家入レオのセカンド・ワンマンツアー、“2時間”の中で体現してみせた変化と成長
家入レオ | 2013.12.17
ステージ後方からの逆光。
色のついていない白光。その真ん中に、シルエットが浮かび上がる。華奢なシルエットが前に歩き出す。シルエットは、ステージの中央で、大きく息を吸い込み歌い出した。
家入レオ。セカンド・ワンマンツアー「Kimi ni Todoke」。東名阪と彼女の地元・福岡の4カ所を回る全国ツアー。その3公演目となるZepp DiverCityでのライヴは、力強いミディアム・チューン「Second Dream」で幕を上げた。
最初のMC。満員の客席から声援が飛ぶ中、その声が鎮まるまで待ってから彼女はマイクをとった。挨拶をし、来てくれてありがとうと言った後、客席を見つめながらこう続ける。
「セカンドツアーが決まってから、この光景を思い描いていたので、すごく嬉しいです」
そして、ファーストツアーをがむしゃらだったと振り返り、今は立ち止まって周りを見ることができるようになったと心境を綴る。だから新発見が多いですと、口元を和らげ、最後はこう締めくくった。
「もっと音楽が楽しくなりました」
中盤では「今回のツアーでアコギを引くのは初めてです。(曲がみんなに)届くといいな」と、アコースティックギターを弾きながらバラードの「Say Goodbye」や「Hello」を披露。「Hello」のサビでは、家入のレクチャーから、観客とのコール&レスポンスも。大合唱する会場の声を聴き「すごーい!」と、大きな目をさらに大きく見開く。さらに観客を煽り、その声に「すごいすごいすごい!」と破顔する。全身全霊で観客の反応を楽しんでいる、とても無邪気な姿がそこにはあった。
ライヴは中盤から後半に向かっていく。MCは、全国ツアーならではの“ご当地あるあるネタ”といった内容だったが、最後に“ここだけの話、東京あるあるは、ほとんど無いと思う人!”と、オチまでつけた展開に、ちょっとびっくり。少しでもたくさん観客を喜ばせようしている姿に、 “観客との距離を縮めたい”という彼女の意志がこもっていた。
生ライトを使っていた照明の色が、徐々に増えていく。
最新シングル「太陽の女神」。彼女の声の優しさ、包容力のあるメロディーが楽曲の魅力につながった、家入レオの新境地と言える1曲。ドラマ主題歌ということもあり、観客への浸透度は抜群だ。たくさんの人が、彼女っと一緒に口ずさんでいた。“僕は君を探してる”というワンフレーズで、家入はゆっくり屈伸し、スッと左手を伸ばした。前半では、同じように“君”という単語を歌う時、左手で宙を切るようなアクションが多かった印象だが、ここにきて、違うパターンが出てきた。彼女の曲の中には“君”という言葉がわりと頻繁に登場するが、そこに明確な違いがあるのだと、改めて気付かされるパフォーマンスだった。自分の曲をしっかり体現しようとしているんだなと思った。
鮮やかなオレンジのライトの中で歌われた「心のカ・タ・チ」では、イントロから会場にクラップが起こった。観客のボルテージが上がっていく中、続いたのは、激しいロックチューン「Who’s that」。家入はブレイクに合わせて何度もジャンプする。「皆さん、もっと盛り上がっていける?」と、本人と観客が一緒にタオルを振り回した「Linda」。この曲のトリッキーさ、切れる直前の糸の様なハイトーンのシャウトは、家入ならではか。……と、家入節(勝手に命名してすみません)を感じたところで、投げ込まれたのが「サブリナ」。一斉にジャンプする観客。それまで、じつに丁寧に歌を歌っていた家入レオ。彼女の表情、歌い方が、ガラリと変わる。声が裏返ろうが、まったく関係なし。いきなりリミッターが外れたというよりは、ここまでリミッターを外さないようにしていた感じ。その様子に“それだけ、しっかりと歌を届けたいと思いながら歌っていたのか”と思ったり。観客と一緒にジャンプをしながら、ステージを右に左に走る家入。最後には、床にひざまずき、天をあおぎながら「声を聴かせてー!!」と、絶叫した。観客は、彼女のその声に大きくレスポンスした。
本編最後のMC。「言葉で言うことが、思いを伝える方法だと思ってました。でも、歌でもあったかい気持ちを届けられる。だから1人1人に届くといいなと思ってます。今回のセカンドツアーのタイトルにもなってます。聴いてください。「君に届け」」
家入の持ち味であるハイトーンが、強く強く、そして優しく伸びていく。オープニングから前半は、正直、少し緊張しているかなと思う場面も多々あったが、後半、そこをふっ切るように、解放され、スピードをあげていった家入。1曲の中でもどんどん姿を変えていく場面もあった。彼女は、ライヴの最初と最後では、まったく違う家入レオになっていた。この春、高校を卒業した家入は、その環境の変化や年齢的なものからも、変化&成長の時期である。アーティストとしても女性としても、どんどん変わる時期だし、それは決して特別なことじゃない。しかし、その変化&成長を約2時間というライヴの中で感じさせてくれたことは、とても貴重だと思う。
この変化と成長のスピード感は、間違いなく、今後の彼女の武器になっていくのではなかろうか。
アンコールでは、本人の口から“サードツアー”が決定したことも告げられた。最後の曲が終わると、バンドメンバーを送り出した家入。1人だけになったステージに真っすぐ立った。飛び交う声援。口元に1本指を立てて“シーッ”とジェスチャーする彼女。静まった会場に、家入レオの生の声が響いた。
「今日、こうして皆さんとお会いすることができて、すごく嬉しかったです。またお会いしましょう。ありがとうございました!」
【取材・文:伊藤亜希】
【撮影:田中聖太郎】
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リリース情報
セットリスト
家入レオ2ndワンマンTour ~Kimi ni Todoke~
2013.11.28 @ Zepp DiverCity
- Second Dream
- Last Stage
- Fake Love
- Shine
- イジワルな神様
- Wake you up
- Say Goodbye
- Hello
- Lady Mary
- Bless You
- 太陽の女神
- 心のカ・タ・チ
- Who’s that
- Linda
- サブリナ
- 君に届け
- ミスター
- Message
- キミだけ
お知らせ
2014年3rdワンマン Tour
2014/03/01(土)神奈川 横浜ランドマークホール
2014/03/02(日)静岡 SOUND SHOWER ark
2014/03/08(土)宮城 仙台Rensa
2014/03/09(日)新潟 新潟LOTS
2014/03/15(土)北海道】札幌PENNY LANE 24
2014/03/21(金・祝)熊本 DRUM Be-9 V1
2014/03/22(土)宮崎 宮崎WEATHER KING
2014/03/29(土)香川 高松オリーブホール
2014/03/30(日)広島 広島クラブクアトロ
2014/04/05(土)埼玉 三郷市文化会館
2014/04/13(日)大阪 オリックス劇場
2014/04/19(土)福岡 福岡市民会館
2014/04/20(日)愛知 愛知県芸術劇場大ホール
2014/04/26(土)東京 NHKホール
※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。