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会場も交え作られた光のページェント SEKAI NO OWARIアリーナツアーのセミファイナルをレポート

SEKAI NO OWARI | 2013.03.08

 オープニングVTRは、海外アニメのようなかわいい絵柄によるSEKAI NO OWARIの物語。自分たちの手でライブハウスを作り、バンド活動を続け、CDデビューを果たし……というプロフィールが描かれていった。順調にステップアップしつつも、いつの間にか音楽が仕事になってしまったことに戸惑い、「僕たちらしさ」とは何なのか分からなくなってしまったメンバーたち。「僕ららしさとは僕らが作っていくものじゃないか!」と気づき、「過去の自分を殺すんだ!」と、4人各々が「過去の自分」に斧を振り下ろすという衝撃的な結末を経て、ライブはスタートした。

 登場したFukase (Vo, Gt)、 Nakajin (Sound Produce, Gt) 、DJ LOVE (DJ, Sound Selector) 、 Saori (Pf, Show Produce)を大きな歓声が包み、1曲目「スターライトパレード」の演奏が始まった瞬間、観客全員に配布されていたリストバンドが一斉に点灯した。広い代々木第一体育館全体が銀河のような無数の光に溢れる様は、何とも言えずロマンティック! 曲の展開に合わせて青や白など、光の色が変化するのも美しい。2曲目「虹色の戦争」では、リズムに合わせて7色に明滅。幻想的な空間を心から堪能したオープニングであった。

「ファンタジー」や「天使と悪魔」などが立て続けに披露され、温かい一体感が広がった場内。「不死鳥」を演奏した後、Saoriが観客に語りかけた。「みなさん、楽しんでますか? 今回のツアーの演出はわたしです。ほんと、いろんな人と話し合ったけど、特に問題児は、Fukase(笑)。急にダメ出しをするんですよ。“前からこうするって言ってたじゃない!”ってわたしが言って、Fukaseが言い返した時を描いてきました」と、取り出したのは、実に味のある絵柄によるイラスト。Fukaseと思しき顔が「パチこいてんじゃねえよ!」と言っている。「つい、言っちゃったんだよね(笑)」と照れるFukase。「その言葉を聞いてわたしは、“今、なんと? パチこいた?”と。その時がこれです」、さらにもう1枚のイラストを取り出したSaori。仲の良さが窺われる微笑ましいエピソードを聞いて、和やかな笑いが観客の間から起こった。

「花鳥風月」「生物学的幻想曲」「illusion」を演奏した後、スクリーンに流れたVTR。往年のファミコン風のドットの粗い絵柄になったDJ LOVEが、マネージャーから「会場内に飾ってある風船を回収するように」という指令を受ける。アイテムをゲットしてスコアを稼ぐTVゲームのように風船を地道に集め始めたDJ LOVE……すると突然、本人がステージ上に登場。ワイヤーに吊られてジャンプした彼は、観客の頭上を漂う風船目がけて空中歩行! サーカスのようなアクロバティックな演出は、大喝采を浴びた。

 花道の先端にあるセンターステージに1人で現れたNakajin。「LOVEが飛びました! ここはデカいから、いつもより長めに飛びましたよ(笑)。僕はここに1回だけ来たことがあって。高校の時にバレーボール部だったんだけど、「春の高校バレー」を観に来ました。こうやって自分が、でそれと同じ会場でライブをやるとは、思いも寄らなかったです」と思い出を語り、アコギを弾きながら歌い始めたのは「TONIGHT」。曲の途中からメンバー3人も合流。Fukase(コーラス、タンバリン、オモチャのピアノ)、Saori(鍵盤ハーモニカ)、DJ LOVE(カホン)によるアットホームなムードの合奏を展開。そして、「青い太陽」もセンターステージで演奏した後、4人は花道を歩いてメインステージへと戻った。
歴史上の人物などによる戦争に関する言葉、過去の戦争の犠牲者の数などを示す映像と共に演奏した「世界平和」を皮切りに突入した後半戦。「Love the warz」「Never Ending World」……深いメッセージを伝えるナンバーが続く。ステージを見つめながら一心に耳を傾けた観客。そして、「幻の命」と「眠り姫」を経て、再びMCタイム。「いろいろやってきましたが、そろそろ終盤です。こういう話は恥ずかしいけど……みんなは、夢ってありますか?」と問いかけたFukase。「最近、いろいろ考えて、最終的な俺の夢を思いつきました。なんつーか……ここへ来て、言うのが恥ずかしくなってきた(笑)。……この4人でどこまでもやってくことを、俺の夢にすることにしました。だからこの4人で頑張るSEKAI NO OWARIを応援してください!」と決意を語り「yume」。そして、「深い森」で、本編は終了した。

 アンコールを求める手拍子と歓声は、いつしか「スターライトパレード」の大合唱となる。その声に応えてステージに戻ってきたメンバーたち。アンコールの1曲目は「Fight Music」。観客の掲げたタオルが、軽快なビートに合わせて勢いよく回転! Fukase、Nakajin、DJ LOVEは、ステップを踏みながらセンターステージへと飛び出していく。DJ LOVEがバズーカ砲で銀テープを発射すると、観客は一際熱い歓声を上げた。続いて5月1日にリリースされる新曲「RPG」。客席から起こった手拍子が曲を彩り、爽やかに響き渡っていく。そして、ラストを飾ったのは「インスタントラジオ」。場内の誰も彼もが大きな声で共に歌い、飛び跳ねて踊るエネルギーが素晴らしい。リストバンドもありたっけの色彩を点滅させながらキラキラ輝く。とびっきりの幸福感に満ちたエンディングとなった。

【取材・文:田中 大】
【Photo by 上飯坂 一】

tag一覧 SEKAI NO OWARI 男性ボーカル ライブ

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リリース情報

ENTERTAINMENT(初回限定盤)

ENTERTAINMENT(初回限定盤)

2012年07月18日

トイズファクトリー

1. The Entrance
2. スターライトパレード
3. ファンタジー
4. illusion
5. 不死鳥
6. 天使と悪魔
7. Love the warz
8. Never Ending World
9. 生物学的幻想曲
10. TONIGHT
11. yume
12. 花鳥風月
13. 炎の戦士
14. Fight Music
15. 眠り姫
16. 深い森

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セットリスト

ARENA TOUR 2013「ENTERTAINMENT」
2013.2.22@代々木第一体育館

  • 1.スターライトパレード
  • 2.虹色の戦争
  • 3.ファンタジー
  • 4.天使と悪魔
  • 5.死の魔法
  • 6.不死鳥
  • 7.花鳥風月
  • 8.生物学的幻想曲
  • 9.illusion
  • 10.TONIGHT
  • 11.青い太陽
  • 12.世界平和
  • 13.Love the warz
  • 14.Never Ending World
  • 15.幻の命
  • 16.眠り姫
  • 17.yume
  • 18.深い森
ENCORE
  • 1.Fight Music
  • 2.RPG
  • 3.インスタントラジオ

お知らせ

■ライブ情報

『KAWAii!! MATSURi』
2013/04/21(日)東京体育館

炎と森のカーニバル
2013/10/12(土)富士急ハイランド?
2013/10/13(日)富士急ハイランド?
※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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