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それはまるで巨大な忘年会だった。初のホールワンマンライヴを大成功に収めたシクラメン

シクラメン | 2013.01.12

 シクラメンの更なる活躍と飛躍となった2012年を締めくくる、まるで巨大な忘年会のようなライヴであった。
振り返ると2012年のシクラメンは躍動していた。夏の全国ツアー「シクラツアー2012~ターター王国と不思議な木の実~」の全国各地での充実と人気の拡大。1年ぶりのシングルの発売と、ツアーDVDがチャートのトップ10に入る快挙。そして、自身の単独公演としては最大の会場、しかも始めてのホールワンマンライブとなった、この渋谷公会堂さえもソールドアウトさせたことが、何よりもそれらの成功を物語っていた。
そう、この日シクラメンは5回目となるワンマンライヴを、この渋谷公会堂にて行った。そして、それはさながら、<2012年もお疲れさん>の交歓と<2013年も今まで以上によろしく>のアライアンスが、ステージと客席でガッチリと組まれた一夜であった。

 会場には水木一郎歌唱の往年の熱血アニソンがBGMとして流れている。それだけでこれから始まる彼らのライブに血湧き肉躍るというもの。
しばらくすると、トラックメイカーの電球による、注意事項のアナウンスが流れ、それに会場全体が「はい」と、その一つ一つの事項にはっきりと応える。他のライヴ会場ではあまり見られない、彼らのライブならではの光景だ。ここから既にお客さんのライブへの参加が始まっていることを感じる。アナウンスが終わると、彼らの登場を予感させる、渡辺美里の「My Revolution」が大音量で流れ出す。場内が一斉に立ち上がり、曲に合わせて手拍子を送る。曲が終わると、登場SEが流れ、ステージにかかった紗幕に、まるで歌謡ショーのようなオープニングライティングがめまぐるしく映る。その幕が落ちるとステージ中央に用意された横長のバナー兼お立ち台に歌い姿の3人の勇姿が。DEppaは頭にシクラメンのトレードマークのかぶり物をかぶっている。いやー、魅せるオープニングだ。1曲目は「毎日頑張る貴方へ」。サイドステップを踏みながら歌う彼ら。煽りと歌、そして先導と、一人3役を担うDEppa、柔らかく優しげな歌声が楽曲にふくよかさを与える桃紅茶、美しささえ感じるソフィストケイトされたその歌声が楽曲にマイルドさを寄与する肉だんご。そんな声質の違う3人が各々の歌声で、会場に集まった人たちに、「今年も本当にご苦労さまでした」との気持ちの込もった歌を伝える。1曲目から心は既にぽっかぽかだ。「今日は泣いて、笑って、楽しんで帰ってよ」とは、同曲を歌い終える前のDEppaの一言。ライブはメローなイントロにのり、優しさと全てへの感謝の気持ちが広がった「僕の宝物」へとスムーズに流れていく。言葉だけでは伝えきれない、「ありがとう」の気持ちが歌われている同曲。心にじわっと、愛しい人への感謝の気持ちが染み込んでくる。3曲目の「風唄」では、一歩づつ進む勇気を与えてくれる同曲に応えるように、客席ではゆっくりとワイパーが作り出された。ここまでで気づいたことがあった。それはシクラメンの3人が自分のパートではない時でも、その歌を口ずさんでいることだ。それはさながら、どんな時も3人がきちんと歌に寄り添っている現れのような気がした。

 最初のMCでは、満員の客席の絶景具合と、年末にも関わらずみんなが集まってくれたこと。そして、おかげさまでこの日がソールドアウトだったことへの謝意が告げられる。
続いては、ワンマンならではのアトラクションとして、学ランに着替え、スライドも交えながら、3人が2012年の反省を促す「シクラハイスクール生徒総会」の場へと会場を誘う。

 ライブに戻ると、ステージ中央の台に座り、3人で夕焼けに向かって歌っているかのように、聴く者の子供時代と今でも忘れてはいけない童心を思い返させた「少年」、メインボーカルがリレーションでチェンジ。ステージ中央の立ち位置もそれに合わせ代わり、歌われた「なみだのあと」、自分のアイデンティティや自分らしさに誇りを持たせてくれるかのような「虹色」が歌われる。
この日ならではのゴージャスな演出も各所で目を惹いたこの日。歌謡80’sが炸裂した「アマグリ」では、大勢のセクシーな男性ダンサーたちと歌って踊り、「ホイホイホイ」では、小学校時代を彷彿させる体操着に着替え、ソカのリズムに乗った自己紹介的な「ブンブン」では、会場のタオルの大旋回に合わせるように各々が水着姿になるという1曲毎の早替わりを魅せる。

 反省の次は、今後の抱負とばかりに、中盤のMCでは、3人の2013年の口約が会場に告げられる。ちなみに、DEppaは、「英会話ができるようになる」。桃紅茶は、「作詞作曲に挑戦」、そして肉だんごは、「シクラメンの曲を2曲、ピアノで弾き語りできるようになる」とのこと。どれもハードルは高いが、実現は如何に?2013年の今頃の成果披露が楽しみだ。

 本編ラスト2曲は、「みんなに届けたい大切な一曲」と告げたあと伝えられた「100年初恋」から始まった。満天の星空をバックに宇宙服に着替え伝えられた同曲は、<大好きな気持ちは、これからもずっと変わらない>との強い意志と、<いつかはこの思いを受け止めて下さい>との願いにも似た思いがダイレクトに伝わってくる。そして本編最後の会場全体の大合唱も手伝い成り立たせた「みんなの星」を歌い終えると、一旦3人はステージを後にした。

 アンコールは2回、計4曲が歌われた。ダンサーたちと共に会場にカーニバルを呼び込んだ「らいふ☆カーニバル」、キッズダンサーも加わり、ステージでのダンスレクチャーとフリに合わせ会場全体で楽しく踊った「すまいる」とダンサブル&一体感溢れるナンバー2連発を経て、次のMCでは、2013年春にメジャー1stアルバムのリリースと、それを引っ提げて、初夏からは全国ツアーが行われることがビジョンを交え伝えられる。その一報告一報告に会場中が驚喜していたのは言うまでもない。
1stアンコールのラストは、会場中に感謝と温かい気持ちが広がった「ありがとう」、ダブルアンコールでは、疾走感のあるサウンドの上、「ラブミュージック、ピースミュージック」に込めた自身の信条や願い、思いを込めてラップし、会場も力の限り両手を降って応えた「MUSIC」で締められた。

 重複するが、この日のシクラメンのライブは色々な意味で、<2013年の大きな忘年会>であった。忘年会は、その年の失敗や嫌なことを忘れさせてくれるだけでなく、終わった後に、不思議と”よし、来年も頑張るぞ~!”といった気持ちにさせてくれる。そんな忘年会を終えて、2013年に向けて頑張る力強い握手を交わした後のような、晴れ晴れしい気持ちで、私もシクラ族(シクラメンのファン)たちと一緒に会場を後にした。

【取材・文:池田スカオ和宏】

tag一覧 ライブ 男性ボーカル シクラメン

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リリース情報

100年初恋

100年初恋

2012年11月21日

トイズファクトリー

1.100年初恋
2.アマグリ
3.Skit
4.行ってきます

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セットリスト

シクライブ2012年末~5回目だからアレも使って♥~
2012.12.29@渋谷公会堂

  1. 毎日頑張る貴方へ
  2. 僕の宝物
  3. 風唄
  4. 少年
  5. なみだのあと
  6. 虹色
  7. アマグリ
  8. ホイホイホイ
  9. ブンブン
  10. 記憶
  11. 100年初恋
  12. みんなの星
Encore
  1. らいふ☆カーニバル
  2. すまいる
  3. ありがとう
Double Encore
  1. MUSIC

お知らせ

■ライブ情報

ヴィレッジヴァンガード presents シクラメン フリーライブ
2013/01/13(日)パークプレイス大分 1Fセンターステージ

スーパーフリーマーケット2013 in ヤフードーム
2013/01/14(月)ヤフードーム

平安堂×長野 CLUB JUNK BOX presents 「Hey! and JOY!!」
2013/01/19(土)NAGANO CLUB JUNK BOX

ヴィレッジヴァンガード プラス presents シクラメン インストアLIVE
2013/01/20(日)イオンレイクタウン mori 1F木の広場

SUNMALL LIVE ON RADIO LIVE!!
2013/01/31(木)広島クラブクアトロ

WINTER MERRY MAKING!!
2013/02/02(土)心斎橋AVENUE A

MTV LIVEDAM Sing for Smile Tour 2013
2013/03/17(日)仙台Rensa
2013/03/19(火)Zepp Sapporo

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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