毎年恒例の夏イベント“SOUL POWER TOKYO SUMMIT 2012”の模様をレポート
SOUL POWER | 2012.07.31
恒例の夏イベント“SOUL POWER TOKYO SUMMIT 2012”の開幕だ。東京国際フォーラムのエレベーターを上がると、正面ロビーにゴールドのストラトキャスターが飾ってあった。それは去年、亡くなった柳ジョージの愛用ギターで、「10代でロックを教わり、20代でR&Bを、そして50代でブルースを教えてもらった」という鈴木雅之のコメントが添えられていた。このイベントに2009年に出演した“ソウル・レジェンド”柳ジョージ氏に贈るリスペクトは、SOUL POWER SUMMITの精神をよく表わしていてライブへの期待が高まる。
トップバッターは、その鈴木雅之だった。チェックのジャケットで登場し、コケティッシュなアクションを決める。バックバンドのロック・テイストの濃い演奏に、オーディエンスは立ち上がってハンドクラップ。槇原敬之の名曲「SPY」のソウル・アレンジ・カバーからスタートだ。
「ようこそ、みなさん。私が、そう、ラブソングの王様、鈴木雅之です。今回は第7回目。そして私、鈴木雅之が前座でございます。なかなかいないよ、こんな前座。楽屋から出て来るときに、後からでる方々に『あっためときますから』って言っときました」と挨拶したから、会場は大笑い。一気に鈴木のエスプリの利いたソウル・ワールドに引き込まれていく。
ミラーボールが回って、“お姉ちゃん”こと、鈴木聖美がステージに入ってくる。「星空のふたり」から「ロンリー・チャップリン」へ。さすがに姉弟だけあって、瓜二つのビブラートが快い。確かに、こんな前座はいない。非常に洗練されたソウルショーに、身体の芯まで酔っていく。
途中、大阪のブルース・レジェンド“憂歌団”のギタリスト内田勘太郎が加わって、憂歌団の傑作「10$の恋」や柳ジョージの「青い瞳のステラ」で見事なスライドギターを披露する。また鈴木の盟友、桑野信義がジョイントしてモンゴル800の「小さな恋のうた」をデュエットする。選曲も演出も素晴らしく、会場は宣言どおり、あったまった。
ここからは、若手シンガー2人が短いステージを務める。May J.はゴージャスなコスチュームで4つ打ちのダンス・チューンなど3曲を、松下優也は芝居の舞台から駆けつけて、キレのいいダンスとともに「Trust Me」など2曲を歌った。
そしてゴスペラーズの出番だ。鮮やかなグリーンのスーツで「Are you ready for the party?」と叫びながら入ってくる。「シークレット」を歌った後、黒沢薫が「僕らも楽しみにしてました。最後までよろしく。まず一度、座りましょう」と促して、May J.とのセッションが始まる。今年、急逝したホイットニー・ヒューストンのバラード「Saving All My Love For You」をMay J.が思い入れたっぷりに歌い、フィフス・ディメンションのカバー「Up,Up And Away(feat.May J.)」では6人の爽やかなボーカル・パフォーマンスが光る。続くゴスペラーズのニューシングル「It`s Alright ?君といるだけで?」は、EMTGのインタビューで言っていたとおり、クールなハーモニーで“暑苦しいSOUL POWER SUMMIT”に、一陣の涼風を吹かせたのだった。ま、さすがに新曲らしく、途中で黒沢がちょっと歌詞を見失うアクシデントがあったが(笑)。
トリはSkoop On Somebody。ラッパーのH-SLANGSをフィーチャーして「On & On」、バラードの「sha la la」で得意のソウルフルなエンターテイメントを開始する。
「俺たちSkoop On Somebodyは、みなさんのお蔭で15周年を迎えました。そして、イベント始まって以来、初めてのトリでございます。長い待ち時間、やっとマーチン(鈴木雅之)さんの気持ちがわかりました。ゲストのフレッシュな若手、いつまでもフレッシュなベテランが出まして、みなさん、2時間、立ちっぱなしですが、ここからはメローなナンバーをお届けします。やっと念願かなって初出演のアーティストを紹介します。川畑要!」とボーカルのTAKEが呼び込む。そしてTAKEと川畑が交代でリードボーカルを取った「STOP」が素晴らしかった。
「初参戦になります。ずっとお誘いを受けていて、ようやくここに来れました。緊張してます。昨日、10月にソロ・デビュー決定の発表をしましたが、その一発目としてこんな素敵なイベントに出られて嬉しいです」と川畑。大きな拍手が上がった後、後半はSkoop On Somebodyのメローでセクシーなトリにふさわしいショーになった。
いよいよSOUL POWER SUMMITのハイライト、アンコールだ。今年はどんな趣向が待っているのだろう。
まずは黒いスーツに真っ白なグローブをした5人、そう、ラッツ&スターとゴスペラーズの混成グループ“ゴスペラッツ”の登場だ。テンプテーションズの名曲「Papa Was a Rollin`Stone」でその隠れた(失礼!)実力を見せつける。
「みなさん、ゴスペラッツです。第1回目に登場して以来、3回目、5回目に登場して、考えてみれば奇数回ばかり」(鈴木)
「どっかでひっくり返さないと、10周年に出られないじゃないですか」(ゴスペラーズ村上)
「大丈夫です。サプライズで出ますから(笑)。今回のアンコールは最高…はたまた自己満足で終わるのか?! 気分はディスコです」(鈴木)
始まったのは、伝説のテレビ番組「ソウル・トレイン」の再現だった。ダンス☆マンが伝説の司会者ドン・コーネリアスに扮し、“ソウルパワー・ギャング”のダンサー達が、たとえばMay J.が歌うシックの「Good Times」に合わせてステージ狭しと踊りまくる。まさにディスコの楽しさだ。途中、武田と哲也の小芝居をはさんだり、ソウル・ミュージック・カルチャーの楽しさにあふれたこてこてのイベントは、3時間をゆうに超えて盛り上がったのだった。
【取材・文:平山雄一】
セットリスト
鈴木雅之
- SPY
- 星空のふたり (w/鈴木聖美)
- ロンリー・チャップリン (w/鈴木聖美)
- 10$の恋 (w/鈴木聖美、内田勘太郎)
- 青い瞳のステラ (w/鈴木聖美、内田勘太郎)
- 小さな恋の歌 (w/桑野信義)
- Endless love,Eternal love (w/桑野信義)
- 夢で逢えたら (w/桑野信義)
- Rainy Day
- Rainbow
- Garden
- Naturally
- Trust Me
- シークレット
- Saving All My Love For You (w/May J.)
- Up,Up And Away(feat.May J.)(w/May J.)
- It’s Alright 〜君といるだけで〜
- 赤ちゃん今日は21 (w/ダンス☆マン)
- ギリギリSHOUT!
- 狂詩曲
- On & On
- sha la la
- Stop (w/川畑要)
- Sweet Pain (w/川畑要)
- Nice ‘N Slow
- 潮騒〈Mellow Flavor〉
- ソウル・リヴァイヴァー
- M.F.S.B.
May J.
松下優也
ゴスペラーズ
Skoop On Somebody
- Papa Was A Rolling Stone
- SOUL TRAINのテーマ
- She Works Hard For The Money
~Good Times~superstition - LOVE MACHINE
- WE GOT SOUL POWER