今年4月から全国ツアー「闇から光へ尿意ドーン！ケツメイシTOUR 2013?ここが噂のパワースポットです♪?」を展開していたケツメイシ。8月に入って、大阪、横浜、沖縄の3ヶ所（計6公演）で、追加公演が行われた。「闇から光へ尿意ドーン！ケツメイシTOUR 2013?エッ？追加公演？いつやるの？...今でしょ！?」という遊び心満載のタイトルからして気分がアガる。しかも、通常はアリーナ席となるフロアはスタンディング仕様だし、立ち見のお客さんもビッシリで、夏フェス会場のようなムード。ダンスビートのSEが開演のキッカケとなり、場内の照明が落ちると、まず派手なレーザー照明に驚かされる。加えて、ネオンライトつきの衣装を着たダンサー達が暗闇に浮かび上がると、ステージの高い位置にあるDJブースにはDJ KOHNOが華麗に登場。そして、ステージ上の白いバルーンがふくらみ始め、パンパンになって割れると、そこからRYO、RYOJI、大蔵の3人が出現するという奇抜なオープニング。1曲目の踊ってアガれる「脳内開放‐know ya mind free」以降も、「君にBUMP」「夏とビールとロックンロール」などの夏ソングが飛び出し、場内は一気にヒートアップ。

　一方、MCではRYOが話術で持ち味を発揮。休日に富士山の頂上を目指した時、軽装の外人登山者が途中で挫折する様を見たというエピソードを面白く語ってなごませる。

　中盤では「君とつくる未来」「夢の中」「LOVER」などのしっとりチューンをクールに聴かせ、ハイテンションだった前半とのメリハリをつけた。だが、ライブは次に意外な展開へ。彼らお得意のコント映像に続き、今度はメンバーが登場しての生コント劇が繰り広げられたのだ。これが面白い！　間合いといい、完璧。これには素直に笑わせていただいた。気分が上がったところで、次のブロックはブチ上がりナンバーの連続。メンバーもノリノリでダンスを披露した「GOKON Queen」や、TRFのヒット曲「EZ DO DANCE」のカバーに「LOVE LOVE Summer」、「お二人Summer」といった夏気分の選曲が嬉しい。しかも、「EZ DO DANCE」では、TRFのSAM風ロングヘアのウィッグにコスチュームのダンサー達がズラリ。これには観客も大ウケだったが、実はこのあと、本物のSAMが登場！　豪華なコラボに会場は沸いた。再びコント映像が流れたあとのブロックで披露されたのは名曲劇場「君とボンバイエ2‐激闘！過労！古田よ永遠（とわ）に…」。ステージにはプロレス用のリングマットが設置され、学生時代、プロレスラーを目指したふたりの男のストーリーが役者さん達によって実演される。完全にお芝居をみているようだ。リングのまわりに座っているメンバーが「涙」「そばにいて」「闘え！サラリーマン」「手紙?未来」など、話の展開に合わせた楽曲を歌っていく。ケツメイシの歌は、泣ける状況にもマッチするのだと実感。本編ラストのブロックでは今年5月にリリースしたシングル「月と太陽」を披露。懐かしい曲から最新曲に至るまで、幅広くも濃い内容でまとめてくれた。しかも、ダンスや映像にコント、さらには舞台演劇という斬新な演出を駆使。エンタメ根性を見せつけてくれた。こういうライブは、きっとケツメイシでなければ成立しなかっただろう。

　アンコールでは再びアッパーモードへ。「夏の思い出」や「カーニバル」に加え、ジプシー・キングスのカバーでも知られるラテンの名曲「ボラーレ?Nel Blu,Dipinto Di Blu」で、お祭り気分は最高潮に。タオルをまわしたり、踊ったり……自由に楽しむ1万2千人の放つ熱気が実に爽快な夜だった。今回のツアー、うっかり行きそびれた人がいたとしたら、ぜひ10月2日発売のDVD『ケツの穴...らへん』（5月19日＠さいたまスーパーアリーナ公演をノーカット収録）をチェックすべし！　タダ者ではない彼らのエンターテイナーぶりは、一見の価値アリだ。

【取材・文：海江敦士】