『シクラツアー2013　魂のサーブサブサーブ! ?全国合同夏合宿?』とタイトルし、ニューアルバム『スルメ1』を引っ提げて全国をツアーしてきた、シクラメン。その東京公演がお台場のZepp DiverCity Tokyoにて行われた。
　『?大阪・東京・名古屋は、スペシャルver. でお届けします！！?』と副々題されていたように、この東名阪は、これまでのライヴハウスクラスの会場よりもセットや演出も豪華。会場のキャパシティはもとより、格段に広くなったそのステージにて、DEppa、桃紅茶、肉だんごの3人のボーカリストも、この日のライティングや装飾、演出類のスペシャルさと共に、この大舞台を活かしたステージングを展開してくれた。

　ツアーが8月の下旬まで続く為、残念ながら曲目は出せないのだが、同日は、今春発売された彼らの集大成とこれからが詰め込まれた『スルメ1』に収録されていた全曲に加え、代表曲や人気曲、シングルのカップリング曲も多数歌われた。
　全力で煽り、一緒に歌うことを促し、お客さんとステージとの一体化のリーダー役を終始担っていたDEppa、柔らかい歌声で会場を温かい雰囲気に包んでいた桃紅茶、スウィートにして美しい歌声で会場を各歌物語へと誘った肉だんごによる、異なった声質の3人が放つ、ストレート、飛び道具、変化球、ずっしりと重い球等々、幾つも放たれる歌の球の数々を、笑い、ジーンとし、省み、振り返り、想いを馳せたりと、会場も思い思いのレシーヴで受け止め、またステージへとその想いを返していく、そんなコンサートが、この日は繰り広げられた。

　電飾とムービングライトがまばゆく、キラキラとしたステージに現れた3人。口火を切る、「東京いくゾ?!!」とのDEppaの煽りからライヴをスタートさせた彼ら。いきなり3人のボーカルのリレーションが堪能できるナンバーから、情熱度を上げるかのように入ったスパニッシュテイストのナンバー、「まだまだ休ませませんよ」(DEppa)の言葉の次には、会場中にタオル大旋回の曲が飛び出したりと、序盤から会場の沸点が上っていく。
　また、彼らの面目躍如の一つとも言える、聴かせるナンバーの登場箇所では、会場をあの日あの時へとタイムバック。会場中が各曲に心を寄り添わせながら聴いていたシーンも印象的であった。

　はたまた、中盤では、おちゃらけながらも、しっかりとメッセージを擁したナンバーが観る者の心を鼓舞し、凄くまじめに情熱を込めて歌ってはいるが、よくよく聴くと、”あれっ、これって…?”な、情熱歌謡ソングゾーンでは、バックにシクラダンサーズも登場。メンバー3人の歌に合わせ、一糸乱れぬシンクロしたダンスを披露し、本来そこまでかっこよくみせる曲ではないのだろうが、妙にカッコよく映ったのも、この日のマジックの一つと言えよう。

　後半では、昔の友達との会えなくても繋がっていることを思い起こさせてくれた楽曲や、満天の星空の下、愛しい人への思いを歌に乗せて伝えたナンバー、そして、今日よりも明日、明日よりも明後日と、もっと自分が好きになれるようにとの大サビでは会場をぐっとこさせた曲たちが、3人のボーカルリレーションやハーモニーも交え、伝えられ、聴く者をジーンとさせたり、キュンとさせたりしていく。
　そして、彼らの想いでもある、音楽の素晴らしさ、愛の素晴らしさ、そして、この地球の素晴らしさを、ちょっと不器用なのかもしれないけど、真摯でストレートに、真正面から伝えたナンバー群では、その歌に擁したメッセージに観る者の気持ちも同化。先述のシクラダンサーズに加え、キッズダンサーたちも現れ、一緒に歌い、歌に込められたメッセージを共に伝えた楽曲場面では、会場もステージも気持ちが一つになり、この日、最大のハイライトシーンが見られた。

　終始、一緒に歌い、常に心が歌や3人に寄り添い、ポッとした気持ちにさせられっぱなしだった、この日のライヴ。3人がステージから放つ歌の数々を、会場中が聴き入り、楽しみ、一緒に歌い、終始歌に気持ちを重ねていく、そんな一夜であった。
　冬には再び、全国ツアー『シクライブ2013-2014?シックスセンスを研ぎ澄ませて♡?』として、全国各地へと歌を届けに出かける予定のある彼ら。夏の<熱さ>とはまた違った、彼ら独特の<冬の温まり>的な歌もそこでは楽しめそうだ。

【取材・文　池田スカオ和宏】