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バンドのまま新たな領域に推し進めた、チャットモンチー最新ツアー初日をレポ!!

チャットモンチー | 2013.01.25

 チャットモンチーというバンドサウンド、否、チャットモンチーというサラウンド・サウンドを、2人が場所を入れ替わりながら、見事に体現していく……そんなライブだった。
 2人体制になり、昨年初頭から連続リリース、イベントやフェスを中心としたライヴと、精力的に活動を展開したチャットモンチー。そんな中リリースされた、アルバム『変身』は、2人で作り上げた快作だった。この発売を受け、昨年11月、彼女たちはワンマンツアーをスタート。東京では序盤の新宿ロフトに続き、年明けに2度目のライブが行われた。
 1月13日、14日の2DAYS。場所は、Zepp DiverCity。
 ステージに向かって右側のエリアには、鍵盤、スタンディング・ドラム、そしてアンプ。左側のエリアには、ドラムセットとアンプ。RとLでわけられたステージ上の楽器は、パッと見、こんな言葉を彷彿とさせた。
 チャットモンチーのサラウンド。
 このイメージを彼女たちは、そのまま体現してみせた。前述したアルバム『変身』の収録曲を中心に、ライヴは進行。橋本と福岡は、曲毎はもちろん、時折、1曲の間に、パートを変えるというスタイルで次々と楽曲を披露していった。
 このスタイルを彼女たちは、途中のMCでこう言葉にする。
「去年よりも、いろいろ見所が増えた気がする」(橋本)
「まだあったね、2人でやれることが」(福岡)
 アルバム収録曲……はっきり言ってしまえば、2人体制以前の楽曲も、アレンジを変え、セットリストに組み込まれた本ツアー。デビュー当時から人気が高く、これまでのライヴでも肝になる場面で演奏されてきた、お馴染みのスピード・チューンは、この日、ギターのフレーズをループさせた上に、2人の演奏を重ね、橋本はハンドマイクで歌うという、見た目だけでもその変化がわかるスタイルだった。しかしながら特筆すべきは、楽曲の特徴である疾走感や、サウンドの音圧が失速してなかったことである。
 3人から2人になったことで、サウンドに顕著に現れるのは、まず音圧だろう。そこは、メンバーも意識していたのか、ライヴ全体を通して音圧はそのまま、いや、前よりも増していた印象だった。
 ライヴは後半へ。メンバー2人が会話をするようにMCが展開。
「ガッツのある曲、まだやってないんじゃないか」と福岡。「やってないなぁ」と橋本。「後半戦、盛り上がって行きましょう」という、笑顔の福岡の言葉を受け、イントロが走り出す。
 「ハテナ」。観客も巻き込んだ ♪ ワン、ツー!♪の掛け声が、会場に大きく響いた。真っ白なライトが眩く光「きらきらひかれ」。チャットモンチー最速のアップ・ナンバー。超満員のフロアの熱量が、一気にあがる。会場中から両手と雄叫びがあがった。
「ありがとう!」
 福岡がマイクをとる。
「かっこいいね! みんなが、本当にかっこいいよ!」
 この言葉に、会場から歓声と大きな拍手。橋本も福岡もこの日、いちばんの笑顔をみせる。福岡が続ける。
「最後、大声で吠えてくれませんか? みんな、一緒にチャットモンチーになってくれ! いくぞーっ!」
 本編最後は「満月に吠えろ」。そこにいる全員の雄叫びが、何度も会場をバウンドした。
 アンコールも含め、約2時間のステージ。その最後の曲の前。橋本と福岡は、こう言葉を紡いだ。
「チャットモンチー、今年もこんな感じで元気に頑張っていこうと思っているのでよろしくお願いします」(福岡)
 そして福岡は「えっちゃん、今年、やりたいことないの?」と、話題のボールを橋本へ。橋本が受け取る。
「この2ピースの極みをやりたい。極みを見てもらって、判断して欲しい(笑)」
 最後の曲では、この言葉の通り、彼女たちでしかみられない、度肝を抜く楽しい“極み”も見せてくれた。(詳細はまだツアー中なので内緒。すみません!)
 すべてを演奏し終えた最後。橋本と福岡は、ステージ中央の前方に歩み出て、手をつなぎ、大きく万歳。
 そしてこう叫んだ。
「今日は本当にありがとうございました! 今年もよろしく!」(橋本)
「だーいせーいこう!(大成功)本年もよろしくお願いします!」(福岡)
 ツーピースという、ともすれば、ストイック&前衛的になりがちなスタイルを、ここまで王道に仕上げ、ライヴ中、見た目でも楽しませてくれたチャットモンチー。
 2ピースという形態は、誰が見ても、異質でストイック、ニューウェイヴ&ニュージャンルなスタイルだが、そこを感じさせない……そこを忘れさせてしまうライヴを見せてくれた彼女たちに、心の底から拍手を送りたい。
 改めて、チャットモンチーというバンドの魅力と、ノリシロを再確認したライヴだった。
 この日、自分たちの楽曲を自分たちが求める形で届けるために、千手観音の如き活躍を見せた橋本と福岡。この心意気、バンドに対する意地、音楽に対する向き合い方が、チャットモンチーをバンドのまま新たな領域に推し進めたのだろう。
 進め、チャットモンチー! 
 チャットモンチーがチャットモンチーであるために。

【取材・文:伊藤亜希】

tag一覧 ライブ 女性ボーカル チャットモンチー

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リリース情報

変身(初回生産限定盤)

変身(初回生産限定盤)

2012年10月10日

KRE

ディスク:1
1. 変身
2. ハテナ
3. テルマエ・ロマン
4. 少女E
5. コンビニエンスハネムーン
6. Yes or No or Love
7. 初日の出
8. 歩くオブジェ
9. きらきらひかれ
10. ふたり、人生、自由ヶ丘
11. ウタタネ
12. 満月に吠えろ
ディスク:2
1. きらきらひかれ [Studio Live]
2. 初日の出 [Studio Live]
3. コンビニエンスハネムーン [Studio Live]
4. Yes or No or Love [Studio Live]
5. ウタタネ [Studio Live]

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お知らせ

■ライブ情報

チャットモンチー TOUR 2013
2013/01/25(金)Zepp Namba
2013/01/26(土)Zepp Namba
2013/02/02(土)Zepp Fukuoka
2013/02/03(日)広島クラブクアトロ
2013/02/10(日)Zepp Sapporo
2013/02/17(日)沖縄ナムラホール
2013/02/22(金)徳島club GRINDHOUSE

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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