阿部真央、クリスマス・イブに行なわれた彼女の原点ともいうべき弾き語りライブの模様をお届け!
阿部真央 | 2013.01.21
阿部真央の原点ともいうべき“弾き語り”ライブが、東京と大阪で実現。クリスマス・イヴでにぎわう赤坂BLITZに足を運んだ。弾き語りを味わうのにちょうどいい大きさのBLITZのフロアは、すでにファンでぎっしり満員だ。
なんのてらいもなくステージに現われた阿部は、抱えたアコースティック・ギターで9thコードをぽろんと弾くと、スッと「貴方の恋人になりたいのです」を歌い出した。オーディエンスからわっと歓声が上がったのも束の間、すぐに全員、阿部の歌に引き込まれる。サビを歌う阿部の声は、本当に調子が良さそうだ。ストレスのない歌い方に変えてから、張り上げた声が歪まない。力強くてきれいなボーカルが、いきなり堪能できる。女性ファンから、阿部に向かって「愛してる!」という声が上がる。
阿部は「ありがとう」とポツリと言って、しばらく間を空けた後、明るいタッチで「モンロー」。今度はキュートな声で歌い出す。レコーディングではダンサブルにアレンジされているが、僕がこの曲を初めてお台場の野外ライブで聴いたときは、この“アコギ・バージョン”だった。あの夏の暑い日差しを思い出す。ポップな阿部も魅力的だなと思っていると、短い挨拶をはさんで歌い出した「デッドライン」は、ワイルドなロック・ボイス。続く「じゃあ、何故」は恋に翻弄される男の子の歌で、阿部の声はとてつもなく悲しい色を帯びる。めまぐるしいほどの声の変化だ。だが、どの声もその歌にマッチしていて、“表現者・阿部真央”の充実が伝わってくる。このライブを楽しみにしていたファンは多かったが、いちばん楽しみにしていたのは阿部自身だったことが随所から伝わってくるスタートとなった。
「クリスマスといえば、プレゼント。私からささやかなプレゼントがありまして、これから言うチケット番号の人にリクエストしてもらって、歌います。過酷だったけど、全曲練習しました」そうして女性オーディエンスからのリクエストに応えて、まず「いつの日も」。次の当選者も女性で「ポーカーフェイス」。3人目も女の子だ。リクエストは3rdアルバム『素。』収録の「走れ」。ロックナンバーだけに、「まさかこれが来るとは?!」と阿部は苦笑いしながら、言葉とは裏腹にアコギでギターロックのニュアンスを見事に表現して歌い切った。
次のコーナーは一転して、ピアノの重実徹をステージに迎えて「側にいて」などをしっとり歌う。これも“弾き語り”の妙味だ。2011年に東京と大阪で行なわれた野外音楽堂ライブ「夏の陣」を思い出す。アクティブなライブの途中で重実が登場し、いいアクセントになっていた。そんな経験も踏まえて、今日の阿部のライブが成り立っている。それ以上に、阿部のアーティストとしての成長の幅をダイレクトに感じられるのは、アコースティック・ライブならではの良さだろう。
「リクエストも、ピアノで歌うのも、バンドとのライブではできない。バンドで大きな音でやるのも楽しいけど、アコースティックのコアな感じを今日は披露できて嬉しいです。次の曲はライブで初めてやります」と「都合の良い女の唄」。2ndアルバム『ポっぷ』からの曲で、複雑な恋の心理を描いて、阿部はソングライタ?としての評価を受けた。オリジナルに近いようでいて、はるかに説得力のある弾き語りは、とても迫力があった。
そして次は新曲。「2013年3月6日にニューシングルが出ます。一足先にここで歌わせてください。暗い歌だから、気を付けて!」と笑いながら言って「最後の私」を歌った。さらに「最後の曲は、知ってる人が少ないかも」と「morning」を披露。「19歳の唄」のカップリング曲だ。この静かな歌を素直に受け止められるのは、これもアコースティック・ライブの良さだろう。
アンコールは髪をひとつにまとめてTシャツ姿で阿部が登場。「みんなで歌おうよ」と「ロンリー」が始まる。もちろんBLITZは大合唱になる。
いよいよ最後の曲は未発表音源ながらライブでしか披露しない人気曲「母の唄」。「また会いましょう」と去った後も、オーディエンスの「アンコール」の声が止まない。と、今度は阿部がサンタの衣装を着て現われたから、会場は大騒ぎになった。「メリークリスマス! 阿部真央でした」と満面の笑みでライブは幕を閉じたのだった。
原点でありながら、原点をはるかに超えたアコースティック・ライブだった。
【取材・文:平山雄一】
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阿部真央
リリース情報
阿部真央らいぶNo.4@渋谷公会堂
2012年12月05日
ポニーキャニオン
1. How are you?
2. 戦いは終わらない
3. 世界はまだ君を知らない
4. ふりぃ
5. 春
6. 君を想った唄
7. じゃあ、何故
8. 貴方の恋人になりたいのです
9. 側にいて
10. 嫌われてないかな
11. Sunday morning
12. 阿部真央 Band × 勝手にしやがれ Horns Medley
13. プレイボーイ
14. loving DARLING
15. ここにいて
16. いつの日も
17. ポーカーフェイス
18. モットー。
19. for you
20. モンロー -Encore1-
21. ロンリー -Encore1-
22. ストーカーの唄~3丁目、貴方の家~ -Encore2-
ディスク:2
1. 【「阿部真央らいぶNo.4」ツアードキュメント】
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セットリスト
弾き語りらいぶ2012・冬~クリスマスだよ!来るでしょ?来るよね!?の巻~
2012.12.24@赤坂BLITZ
- 貴方の恋人になりたいのです
- モンロー
- デッドライン
- じゃあ、何故
- いつの日も
- ポーカーフェイス
- 走れ
- Don’t leave me
- 側にいて
- 都合の良い女の唄
- 最後の私 (新曲)
- morning
- ロンリー
- 母の唄