アンジェラ・アキ、出産後初のアルバム『BLUE』をリリース!

アンジェラ・アキ | 2012.07.18

 今年の2月、無事に出産を経験し、今や一児の母となったアンジェラ・アキ。普通ならどっぷり産休のはずが、母親となった彼女の創作意欲は急激に増したらしい。前作から1年も経たずしてニュー・アルバム『BLUE』(7月18日発売)を完成させた。これまでの彼女のイメージにはなかった曲があったり、何よりもまずジャケットでスカート姿(シングル「告白」もスカート姿)を披露していたりと、意外づくめ。彼女の中で何が変わったのか……。インタビューを通して心境を語ってもらった。

EMTG:ニュー・アルバム『BLUE』は、復帰第一弾オリジナル・アルバムと銘打たれていますね。
アンジェラ・アキ:妊娠9ヶ月で日本武道館ライブをやり、昨年末は“紅白”に出て、年が明けて子供を産んで退院してから2週間後には今回のアルバムの制作をスタートさせていたので、産休の“休”はいったいどこへ行ってしまったの?って感じだったんですけど(笑)
EMTG:音楽活動を長期的に休まれていたわけではないのに、なぜ“復帰”という言葉を使われたのかなと思って。
アンジェラ・アキ:私にとって2010年、2011年というこの2年間は、制作的に葛藤していた時期だったんですね。カバーをしたり、ナッシュビルでレコーディングしたりと、自分がやりたいと思っていた事に挑戦できた2年ではあったけれど、震災の事もあって、いったい私は何のために歌っているのか、このままでいいのだろうかと、いろんな事に押しつぶされそうになって限界まできてしまったんです。そんな状態が2年も続いていたので、今回もスタジオに入るまでは、正直言ってその葛藤を引きずったまま制作ができるのだろうかという不安があったのは確かです。でも、実際にスタジオに入ったら、それがまるでなかったかのように、閉じていたフタが一気に開いたみたいに自分の中から新しい曲や詞がどんどん生まれてきた。まさに、シンガーソングライターとしての本能がバチっと目を覚ましたと思いましたね。母親になったからというのではなく、私は本能的にラブソングを歌いたいという自分の中から湧き出てくる本能を止める事ができなかったんです。
EMTG:シンガーソングライターのアンジェラ・アキがREBORNしたんですね。
アンジェラ・アキ:そうなの! 私、復活したんです(笑)。
EMTG:だから、あえて“復帰第一弾”と銘打ったんですね。
アンジェラ・アキ:ええ。今回のアルバム収録曲は、ほとんど出産後に書いたものなんですけど、あぁ私は終わりじゃなかったんだという大きな確信の元に生まれた歌ばかりだったというのも大きいですね。今作はどの曲も目に見えないカメラを持って、心の風景を撮りに行ったような感覚で作っていったんですけど、荒れた風景もあれば、晴れ渡った青空切り取っている時もあれば、これから雨が降るのか晴れるのかわからない曇り空を撮っている時もある。そんなスナップショットを同時に集めたものがアルバムというものになるんだなと、あらためて思いました。
EMTG:以前の私だったら書かなかっただろうな、書けなかっただろうなという曲や歌詞が生まれてきましたか?
アンジェラ・アキ:逆に、シンガーソングライターの本能の部分で言うと、母になったというのはあまり関係ないのかもしれないなと思いました。出産を経ても、あくまでも自分にはブレないところがあるんだと思えたし。と言う事は、私はこれから何があっても歌えるんだと思いましたね。友達に、「子供の歌とか作ってるの?」なんて聞かれた時も、「あ、そういえばない」って思ったくらいですから(笑)。
EMTG:実は、「Foolish Love」(3曲目)の「違った顔した同じ恋人と繰り返し恋に落ちる」というフレーズを聞いた時に、これは母親になった人が書く歌詞じゃないよなぁと思って、ドキっとしたんです。
アンジェラ・アキ:うわっ、嬉しい。女心を解き放ったかのような素直な歌でしょう? 私、その歌詞がいちばん好きなんです。救いのないような歌でも、救いがないと思う瞬間はそこに存在しているわけだし、頑張らないでっていうメッセージをスナップショットする方が救いになる時もある。私はそういう歌も大事だなって思うんです。
EMTG:曲や歌詞は以前と変わらないやり方で作ったんですか?
アンジェラ・アキ:相変わらずピアノと向き合って作ることが多いし、ギターで作る事もあるんですけど、今回は私にしては珍しく詞先が多かったんです。「告白」も「You and I」も「モンスター」も詞先でした。きっと作りたい曲のイメージがハッキリしていたんでしょうね。
EMTG:曲調もとてもバラエティに富んでいますね。
アンジェラ・アキ:私は音楽が好きだし、ジャンルを問わず聴いてきたいろんな音楽が、自分の中で希釈されて、咀嚼されて、自分のフィルターを通したものが私の音楽を形成してくれてるからだと思います。あと、今回のレコーディングは今まで背負っていた荷物を下ろしたような感覚があったので、心がとても軽かった。本当に楽しくて、歌入れもワクワクしながらやれたので、いろんな歌い方を試すことができたんですよ。
EMTG:ところで、以前、アンジェラさんは『WHITE』というアルバムを発表されているので、今回の『BLUE』はあのアルバムと何か対比するもの、または繋がるものがあるのだろうかと思ったんですが。
アンジェラ・アキ:『WHITE』は、自分の中では絵描きさんが真っ白のキャンバスの前で延々と悩み続けている葛藤や悩みや涙が描かれているような作品なんですね。白いキャンバスには何も描かれていないように見えるけれど、決して白は無ではなく有である、悩みや苦しみは無駄じゃない、ゼロではなく1であるという意味の「WHITE」だったし、いろんな思いが混在している中で、一度白紙にする、リセットするという意味をタイトルにも込めた。で、そのリセットした後に私が塗りたかった色がBLUEだったんです。
EMTG:BLUEという言葉には、憂鬱という意味もありますが。
アンジェラ・アキ:確かに、英語では気分が落ち込んだ時にBLUEと言う事が多いですけど、片や快晴のBLUE、爽快なBLUEのように突き抜けた色でもある。日本語でも“あお”を漢字で表すと「青」「蒼」「藍」と3通りもあるし、濃淡の違いでずいぶんと印象も変わる。BLUEという色は本当に表情がとても豊かなんですよね。その振り幅にあるBLUEの表情の豊かさや奥深さみたいなものを、私はラブソングに重ね合わせたかったんです。
EMTG:ジャケットにはスカート姿のアンジェラさんが写ってますね!
アンジェラ・アキ:ずっと一緒にやっているアートディレクターに制作途中の音を聴いてもらったら、私がどんな心境で今回のアルバムを作っていたか知らないはずなのに、何かが解き放たれていると感じたんですって! そのイメージを彼女がスケッチしてくれたんですけど、そこにはスカートが描かれていたので、私の足なんか世の中に出してよろしいのかしら?と思ったんですけど、出しちゃいました(笑)。
EMTG:でも、足元はいつものコンバースですね。
アンジェラ・アキ:はい。私はいつでもどこでも絶対コンバースなので。ひとつ壁を突き抜けることができたからスカートが履けたし、突き抜けることができたからこそ、今までと変わらずにコンバースが履けたんでしょうね。
EMTG:『BLUE』を携えた全国ツアーが10月からスタートします。3年ぶりのツアーは約5ヶ月間でほぼ全国を廻りますね。
アンジェラ・アキ:私にとって『BLUE』は大きな大きなアルバムになったし、エネルギーがみなぎっている作品なので、その溢れ出るエネルギーをライブでも満喫したいです。笑いあり涙あり、じっくり聞いてもらえる歌あり、一緒に歌う歌ありの一瞬たりとも飽きさせないメリハリのある楽しいライブの中で、みなさんとエネルギーのやりとりをするのをとても楽しみにしてます。

【取材・文:松浦靖恵】

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リリース情報

BLUE(初回生産限定盤)

BLUE(初回生産限定盤)

2012年07月18日

ERJ

1. アイウエオ
2. 告白
3. Foolish Love
4. 恋の駆け引き
5. Cry
6. In My Blood
7. You and I
8. モンスター
9. 心の天気予報
10. factory
11. 夜明け前の祈り
12. BLUE
13. One Family ~宇宙の渚スペシャルバージョン~

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■ライブ情報

Concert Tour 2012-2013 BLUE
【2012】
2012/10/13(土)サンシティホール(越谷市)
2012/10/14(日)宇都宮市文化会館大ホール
2012/10/18(木)新川文化ホール
2012/10/20(土)本多の森ホール
2012/10/21(日)新潟県民会館
2012/10/26(金)島根県芸術文化センターグラントワ
2012/10/27(土)周南市文化会館
2012/10/30(火)佐賀市文化会館 大ホール
2012/11/01(木)びわ湖ホール 大ホール
2012/11/03(土)伊勢市観光文化会館
2012/11/04(日)なら100年会館 大ホール
2012/11/09(金)札幌市民ホール
2012/11/11(日)旭川市民文化会館
2012/11/20(火)長良川国際会議場メインホール
2012/11/23(金)奥州市文化会館(Zホール)
2012/11/24(土)秋田県民会館
2012/11/25(日)リンクステーションホール青森
2012/12/01(土)神奈川県民ホール
2012/12/02(日)桐生市市民文化会館シルクホール
2012/12/07(金)福岡サンパレス
2012/12/09(日)鳴門市文化会館
2012/12/15(土)大分iichikoグランシアタ
2012/12/16(日)宮崎市民文化ホール
【2013】
2013/01/12(土)郡山市民文化センター
2013/01/13(日)山形県県民会館
2013/01/14(月)仙台サンプラザホール
2013/01/17(木)和歌山市民会館 大ホール
2013/01/19(土)オリックス劇場
2013/01/20(日)オリックス劇場
2013/01/22(火)サンポートホール高松
2013/01/26(土)コラニー文化ホール
2013/02/10(日)鹿児島市民文化ホール 第一
2013/02/13(水)沖縄コンベンション劇場
2013/02/17(日)愛知県芸術劇場大ホール
2013/02/20(水)NHKホール
2013/02/23(土)まつもと市民芸術館
2013/02/24(日)静岡市清水文化会館マリナート 大ホール
2013/03/02(土)広島市文化交流会館
2013/03/03(日)岡山シンフォニーホール

※その他ライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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