長澤知之、自身の自主企画で赤い公園と熱い共演!
長澤知之 | 2014.01.06
長澤知之が、共演したいアーティストを招いて行なう対バン型自主企画イベント「ライド」。東京・大阪で開催された第7弾は、先日リリースした 2ndフルアルバム『黄金の在処』に参加したアーティストがシークレット出演するというコンセプトで行なわれた。12月14日、渋谷WWW公演のゲストは東京キネマ倶楽部でのワンマンを大成功させたばかりの4人組ガールズバンド・赤い公園(「そのキスひとつで」に、津野米咲 (Gt.&Pf.)が参加。尚、大阪公演にはインストバンド・Nabowaがゲストとして招かれた)。チケットがソールドアウトした会場 は、開演を待ちわびる観客でひしめきあっている。
定刻通りに客席の明かりが暗くなると、長澤がひとりでステージに登場。アコギを手に取り、「こんばんは、よろしくどうぞ」と挨拶。感触を確かめるようにギターを軽く弾いた後、「みなさんに捧げます」と「左巻きのゼンマイ」を弾き語り始めた。マイクスタンドの周りをふらふらと歩き回る飄々とした雰囲気もありながら、届けられる歌声は実に情熱的。オーディエンスのクラップも、楽曲に花を添えていた。「センチメンタルフリーク」「明日のラストナイト」と続けたところで、今日のライブの趣旨説明を始めた長澤。「このイベントは“徹子の部屋”みたいな感じというか……」という意表をついた例えに、客席から笑いが起こった。そして、「楽しくなったら周りに迷惑をかけない程度に踊ればいいと思うし、好きに楽しんでもらえば」と、「無条件幸福」を力強く歌い上げた。
短めの転換の後、赤い公園のステージがスタート。楽器隊の合わせる音が徐々にドライブし始めると、「よろしくお願いします!」とステージに現われた佐藤千明(Vo.)。笑顔で元気よく登場してきた彼女だったが、歌い始めた瞬間にガラリと変貌。クールな表情で、伸びのある凛とした歌声を一 気に解放する。そして「透明」では、変則的なリズムの上で、ギターを殴りつけてと強烈なリバーブを漂わせたり、ベースが強烈に歪んだノイズを放ったと思えば、突如流麗なフレーズを弾き始めたりと、これぞ赤い公園なステージを繰り広げて行く。また、途中で長澤が呼び込まれ、5人で「くい」をプレイ。全員とにかく楽しそうな姿が印象的で、佐藤に至っては「ちょっと自分でも気持ち悪いと思うぐらいはしゃいじゃった(笑)」と、曲を終えた後に大興奮していた。ラストナンバーは「ふやける」。穏やかな始まりからサビで一気に爆発する曲構成は迫力満点。佐藤の鬼気迫る歌唱も凄まじかった。圧倒的なインパクトと壮絶なノイズを残してステージを去った4人には、大きな拍手と歓声が送られていた。
転換中、「そのキスひとつで」のMVが初上映された後、長澤がバンドメンバーと共にステージに登場。ちなみに、入場SEは「徹子の部屋」のテーマ曲(笑)。
再び客席は笑いに包まれた。1曲目は「STOP THE MUSIC」。アルバム『黄金の在処』の最後を飾る曲でスタートした。幻想的なサウンドを、長澤の熱のこもった歌声が切り開くように飛び込んでくる。続く「あんまり素敵じゃない世界」では、打って変わって爽快感のあるサウンドがフロアへ放たれた。今回のバンドメンバーは、ギター:西川 進、ベース:松田“FIRE"卓己、ドラム:タナカジュンという初の布陣だったのだが、かなりパワフル。とにかく圧倒的なまでの熱量がステージから放射され続けていた。
中盤では、ハイトーンボイスが胸に迫る「追憶」の後に、焼き切れそうなほどのテンションで攻め立てる「零」や「THE ROLE」「JUNKLIFE」といった過去の楽曲も飛び出した。また、エレクトロテイスト溢れる「フラッシュバック瞬き」では、ステージ後方に映し出された映像の BGM的にプレイ。水滴や細胞などが素早く切り替わるスタイリッシュな映像が、浮遊感のあるサウンドを際立たせた。そこからヘヴィかつサイケデリックな世界へいざなう「マンドラゴラの花」へなだれ込み、アルバムのタイトル曲「黄金の在処」へ。穏やかなアルペジオと幽玄なフィードバックが絡み合うと、ドラマチックなうねりが生まれる。その音像はとても優しく、輝きに満ちていた。そして、「今日は来てくださってありがとうございました」と感謝を告げた後「じゃあ、爽快な曲をやって終わろうと思います……最低なMCだな(苦笑)」と反省しつつ(笑)、 「GOODBYE,HELLO」を披露。伸びやかな歌声とパンチ力のあるバンドサウンドを轟かせ、ラストは「夢先案内人」で本編を締め括った。
アンコールでは「そのキスひとつで」を披露。残念ながら津野は体調不良のため不参加となってしまったのだが、「野郎共だけでやります。ここにいる男性/女性が異次元ハニーになってもらえたら幸いです!」と熱唱。そして「誰より愛を込めて」では、観客のクラップも飛び出し、この日最大の ハッピーを会場全体で生み出していた。ただ、その高揚感たるやすさまじく、場内が明るくなろうとも、オーディエンスの拍手が全く鳴り止む気配がない。そんな客席からの熱い要望に応え、ダブルアンコールとして登場すると、弾き語りで「いつものとこで待ってるわ」を披露した。予定にはなかったこともあり、途中で歌詞を飛ばしてしまったのか演奏が一時ストップ。客席から歌詞がヒソヒソと囁かれると、再び演奏スタート。拍手が巻き起こった。曲を終え「助けてくれてありがとう!」と言い残し、ステージを去る長澤。そんな和やかな空気のまま、東京公演は幕を降ろした。
『黄金の在処』というアルバム自体、かなり開けた印象のあった作品だったが、この日、生で体感するとそれがありありと伝わってきて、新しい扉を確実に開いた彼の姿がとても眩しく映った夜だった。2月に開催される全国5カ所を廻るツアー「Nagasa・Oneman8 Band Ver.」で、是非彼の輝かしい姿を多くの方に観ていただきたい。
【取材・文:山口哲生】
【撮影:山本倫子】
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長澤知之が11月6日に2年半ぶりとなるフルアルバム『黄金の在処』をリリース、12月には東京と大阪で対バン型の自主イベント“ライド”を開催することを発表した。
リリース情報
セットリスト
「黄金の在処」発売記念
〜シークレット ライド7〜
2013/12/14(土)渋谷WWW
長澤知之
- 左巻きのゼンマイ(弾き語り)
- センチメンタルフリーク(弾き語り)
- 明日のラストナイト(弾き語り)
- 無条件幸福(弾き語り)
赤い公園
- 今更
- TOKYO HARBOR
- 透明
- くい with 長澤知之
- 私
- ふやける
長澤知之
- STOP THE MUSIC
- あんまり素敵じゃない世界
- スーパーマーケット・ブルース
- 追憶
- 零
- THE ROLE
- JUNKLIFE
- フラッシュバック瞬き
- マンドラゴラの花
- 黄金の在処
- 僕らの輝き
- GOODBYE,HELLO
- 夢先案内人
ENCORE
- そのキスひとつで
- ねぇ、アリス
- 誰より愛を込めて
DOUBLE ENCORE
- いつものとこで待ってるわ(弾き語り)
お知らせ
長澤知之 “Nagasa・Oneman8 Band Ver.”
2014/02/15(土)大阪 Music Club JANUS
2014/02/17(月)名古屋 APOLLO BASE (旧APOLLO THEATER)
2014/02/22(土)広島 BACK BEAT
2014/02/23(日)福岡 DRUM SON
2014/02/28(金)東京 LIQUIDROOM
※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。