?）もお届けする。

EMTG：「フタリヒトツ」は、いつ頃に作られたんですか？

Rake：去年の8月ぐらいですね。去年『100万回の「I love you」』という曲を色々なところで歌っていく中で、例えば“大切な人に贈りたい”とか、“結婚式で使いました”とか、いろんな声をいただいて、逆に僕自身、エネルギーをいっぱいもらったんです。で、じゃあ『100万回の「I love you」』の先にあるストーリーも歌ってみたいな、と思って書いたのが、この「フタリヒトツ」だったんです。

EMTG：“二人星になるまで ずっと”というフレーズがすごく印象的でした。この曲は“永遠の愛”がテーマですか？

Rake：全然違った環境で生きてきた二人が出会って、一緒に一つの人生を生きていこうと思えるのって、奇跡的なことだと思うんです。ただ、僕らの人生には必ず終わりが来る。しかも大切な人と同時に人生が終わるわけじゃなくて、自分が先に逝くかもしれないし、大切な人が先に星になってしまうかもしれない。それでも大切な人の存在はずっとずっと自分の中に生き続けるという意味合いから、そのフレーズが生まれてきたんです。

EMTG：この曲もそうですが、Rakeさんの歌詞は、ストレートなところが良いですね。

Rake：それしかできないですから（苦笑）。でも、音楽は気持ちよくノれるものであってほしいので、あんまりこねくり回したくないっていうのはありますね。

EMTG：ちなみに性格もストレートな方ですか？

Rake：だと思います。ただ、東北の人間なんで……なんて言うんでしょう？

スタッフ：オープンシャイみたいな？

Rake：そうそう。オープンなんだけどシャイ。オープンシャイなんです(笑)

EMTG：新しい言葉ですね、オープンシャイ(笑)。

Rake：(笑)だから、嘘とかもつけないタイプだと思います。

EMTG：ああ……その嘘のない感じは声にも出てますよね。私は初めてRakeさんの曲を聴いた時、まず声がいいなと思ったんです。Rakeさん自身は、ご自身の歌声をどう思われますか？

Rake：う?ん、声ねぇ…。僕は元々、ギターが好きで、高校の時もバンドでギターを弾いてたんです。その後バンドが解散しまして、歌い手を探したんだけど、”これだ！”と思える人と出会えなくて。だったら一回自分で歌ってみようか、と。そこから歌うようになったんです。だから、ギター歴に比べて歌歴の方が短いので、実は歌にはコンプレックスがあるんです。

EMTG：えっ、本当ですか？まったくそんなこと感じさせない歌声ですが。

Rake：もちろん今は、みんなが「いい」と言って下さることもあり、若干自分の声に自信を持てるようにはなりましたけど。でも基本、自分の作った曲に追いつこうと、今でも歌はかなり必死です(笑)。それこそいつも必死で練習してるほど。ちょっとカッコ悪い話ですけど(笑)。

EMTG：いえいえ。全然カッコ悪くないです(笑)。でも意外なお話でした。話変わり。カップリングの「希望の歌」……これは東日本大震災で被災された直後に作った曲だとか。

Rake：そうですね、震災の2週間後ぐらいに作った曲です。僕、震災前は毎日のようにギターを手にしていたんですよ。でも震災後、ガスも電気も水道も止まって、ギターを持つことすら忘れてて。もう、何が起きたのかもわからないというか……悲しいし、悔しいし、しかもその頃はまだ毎日のように揺れてたから、怖いし。ずっとパニックみたいな状態で。でもそういう中で、自分を取り戻すためにギターを鳴らしてみたんです。その時の目の前に映ってる景色とか、心に生まれたぐちゃぐちゃな感じを、リリースとかに関係なく、一回全部吐き出してみようと思ったんです。そんな中で生まれたのがこの曲ですね。

EMTG：非常にリアルで、それだけに強く想いが伝わってきて、感動しました。

Rake：最初は自分を取り戻すために書いた曲なんですけど、今は、夢に向かおうとしてる人や、誰かの背中をちょっとでも後押しできる曲になるといいなと思ってます。聴いた人がポジティブな気持ちになってくれると嬉しいですね。

EMTG:あの、Rakeさんは今も仙台に住んでらっしゃるんですよね？

Rake：はい。仙台という町の空気感が自分には合ってて、すごく暮らしやすいんですよ。町そのものも健康的だし、人も優しくて、オープンシャイだし(笑)。

EMTG:じゃあ、これからも仙台を拠点に音楽を発信していこうと？

Rake：そうですね。で去年、本当にたくさんの皆さんに支えらえられて音楽をやれてるんだなってことを実感して、感謝の1年だったので、今年は僕がそういうエネルギーを届ける番かなと思っていて。あと、今年は僕、デビュー3年目なんですよね。右も左もわからない1年目があって、『100万回の「I love you」』を聴いてもらった2年目があって、そして今年が3年目。だから今年は“これがRakeの音です！”と、胸を張って言えるような3年目にしたいし、そういうライヴをたくさんやっていきたいなと思っているんです。

【取材・文：赤木まみ】