レビュー
チャットモンチー | 2012.10.10
2ピースバンドとなったチャットモンチー。その存在とサウンドは、日本の音楽シーンにおいて、新たな軌跡となりつつある。前例なきスタイルにして、なかなか真似できない、というか、真似したくても真似できない。それが、今のチャットモンチーの魅力になっている。これまであまり感じられなかった、カリスマ性(とか書いたら、本人達は嫌がるかもしれないが)に直結する、彼女達の新たな魅力、そして新たな歴史だ。チャットモンチーの歴史のページは、本人達によって、確実にめくられた。
新たな歴史の1ページ目、その中心、カラフルなエネルギーの核にあるのが、ニューアルバム『変身』である。メンバー2人で仕上げた楽曲がズラリと並ぶ今作。彼女達が、今、どのように音楽と向き合っているのか、作品を通してばっちり聞こえてくる。2ピースバンドを謳歌し、時にはエヘヘと笑い、ジャンルを蹴り上げ、時には本能で吼え、次の瞬間ソッとロックンロールにキスをし、音楽に頬ずりをする。本人達が、音楽を愛でている様子が浮かぶ。愛がエネルギーになったアルバムだ。
2ピースになった性(さが)ともいうべき、サウンドの“空き(あき)”にも、音を詰め込むのではなく、その前の音を響かせたり、バックビートを感じさせるように仕上げているあたりは、彼女達のこだわりだろう。いや? 元々、こういう感じの音が好きだったのかも。どっちにしろ、この音の効果が、’80sニューウェイヴ?ポストパンクっぽかったりも聴こえて、個人的にはかなりツボ。チャットモンチー、やっぱ面白い。
でもこの曲達、ライヴでは、また違ったエネルギーを出すんだろうなぁ。
【文・伊藤亜希】
リリース情報
変身(初回生産限定盤)
発売日: 2012年10月10日
価格: ¥ 3,334(本体)+税
レーベル: KRE
収録曲
ディスク:1
1. 変身
2. ハテナ
3. テルマエ・ロマン
4. 少女E
5. コンビニエンスハネムーン
6. Yes or No or Love
7. 初日の出
8. 歩くオブジェ
9. きらきらひかれ
10. ふたり、人生、自由ヶ丘
11. ウタタネ
12. 満月に吠えろ
ディスク:2
1. きらきらひかれ [Studio Live]
2. 初日の出 [Studio Live]
3. コンビニエンスハネムーン [Studio Live]
4. Yes or No or Love [Studio Live]
5. ウタタネ [Studio Live]