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Base Ball Bear、3年振り、3度目の日比谷野音ワンマンの模様をレポート!

Base Ball Bear | 2013.07.03

 お馴染みのオープニングSE、XTCの「Making Plans For Nigel」が鳴り響き、小出祐介(G & Vo)、湯浅将平(G)、関根史織(B & Cho)、堀之内大介(Dr & Cho)が登場。軽い音出しによる肩慣らしの後、1曲目「BREEEEZE GIRL」がスタートした。観客は一斉に手拍子をして歓声を上げる。疾走感に溢れるこの曲は、野外で体感すると一際魅力が光る。梅雨の曇り空の下、若干蒸し暑い気候ではあったのだが、どこからか爽やかな涼風が吹いてくるような感覚になるオープニングであった。

 「PERFECT BLUE」と「GIRL FRIEND」も演奏して最初のMC。「僕らの数少ないシリーズライブにご来場いただき、まことにありがとうございます。3年ぶり? 今年は野音の抽選が当たりまして。野音の予約は抽選制なんです」などと小出が語った後、「17才」へ。甘酸っぱいメロディが客席全体を震わす。続いて「彼氏彼女の関係」「アイノシタイ」が、皆を激しく踊らせる。そして雪崩れ込んだ「愛してる」は、曲が始まるや否や激しい手拍子が湧き起こった。

 6月26日にリリースされる3rdミニアルバム『THE CUT』、同日に出る『惡の華』のコンセプトE.P.『惡の花譜』に参加していることを告知した後、「何か盛り上がる話は?」と堀之内に話を振った小出。「前回のツアーでドラムに“魂”“愛”“絆”って書いたら問題になりまして(笑)。だから今日はメンバーがリハ中に言った言葉を書こうと。そしたらリハ中にコイちゃんが“Believe”と言ったので“これだ!”と」。そんな堀之内の行動に「何か違うんだよな?」と呆れて、「精神性の違い」を理由とした堀之内の脱退を提案する小出……恒例となっている堀之内イジリが、観客を和ませる。そして、「野音でやって欲しい曲を募集しました。裏切ろうと思ってたけど、やらないわけにもいかないだろうと(笑)。まず結構上位だった曲。その次が1位だった曲です」と小出が言ってから披露されたのは、「BOYS MAY CRY」と「short hair」。通好みの2曲を堪能させてくれた。

 「君はノンフィクション」が終わると、関根と湯浅はステージから離れ、堀之内と小出のセッションが始まった。ドラムをパワフルに連打する堀之内、シャープなカッティングを繰り広げる小出。スリリングなバトルであったが、やがて堀之内はマイクに向って口でリズムを囁き始める。当初「パパパパー」というフレーズだったのが、「ピピピピー」などと変化を遂げた。さらには小出の「次は“ポ”だけ」というような指示によってアレンジが加えられ、「だんだん鼠先輩に近づいてる(笑)」という指摘通りの趣きを帯びていく……というユニークな一幕を経て、ステージに戻ってきた関根と湯浅。4人がセッションを展開した後、「SIMAITAI」がスタートした。すると彼らの背後に張られていたバンドロゴの幕が外され、代わりに「日比谷ノンフィクションⅢ」と書かれた新たな幕が現れた。スピーディーな転換と熱いサウンドに刺激されて、一際勢い良く腕を振り上げて飛び跳ね始めた観客。「もっと!」と何度も煽る小出に応えて、《SIMAITAI!》という観客のコールも高まっていった。

 そろそろ日も暮れ、ライティングが映えるようになってきたステージ上で、アッパーな曲を連発した終盤戦。野性的な《ワオワオ!》という観客の歌声が轟く「真夏の条件」の途中で一旦ギターを外した湯浅は、情熱的にダンス! 曲に合わせて激しく動き回り、全力でダンスをする彼を観ながら、会場内の誰も彼もが大喝采。そんな客席の熱気を一層昂ぶらせた「yoakemae」。瑞々しいメロディをじっくり展開させつつ幕を開けた「Tabibito In The Dark」は、バンドが一丸となって奏でる壮大なサウンドが圧倒的であった。

 「海になりたいpart.2」と「LOVE MATHEMATICS」が、観客を汗まみれにして終了した本編。しかし、アンコールを求める歓声に応えて4人が戻ってきた。「ツアーが終わってからずっとスタジオにこもってたので、今日、こうしてライブができて楽しかったです。来年またこの時期に野音が当たるといいなと。3回目の武道館もやりたいなと思ってて。やっとそういう気持ちになってきました。あと、アルバムも……何も決まってないんだけど(笑)。では、野音恒例のあの曲を」と小出が語り、アンコール1曲目に演奏したのは「HIGH COLOR TIMES」。夜空にメロディが吸い込まれていくのが心地よい。観客は穏やかに身体を揺らしながら聴き入っていた。

 「予定は未定なんですが、またお目にかかれるのを楽しみにしてます。Base Ball Bearでした!」と小出が挨拶をしてスタートした「祭りのあと」。力強く刻まれるビート、叫びながら飛び跳ねる観客の熱量が劇的に融合し、野音全体が揺れる。一足早い夏祭りのような昂揚感が広がったこの曲を終えると、4人は手を振りながらステージを後にした。しかし、観客の興奮は全く収まる気配がない。その熱気に応えてダブルアンコールが行われることになった。再登場した4人は、実に嬉しそうな表情を浮かべている。「楽しいライブでした。また会いましょう! 6月26日のCDでもお会いしましょう。今日も予約受付中です(笑)。ダブルアンコールどうしましょうね? でも、4カポ(ギターのキーを変えるための金具=カポタストを4フレット目にセッティングしている……という意味)なので、自然と……」と小出が言いながら始まったのは「changes」。イントロが始まると、「おお?!」というどよめきが広がり、皆は夢中になって踊りだす。サビは大合唱となり、素晴らしい一体感が生まれていた。

 ジャンプ&着地と同時に演奏を締めくくり、ステージを後にした4人を観客の心のこもった拍手が見送る。メンバーもファンも、完全燃焼で楽しんだライブとなった。

【取材・文:田中 大】
【撮影:古溪一道】

tag一覧 ライブ 男性ボーカル Base Ball Bear

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リリース情報

THE CUT (初回生産限定盤)

THE CUT (初回生産限定盤)

2013年06月26日

EMI Records Japan

1. The Cut -feat.RHYMESTER-
2. ストレンジダンサー
3. 恋する感覚 -feat.花澤香菜-
4. 64-Minute Live Track From “バンドBのゆくえツアー” (2013/4/25 赤坂BLITZ & 4/28 札幌CUBE GARDEN)

このアルバムを購入

セットリスト

日比谷ノンフィクションIII
2013.6.15@日比谷野外大音楽堂

  1. BREEEEZE GIRL
  2. PERFECT BLUE
  3. GIRL FRIEND
  4. 17才
  5. 彼氏彼女の関係
  6. アイノシタイ
  7. 愛してる
  8. BOYS MAY CRY
  9. short hair
  10. 君はノンフィクション
  11. SIMAITAI
  12. 真夏の条件
  13. yoakemae
  14. Tabibito In The Dark
  15. 海になりたいpart.2
  16. LOVE MATHEMATICS
Encore
  1. HIGH COLOR TIMES
  2. 祭りのあと
W encore
  1. changes

お知らせ

■ライブ情報

Talking Rock! FES.2013
2013/07/19(金)なんばHatch

ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2013
2013/08/03(土)茨城県・国営ひたち海浜公園

RISING SUN ROCK FESTIVAL 2013 in EZO
2013/08/16(金)北海道・石狩湾新港樽川ふ頭横野外特設ステージ

RADIO BERRYベリテンライブ2013Special
2013年/09/08(日)栃木県・井頭公園 運動広場

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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