清 竜人、衝撃の問題作『MUSIC』を完全再現したライヴの模様をレポート!
清 竜人 | 2012.08.03
7月24日、シンガーソングライター・清 竜人がSHIBUYA-AXにて行なった「清 竜人 MUSIC SHOW」。このライヴは、彼のファンはもちろん、多くのリスナーの度肝を抜きまくった衝撃の問題作『MUSIC』──アニメソング、アイドルソング、ゲームミュージックの世界で名を馳せる精鋭達が楽曲にアレンジを施し、彼が今まで発表してきた楽曲とガラっと印象を変え、人気声優や生後1ヶ月の赤ちゃんから74歳のご老人まで、たくさんのキャスト達のセリフが飛び交う、まるでミュージカルのような作品──を再現するというもの。定刻を少し過ぎた頃、会場に開演ブザーが鳴り渡ると、客席から大きな拍手と歓声が上がった。
幕がゆっくり開いていくと、ステージ上には学校の教室にある机と椅子が並べられていて、学ラン姿の国籍バラバラな6人の男達が座っている。その中の1人である竜人がステージ前に出てくると、客席から大歓声が上がった。本人は緊張しているのか、人でパンパンに膨れて上がっている客席を見て嬉しいのか、少し照れくさそうな笑みを浮かべながら服をただす。そして、一言……“先生、あなたを愛しています”。ライヴはアルバムの1曲目「CAN YOU SPEAK JAPANESE?」からスタートした。曲が始まると、観客はリズムに乗って身体を揺らしてみたり、演者達が踊っている振り付けに合わせて踊ってみたり、サイリウムライトを振り回してみたり、それぞれが自由に楽しみつつ、毎曲終わるごとに大きな歓声を上げていた。
作品の特質上、よくある“ライヴ”という形ではなく、ミュージカル風なショーになっていたこの日のステージ。ただ、ミュージカルは「芝居≧音楽」であると思うのだが、彼のステージはあくまでも「音楽>芝居」であり、芝居や衣装はあくまでも音楽を盛り上げるための要素だと思った。とはいえ、そこに一切の妥協はない。少女に思いを寄せる動物園のゾウを描いた、心温まるも切ないラブソング「ゾウの恋」では、ゾウをイメージした襟元にスパンコールのついた銀色のタキシード姿で子供達と戯れ、スピーディーに展開する「インモラリスト」では青いカツラに黒いレザーを身にまといつつ、白い羽を背負い、ファンタジー系のRPGゲームに出てきそうな刀を携え、殺陣を披露。ナニワの無頼者の生き様を描いた「おどれどつきましたろか」では、茶髪にリーゼントで、柄物のシャツに虎柄のパンツといったチンピラ姿で登場し、最後は凶弾に倒れる……といった具合に、全曲衣装を着替えつつ、ダンサー(りゅうじんダンサーズ)を従え、ステージ上を所狭しと踊り回り、熱演を繰り広げる。
また、「Fall♡In♡Loveに恋してるっ♪」では、音源には収録されていなかった芝居パートも追加されていた。4人の女の子達が“私、好きな人が出来たの! りゅうじん君なんだけど……”“え、私も好きだよ!”“私も!”と、ガールズトークを繰り広げる中、話題の中心人物は、カラフルなリボンのついた金色のアフロヘアーに、ピンクのシャツ、赤いハーフパンツに赤い靴という奇抜な服装で登場。曲中では女の子達を触ったり、ほっぺにキスしてもらったり、なんだかもう羨ましいったらありゃしない!(笑) ちなみにこの曲の途中に濡れ場っぽいところがあるのだが、女性を押し倒した後、2人に白幕をかけて見えないようにするという演出もあり、客席からは笑いが起こっていた。
中盤の「雨」では、本人が一度もステージに現れず、傘を持った2人の男女が芸術的なモダンバレエで美しくも儚げな楽曲の世界観を構築し、「りゅうじんのエッチ♡?ぼくのばちあたりな妄想劇?」では、壮大なSF風オープニングの後に、妄想ばかりを膨らませる男の淡い恋心を描き、「GENERATION GAPなんて言わせない!」では、“しんどいからもう死にたい”という1人息子(清竜人)を家族が諭しつつ、演者達が“これってアドリブ?”と思わせるような絶妙な演技を見せつける。
そして、ロールプレイングゲームをモチーフにしている「バカ♡バカ♡バカ♡」では、上半身裸になって鉄アレイでパンプアップした後、金色のベストにスーパーサイヤ人風な金髪ツンツンヘアーに早着替えし、ボスに向けてバズーカを発射! ラストは約10分に及ぶ超大作「ぼくはシンデレラ・コンプレックス」で締めくくり、金色の紙吹雪が舞う中、幕が降りた。
客席から巻き起こる全く鳴り止む気配のない喝采の拍手が、そのままアンコールを求める拍手に変わっていく。しばらくすると再び幕が開き、エンディングとしてスクリーンにこの日出演した全キャストのクレジットが映し出される。最後に「全作詞・作曲/企画発案 清 竜人」の文字が映し出されると、今日一番の大歓声と拍手が客席から巻き起こり「清 竜人 MUSIC SHOW」は閉幕した。
完全再現を追求するために、MCもアンコールも一切なしの徹底ぶり。全てがハイライトになるようなシーンが連発だったこの日、会場を出た観客達も“おもしろかった!”と興奮気味に声を上げていて、このステージは大成功だったと思う。ただ、そんな最高のステージを生で見れるのは、残念ながら今のところ予定なし……もったいなさすぎる! カメラが入っていたこともあり、おそらく何らかの形で映像化されるのでは?と思われるので、是非そちらを見てほしい。清 竜人が織りなす前代未聞のエンターテイメントに必ず魅了されるはずだ。
【取材・文:山口哲生】
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セットリスト
清 竜人 MUSIC SHOW
2012.7.24@SHIBUYA-AX
- CAN YOU SPEAK JAPANESE?
- ゾウの恋
- インモラリスト
- Fall♡In♡Loveに恋してるっ♪
- おどれどつきまわしたろか
- 雨
- りゅうじんのエッチ♡~ぼくのばちあたりな妄想劇~
- GENERATION GAPなんて言わせない!
- バカ♡バカ♡バカ♡
- ぼくはシンデレラ・コンプレックス