レビュー
チャットモンチー | 2012.09.18
橋本絵梨子。福岡晃子。メンバーそれぞれの音楽への情熱をサウンドの自由度に変換し、バンドのオリジナリティーに昇華したチャットモンチー。そのオリジナリティーたるや、まさに無敵。音楽を楽しむ無邪気さを残しながらも、誰にも真似できない、無敵のオリジナリティーを確立した印象がある。
彼女達から、本年、第5弾(!)となるシングルが届いた。タイトルは「コンビニエンスハネムーン」。タイトル曲は、奥田民生プロデュース。アーシーな趣きあるミディアム・チューンに仕上がった。全体的に、奥田民生ならではの、リラックス&ざっくりしたロックの世界観で聴かせる1曲だが、サビのメロディー展開は、チャットモンチーらしさ満載。ダイナミックな解放感が感じられて秀逸。このサビの部分と、奥田氏のアレンジとのマッチングが、個人的にはツボ。“日本”“日常”“ほんの少しの特別”“日本人であること”など、様々な事を意識させる歌詞にも注目。意識的に使った言葉の数々、そして言葉そのものに内包されているメッセージを、サラリと聴かせるところは、さすが、お見事。M2は「CHA CHA CHA」。80年代後半に、ヒットしたユーロビートをカバー。台詞や効果音、ベースのリズムなど、オリジナルの特徴を残しながらも、自分達流にアレンジしてるあたりが、なんとも愉快。インディー・ポップの匂い濃厚な、チープでキッチュな効果音に落とし込んでいる。いつもよりもライトに歌う橋本のボーカルも、楽曲の軽さに合っていて楽しめた。
10月には、アルバムをリリース。そして11月からは全国ツアーがスタートする。
あぁ、立ち止まる気、全然無いね、この2人。ますます加速するチャットモンチーに、期待、募りまくり。
【文・伊藤亜希】