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VAMPS、似合いすぎの13日の金曜日ライブ!

VAMPS | 2013.10.15

 本年、初夏から秋にかけ、全国ツアー「VAMPS LIVE 2013」を展開したVAMPS。全国各地のZEPPで複数公演を行う“籠城型”と呼ばれるツアースタイルは、2008年の結成以降、毎年行われてきた。今年もこの“籠城型”ツアーが、6月28日から、初のZEPP DIVERCITY TOKYO 7DAYSを皮切りにスタート。追加公演を含み、全国で33公演を行うロングツアーとなった。

 追加公演と銘打たれた、9月のZEPP TOKYO 10DAYSでは、オフィシャルFC会員ONLY DAY、U-20 ONLY DAY、さらに1Fを男性限定・2Fを女性限定にセパレートした“BEAUTY AND THE BEAST”DAYなど、様々な企画を実施。本レポート当日の“2013年9月13日・金曜日”は、オフィシャルFCオンリーの日だった。

 2013年9月13日。金曜日。13日の金曜日である。ヴァンパイア=VAMPSにとっては、特別な日だ。超満員の会場。開演前、まだ薄闇に沈むステージの前には、薄い紗幕がかかっている。その紗幕をスクリーンがわりにして、デジタル時計が時を刻む。「6:59」の次は「6:60」へ。VAMPSライヴではすっかりお馴染の光景。デジタル時計が「6:66」=VAMPSライヴの開演時間に向かい、カウントアップしていく。このデジタル時計とともに、紗幕に映し出されていたのは「13.FRI.13」の文字。いつもとは違う映像が、ライヴ前から会場のボルテージをあげていった。

 オープニングを飾ったのは、ハイスピードでコアなメタルナンバー「KYUKETSU -SATSUGAI VAMPS Ver.-」。最初から上半身裸で登場したHYDEは、野太い声で吠えながら、ステージを飛び跳ね、ヘッドバンキングする。K.A.Zも、イントロからいきなりステージ前に走り出してきた。ギターを弾きながら、客席を指さしたりと激しいアクションを繰り返す。ステージも客席も、最初から全開だ。激しく光るステージ上、その上空から垂れさがるように設置された何本ものLED。その中を赤い色が、太くなったり細くなったりしながら走る。まるで、したたり落ちる血のようだった。何かにはじかれたように、バウンドし続ける観客の様子は、オープニングからクライマックスのようだった。3曲終わったところでHYDEがマイクをとった。

 「「VAMPS LIVE 2013」へ、ようこそ。会いたかった。欲しいでしょ? ちょうだいって言わないと、あげないよ(観客「ちょうだーい!」)精神的にも、肉体的にもいじめてやるから、覚悟しろよ!」

 と、いつもよりちょいSっ気が強い言葉に、超満員の観客は大歓声でレスポンスした。

 ステージにひざまずき、天を仰いでロングトーンでシャウトする。ステージにねっ転がり、最前列の客を煽るなど、テンション高いアクションで、ぐいぐい観客を煽っていくHYDE。K.A.Zも負けていない。ギターのボディを前に出し、観客の手のギリギリ前で弾いたり、2階に向かい、少し伸びるようなアクションをしながら右手をぐるぐる回すなど、全方位へ向け、華麗なパフォーマンスを繰り広げていく。その一挙一動に、敏感に反応し、様々なレスポンスを返す観客。VAMPSの結成から5年。そこには、VAMPSと観客が培ってきたフィジカルな信頼関係があった。

 中盤では「新曲」も披露。序盤は、エレクトロニカ?ラウンジのアプローチも感じられるミディアム・チューン。ギターの単音のロングトーンが印象的……と思っていたら、一転、途中からノイズに近いような轟音シャワーの迫力に圧倒される、ふたつの表情を持つ濃厚な1曲だった。観客は、K.A.Zの一音一音、そしてHYDEのひとことひとことを、体に刻みこむように聞き入っていた。

 キーボードのJINが“VAMPSメンバーも怖がるホラー映画”をお薦めしたりと、この日ならではのコーナーも登場。リラックスして楽しんでいた観客。あちこちから思い思いの感想や声援が飛んだ。

 ライヴは中盤から後半へ。日本ベスト盤&海外デビュー盤『SEX BLOOD ROCK N’ ROLL』アレンジを変え、より大胆でダイナミックに生まれ変ったHYDEの長めのMC。「13日の金曜日は、何が怖い?」と言った後、合わせ鏡の話へ。丁寧に合わせ鏡の説明をした後、こう締めくくった。

 「自分の死に顔が観られるなんて、なんてステキなんだろう?」

 この言葉に、観客、一瞬ポカーン。直後に“素敵だ”“違うー”と喧々諤々な状態へ。その様子をうかがっていたHYDEが、笑いながらこう答えた。

 「何言ってるか、わからんなー(笑)」

 会場、爆笑。このMCのような客席との距離の近さも、VAMPSが年月をかけて観客と培ってきたものだ。ステージも観客も、間合いと空気をわかっているから出てくる少しゆるりとしたとてもいいムード。そこにHYDEはこんな言葉を投げ込んだ。

 「ここからは明るい雰囲気で。そういうの好きでしょ? どういうの好きなん? 激しいの? やらしいの?」

 後半の台詞&煽りに、会場の雰囲気が変わっていく。次の曲を待って、スタンバイする。フロアの前列で、男の子が大きく雄叫びをあげた。「悔いを残すなよ! お前ら! 一緒に逝こうぜ」とHYDEがシャウトし「LOVE ADDICT」へ。続く、VAMPS史上屈指のアッパーなパーティーチューン「ANGEL TRIP」では、ブレイクに合わせて、ZEPP TOKYOの空中に一斉にタオルが舞った。

 最後の曲は「SEX BLOOD ROCK N’ ROLL」。右手に走るHYDEと交差するように、ステージ中央に陣どったK.A.Zが、何度もギターを回す。客席に自分のマイクを向けるHYDE。次の瞬間、会場の全員が、タイミングもドンピシャに歌声を返した。曲のアウトロ。ハウリングするサウンド。その中で「また会おう、首洗って待ってろよ!」と絶叫したHYDE。ステージのバックを彩っていた薔薇の花束(毎公演、ファンからのプレゼントが飾られている)をちぎりながら客席へ放り投げ、最後の最後は投げキス&ヴァンピースを残して、ステージを後にした。

 次は、ワールドツアーが待っている。

 2014年1月までかけ、VAMPSが世界で響く。

【取材・文:伊藤亜希】
【撮影:田中和子】

tag一覧 ライブ 男性ボーカル ROCK VAMPS

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リリース情報

SEX BLOOD ROCK N’ ROLL(初回限定盤A)[SHM-CD+Blu-ray]

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2013年09月25日

ユニバーサルミュージック

ディスク:1
1. DEVIL SIDE
2. REDRUM
3. REVOLUTION II
4. THE PAST
5. LOVE ADDICT
6. ANGEL TRIP
7. MEMORIES
8. SWEET DREAMS
9. Life On Mars?
10. VAMPIRE DEPRESSION
11. MY FIRST LAST
12. HUNTING II
13. SEX BLOOD ROCK N’ ROLL

ディスク:2
1. VAMPS LIVE BEST MOVIE

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セットリスト

VAMPS LIVE 2013
2013.9.13@Zepp Tokyo

  1. KYUKETSU -SATSUGAI VAMPS VER.-
  2. MADE IN HEAVEN
  3. REDRUM
  4. EUPHORIA
  5. SECRET IN MY HEART
  6. REPLAY
  7. DEVIL SIDE
  8. COUNTDOWN
  9. 新曲
  10. JESUS CHRIST
  11. HUNTING
  12. AHEAD
  13. TROUBLE
  14. LIVE WIRE
  15. MIDNIGHT CELEBRATION
Encore
  1. REVOLUTION II
  2. LOVE ADDICT
  3. ANGEL TRIP
  • SEX BLOOD ROCK’N ROLL
  • お知らせ

    ■ライブ情報

    HALLOWEEN PARTY 2013
    2013/10/19(土)神戸ワールド記念ホール
    2013/10/20(日)神戸ワールド記念ホール
    2013/10/25(金)幕張メッセ国際展示場9・10・11ホール
    2013/10/26(土)幕張メッセ国際展示場9・10・11ホール
    2013/10/27(日)幕張メッセ国際展示場9・10・11ホール

    ※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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