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初日ならではのドラマも満載。PUSHIM最新ツアー、その東京でのライヴをレポート

PUSHIM | 2013.07.01

 人間PUSHIMの真摯な表現がジャパニーズ・レゲエというジャンル/アーティストの枠をいい意味で忘れさせる傑作ニューアルバム『It’s A DRAMA』。本作を携えた全国ツアーの初日がZepp Tokyoで開催された。いかんせん、ツアーはこれからが佳境のため、詳細なセットリストは披露できないのだが、新作を軸にしながら、アルバムタイトルさながらの「人生はドラマ、ライブはドラマ。ナマモノは何が起きるかわからない」、予定調和とはまったく縁のないステージが展開されたことを記しておきたい。
 ボブ・マーリィなどルーツレゲエが流れ、カクテル照明のようなライトがダンスホールさながらな演出に、夏本番を前にお洒落度もアップした女性ファンの華やかさが眩しい。SEのトーンの変化とともに暗転、ステージに設えられた紗のスクリーンに「It’s A DRAMA」という文字が映し出されると歓声はいきなりマックスに。そこへカラフルかつプリミティヴな衣装(PUSHIM と妹YOUNG SHIMによるレディースアパレルブランド「To me 2H(トミトエイチ)」のもの)で登場したPUSHIM。東京の湿度高めな梅雨の空気を除湿するようなカラリとしたHome Grown Special Bandの心地いいサウンド、おなじみGOSSIP OF JAXXの竹島悟(sax)のブロウもまさに風を起こす「Mighty Princess」、イントロ一発で熱狂的な歓喜の声が上がった「HEAT」。高らかに歌い上げながら深く伝える「瞳は火を絶やさない」というメッツセージが、この場にいる人たちおのおののアンセムとして刻まれた印象だ。「どうも!ツアー初日始まりました。初日初東京ってことでみんな見守ってね!」とファンをこのドラマの登場人物としていざなっていく。

 中にはかなりなレア選曲も盛り込みながら進む前半。同期で歌詞かつタイトルでもある「このルートじゃなくてもゴールはある」を流しつつ主メロ?サビを歌う手法は、アッパー過ぎず、さりとてダンスホールの洒落っ気も満載。全身で楽しさを表現するPUSHIMのアクションもヒートアップしていった。緩やかなグルーヴに満たされたあとは、ニューグッズであるカラフルなタオルで汗を拭きながら「新しすぎて、汗全然吸えへんわ」と笑わせる。フロアを見渡しながら、「男子もけっこういるんじゃないかしら? いつもPUSHIMのライブは女子ばっかりやなーって言われるけど、どうなん? 彼女に誘われてきたん?」と問いかける。これが前フリになっての、女子の男子に対する本音ソング「Oh-Oh」への話芸の面白さ!「ちょっとレディース!男子の話でもしようや」と切り出し、この曲の歌詞をさらに具体的にしていくようなイマドキ男子への苦言が続発。同調する女性ファンに圧倒? されながらも歓声を上げる男性ファンに向けて「文句あるんやったら、アンサーソング作ってください!」と、瓦版よろしくMCと歌を交えた展開に、こりゃ女の子が思いの丈をこれだけ発散できるライブなんて、やはり他にないよなぁと、笑いながら感心してしまう。

 中盤以降にはシティポップ感もある「Tokyo City feat.漢」がまさに東京公演のみのスペシャルゲストであるMC漢を迎えての展開。東京やその周辺に暮らすであろうこの日のファンのそれぞれの日常をスムーズなPUSHIMのボーカルと、いわゆるラッパーにはないストイックな佇まいのMC漢のリアルなリリシズムが浮かび上がらせるようだった。
 新旧織り交ぜつつ、普遍的な歌に寄った選曲で進行してきたライブもいよいよ佳境。一度気持ちをクールダウンさせるかのように静かに話し始めた彼女。「心の弱い私にとって、言葉にしたいことは歌にあるので、なんとか生きています。そのことでまたしんどくなって、また言葉にして続くんだなって。次に歌う歌は人生でいちばんしんどい時に作った歌。作ることによってこの先、いいことあるんやって思って」と、彼女のキャリアのなかでももっともシリアスでブルースで、エレジーの要素がにじみ出た「That’s my blues song」が、一言ひとことを大切に歌われる。生い立ち、決して器用ではない生き方、母の存在。歌うことの根本的な意味を綴ったこの曲は、もはや国やジャンルを越境したゴスペルだった。万感の思いにPUSHIMもフロアも静かな熱に浸されている。ただそこでしんみり幕を閉じないのが彼女らしさ。畳み掛けるように、これぞ本物の応援歌「Hooray」を放つのだが、序盤の歌い出しが納得いかず「やり直しやー!」と、リスタート。ミスとか失敗じゃない、思いが溢れ過ぎているのだろう。冷静でいられない心情を感じた。実は本編はこのナンバーで締められるハズだったのだが、本編中のとあるハプニングで時間が巻いたため、袖に下がることなく「ちょっとこのまま待って!」とメンバーを座らせて、急遽予定変更。新作のタイトルチューン「It’s A DRAMA」をメンバーをはじめ、PUSHIM本人もドラムセットの台に腰掛け、肩の力を抜いて歌ってくれたのはむしろリアルだった。初日ならではのバタバタというより、自分をさらけ出した歌そのもの、そしてフロアの共振が、彼女の心を揺さぶったのだろう。予定になかった「Rainbow」ではフロアをピュアな明るいライトが照らし、虹には一色足りない6色のバックライトというチームプレーが心憎かった。

 こんなことを言うとただの感動屋さんのように思えるかもしれない。けれど、PUSHIMの生きる覚悟がこもった歌声は恐らくレゲエ、R&B,ポップスはおろか、演歌や民謡、あらゆる必然のある歌が好きな人ならまちがいなく心を掴まれる。これから行われるライブにはぜひ、女友だちでも彼氏でも両親でも誰でも、誘って参加されることを心からオススメします!

【取材・文 石角友香】

tag一覧 ライブ 女性ボーカル PUSHIM

リリース情報

It’s A DRAMA

It’s A DRAMA

2013年03月13日

キューンミュージック

<Disc1:CD>
1. It’s A DRAMA
2. HEAT feat. EGO-WRAPPIN’
3. Mighty Princess
4. このルートじゃなくてもゴールはある
5. 夕陽
6. Oh-Oh
7. Tokyo City feat. MC漢
8. Sorry Mama
9. That’s my blues song
10. Hooray

<Disc2:DVD> ※初回生産限定盤のみ
・『HEAT feat. EGO-WRAPPIN’』Music Video
・「It’s A DRAMA」Behind The Scene(メイキング映像)

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リリース情報

MTV UNPLUGGED:PUSHIM(初回盤)[DVD]

MTV UNPLUGGED:PUSHIM(初回盤)[DVD]

2013年03月13日

キューンミュージック

01.Good Morning Jamaica
02.Anything For You
03.LOVE THIS MUSIC
04.I Wanna Know You
05.RAINBOW
06.やつらの足音のバラード
07.MESSENGER
08.FOREVER
09.I pray
10.瑠璃色の地球
11.a song dedicated
12.リンゴ追分

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お知らせ

■ライブ情報

PUSHIM LIVE TOUR 2013 “It’s A DRAMA”
2013/07/05(金)福岡 DRUM LOGOS
2013/07/06(土)広島 CLUB QUATTRO

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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