androp、ワンマンライブツアー“angstrom 0.6 pm”東京公演をレポート
androp | 2013.12.24
「東京! 飛び跳ねる準備はできてるか?」と内澤崇仁(Vo/G)が呼びかけて「Boohoo」がスタートするや否や、ジャンプしながら踊る観客の熱気でフロア全体が激しく揺れた。イントロの時点で爆発的な歓声が起こり、さらなる盛り上がりへと巻き込んだ「Bell」。バンドが一丸となって轟かせるシャープなビートが刺激的だった「Glider」。飛び交うレーザービーム、ステージ上に映し出される幾何学模様のグラフィックとサウンドが絶妙にリンクし、夢のような昂揚感へと我々を連れて行った「ShowWindow」。オープニングの4曲の時点で、既に圧倒的な盛り上がりが生まれていた。
前田恭介(B)によるスラッピングプレイのイントロからスタートした「Amanojaku」。他のメンバーのパートも合流すると、重厚なサウンドが渦巻く本編へと突入。清々しいメロディが鮮やかに煌めいていく……andropのアンサンブルの美しさを心底噛み締められるこの曲を皮切りに、さらに多彩なサウンドが会場全体に溢れ返っていった。ヘヴィに轟くギターを軸にアグレッシブに疾走した未発表新曲、シャープなビートを刻んで観客をタテノリのダンスへと巻き込んだ「Train」など、ストレートなロックサウンドも随所で披露。残響を利かせた音像をじっくりと揺らめかせながら幻想的な空間を作り上げた「Bright Siren」が幕切れた時、観客の間からどよめきにも似た歓声が上がった。
「次にやる曲は夢がテーマ。夢って口にすると少し恥ずかしかったりするけど。でも、夢って自分しか持っていないものです。周りに何を言われようが夢を大切にしてください」と内澤が語ってからスタートした「Melody Line」。4つ打ちのリズム、エレクトロテイストのサウンド、内澤が歌いながら奏でるピアノの音色が絶妙に融合し表現されるこの曲は、耳を傾けていると実に幸福な気持ちになった。観客が掲げる無数の腕が穏やかに揺れる光景も美しい。そして、「Yurariri」の瑞々しいサウンドが観客を一層うっとりとさせた後、再びインターバル。「この曲はものすごく大事にしていて。4年間ずっと封印していました。僕に歌を教えてくれた人がいたんですけど。家族のように慕っていたその人が4年前に亡くなって。その時に作った曲です。ずっと歌えなくて、表現できなくて。歌うのが辛すぎて、ずっとしまってました。でも、歌を教えてくれた人の曲なのに、しまってたら逃げてる気がして……。もっと強いボーカリストになりたいと思って、メンバーと話し合ってこの曲をシングルにしました。世の中、何が起こるか分からなくて。世界は無限ではなくて有限だから、大切な人を大事にしてください」という内澤の印象的なMCを経て「Missing」。内澤のアコースティックギターと歌から幕開け、やがて他の楽器パートも合流。ファルセットの歌声を交えながら壮大に高鳴っていくクライマックスがとても神々しかった。清らかな想いに満ちたこの曲に耳を傾ける観客の集中力がものすごい。演奏が終わった時、大きな拍手がステージに向って届けられた。
「ツアーは今日で5本目。このツアーを通して目標がありまして。今までのイメージをブッ壊してやろうと思ってます。ブチ上げていくので。みんなの熱気に倍返し、いや、100倍返ししますので!」、佐藤拓也(G/Key)が観客を煽って突入した後半戦。まずは「Party」が人々の興奮に爽やかに火をつける。続いて、伊藤彬彦(Dr)のドラムが激しい勢いのクラップを誘ってスタートした「Pray」。この曲の途中では「もっともっと1つになりたいと思います!」と内澤が呼びかけ、観客との歌声の掛け合いも行われた。「音程が高いという人は魂の叫びを! 音程なんて関係ないんだよ!!」と佐藤が言い、“魂の叫び”の見本を示すと、観客の歌声はますますエネルギッシュに高まっていった。
バンドサウンドに負けないくらいの音量のクラップを人々が打ち鳴らしながら踊った「Roots」。回転するミラーボールが放つ無数の光の粒子、レーザー光線に会場全体が彩られる中、美しいエレクトロサウンドを響かせた「World.Words.Lights.」。猛烈な勢いのダンスと大合唱を引き起こし、幸福感に満ちたフロアを作り上げた「MirrorDance」……強力なナンバーが連発された終盤は、とにかく圧倒的であった。そして、「今ここで鳴らせる音は1回きり。ここに集まったのは奇跡。音楽をやってて良かったです。ここに集まった証しを残したいと思います。みんな、歌ってくれますか? 最高の声ください!」と内澤が言い、本編ラストを飾ったのは「Voice」。観客の歌声と奏でられるサウンドが一体となって会場を揺さぶる様が壮観であった。
《アンコール アンコール もう一度声を聴かせてよ》、観客が「Encore」の歌の一節を合唱しながら手拍子。その声に応えて、内澤と佐藤がステージに戻ってきた。「アンコールありがとう! 歌まで歌ってくれてありがとう! 1曲、この2人で歌わせてください。ここに立っているのは君たちがいるからです。僕らがいるここがステージじゃなくて、君らがいるそこもステージなんだよ。そういう曲です」、内澤が印象的な言葉を添えてスタートしたのは「Echo Boy」。佐藤が奏でるアコースティックギターに合わせて、一心に歌い上げられるメロディがとても美しい。観客は息を呑んでステージを見つめながら聴き入っていた。
前田と伊藤もステージに戻ってきた後、最後のMCへ。「この4人が下北のスタジオで会ってから、来年で5年を迎えます。5年間ずっと変わらず、“いい音楽を届けよう”という想いだけでやってきました。来年3月に今までで一番でかいキャパでやることになりました(2014年3月23日に行われる国立代々木競技場・第一体育館での初のアリーナ単独公演)。それを集大成にするつもりはなくて。あくまで通過点としてやりますので、ぜひ観に来てください!」と佐藤が力強く語り、「今、すげえ楽しい。思いきり楽しんでいこうぜ、東京!」と内澤が観客を煽ってスタートした「Message」。清々しく躍動するサウンドがフロアで踊る人々を完全燃焼させていく。そんな光景を眺めながら、メンバーたちは明るい笑顔を浮かべていた。そして演奏が終了し、何度もお辞儀をしながらステージを後にする4人を、大きな拍手と歓声が見送る。何とも言えず温かい興奮を味わったエンディングであった。
【取材・文:田中 大】
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リリース情報
お知らせ
COUNTDOWN JAPAN 13/14
2013/12/30(月)幕張メッセ国際展示場1〜8ホール、イベントホール
androp初のアリーナ単独公演
one-man live 2014 at 国立代々木競技場・第一体育館
2014/03/23(日) 国立代々木競技場・第一体育館
※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。