アルバム『BLUE』を掲げたツアーで見せた、アンジェラ・アキのパフォーマンス力!
アンジェラ・アキ | 2013.03.19
最新アルバム『BLUE』を携え、約3年ぶりに行った全国ツアー「Concert Tour 2012?2013 Blue」は、昨年10月から約5ヶ月間をかけ、ほぼ全都道府県を廻った大規模なツアー。2月20日に行われたNHKホール公演は、ツアーも残すところあと4本となった34本目のステージだった。
19時過ぎ。ライブの始まりを告げたのは、アルバム『BLUE』の1曲目に収録されていた「アイウエオ」。アンジェラ・アキが奏でるグラウンドピアノの最初の一音が鳴った瞬間、場内の空気が一気に変化した。彼女の指先はピアノの上で、時に優しく、時に荒々しく、彼女の今の思いを音にする。そして、メロディと共に私達へと届けられる声は、彼女の思いそのものになって目の前にいる人たちの心へと届けられていく。アンジェラ・アキにとって、歌うということ、音を生むということ、そして、ライブをやるということは、私は生きているんだと実感できる場所なのだろう。「アイウエオ」はとても短い曲だけれど、アンジェラ・アキが音楽をやっている理由を、あらためて教えてくれた歌なのかもしれないと思えた。
「さぁ、東京。盛り上がっていくよ。カモン!」の声に、観客が総立ちになった「factory」では、なんとエレキギターを弾き、しかも、ギターソロを披露。「アイウエオ」と「Factory」の2曲だけでも、アンジェラ・アキの音楽の振り幅を感じることができた。が、まだライブは始まったばかり。彼女のライブにはお楽しみがたくさん隠されているのだ。たとえば、ライブでお馴染みのコーナー「英語でしゃべらないと」は、アンジェラ・アキが“アンジー先生”となって、彼女がピックアップした洋楽の名曲の解説を交えながら、観客と一緒に歌うコーナー。この日は1961年にヒットし、映画『スタンドバイミー』に使用されたことでリバイバルヒットしたベン・E・キングの名曲「スタンドバイミー」が、たった4つのコードで作られているということ、英語詞の意味、リフレインの重要性、この曲のように歌詞がNoのような非定形で始まる曲などを、みんなが知っている「しるし」(Mr.Children)、「ルージュの伝言」(松任谷由実)、「さそり座の女」(美川憲一)などを歌いながら、楽しいトークと共にわかりやすく解説し、最後は観客達が一緒に「スタンドバイミー」を大合唱した。この授業形式の「英語でしゃべらないと」は、音楽ってこんなにも素敵で楽しいものなんだな、音楽には人の心を動かす力があるんだなと、彼女のライブに足を運んだ誰もが感じることができるコーナーだろう。
また、「たしかに」では、アンジェラ・アキのピアノの師匠・河野伸とのピアノセッションを繰り広げ、ライブ中盤ではステージ上に自宅リビングを再現したセットの中で、ソファに座ってアコギを弾いた「I Have
a Dream」、アコーディオンを弾いた「Blue」を披露した。「モンスター」「Cry」「告白」など、7thアルバム『BLUE』からの収録曲を中心にしたメニューには、カバー曲「津軽海峡冬景色」、弾き語りの「Rain」、ヒットソング「サクラ色」などを組み込み、それぞれの曲に演出を施し、一瞬たりとも飽きさせないステージを繰り広げた。
大きなアンコールの拍手に応えて、再びステージに登場し、「手紙?拝啓 十五の君へ?」を歌ったアンジェラ・アキは、MCの中で「唯一、私にできること」と言い、「これからもみんなの支えになる曲、みんなのパワーになる曲を書いて、みんなと繋がりたい」と約束した。アンコール最後の曲は「This Love」。全ての曲を歌い終え、会場に集まってくれた一人ひとりの笑顔をちゃんと胸に刻んでいるかのように、客席の隅々まで見回したアンジェラ・アキの姿は、心から美しいと思った。ステージ上に満ち溢れた彼女の音楽への愛は、アンジェラ・アキのライブに来た人ならば誰もが感じることができるだろう。そして、ライブを観終わった瞬間から、またアンジェラ・アキのライブを見たいな……と思わせてくれる場所を、彼女はいつだって作り続けているんだと確信することができた。
【取材・文:松浦靖恵】
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リリース情報
セットリスト
アンジェラ・アキ Concert Tour 2012-2013 BLUE
2013.2.20@NHKホール
- アイウエオ
- factory
- 始まりのバラード
- 恋の駆け引き
- One Family
- 英語でしゃべらないと
- たしかに
- I Have a Dream
- BLUE
- 心の天気予報
- モンスター
- 津軽海峡・冬景色
- 夜明け前の祈り
- Rain
- Cry
- Foolish Love
- サクラ色
- 告白
- 手紙 ~拝啓 十五の君へ~
- This Love