現代的なエレクトロサウンドを取り入れたシングル「ヒカリへ」を含む３rdアルバム「Delight」がオリコンチャート1位を獲得。さらにNHK紅白歌合戦にも初めて出場するなど、収穫の多い1年を過ごしたmiwa。ファンに対する感謝の気持ちを込めたライブ「miwa -39（サンキュー）live-“miwanissimo 2013”」において彼女は、大充実の2013年の締めくくりに相応しいステージを見せてくれた。

　ＳＥはクリスマスソング。サンタの帽子を被ったオーディエンスもちらほら見られ、会場はクリスマス・モードたっぷり。楽しげなパーティ感が広がっていくなか、会場の照明が落とされ、ついにライブがスタート！　ステージセットの真ん中に描かれた“３９”という文字が浮かび上がり、大きな歓声が沸き起こる。さらにセットが左右に分かれ、その奥からmiwaが登場、しなやかなスラップベースを軸にしたバンドサウンドとともにハンドマイクでキュートな歌声を響かせる。オープニングは「あなたがいないと世界はこんなにつまらない」。ライブが始まって数分。会場は早くもmiwaのポップワールドで彩られている。

　この後もmiwaは、自らのカラフルな音楽性をまっすぐに表現していく。「-39（サンキュー）live-“miwanissimo 2013”へようこそ！　39ライブ、初公開の新曲をやります！」という言葉に導かれた80’ｓテイストのポップチューン「It’ｓ you!」、「愛を込めて　時間をかけて　大切に育てていこうよ」というメッセージがじんわりと伝わってくる「Faraway」、アコギのアルペジオ（指弾き）で始まり、大好きな“あなた”との別れのシーンを描き出す「またね」。’10年のデビューから約3年9カ月。リリースのたびに音楽性の幅を広げてきた彼女はいま、こんなにも多彩な表現を持ったシンガーソングライターへと成長した。奥深さを増したボーカルを聴いていると、そのことがはっきりと伝わってくる。

　続くMCでは2013年の出来事をゆっくりと振り返った。初めての日本武道館公演、その翌日に行われた下北沢LOFTでのライブなど、デビュー前からの夢が叶った1年だったこと。さらにアルバム「Delight」のツアーで得た手ごたえ――「今年最後のライブ、すべてを出し切ろう！」と楽しそうに叫ぶ姿からも、この1年間の充実ぶりがしっかりと感じられた。

　さらに「カラ＊フル」「FRiDAY-MA-MAGiC」「３２１」「ミラクル」というアッパーチューンをつなげたメドレー（タオルを回したり合唱したり、オーディエンスのテンションも一気にアップ！）、「LAST CHRISTMAS」「ジングルベル」などクリスマスソングによるメドレー（サンタやトナカイに変身したバンドメンバーもめちゃくちゃ楽しそう）を披露し、「今日、カップルで来た人？（何組かが手を上げる）クリスマスにリア充なんて、ありえな?い！」という煽りとともに「ありえない!!」へ。ハードエッジなギターサウンドがフロアの熱気をさらに上げた「chAngE」、「喜び　悲しみ　痛み　私が選んだんだから／未来の位置　今決める選択肢」というポジティブなメッセージが突き刺さる「again×again」、そして、巨大なミラーボールのきらびやかな光とともに放たれた「ヒカリへ」。豊かな音楽性を含んだ楽曲、生々しいエモーションに貫かれたパフォーマンス、エンターテインメント性に溢れた演出がひとつになったステージは、まさにmiwaの真骨頂だったと思う。

　アンコールでも、驚きに満ちたシーンが続く。まずは「受験生のために書いた新曲です」という「キットカナウ」（キットカット　受験生応援キャンペーンソング）を披露。大学のマスコットキャラクターも応援に駆け付け、楽しげなムードが増幅されていく。さらにライブ終了後には３/８(土)、９(日)に東京・国立代々木競技場第一体育館でワンマンライブ「miwa spring concert 2014“渋谷物語?完?”」を開催することを発表！　デビュー直後に渋谷のライブハウス・eggmanでイベントを行い、SHIBUYA AX、渋谷公会堂でのワンマンライブ、NHKホールで行われる紅白歌合戦への出場を経て到達した代々木体育館公演。「いつか代々木体育館でライブをやりたいと思っていました。だから“完”なんです」とタイトルの意味を説明したmiwaからも、新たな挑戦に向かう決意が強く感じられた。

　瑞々しく、親しみやすい雰囲気をキープしたまま、どんどんスケールアップしていくmiwa。2014年は彼女にとって、さらなる飛躍の年になりそうだ。

　 【取材・文：森 朋之】