前へ

次へ

阿部真央、全公演即日完売となった弾き語りライブツアー最終公演の模様をレポート!

阿部真央 | 2013.08.30

 ’09年のデビュー以来、初めての全国・弾き語りライブツアー「阿部真央 弾き語りらいぶ2013・夏」。その最終公演(8/1 SHIBUYA?AX)で阿部真央は、その真骨頂──生々しい感情をポップに昇華した音楽性、オーディエンスの心をダイレクトに揺さぶるボーカル──を力強く示してみせた。

 19時ジャストに会場の照明が落とされ、凄まじい歓声が巻き起こるなか、阿部真央がひとりでステージに登場する。ステージに置かれているのはもちろん、マイクとギターアンプだけ。丁寧にお辞儀をした彼女はすぐにアコースティックギターを手に取り、「そう、踏み込んではならないの/そう、まだそんな仲ではないの」というラインを響かせる。オープニングナンバーはファンの間でも高い支持を得ている「デッドライン」。キレのいいギターストロークと張りのあるボーカルに対し、観客も「ウォー!」という叫び声で応える。ギター1本の弾き語りとは思えないほどの迫力と盛り上がりを生み出す阿部真央、めちゃくちゃカッコいい。

 ライブ前半の頂点は、’09年のデビューアルバム「ふりぃ」のタイトルチューン。「逃がすなよ今を/感じろよ今を」というフレーズが高らかに鳴らされ、思わず感情が高ぶってしまう。演奏中に「ありがと!」と叫び、ニコニコと笑顔を浮かべる彼女からも、この瞬間を楽しんでいることが伝わってくる。私が初めて阿部真央のステージを見たのは’08年の秋だったのだが(このときも弾き語りライブだった)、当時の雰囲気はかなり攻撃的で、笑顔も少なかった印象がある。あれから約5年が経ち、ファンとの確かな絆を作り上げた彼女は、ステージの上でも自らの感情を気持ちよく開放するようになったのだ。

 8/28(水)にリリースされる5thアルバム「貴方を好きな私」に収録されるナンバーも強く心に残った。「『貴方が好きな私』が私を殺してく」というフレーズが心に突き刺さる、真摯で切実なラブソング「貴方が好きな私」、「高校のときに作った曲で、自分も大好きな曲」という言葉とともに奏でられた「boyfriend」(仲のいい男友達との繊細な関係を描いたミディアム・バラード/岡田将生が声優として出演したPVも話題です)。リアルで繊細な恋愛感情を綴ったこれらの曲は、彼女のソングライティング・センスがさらに深まっていることを明確に示していた。豊かな低音?張り詰めたテンションを備えた高音を自由に行き来するボーカルも本当に素晴らしい。

 ライブ終盤に彼女は、今回のツアーの趣旨について真っ直ぐに話しかけた。弾き語りのライブは歌詞がダイレクトに伝えられて、それはシンガーソングライター冥利に尽きると思っていること。実際、今回のツアーでは観客の顔を見ながら歌詞をしっかり伝えられた実感があって、“やってよかった”と感じていること。そして、拙いギター、粗削りな歌かもしれないけど、10何年後もこうやって歌い続けたい、と──。その言葉からは、このツアーの充実ぶりがはっきりと感じることができた。

“あべまコール”に導かれたアンコールでは、ニューアルバムに収録される新曲「どこ行った?」(アルバムのインタビューで彼女は「恋愛における私の悪い癖というか、本質が書けたと思う」とコメントしてました)、そして、ライブでしか聴くことのできない「母の唄」を披露、このツアーを締めくくった。ベーシックなスタイルである弾き語りライブによって、シンガーソングライターとしての際立った個性を改めて体現した阿部真央。今回のツアーは、10月からスタートする全国ホールツアー「阿部真央 らいぶNo.5」にもきっと大きな影響をもたらすはず。そこで彼女がどんなパフォーマンスを見せてくれるのか、いまから楽しみでしょうがない。

【取材・文:森 朋之】

tag一覧 ライブ 女性ボーカル 阿部真央

関連記事

リリース情報

貴方を好きな私(初回限定盤) [CD+DVD]

貴方を好きな私(初回限定盤) [CD+DVD]

2013年08月28日

ポニーキャニオン

1. HOPE
2. 貴方が好きな私
3. それ以上でも以下でもない
4. どこ行った?
5. 短い言葉たったそれだけその一言だけ
6. boyfriend
7. 天使はいたんだ
8. Will you save me
9. 返して
10. 怖い話
11. 最後の私
12. 愛してる

このアルバムを購入

セットリスト

阿部真央 弾き語りらいぶ2013・夏
2013.8.1@SHIBUYA-AX

  1. デッドライン
  2. じゃあ、何故
  3. ふりぃ
  4. モンロー
  5. コトバ
  6. 貴方が好きな私
  7. 貴方の恋人になりたいのです
  8. boyfriend
  9. 最後の私
  10. morning
  11. forロンリー
  12. いつの日も
  13. ロンリー
Encore
  1. どこ行った?
  2. 母の唄

お知らせ

■ライブ情報

阿部真央らいぶNo.5
2013/10/04(金)大分・iichikoグランシアタ
2013/10/11(金)愛媛・松山市総合コミュニティセンターキャメリアホール
2013/10/12(土)徳島・徳島市立文化センター
2013/10/14(月・祝)兵庫・神戸国際会館こくさいホール
2013/10/25(金)福岡・福岡サンパレスホテル&ホール
2013/10/27(日)長崎・長崎市公会堂
2013/11/01(金)静岡・静岡市民文化会館 中ホール
2013/11/03(日)愛知・日本特殊陶業市民会館フォレストホール
2013/11/04(月・祝)三重・三重県文化会館 中ホール
2013/11/09(土)福島・郡山市民文化センター 中ホール
2013/11/10(日)宮城・東京エレクトロンホール宮城
2013/11/16(土)大阪・オリックス劇場
2013/11/17(日)大阪・オリックス劇場
2013/11/23(土・祝)広島・上野学園ホール
2013/11/24(日)岡山・倉敷市民会館
2013/11/29(金)石川・金沢市文化ホール
2013/12/06(金)新潟・新潟県民会館
2013/12/08(日)長野・松本キッセイ文化ホール 中ホール
2013/12/12(木)北海道・札幌市教育文化会館 大ホール
2013/12/16(月)東京・国際フォーラム ホールA

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

トップに戻る