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様々な演出で会場を魅了した、SEKAI NO OWARI 初のホールツアーのファイナルをレポ!

SEKAI NO OWARI | 2012.10.19

 無数の電飾が星空のようにステージの真上で瞬き、「スターライトパレード」のイントロがスタート。ライトが突然明るくなり、メンバー4人が照らし出されると、観客は一際大きな歓声を上げた。腕を掲げて飛び跳ねる皆のエネルギーが凄まじい。曲中での「歌える?」というFukase (Vo, Gt)の呼びかけに応え、観客が大合唱した「虹色の戦争」。力強い手拍子を巻き起こした「天使と悪魔」を経て最初のMCタイム。「今晩は! 今日でツアーファイナルです。このツアーのMCでは、いつもその土地の妖怪を紹介しているんですが、千葉の代表はふがいない(笑)。だってムジナだよ!」、DJ LOVE (DJ, Sound Selector)が軽妙なトーンで語り、みるみるうちに観客を惹き込んでいく。そんな彼が紹介してくれた妖怪は「二口女(フタクチオンナ)」。この妖怪にまつわる伝説を延々と語っているうちに、観客の1人から「話が長い!」という声が上がり、場内は和やかな笑い声に包まれた。

 躍動感に満ちたサウンドで盛り上げた「ファンタジー」の後、ステージ上のスクリーンに映し出されたのはフロイト、シェイクスピア、スティーブ・ジョブズ、甲本ヒロトなど、古今東西の偉人たちによる「死」にまつわる言葉。そして厳かな空気が漂う中、「不死鳥」へ。グリーンのレーザーを用いたダイナミックな演出に彩られながらエモーショナルに高鳴った「世界平和」、曲に込められたメッセージの深さに誰もが息を呑んでいた「Love the warz」……シリアスな曲を続けて演奏すると、メンバー達はステージ袖へと入っていった。
SEKAI NO OWARIの活動の軌跡を辿る再現VTR。15才の時のFukaseとNakajin (Sound Produce, Gt)。20歳の時にバンドに誘われたSaori (Pf, Show Produce)。2008年に加入したDJ LOVE (DJ,Sound Selector) ……当時の彼らの服装や髪形も再現しているらしい映像が楽しい。そして4人がステージに戻って来たのだが、なんと全員が高校の制服風のブレザー姿! 先程のVTRと同じくFukaseは金髪、Nakajinが真面目そうな黒ブチ眼鏡をかけているのが特に目を引く。このスペシャルな衣装で演奏した「炎の戦士」は、まるで文化祭のような素朴なムードを醸し出していた。

 再び楽屋へと戻った4人。入れ替わりにファンにはすっかりお馴染みのロボットOMC-1が登場した。「男子! まだまだ元気あるか? 女子! 声届いているか? 後半戦もまだまだ続くぞ!」。膨らんだ切り餅のような白いボディ(OMCという名前は、“お餅”に由来するらしい)を動かしながら声を発する彼は、実に愛くるしい。OMC-1のコーナーの後、ステージに戻って来たのはNakajin。「僕らは最初はライヴが得意じゃなくて。千葉の稲毛海浜公園のステージで初めてのライヴをやったんです。3曲やって当然失敗(笑)。でも、たくさんツアーをやってライヴを楽しめるようになりました。今のマネージャーと出会い、いろいろなスタッフとのチームで作り上げてきました。感謝しています。その感謝の気持ちも込めて歌います」と語り、アコギを弾きながら歌い始めたのは「TONIGHT」。曲の途中で他のメンバーもステージに現れ、DJ LOVE=カホン、Saori=鍵盤ハーモニカ、Fukase=コーラス、タンバリン、鉄琴という編成による合奏となった。演奏を終えると、今年の夏の思い出を語ったSaori。「千葉と言えば、8月にこの4人とスタッフで九十九里浜へ遊びに行きました。すごく楽しかったので、絵を描いてきました!」。バーベキュー、お風呂、サーフィン、思い出の場面を描いたSaoriの絵が次々示されたのだが、あまりにも味わい深い画風なので、解説がないと何の絵なのかよく分からない……。「これは何?」とFukaseが度々ツッコミを入れていた。

 後半戦は「yume」からスタート。温かいメロディをじっくり聴かせた「花鳥風月」、祈るように一心に歌うFukaseの姿が印象的だった「Never Ending World」、紗幕がステージを覆い、4人のシルエットが浮かび上がる中、荘厳な調べが奏でられた「生物学的幻想曲」と「illusion」……ドラマチックな演出とサウンドの融合を堪能したひと時であった。「もうファイナルですよ。でも、3ヶ月後に今度はアリーナツアーがあるんだよね。次のツアーは新曲を持って行きたい。演出も考えないと。あなた、そろそろ空を飛んだ方がいいんじゃない?」、Fukaseが提案すると、「楽しそうだね。最近のワイヤーは強いから大丈夫!」と、すっかり乗り気のDJ LOVE。「やだよ! お前が落ちてきたら。ピエロっぽいことをやりましょうよ」「ジャグリングとか?」「それ面白いの?」――2人の息の合ったやり取りが実に楽しい。そして、いよいよライヴはクライマックスへ。たくさんのシャボン玉が観客の頭上を飛び交う光景が綺麗だった「眠り姫」。胸に深く迫るメロディに合わせて、観客がゆっくりと身体を揺らした「幻の命」。そして「深い森」で本編は締め括られた。

 アンコールを求める観客の手拍子は、いつしか「スターライトパレード」の合唱へと転じ、さらには「♪ハッピーバースデー・トゥー・ユー」という歌声となっていった。ツアーグッズのタオルを掲げながら再登場した4人。特にFukaseが嬉しそう。「ありがとう! 27歳になります。今日誕生日の人いる?」と彼が問いかけると、1人だけ手を挙げる観客がいた。「名前は? マルヤマさん? じゃあ、俺たちからマルヤマさんへ」。Saoriのピアノ伴奏で「♪ハッピーバースデー・ディア・マルヤマさん?」と4人が歌って祝福。マルヤマさんにとって最高の誕生日プレゼントになったに違いない。
アンコールで演奏したのは2曲。観客が手にしたタオルが激しく回転した「Fight Music」。そしてラストを飾ったのは「インスタントラジオ」。客席に向かって発射された特効の銀テープがキラキラと舞い、誰も彼もが開放的に飛び跳ねて踊った。演奏を終えた後、「ありがとうございました!」と一礼したメンバー達。何度も手を振る彼らを観客の力強い拍手と歓声が包む。いつの間にか現れたOMC-1も一所懸命手を振る。爽やかな昂揚感が漂うエンディングであった。

【取材・文:田中 大】

tag一覧 ライブ 男性ボーカル SEKAI NO OWARI

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リリース情報

ENTERTAINMENT(初回限定盤)

ENTERTAINMENT(初回限定盤)

2012年07月18日

トイズファクトリー

1. The Entrance
2. スターライトパレード
3. ファンタジー
4. illusion
5. 不死鳥
6. 天使と悪魔
7. Love the warz
8. Never Ending World
9. 生物学的幻想曲
10. TONIGHT
11. yume
12. 花鳥風月
13. 炎の戦士
14. Fight Music
15. 眠り姫
16. 深い森

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セットリスト

HALL TOUR 2012「ENTERTAINMENT」
2012.10.10@市川市文化会館大ホール

  1. スターライトパレード
  2. 虹色の戦争
  3. 天使と悪魔
  4. ファンタジー
  5. 不死鳥
  6. 世界平和
  7. Love the warz
  8. 炎の戦士
  9. TONIGHT
  10. yume
  11. 花鳥風月
  12. Never Ending World
  13. 生物学的幻想曲
  14. illusion
  15. 眠り姫
  16. 幻の命
  17. 深い森
ENCORE
  1. Fight Music
  2. インスタントラジオ

お知らせ

■ライブ情報

ARENA TOUR 2013 「ENTERTAINMENT」
2013/01/14(月祝)大阪城ホール
2013/02/02(土)日本ガイシホール
2013/02/22(金)国立代々木競技場第一体育館
2013/02/23(土)国立代々木競技場第一体育館

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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