湘南乃風、横浜スタジアムで3万人の観客と繋がった灼熱の一夜をレポート!
湘南乃風 | 2013.08.20
関東地方今夏の最高気温を更新したこの日(その後も更新されていくのだが)、湘南乃風メジャーデビュー10年を祝おうと開演前から横浜スタジアム周辺は、グッズのTシャツやタオルを身につけ、仲間とともに盛り上がるファンで騒然としていた。入場すると、場内を映すカメラに映し出されたお客さんからあらゆる場所で歓声が起こるなど、早くも全員参加の祭りの様相だ。
未だ西日が照りつける中、スクリーンの映像がブラックアウトし、10周年のロゴ、そしてメンバーの名前が投影されると、スタジアム後方から登場したバイカーがステージまで疾駆、前方では大きなフラッグがはためき、大歓声の中、メンバーが登場した。オープニングはそう、10年前のメジャーデビューアルバムのタイトル曲「Real Riders」! のっけから抜群のマイクリレーでスタンドのてっぺんまでジャンプが起こる。花道の先にある上下可動式のステージまで走る4人の熱の入りように「BREAK DOWN」ではサビの大合唱がさらに大きくなる。そしてまさにこんな日にハマり過ぎの「炎天夏」では複数のスプラッシュ砲がグラウンドに放たれ、最高のプレゼントに。ここまでアッパーに攻めてきたレパートリーから一転、オーガニックなワンドロップ・テイストの「曖歌」では、リリックを横浜スタジアム仕様にアドリブで歌うたびに会場全体のグルーヴも大きくうねるのが分かる。「応援歌」ではMOOMIN’本人が登場するサプライズもあり、彼のシルキーボイスが、熱狂に加えてやさしい気持ちも喚起してくれた。ここまで一気呵成に10曲を歌いきってメンバーは一旦ステージを後にし、スクリーンには10年の足跡が映像で足早に映しだされた。
続いて湘南乃風5人目のメンバーでもあるセレクター・The BK Soundが花道の先のステージに登場し、メンバーおのおののキャラや音楽性に合わせたトラックをブッ放つ。そしてグラウンド後方のステージにメンバーが登場し、ファンは騒然! ハードな「NO WAY ?悪漢無頼?」ではちょうど太陽が沈むとともに鮮やかな照明とスクリーンに投影される稲妻の映像も相まって、夜モードに突入。「SALUTE」まで一気に4曲を歌う。そしてイントロ一発でスタジアムが地鳴りを起こすような熱気で湧いた「Born to be WILD」は、しかしシンガロングが小さいとばかりに、仕切りなおしてリスタート。この日何度も「3万人、こんなもんじゃねぇだろ?」と煽りに煽られ続けるファンも天井知らずのパワーを放出して、メンバーの迫力に応え、この日最初のピークを迎えた。温かなメッセージソングはもちろん、この曲のようにアグレッシヴなナンバーでの4人の声の個性とマイクリレーの切れ味は最強だ。そして「せっかくだからみんなで繋がろうぜ」(HAN-KUN)と隣同士で肩を組むことを促して放たれた「親友よ」では、何も帰属先だけが仲間なのではなく、これからの人生で飛び込んで行く先もまた、仲間にしていく、そんな強さを促された気分だ。続く「純恋歌」では、「今日は湘南乃風の歌で過去を振り返る。あの時、どんなことにつまずいて、どんな恋愛をしてたか? 思い出せ」(若旦那)の言葉も相まり、3万人の思いが歌とともに横浜の空に放たれたよう。メンバーが再びステージを後にすると、ストリングス隊が神聖な響きでヒートアップした空間をやさしく癒した。
スクリーンに隕石の爆発のような映像が投影されると同時に始まった「爆音男?BOMBERMAN?」から「黄金魂」までのド迫力かつスリリングなマイクリレー、ことにRED RICEのドスの効いたラップは、湘南乃風10年の足跡に楔を打ち込むような説得力だ。MCのたびに10年間支えてくれた仲間やファンへの感謝を口にしてきた4人が終盤に迎え入れたのはMINMI! 「才能が違った。個性が違った。でもだからこそこの4人を側で見たいと思った」と、共闘してきた彼女の言葉は誰よりもリアルで、彼女プロデュースの「さくら?卒業?」が、色鮮やかなエレメントを加え、音楽的に貪欲に進化してきた今の湘南乃風を印象づけてくれた。
大ラス前には改めてメンバーひとりひとりからこれまでの10年を振り返りながら現在の心境が語られる。RED RICEは「不公平な世の中だなとか思うけど、平等にみんないつか死ぬし、死ぬ時、人の9割はやらなかったこと、伝えなかったことを後悔するらしい。やんなきゃよかったことは思い出さないらしいから」と、悔いのない生き方を誓いながらファンにも勇気をくれた。SHOCK EYEは「高校の頃、初めて飛び込みでやったバイトがここで飛んできたボールを取りに行く仕事。野球というエンタテイメントに背を向けてね。その俺が今日はこっちに立ってる。これは今日、話さないといけないことだと思った」と不思議な縁と続けることの意義に関するエピソードを。続く若旦那の「ひとつ訊く。<生きてるかー!?>」の呼びかけに全力で応えるファン。「親からもらった命、がっちり燃やしていけよ。生きろよ!」と絶叫する姿には問答無用に胸に熱いものが込み上げる。アンカーを任されたHAN-KUNはステージの照明を落としてもらい、ファンが手にする青いライトだけで3万人の存在を確かめる。背景には美しいピアノの旋律。本当に4人4様のセンスを感じる瞬間だ。「これが最後の曲。俺たちはカラスだ。負けそうになったらこの言葉を思い出せ!」と、原点中の原点である「カラス」へ。もう誰がどこを歌うとか、そういうレベルを越えて4人は可能な限りファンに思いを届けようとする。ファンはタオルを掲げてそれに応える。ここまで渾身の本編24曲を歌いきり、4人はステージを後にした。
そこここから起こるアンコール、歌い続けるファンに向けて、お楽しみはまだまだとばかりに映し出されたのは「歌う大捜査線」と題されたミニドラマ。山本高弘の熱演(?)に爆笑&失笑が沸き起こるなか、メンバー全員、祭りの半被ばりの衣装で再登場。いきなりハイパーソカな新曲「GAMES SHONAN PLAY」をお見舞いし、この7月30日、10年前の「Real Riders」でデビューした日に、当時制作していた同じ場所で作ったという「BIG UP」を字幕付きで披露。4人が音楽を続ける理由が凝縮された曲だ。HAN-KUNが「湘南乃風はアンコールからが本番だ」と言った意味がよーくわかる勢いで、まさに10周年をハピバ!と祝うダンサブルな「ハピバ」、イントロ一発でファン悶絶のメガヒットチューン「睡蓮花」で、この日最大のタオル回しと揺れを確認する。正真正銘のラストは、俺たちはどこでもスピーカー積んで湘南乃風のサウンドを届けに行くぜ、とばかりにその存在がいくら巨大になろうとも、自由であり続けようとする「Wild Speed」で大団円と相成った。そして、メンバーが残されたステージ上のスクリーンには意味深かつ期待を煽る言葉「風伝説第二章 始動」がでっかく残されていた。
楽しいこと苦しいこと、様々な日常や人生の場面を湘南乃風とともに生きてきたファンにとって、これからの歳月もともに成長していくであろう「仲間」の姿を確認した一夜だったに違いない。
【取材・文:石角友香】
リリース情報
セットリスト
十周年記念 横浜スタジアム伝説
2013.08.10@横浜スタジアム
- Real Riders
- SHOW TIME
- Earthquake
- BREAK DOWN
- 晴伝説
- 覇王樹
- 炎天夏
- 湾岸 highway
- 曖歌
- 応援歌
- NO WAY 〜悪漢無頼〜
- JUMP AROUND
- OH YEAH
- SALUTE
- Born to be WILD
- 親友よ
- 純恋歌
- 爆音男 〜BOMBERMAN〜
- Joker
- 黄金魂
- 雪月花
- さくら 〜卒業〜
- 恋時雨
- カラス
- GAMES SHONAN PLAY
- Dream Lover
- BIG UP
- ハピバ
- 睡蓮花
- Wild Speed
お知らせ
番組名:湘南乃風ライブ「十周年記念 横浜スタジアム伝説」
放送日時:2013年9月29日(日)夜9:00〜
放送チャンネル:WOWOWライブ