ケツメイシ、2013年第1弾シングル「月と太陽」をリリース!
ケツメイシ | 2013.05.20
- EMTG:昨年末にアルバム『KETSUNOPOLIS 8』をリリースしてから、どのような活動をしていましたか?
- DJ KOHNO:アルバムはいろんなリアクションをいただきましたね。いいと言ってくれる人もいれば、そうでない人もいて。今年はさまざまな反響を受け止める時間でしたね。
- RYOJI:まさしくだね。
- 大蔵:どこに向おうとしているんだ?という人と、ケツメイシは進化しようとしているんだよと理解してくれる人がいて、いい意味で反響が大きかったアルバムだったなと思いました。
- EMTG:そして、2013年最初のシングルリリース。収録3曲すべてがタイアップですが、そのことにより作り方に変化は?
- RYOJI:要望に応えるカタチで作る曲だったりするので、多少とまどう部分もあるんですけど。まぁ何せ『KETSUNOPOLIS 8』で一度向こう側を見て来ているので、間をとれたというか。先端もありつつ、わかりやすさもある仕上がりになっているのかなって。曲作り自体に苦労とかはないですけど。
- EMTG:「月と太陽」は、ドラマ『ダブルス?二人の刑事』(毎週木曜21時)のエンディングテーマのために書き下ろした曲ですね。
- DJ KOHNO:ツアーの打ち合わせをやっている時に、このお話をいただいて。
- RYOJI:今までは、ツアー前はツアーに集中させてもらっていたんですけど、今回はその前にも制作がワーッと入ってきたという、新しいことをやりました。他のアーティストでは当たり前のことなんでしょうけど(笑)。
- RYO:いつも3勤4休みたいな感じだったんですけどね、ツアー前は。今回は週1日くらいしか休みがなかったです。
- DJ KOHNO:作り方としては、最初にドラマのあらすじをいただいたんです。
- RYOJI:特に指定とかはなかったので、(ストーリーを元に)自由に作らせてもらいましたね。
- EMTG:みなさんは、これまでもドラマ主題歌を手がけていますが、それらとの違いは?
- RYOJI:せっかくこの間のアルバムで冒険させてもらったので、自分達の色を出さなくてはいけないというところにこだわりましたね。ドラマの内容に寄せるというよりは、自分達の歌いたいことをしっかり表現する。そこで、うまくドラマとリンクしていけばいいんじゃないかって。
- EMTG:結果、この曲は「月と太陽」「影と光」のような対峙するものを題材にしていますが。
- DJ KOHNO:最初はRYOJIくんから、陰と陽のような対極にあるもの。ドラマでいうと捕まえる側と、追いかける側(の心理を表現しよう)というのがあって、そこから膨らんでいった感じですね。
- RYOJI:本当は捕まえられるというのは、犯罪者にとってマイナス面が大きいように思えるじゃないですか。でも、よくよく考えると捕まえられることにより、解放される部分もあるんじゃないかって思うんですよ。だから、刑事がそういう気持ちを持って追いかけているなら、素敵だなって思いまして。悪いヤツを捕まえるというよりは、救ってやるという感覚で、刑事っていうのがいてほしいというのが、曲に反映されている部分はあります。
- RYO:時効前の犯罪者って、このまま逃げてしまいたいという気持ちがある反面、実は捕まえてほしいという思いもあるみたいですしね。
- EMTG:また、ドラマのストーリーにリンクしていると同時に、「大切な人を守りたい」という思いの伝わる内容にもなっていますね。
- RYOJI:そうですね。友情、愛情(というとらえ方)もありますし。なかなか全員が元気な時ってないじゃないですか。平凡な日々でありながらも、どちらかに何かが起きて、それを相手が支えるということが、日常にあふれていると思うんですよね。なので、この曲を聴いて自分達の日常に照らし合わせてもらえたらいいなって思いました。
- EMTG:RYOさん、大蔵さんはこの曲に対するこだわりは?
- RYO:今回書き直しとかして。しんどかった部分はありますが、いろんなラップの仕方などを追求できたのがよかったですね。僕は字数とか分析するのが好きでラップを20年近くやっているんですけど、まだまだ面白い方法があるんだなというのが発見できた制作でしたね。
- 大蔵:今回は耳に残るものだとか、ラップの切り口など、これまでにはないやり方に挑戦しようという流れになったので、そのあたりは意識して制作した部分があります。
- EMTG:トラックに関しては?
- DJ KOHNO:僕は、今回はトラックというより、ラップのディレクションをする立場のほうが大きかった。この曲に関しては、さっきからみんなが話しているように、今までにない切り口からラップを探していこうよというところからスタートして、この曲が完成して、その流れにのって他の2曲においても新しいことに挑戦できたのがよかったですね。『KETSUNOPOLIS 8』で新しいことに挑戦して受け入れて、そこからさらに進化しようという姿勢を作るきっかけになった曲だと思う。
- EMTG:RYOJIさんは、ラッパー/シンガーとして「月と太陽」に対しては、どのようなこだわりが?
- RYOJI:個人的には、自分の頭の中にあったものを、他のメンバーにも協力してもらって表現できたのかなって感じですね。
- EMTG:ビデオクリップについてですが、今回は海外でも活躍しているダンサーのケント・モリさんが参加してますね。とても神秘的でドラマティックな仕上がりになっていますが、彼に登場してもらったいきさつや、仕上がりについてはどう感じますか?
- RYOJI:僕的には、クセになるダンス、吸い込まれるようなダンスをしてくれる人を求めていたんです。と同時に「陰と陽」極端を表現しつつも、その中間をうまく表現してくれる人を探していて。中間が伝えられないと本当の「陰と陽」は伝わらないと思ったんですよね。そこで思い浮かんだのが、ケントさんでした。実際撮影現場を拝見したのですが、素晴らしかったです。プロ意識がすごく高くて、例えるなら同じ材料でホットケーキを作っているはずなのに、味が全然違うみたいな。想像を超えるようなパフォーマンスを披露してくれましたね。
- RYO:彼の中には思い描いている映像がしっかりあって。そういうのを持っているのってすげえな、若いのにって思いました(笑)。
- RYOJI:若いから(いろんなアイデアがある)って部分もあるんじゃないの!?(笑)。
- RYO:かも。ただ、本当にケントさんの持っている世界観はすご過ぎ! 自分達には決して真似できない領域だなって。だから、こっちも自分達なりのやり方でやっていこうと思いましたね。
- RYOJI:でも、僕はやろうと思っている根本って変わらないんだなって、逆に思いましたよ。
- DJ KOHNO:僕ら、ケントさんのパフォーマンスの後に撮影したんですけど……僕ら必要かな? って思いましたね。
- RYO:最後にはディレクターさんに、極力僕らの出演シーンは減らしてほしいとお願いしました(笑)。
- EMTG:ところで「月と太陽」にかけて、皆さんはそれぞれ、「月」と「太陽」、どちらのタイプだと思いますか?
- RYOJI:僕は月だと思いますね。基本、家でひとり過ごすのが好きなんで。特に賑やかな場所に出た後は、そういう傾向になってしまう。満月の時くらいじゃないですか。大騒ぎしたくなるのは(笑)。
- DJ KOHNO:僕は以前占い師から、太陽のオーラを持っていると言われたことがあります。人を集める魅力があるけど、近づき過ぎるとその熱さでみんな遠のいてしまうって。本当は孤独な人間って言われました(苦笑)。
- RYOJI:リアルな太陽嫌いなんですよ、彼は。ハワイに行った時も日中外出せず、ホテルでゲームしていたという(笑)。
- DJ KOHNO:太陽と太陽なんで、衝突しちゃうんです(笑)。だからすっかり日が暮れてから、外に出かけるという。
- 大蔵:僕はリアル太陽や、賑やかな場所にいるのが好きなんで太陽タイプなんでしょうね。
- RYO:僕は完全に闇(笑)。初対面の人には、いろいろ気を使って会話を神経すり減らしてするんですけど、仲良くなっていくたびに会話をしなくなっていく。思いっきり解放的になるのは、ライヴ中か風俗に行っている時くらい(笑)。
- EMTG:ところで、ジャケットには猫が登場していますが、どういう意味が隠れているのでしょう?
- RYOJI:人間生活に密接に関わっていながらミステリアス。そのイメージが月と太陽にあう、みたいな?(笑)。
- DJ KOHNO:実際ある国では、神秘的扱いされているみたいですしね。
- RYO:また(左右の)目の色が異なるのもポイントですね。
- EMTG:続いて「Make & Break」について。これまでのケツメイシのイメージにはない宇宙を感じるエレクトロ・トラックですね。また歌詞は、夢に向う人へのエールのような内容になってますが、どこにこだわりましたか?
- RYOJI:クリエイターってのは、作っては壊すを繰り返す作業だと思う。なかでも日本人はそういう作業が得意で、壊してから創成していくことに関しては強いんじゃないかって。僕らより若い世代の人も、そういう姿勢を持ってくれたら日本は安泰じゃないかって思うんです。もちろん僕らも頑張りますけど、次の世代へエールを送るような――今は枠のなかに閉じこもっている時間ではないことを伝えるような曲を作りたいと思いましたね。
- DJ KOHNO:いろんな世代の人と話す機会があるんですけど、若い世代ほど守りの姿勢が強い気がする。ハタから見ると、何も恐れることなんてないのに、何でおびえているんだろう? って。また、スポーツ選手もそうなんですけど、新しいことに挑戦しようとしない人ほど、早く引退に追い込まれるパターンが多いんですよ。だから、みんなでこれまでのことをすべて崩してでも、新しいことに挑戦すればいいんじゃない? ってことを表現したつもりです。
- RYO:イチローって小学生時代の作文で<自分は1年のうち363日練習に明け暮れたんだから、絶対にプロ野球選手になる>って書いていたんですよね。<なりたい>じゃなくって<なる>ってすごいじゃないですか。そういう気持ちで(みんなも)夢や目標に向うみたいな姿勢を持ってほしいなって。
- DJ KOHNO:若い世代の何か作り出そうとするパワーを応援するような内容。つまり未来にワクワクできるような曲にしたいと思ったと同時に、ケツメイシも15年近く破壊と創造を繰り返して活動してきたけど、これからもそういうことを続けていかなければと、襟をただすような気分になった1曲になりました。
- EMTG:またこの曲のラップもユニークですよね。
- DJ KOHNO:ラップに関しても、日々新しいことに挑戦したいと思っていて。この曲では、最近の洋楽を参考にして、歌っぽいものを取り入れています。
- EMTG:3曲目「Good morning」は、すでに朝の情報番組『やじうまTV』でおなじみのナンバーですね。前日までの憂鬱な気分を吹き飛ばし、元気に1日を始められるような軽快な楽曲になったと思います。
- RYOJI:人間にはリセットできる時間帯があると思うんですよ。それが仕事に出かける朝と、終業後の夕方だと思う。僕は、それで表情を変える人って素敵だなって思うんですけど。特に朝、僕は家に帰ることが多いんですが、その時にすれちがう出勤する人の姿を見ると、彼らが日本を動かしているんだな。そういう人たちが元気に1日をスタートできるような曲を作りたいと純粋に思って完成させました。
- 大蔵:RYOJIくんから、朝カーテンを開けて朝が始まるというイメージを聞いていたんです。なので僕は、気持ちよく玄関を飛び出して仕事や学校に行けるようなラップにしようと思いましたね。
- RYO:僕は何かシュッとシャンとした感じをね――。
- 大蔵:擬音ばっかじゃない(笑)。
- RYO:この曲はサビが最初にあったので、それにあわせてというか、サビで伝えきれない部分を補うラップにしようと思いました。最後のほうで、地球はまわっていて、世界のどこかで必ずカーテンを開けている人がいるっていう。それから技巧的には、8小節でラップをまわすことにこだわりましたね。
- DJ KOHNO:ただ朝の情景だけを表現するのは面白くないなって思いました。そこに気分がシャキっとする言葉を入れたことによって、いい仕上がりになったと思います。朝以外の時間帯やライヴでも披露できる曲じゃないかなって。
- EMTG:ではここで、シングル全体の聴きどころを教えてください。
- RYOJI:(今回のシングルを通じて)単純な世界に自分がいることを実感してほしいですね。そうすると、毎日がそんなに苦じゃなくなると思うんです。今、自分に元気がなかったとしても、そういう時期なんだとか、困った時は人に頼ればいいとか、単純なことを学んで生活してほしいなって思います。
- DJ KOHNO:僕は「Make & Break」のメッセージが大きいですかね。新しいことに挑戦するのは、決して怖いことではないと、感じてもらえたらと。
- 大蔵:今回のシングルは3つとも世界観が違うと同時に、違うことに挑戦しています。昨年のアルバム発表以降も変化し続ける僕らを感じてほしいですね。そして、間もなく始まるツアーにも遊びに来てほしいです。今回のシングル曲を披露するかどうかわかりませんが、普段なかなか表に出ない僕らの、人となりを感じてもらいたいですね。
- EMTG:インタビュー時点ではまだツアー前ですが、まさに2年ぶりのツアーがスタートするわけで……。どんなものになりそうですか? これを知っておくと楽しめるとか、聴き手が準備することはありますか?
- RYO:このツアーは、ケツメイシの今年最大の活動になります。無事に乗り切れたらと思いますね。
- DJ KOHNO:(ライヴは)とにかく時間が長いと思うので、その心づもりで足を運んでください(笑)。
-
- RYOJI:お金を払って観ていただくのですから、とにかく自由に楽しんでもらえたらいいと思います。それだけで充分じゃないですかね(笑)。
2013年最初のシングル「月と太陽」をリリースするケツメイシ。この曲は、現在放送中のテレビ朝日系ドラマ『ダブルス?二人の刑事』(毎週木曜21時?)のエンディングテーマ。人の持つ明暗を表現したリリックに優しいメロディーがからみ、ドラマの世界観にも違和感なくハマッた楽曲だ。今回は昨年末にリリースしたアルバム『KRTSUNOPOLIS 8』の流れから、新曲誕生のいきさつを含め、幅広く語ってもらった。
【取材・文:Takahisa Matsunaga】
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リリース情報
お知らせ
「KTM TOUR 2013」
2013/05/25(土)大阪城ホール
2013/05/26(日)大阪城ホール
2013/06/01(土)名古屋 日本ガイシホール
2013/06/02(日)名古屋 日本ガイシホール
2013/06/08(土)広島グリーンアリーナ
2013/06/09(日)広島グリーンアリーナ
2013/06/15(土)神戸ワールド記念ホール
2013/06/16(日)神戸ワールド記念ホール
2013/06/22(土)真駒内セキスイハイムアイスアリーナ
2013/06/23(日)真駒内セキスイハイムアイスアリーナ
2013/06/29(土)マリンメッセ福岡
2013/06/30(日)マリンメッセ福岡
2013/07/06(土)国立代々木競技場第一体育館
2013/07/07(日)国立代々木競技場第一体育館
2013/08/03(土)大阪城ホール
2013/08/04(日)大阪城ホール
2013/08/17(土)横浜アリーナ
2013/08/18(日)横浜アリーナ
2013/08/24(土)宜野湾海浜公園屋外劇場
2013/08/25(日)宜野湾海浜公園屋外劇場
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